低濃度アトロピン点眼治療(小児の近視進行抑制治療)
当院では、少しでも近視の進行を抑制したいと希望される成長期の患者様に、低濃度アトロピン点眼液による治療を保険診療で行っています。
オルソケラトロジー治療との併用も可能です。
このような方にお進めです
- 近視が進んで視力が下がってきているお子様(6〜15歳くらいの方)
- 軽度または中程度の近視の方(〜-6.0D)
治療方法
- 1日1回、寝る前に1滴点眼してください。
低濃度アトロピン点眼液(容器代として)1本100円(税込)
低濃度アトロピン点眼治療とは
1%アトロピン点眼液は、ピント合わせを行う毛様体の動きを麻痺させて、瞳を大きく広げる作用があり、斜視や弱視の診断にも使うお薬です。以前から、この目薬は近視の進行を抑える作用がある、と知られていました。しかし、瞳が開くとまぶしかったり、近くを見るとぼやけたりして、治療として長期使用することはできませんでした。
2012年、シンガポールの研究で、100倍に薄めても効果があったと報告されました。その後、2016年に日本で行われた研究でも効果が確認されています。副作用はほとんどなく、点眼を行わない場合に比べて平均50%の近視進行抑制効果があると示されました。
成長期の近視を進行させる、眼軸長(目の奥行き)の伸長を遅らせることによって、近視の進行を抑制するといわれています。
注意点
- 開始前に、治療対象になるか検査、診察を行います。
- 近視進行のリスクがある成長期の間は、継続治療をお勧めいたします。
- 近視進行抑制を目的とした治療で、現在ある近視が治るわけではありません。
- 必ずしも効果が出るものではありません。
- 防腐剤無添加ですので、冷蔵庫に保管し、開封したら2週間で破棄してください。
- 少し瞳が大きくなり、まぶしさを感じる可能性があります。
- 充血などのアレルギー症状、まぶしさ、手元の見づらさなどの不快症状があれば点眼を中止し、受診してください。
治療効果を高めるために
- 屋外活動の励行、近業作業の短縮など、日常生活での予防も心掛けましょう。
- 日本で行われた研究で、※オルソケラトロジー治療との併用療法が、近視進行抑制に相乗効果があるとの報告があります。
オルソケラトロジーは、寝ている間に特殊な形のコンタクトレンズをつけて、日中の裸眼視力の改善をさせる近視矯正方法です。成長期のお子様の、近視進行抑制効果があるといわれており、当院でも行っております。