網膜動脈閉塞症とは
網膜を流れている血管のうち、動脈(心臓からでて網膜に血液を送る血管)が閉塞する(血管が詰まって血液が流れなくなる)病気です。
心筋梗塞や脳梗塞と同じ事が網膜で起こった状態と考えられます。動脈が閉塞すると、そこから先の血流が途絶えて網膜の細胞が速やかに死んでしまいます。その結果として閉塞部の網膜は光を感じることが出来なくなります。
閉塞する場所によって大きく以下のふたつに分けられます。
網膜動脈分枝閉塞症
枝分かれした先の網膜動脈の一部分が閉塞します。閉塞した動脈が循環している範囲の網膜が影響を受けます。
網膜中心動脈閉塞症
網膜に向かった動脈が枝分かれして網膜に拡がる部分より中枢側(心臓に近い側)で閉塞します。網膜全体が閉塞の影響を受けます。
一般には網膜動脈分枝閉塞症の場合はその部の視野欠損を、網膜中心動脈閉塞症の場合は視力低下や視野全体の見え方が低下します。発症するまで自覚症状は少なく、突然症状が出現するのが特徴です。
治療方法
この病気は眼科における救急疾患のひとつです。血流が途絶えた網膜は数時間でその働きを失うと言われているため、発症後すみやかな治療が必要です。
■血流を再開させる方法
- 眼球マッサージ
- ニトログリセリンなどの投与
- 血栓溶解剤の点滴注射
- 循環改善剤の投与
- 眼圧を下げる治療など
- 圧酸素療法や星状神経節ブロックなどの治療を行う施設もあります
この疾患は予後不良になる場合も多々ありますが、最終的にどの程度の視力まで改善するかは、発症時の血管の閉塞の程度や発症から治療開始までに要した時間が影響します。
“突然”目の前が真っ暗になって何も見えなくなったり、“急に”視野がかけたりした場合はすみやかに眼科医や主治医に相談してください。