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American Journal of Ophthalmology

2012
154巻

少量の複視に対する単眼視による矯正

American Journal of Ophthalmology 154巻(3号)2012

Monovision Correction for Small-Angle Diplopia
MATTHEW C. BUJAK et al (Toronto ,Ontario ,Canada)
Am J Ophthalmol 2012 ;154 :586-592
・成人の後天性の少量の両眼複視の治療において、単眼視による矯正の効果を量的に評価する。
・特徴的な複視の患者20名。全員3ヶ月以上続く10プリズム以下の複視患者は各眼の視力が0.5以上であり、プリズム眼鏡で満足の人は除いた。毎回測定したのは、遠見、近見視力、眼球運動、カバーテスト、チトマスステレオテスト。きき目のみ遠見視力を矯正する眼鏡かコンタクトレンズを装用、他眼には10名は+3.00D、10名は+2.50Dを加えた。このモノビジョン矯正後、最初の効果は複視の自覚の改善で、20名中17名(85%)で改善、2名(10%)で不変、1名(5%)で悪化した。次に7方向眼位、主観的なQOLが改善。
・複視の患者が両眼視をとり戻す方法は、プリズム眼鏡、斜視手術、外眼筋へのボツリヌス毒素の注射がある。第一の保存療法はプリズム眼鏡だが、8~10プリズム以上になると正面視でゆがみが発生するという限度がある。少量のずれに対する斜視手術は過矯正となる危険がある。手術もボツリヌス注射も侵襲的な治療法で、患者には低矯正、過矯正、感染、視力低下、麻酔に伴う危険などがある。
・片眼を遠方に、他眼を近方に焦点を合わせるモノビジョン矯正では複視の自覚を抑制し、良好な視野もあり、単眼の視力も維持し、周辺で立体視も得られた。利点として、高齢者が老眼鏡をかけなくて良い。患者のQOLも改善した。眼鏡と異なり屈折手術によるモノビジョンは元に戻すことが困難となる。(YM)

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