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American Journal of Ophthalmology

2013
156巻

1色覚患者の診断的眼底自発蛍光とOCT画像

American Journal of Ophthalmology 156巻(6号)2013

Diagnostic Fundus Autofluorescence Patterns in Achromatopsia
Abigail T Fahim et al (Michigan, USA)
Amer J Ophthalmol 156(6): 1211-1218, 2013

・1色覚:常染色体劣性遺伝の錐体異常 幼小児期より色覚異常、視力低下、羞明、眼振、ERGにて錐体機能の減弱あるいは消失
・10例の1色覚患者の矯正視力、眼底所見、ゴールドマン視野、full-field ERG、OCT、FAFを測定した
・4例のCNGA3 mutation患者と6例のCNGB3 mutation患者にERG,OCT,FAFを測定
・同一患者で進行する状態も測定
・視力:CNGA3患者 20/125~20/400, CNGB3患者 20/100~20/300 P-D-15は主にscotopic axisだが様々なパターンがあり、患者A1ではほぼ正常であった。共通所見は黄斑部の委縮、黄斑顆粒、網膜血管の狭細化であった。ffERGは全例非常に減弱 CNGA3 mutation患者はnonrecordableであった。患者B6ではわずかに検出できたb波が5年後にはNRとなった  患者B3は減弱したa波、b波が6年でNRとなった
・FAF:年齢が若い患者B1とA2では中心窩過蛍光がみられ、患者B2とB3では中心窩および傍中心窩の過蛍光(中心窩は傍中心窩と比べて弱い) 7カ月の子供では中心窩・傍中心窩過蛍光を認めた
・FAFの所見は年齢とOCTでの萎縮の進行と相関し、年齢が高い群のFAFでは中心窩はパンチアウト状に不連続な低蛍光となり、OCTのfoveal cavitationの範囲と一致した 
・同一患者で13歳、16歳、18歳時に撮影したOCTを比較してcavitationの進行を確認
・FAFで傍中心窩のリング状の過蛍光は多くの錐体ジストロフィーや錐体杆体の変性で認めるが、パンチアウト状の不連続な低蛍光は異なる。
・中心窩過蛍光はtypeⅡ macular telangiectasiasでも報告されているが発症年齢が遅く、眼底所見が異なり鑑別診断には挙がらない。
・シャープに断裂したパンチアウト状の低蛍光とその周りの過蛍光とOCTで網膜外層の空洞化が特徴的パターンと考えられる。
・CNGA3またはCNGB3 mutationによって視細胞の細胞質に異常たんぱくが蓄積し、それらが細胞タンパク分解経路を傷害、リポフスチンの蓄積をきたし自発蛍光が増加すると考えられる。
(過蛍光=RPEのリポフスチン>黄斑部のルテインやゼアキサンチンといった色素)
・OCTでの以上の前に中心窩過蛍光をとらえたことは、将来の遺伝子治療において早期治療につながる可能性がある(MM)

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