The influence of benign essential blepharospasm on dry eye disease and ocular inflammation
RONG LU et al. (China)
Am J Ophthalmol 157(3): 591-597, 2014
目的:ドライアイへの眼瞼けいれんの影響を研究するため臨床的特徴、涙液サイトカイン、良性眼瞼けいれんのあるドライアイ患者の治療に対する効果を分析する。
方法:眼瞼けいれん(BEB)のあるドライアイ患者(DED)40名とドライアイのみの患者40名、対照として異常の無い健常者40名。
サイトカイン分析の為に全員の涙液を採取。良性眼瞼けいれん患者はA型ボツリヌス神経毒素で治療。以下を測定。①質問票②BUT,シルマーテスト、フルオレセイン染色の臨床所見③結膜細胞学④複数サイトカイン免疫測定
結果:DED+BEB患者の特徴は、DEDのみや健常対照群とは異なった。涙液サイトカイン分析ではDED+BEB患者では腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン1β、6,2,17とVEGFレベルが上昇していた。治療に関してはA型ボツリヌス神経毒素注射はDED+BEB全患者に有効であった。更に、この群の患者では、注射加療後、質問票で自覚改善し、BUTも上昇した。
結論:DED+BEB患者では、BEBが炎症に影響しているかもしれない。A型ボツリヌス毒素注射がDED+BEB患者の症状を改善し、眼表面の状態を回復させる。3群(DED+BEB)は涙液サイトカイン分析により、2群(DEDのみ)よりも眼表面炎症が強いと思われる。また、A型ボツリヌス毒素注射後3群では自覚とBUTが改善した。容量は5単位使用し全患者に十分な量であり、1週後に合併症は無かった。注射後シルマーテストと染色は改善無いもののBUTと自覚が改善した事から眼瞼けいれんはドライアイの一因と考えられ、これら患者の眼表面炎症に影響する。A型ボツリヌス毒素注射が有効である。(YM)