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American Journal of Ophthalmology

2014
158巻

刺青と関連するぶどう膜炎

American Journal of Ophthalmology 158巻(3号)2014

Tattoo-associated uveitis
Trucian A. Ostheimer et al. (Wilmer Eye Institute, Johns Hopkins University school of medicine)
Am J Ophthalmol 158(3): 637-643, 2014
・刺青と同時に発症のぶどう膜炎患者7名を、8か月経過観察した。1から20か月(平均9か月)経過観察し、眼内炎症の程度、眼合併症、視力、刺青皮膚の変化、生検結果を評価する。
・7名中5名には両眼に非肉芽腫性前部ぶどう膜炎を認めた。4名は慢性、1名は再発。
・残る2名には両眼の慢性肉芽腫性ぶどう膜炎があった。2名の患者で刺青の生検を施行したところ、刺青色素周囲の肉芽腫性炎症を認めた。
・眼内炎症に大して大量の経ロプレドニゾンで治療し、全患者で皮膚の変化は緩解した。
・5名はその後、刺青の隆起と硬化の再発と共に眼内炎症が再発した。
・この調査で、皮膚の刺青により免疫反応が起こり、眼炎症と刺青部皮膚の炎症を同時にきたしうると思われた。
・サルコイドーシス発症の誘因は不明だが、仮説として宿主が様々な環境要因にさらされた場合、マクロファージとCD4+Tリンパ球の活性化で免疫複合体が生じ、サイトカインの産生でTH1タイプ免疫反応が肉芽腫を形成する。
・サルコイドーシスは広く環境因子に対する免疫反応の最終結果と推測される。今回の症例は全例黒インクを使用していたが、黒インクはカーボンブラックやフェノールのような毒性、発ガン性因子を含む可能性がある。
・今回の症例では皮膚への刺青が同時に眼炎症の原因ともなったが、この経過は過敏反応の結果であるサルコイドーシスの場合と似ていると思われた。(YM)

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