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American Journal of Ophthalmology

2016
166巻

単発又は多発ポリープを持つポリープ状脈絡膜血管症でのラニビズマブ硝子体内注射の治療効果の違い

American Journal of Ophthalmology 166巻(6号)2016

 Distinct Responsiveness to Intravitreal Ranibizumab Therapy in Polypoidal Choroidal Vasculopathy With Single or Multiple Polyps
Misa Suzuki, et al. (慶応大学)
Am J Ophthalmol 2016(6);166:52–59.
目的:PCVを単発例と多発例に分けてラニビズマブ硝子体内注射(IVR)単独治療を施行し治療効果の違いを検討した。
対象と方法:12ヶ月以上経過観察できた単発例29眼(男性22眼、女性7眼)、多発例19眼(男性12眼、女性7眼)。
ICGAとOCTでポリープが単発か多発かを判断した。
IVRは最初の3ヶ月は月1回。その後、OCTでME、SRF、PEDの増加を認めたら繰り返しIVRを施行した。(pro re nata)
多発例 2個4例、3個4例、4個3例、5個1例、6個3例、7個1例、12個1例。
経過中5例脱落した。(単発2例 通院なくなった、治療法変更、多発3例 治療法変更、硝子体出血)
IVR施行し2年以上経過してもBCVAが0.2 logMAR以上改善しなかった症例、眼底所見で悪化するか、新しい滲出性変化出現、CRT100μm以上増加した症例を反応不良例とした。
治療前、多発例の方がBCVA低く、GLD大きく、線維血管性色素上皮剝離を持つ症例が多かった。
結果:視力 1年以上視力維持または改善 単発 28/29例(96.6%)、多発 14/19例(73.7%)
      2年以上視力維持または改善 単発 25/27例(92.6%)、多発 13/16例(81.3%)
CRT 両グループとも治療後3ヶ月で減少し、その後維持していた。
  1年後単発 226.66±114.4μm(平均168.0±178.6μm減少)、多発 297.56±127.4μm(平均101.26±116.1μm減少)。
注射回数 単発 1年目 4.4±2.1回、2年目 1.7±2.0回  多発 1年目 6.0±2.5回、2年目 2.3±2.4回。
黄斑部がdryになるまでの注射回数 単発 3.3±1.4回、多発 4.9±3.3回。
反応不良例 視力で判定 単発 1例(3.4%)、多発 6例(31.6%)、眼底所見で判定 単発 0例(0%)、多発 5例(28.3%)。
結論: 単発例に比べ、多発例の方がIVRに対する反応不良例が多く、視力予後が悪かった。
PCVの症例でポリープの数が予後予測に役立つと思われる。(CH)

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