Evaluating Structural Progression of Retinitis Pigmentosa After Cataract Surgery
JOAQUIN O.DE ROJAS, et al. (NY,USA)
Am J Ophthalmol 2017(8);180: 117-123.
目的:白内障手術によってRPが進行するかどうか、ellipsoid zone (EZ)幅の損失率などを比較することによって検討した。
対象と方法:RP 70眼(白内障手術群19眼と非手術群51眼)を対象とした。平均経過観察期間768日。
遺伝形式は常染色体性劣性RP(ARRP)50眼、常染色体優性RP(ADRP)18眼、X連鎖性RP(XLRP) 2眼
EZの幅はSD-OCTで鼻側から耳側の水平ラインで測定した。
ベースライン時、ERMやCMEのパーセンテージ、ベースラインのEZ幅は群間で差がなかった。
結果:白内障手術群19眼の内、術後CMEが認められたのは6眼だったが、術後に増えたのは2眼だった。(表2)
視力は術前0.33±0.20 logMARから術後最終視力0.19±0.17 logMARと改善した。後嚢破損、眼内レンズ偏位、眼内炎は認められなかった。
EZ幅の減少率は白内障手術群 -0.42μm/day、非手術群 -0.33μm/dayで有意差はなかった。
ベースラインのEZ幅が1000μm未満での「非常に重度のRP」眼では、ベースラインEZ幅1000μm以上の「重度のRP」眼と比較して減少率に有意差はなかった。(P = 0.36)。
ARRP群はAORP群より有意に早いRPの悪化を示した(P = 0.005)。(表3)
年齢、ベースラインEZ幅、遺伝様式、および白内障手術状態を含む多変量解析では、遺伝様式が進行速度と独立して関連していた(P =0.003)。白内障手術は、RPの進行と関連していなかった(P = 0.23)。
性別、ベースライン時のCME、ERM、PSCの存在もRPの進行と関連していなかった(P>0.05)。
結論: 白内障手術はRPの進行に影響しないと思われた。
白内障手術は、疾患の重症度に関係なく、RP患者において安全かつ有効であることを示唆している。(CH)