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American Journal of Ophthalmology

2019
198巻

水疱性角膜症の角膜厚と前房内サイトカイン濃度の関連

American Journal of Ophthalmology 198巻(2号)2019

Cytokine Levels in the Aqueous Humor Are Associated With Corneal Thickness in Eyes With Bullous Keratopathy
NATSUME SUZUKI, et al. (東京歯科大学)
Am J Ophthalmol 2019(2);198:174-180.
目的:水疱性角膜症(PBK)の重症度と前房水の炎症性サイトカインレベルの関連を調査した。
対象と方法:角膜移植を施行された偽水晶体性水疱性角膜症(PBK)62眼と、対照群(白内障手術施行例)33眼で、前眼部OCTによる角膜厚、角膜体積と前房水中のサイトカイン濃度の相関を検討した。
手術開始時に合計95眼の前房水サンプルを採取した。
結果:PBK眼は対照群に比べ、前房水中の炎症性蛋白質およびサイトカイン濃度が有意に高かった。PBK眼においてinterleukin(IL)-13およびsoluble intercellular adhesion molecule(sICAM)-1と角膜厚は正の相関を認めた。(図1)
PBK群のDescemet膜の電子顕微鏡像は、角膜内皮細胞の消失とDescemet膜コラーゲンの変性を示した。
結論:水疱性角膜症は単純な角膜内皮細胞減少と浮腫だけでなく、前房水中の炎症性サイトカインが上昇し、角膜内皮細胞のバリア機能破綻から高濃度炎症性サイトカインが角膜実質に浸潤、角膜実質への炎症細胞の遊走や変性、浮腫の増悪など、一連の変化が生じている可能性が示唆された。(CH)

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