Atalie C et al (USA)
Am J Ophthalmolo 209(1):141-150, 2020
・2007-2017年にDuke Glaucoma Serviceにて悪性緑内障(MG)と診断された55名64眼をレトロスペクティブに調査し、どのような因子が有効であるかを調査
・過去の手術内容と回数、MGの既往、緑内障病歴の有無、ある場合は緑内障の病型、レンズの状態、術前眼圧、点眼・内服状態、MGに対する治療内容、術後の前眼部所見、視力、眼圧を調査
・Anatomic resolution(AR) : 散瞳薬を用いずに中央、周辺部の前房が深くなった状態
・Complete resolution(CR) : anatomic resolutionに加えて、IOP<22mmHg
・およそ3/4の症例がACGであり、MGを生じた手術は緑内障手術であったが、2例はVitrectomy術後であった(1例はRD,もう1例は角膜移植+Tubeインプラント硝子体挿入)
・60.94%(n=39/64)は手術後30日以内にMGと診断
・1例を除くすべてで最初は保存治療(1例は術中診断のためその場でPPVを実施)
・YAGを含めた保存治療は12.5%(8/64)で有効だったが、87.5%(56/64)は手術治療が必要であった
・98.4%(63/64)で最終的にCRとなったが1例は眼球摘出となった
・Vitを行ってもMGを発症した症例があり、またVitを行っても追加手術が必要となる症例があった
・影響する因子
・3回未満の術前手術、3剤未満の術前点眼、30mmHg以下の術前眼圧の場合、VitrectomyがCRとなりやすかった
・レンズの状態、以前のYAG治療歴は有意差なし
・診断から30日以内のVitではCRとなりやすいようだが有意差は出なかった
・外来でのYAG治療、CAIの内服は有効
・Vitrectomy治療:30日以内の手術;視力改善は有意差ありだが、眼圧、点眼数は有意差なし(改善までの期間は有意差あり:後述)
・PPVでもCore Vitでも視力、眼圧、点眼数に有意差なし
・回復までの期間
・解剖学的構造(12.7±22.9週)、IOP(23.8±66.5週)、最終視力(28.8±45.8週) 有意差あり
・治療方法での差は無し
・術後炎症によるものや、前眼部の構造回復とTMの機能回復に差があるためか。
・クリニックでのHealonによる前房形成、YAGによる前部硝子体膜切除、点眼と散瞳薬に加えてCAIの内服はMGの回復を速めた
・CAI内服は房水産生とともに、硝子体腔の脱水効果によってMGに対して有効であったと考えられる
・前房形成は硝子体のレクトミーWindowへの嵌頓や浅前房によりTM閉塞し機能低下をきたすのを予防するためか?
・解剖学的構造は3剤未満の点眼群、CAIの内服が有意に短期間に改善した
・閉塞隅角緑内障はリスク高い
・レクトミー術後は構造、眼圧、視力ともに回復が遅い
・30日以内のVit:視力、眼圧、構造変化ともに有意に短縮したがCRへの影響は少ない(MM)