Clinicopathologic Correlations of Retrocorneal Membranes Associated With Endothelial Corneal Graft Failure
ANDREA NARANJO, et al. (FL USA)
Am J Ophthalmol 2021(2);222:24-33
・角膜後膜は、1901年Fuchsによって角膜移植(PKP)の合併症として最初に記述され、ブドウ膜炎に続発すると仮定されていた。その後の組織病理学的研究では、不全となったPKPの最大50%がデスメ膜の後ろに組織を持っており、ほとんどの場合、線維細胞性であることを示した。DSAEKおよびDMEKの角膜後膜についていくつかの研究が報告されている。これらの膜の臨床病理学的評価と特性評価を行って、それらの原因を特定する。
・2015年10月から2020年3月の間、DSAEK移植片不全になり、その原因が角膜後膜と診断された7人(男性3、女性4人)、平均年齢は70歳(55-85歳)。
・5人は原発性開放隅角緑内障(POAG)、1人は血管新生緑内障、1人は慢性閉塞隅角緑内障だった。すべての患者は緑内障チューブシャント手術の既往があった。
・DSAEK手術後0〜47か月の間に、さまざまな厚さの角膜後線維膜が観察され、増殖して最終的に移植片不全になった。
・移植片不全後、4人の患者が全層角膜移植を受け、3人が再DSAEKを受けた。膜は手術中に除去された。
・組織病理学的評価では、色素沈着した線維細胞組織が、全例でDSAEK移植片とその辺縁にそって認められた。膜はパンサイトケラチンに対して陰性だったので、上皮成分は含まれていなかった。線維芽細胞に分布するタンパク質(α-SMA、ビメンチン、CK7)、内皮から間葉への移行のマーカー(N-カドヘリン、ROCK1、RhoA)に対して陽性であることが示された。
・角膜後膜の増殖は、以前に緑内障ドレナージ装置の手術を受けた患者のDSAEK移植片不全と関連している可能性がある。今回の結果は、筋線維芽細胞の分化と上皮分化の欠如を示している。内皮から間葉への移行のマーカーの陽性は、内皮起源の可能性を示しており、将来の標的薬物療法の特徴となる可能性がある。(CH)