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American Journal of Ophthalmology

2022
242巻

角膜内皮移植術後の再移植の危険因子

American Journal of Ophthalmology 242巻(10号)2022

Risk Factors for Repeat Keratoplasty After Endothelial Keratoplasty
HYECK-SOO SON, et al. (MD USA)
Am J Ophthalmol 2022(10);242: 77-87.

・目的: 角膜内皮移植術(EK) 後の再手術の危険因子を評価すること。
・対象と方法:IRIS レジストリ (Intelligent Research in Sight) で2013 年から 2018 年の間にEKを受けた18歳以上の患者59,344人が特定され、そのうち 30,600眼(平均年齢72.8±10.5歳)が EK 手術基準を満たしていた。
・フックス角膜内皮変性症(FECD)が最も一般的な疾患(n=14,305; 46.8%) で、その他は水疱性角膜症(BK)、他の原因による角膜浮腫 (n=6714; 21.9%)、再移植 (n=2086; 6.8%) だった。最も多い合併疾患は緑内障 (n=6349; 20.7%)、その他黄斑変性症 (n=2955; 9.7%) 、糖尿病性網膜症 (n=1080; 3.5%)だった。
・結果:再移植の確率は、術後1 年目で8.7%、5 年で 17.4% だった。
・5 年後の移植片の生存率は FECDで 89.0% であったのに対し、BK 72.2%、以前の角膜移植片不全63.4%と低かった。
・最も多い合併症は前房内空気再注入だった。
・再移植の危険因子はBK およびその他の角膜浮腫 (HR 1.4 7.95% CI 1.33-1.61) 、以前の角膜移植片不全 (HR 2.07、95% CI 1.84-2.32)、黒人 (HR 1.25、95% CI 1.11-1.40)、喫煙(HR 1.16、95% CI 1.05-1.27)、保険加入者 (HR 1.29、95% CI 1.03-1.60)、術後の前房内空気再注入(HR 2.24、95% CI 2.05-2.45)、眼内炎 (HR 1.35、95% CI 1.05-1.75)、感染性角膜炎 (HR 1.60、95% CI 1.39-1.84)、嚢胞様黄斑浮腫 (HR 1.39、95% CI 1.21-1.59)、緑内障の既往(HR 1.24、95% CI 1.14-1.35)、移植前または同時の緑内障手術(HR 1.23、95% CI 1.11-1.36)、移植後の緑内障手術(HR 1.53、95% CI 1.39-1.69)だった。
・結論:水疱性角膜症、緑内障の病歴、緑内障手術、以前の角膜移植片不全、黒人、保険プラン、喫煙などが再移植に関連する危険因子として特定された。
・以前の研究で報告されていた性差(男性が多い)は認められなかった。
・4、1型糖尿病は2型糖尿病よりも角膜内皮細胞密度とパキメトリーに大きな影響を与える(CH)

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