Safety and Efficacy of Twice-Daily Pilocarpine HCl in Presbyopia
SHANE KANNARR, et al. (Kansas, USA)
Am J Ophthalmol 2023(9);253: 189–200.
・目的:老眼患者を対象に、ピロカルピン塩酸塩1.25%点眼液を1日2回(6時間間隔)、14日間両眼投与したときの安全性、有効性、薬物動態を対象と比較して評価する。
・対象と方法:日常生活に影響を及ぼす近見視力低下の訴えを有し、薄暗くても明るくても両眼近見視力が20/40~20/100である健康状態の良好な成人(40~55歳)を対象とした。ピロカルピン塩酸塩1.25%点眼液を1日2回投与群と非投与群に無作為に割り付けた(1:1)。主要エンドポイントは14日目2回目点眼の3時間後において、遠見視力をほぼ低下なしに、両眼近見視力が3 line以上改善とした。第2エンドポイントは遠見視力をほぼ低下なしに、両眼近見視力が2 line以上改善とした。
・ピロカルピンの血中レベルは、参加者の約 10% で評価された。
・結果:主要エンドポイントと第2エンドポイントを達成した参加者の割合は、対象よりも ピロカルピン投与群の方が統計的に有意に高く、群間差はそれぞれ 27.3% (P < .01) と 26.4% (P < .01)だった。
・最も一般的な副作用は頭痛で、投与群10 人 (8.8%) と 非投与群4 人(3.4%) で認めたれた。網膜剥離、硝子体剥離、網膜裂孔、硝子体黄斑牽引の報告はなかった。
・薬物動態は14日目の1日2回目の投与後、蓄積指数はC maxあたり1.11、AUC 0-tauあたり1.03であり、投与期間中の全身への影響は最小限であった。
・結論:ピロカルピンは2つのメカニズムで近見視力を増強する。(1)虹彩括約筋の収縮によるピンホール効果(2)毛様体筋の収縮に関与し、水晶体の中心がsteepになり、近方物体への焦点を改善する。
・ピロカルピン塩酸塩1.25%点眼液1日2回投与は、遠見視力を損なうことなく、近見視力の有意な改善を示した。 投与期間中、ピロカルピンの全身蓄積はほとんど認められなかった。(CH)