Correlation between anterior chamber angle status and limbal stem cell deficiency in primary angle-closure glaucoma.
Mao J et al(China)
Amer J Ophthalmol 262(6): 178-185, 2024
・前房角(ACA)の開放か閉塞状態と角膜輪部上皮幹細胞(LEBCs)の濃度との関連について、PACG患者29名54眼で検討し、54眼のCtrlと比較した。
・超音波生体顕微鏡UBMでのACA状態を計測し、共焦点顕微鏡でのLEBCs密度を4象限で評価した。
・UBMは仰臥位で、3、6、9、12時部位で測定し、虹彩周辺部が線維柱帯部に接触していれば隅角閉塞と判定した。
・PACG群の重症度は、ハンフリー視野計のMD値で判定した。初期はMD>―6dB、中期はMDが―6dB~―12dB、末期はMD<―12dB。
①PACG群での上下鼻耳側のLEBCsの平均密度は、Ctrl群より低かった。
②初期、中期、末期PACGでは、LEBCs密度は、隅角閉塞度に応じてCtrl群より少なかった(p<0.05)。
・初期、中期のPACGでは、開放隅角眼よりもLEBCs密度は少なかった(p<0.05)。
③比較分析では、初期のPACGではLEBCs密度は4象限で有意差があったが(p<0.05)、中期PACGでは3象限で有意差(p<0.05)、末期PACGでは2象限のみで有意差があった(p<0.05)。
・このことから、初期のPACGでは隅角閉塞がLEBCs密度に顕著に影響するが、末期では隅角閉塞と病勢の進行が関与していると考えられ、緑内障は角膜輪部の幹細胞密度の減少を伴いながら進行すると思われる。
・隅角閉塞は房水の流れを障害するだけでなく、LEBCs密度を下げ、輪部幹細胞不全(LSCD)を発症する要因になる。(TY)