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American Journal of Ophthalmology

2024
263巻

角膜移植片拒絶反応のリスクとワクチン接種

American Journal of Ophthalmology 263巻(7号)2024

Risk of Corneal Graft Rejection and Vaccination
: A Matched Case-Control Study From a United States Integrated Health Care System
JENNIFER H. KU, et al. (California,USA)
Am J Ophthalmol 2024(7);263: 133–140.
目的:大規模な統合医療システムであるKaiser Permanente Southern California(KPSC)の角膜移植レシピエントの大規模集団を用いて、角膜移植片拒絶反応のリスク上昇とワクチン接種との関連を評価した。
KPSCは、南カリフォルニアの住民を代表する約490万人の会員に包括的な医療サービスを提供する統合医療機関である。
対象と方法:2008年1月から2022年8月までに角膜移植を受けた全年齢のKPSC会員。移植の方法には角膜内皮移植、全層角膜移植、深部層状角膜移植術が含まれる。
結果:2008 年 1 月から 2022 年 8 月の間に角膜移植を受けた患者で移植片拒絶反応を経験した601名(症例群)、マッチングされた移植片拒絶反応がなかった1803 名(対照群)。平均年齢 66 歳 [標準偏差 17.0]、女性 52%、非ヒスパニック系白人 47%)。症例群では全層角膜移植術(n=282、46.9%)が最も多く、次いで角膜内皮移植術(n=242、40.3%)、対照群では角膜内皮移植術46.0%(n = 830、46.0%)、全層角膜移植術40.9%(n = 737、40.9%)を受けていた。
症例群 23% と対照群22% が1 回以上のワクチン接種を受けていた(症例群の拒絶反応発症の12 週間前までの期間)。症例と対照を比較した、ワクチン接種の調整オッズ比 (aOR) は 1.17 (95% CI: 0.91, 1.50]) だった。aOR は、1 回のワクチン接種で 1.09 (0.84, 1.43)、2 回1.53 (0.90, 2.61)、3 回1.79 (0.55, 5.57) だった。mRNA ワクチン(COVID-19)では 1.60 (0.81, 3.14)、アジュバント/高用量ワクチン(インフルエンザ、ヒトパピローマウイルス、肺炎球菌、B型肝炎など)では 1.19 (0.80, 1.78)だった。
ワクチン接種期間を8週間前とした結果も、これらの所見と一致していた。
結論: aORは、ワクチン接種回数の増加およびmRNAベースのワクチンに関連した角膜移植片拒絶反応のリスク増加の可能性を示唆した。
しかし、これらの増加は統計的に有意ではなかった。
ワクチン接種と移植片拒絶反応の関連性を示唆する証拠は見つからなかった。この調査結果は、移植片拒絶反応のリスクを大幅に高めることなく、角膜移植患者にワクチン接種することを支持する。(CH)

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