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American Journal of Ophthalmology

2023
256巻

Baerveldt緑内障インプラント手術後の前房平坦化について

American Journal of Ophthalmology 256巻(12号)2023

Risk Factors for Flat Anterior Chamber Requiring Intervention After Glaucoma Drainage Implant: A Retrospective Case-Controlled Study.
Sheheitli H, et al
Am J Ophthalmol. 256(12):39-45., 2023
目的は、合併症のないBaerveldt緑内障インプラント(BGI)手術後の90日間において、前房平坦化に関連するリスク要因を特定する。
方法:2011年2月1日から2019年1月1日までの間にAnne Bates Leach Eye HospitalでBGI手術を受けた42例を対象とし、各症例に対してマッチした84の対照を設定したレトロスペクティブな症例対照研究。
性別、診断、糖尿病、高血圧、術前および術後の緑内障治療薬、眼の状態、眼圧(IOP)などの変数が、多変量条件付きロジスティック回帰によって独立した予測因子のオッズ比(OR)が算出された。
結果:症例患者は女性である可能性が高く、チューブ開放時に経口炭酸脱水酵素阻害剤(CAI)の服用歴があることや、他の人種・民族 (not White, Black, Hispanic, or Asian)であること、偽性落屑の存在、ベースラインでのコリン作動薬(副交感神経作動薬:アトロピン)の不使用、原発開放隅角緑内障である可能性が低いことが示された。
さらに、症例患者の平均年齢は高く、チューブ開放時期は早く、チューブ開放後のIOPは低い一方で、開放前のIOPは高いことが観察された。
特に独立した予測因子としては、高齢(10年ごとにOR=3.59、P<.0001)、チューブ開放時の経口CAI使用(OR=5.65、P=0.009)、チューブ開放前の高IOP(3 mm HgごとにOR=1.30、P=0.018)が特定された。
結論:平坦前房のリスク因子は高齢、チューブ開放時の経口CAIの使用、及びチューブ開放前のIOPの上昇である。
このことから、チューブ開放前に経口CAIを中止するなど、急激なIOP低下を抑えることが推奨される。(KK)

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