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American Journal of Ophthalmology

2014
157巻

眼内レンズ支持部の位置が適切でない慢性偽水晶体眼炎症での超音波生体顕微鏡検査

American Journal of Ophthalmology 157巻 (4号) 2014

Ultrasound biomicroscopy in chronic pseudophakic ocular inflammation associated with misplaced intraocular lens haptics
BRENO R. LIMA et al.(OH USA)
Am J Ophthalmol  157(4): 813-817, 2014
臨床上眼内レンズ支持部の位置が適切でないと思われる偽水晶体眼患者20人に超音波生体顕微鏡検査を(UBM)施行。全例位置異常があり、その75%の片側支持部は虹彩内に埋まっていて、伸展した先が35%で毛様体に、10%は毛様体扁平部に届いていた。UBMで15%の症例に部分虹彩萎縮が、25%に部分的隅角閉塞がみられた。40%の患者でIOL交換を行った。残る60%は炎症があればステロイド点眼に加えて、又は調節麻痺点眼を処方し、継続する眼圧上昇又は緑内障のある場合は降眼圧薬を処方し、経過観察を続けた。
全例PEA術後に慢性の片眼性炎症、くり返す前房出血や硝子体出血、眼圧の上昇等がみられたが、白内障手術からUBMで診断がつくまでには1~288か月(平均59か月)かかった。IOL固定は毛様溝に10眼(50%)、嚢内に8眼(40%)、1眼は虹彩逢着後房レンズ、1眼は前房レンズであった。嚢内IOLはシングルピースアクリルIOLで毛様溝固定はマルチピースアクリルIOL。眼圧上昇の原因は虹彩色素の拡散による。
UBMはレンズ支持部に起因する病変の観察に有効である。(YM)

2014
157巻

SD-OCTにより明確となった硝子体黄斑牽引の自然緩解

American Journal of Ophthalmology 157巻 (4号) 2014

Spontaneous resolution of vitreomacular traction demonstrated by spectral-domain optical coherence tomography
GEORGE P. THEODOSSIADIS et al. (university of athens and Ophthalmological institute of athens, athens, Greece)
Am J Ophthalmol  157(4): 842-851, 2014
スペクトラルドメインOCTを用いて、突発性硝子体黄斑牽引(VMT)の自然経過を評価する。
突発性VMT46名46眼の自然経過で、自然緩解は12眼、VMTが残存するものが34眼。3か月毎SDOCTで定期検査し硝子体黄斑牽引、癒着(VMA)の鼻側と耳側の硝子体黄斑角度、VMAの水平径、黄斑厚、視力、視細胞層、外境界膜を記録した。自然緩解の12眼では硝子体癒着角度はVMA段階よりもVMT段階では、平均38度増加していた。VMTで残る34眼では、牽引の角度はわずかに1度であった。VMTの直径が400㎛以下に比し、400㎛を超える場合は緩解率は99%低下した。巾広のVMTは改善無く、V型VMTは80%が緩解した。
VMTの自然緩解は水平方向の癒着径が大きいと低い。中心窩への硝子体牽引の及ぼす力は硝子体黄斑角度が大きいほど強いと思われる。(YM)

2014
157巻

SD-OCTを用いて調べたVMTの自然寛解

American Journal of Ophthalmology 157巻 (4号) 2014

Spontaneous Resolution of Vitreomacular Traction Demonstrated by Spectral-Domain Optical Coherence Tomography
George P Theodossiadis et al (Greece)
Am J of Ophthalmol 157(4):842-851, 2014
・7251例でOCT撮影、221例で原発性のVMA、182例が3か月ごとの経過観察可能
・VMA 182例中35例はVMTを経由せずに寛解、69例がVMTに移行。
69例中12例が自然寛解 34例がVMTのまま変化なし
7例は硝子体手術、8例ERM、5例白内障手術、2例FTMH、1例LMH
・患者背景は有意差なし
・VMA stageでは接触角に差はない
VMT stageでは寛解群50.58±7.66°(鼻側)/51.25±2.99°(耳側)に対し
                             VMT群30.12±10.56°(鼻側)/32.00±10.09°(耳側)  (P=.001)
・水平癒着長191.67±122.17μm vs 659.12±171.05μm
・癒着のタイプ V-type 100% vs 9%のみV-type(残りは広範囲癒着タイプ)
・VMTが解除する予測因子:硝子体と網膜の接触角(大きいほど解除しやすい)と接触範囲(400μmより狭ければ解除しやすい) (MM)

2014
157巻

緑内障進行度についてのOCT判定

American Journal of Ophthalmology 157巻 (3号) 2014

A method toestimate the amount of neuroretinal rim tissue in glaucoma: comparison with current methods for measuring rim area.
Gardiner SK et al(NY USA)
Amer J Ophthalmol 157(3): 540-549, 2014
・初期の緑内障221例で、SD-OCTでブルッフ膜開口部(BMO)から内境界膜(ILM)までの距離を測定して求めた視神経乳頭のリム面積が網膜神経線維層RNFL厚みや視野のMD値と相関するかどうかを検討した。
・症例は初期から中期の緑内障、リスクの高い高眼圧症である。
・共焦点SLOでのリム面積も求めた。
・BMOからILM迄の水平距離を視神経乳頭円周上で7.5°間隔の24放射経線上で48本求め、リム面積を類推した。
・BMOからθ角度だけ上方に向いたILMまでの最少距離(minimum rim width:BMO-MRW)と最少リム面積(minimum rim area:BMO-MRA)も求め検討した。
・RNFL厚はCSLOで求めたリム面積よりも、BMO-MRA(r=0.676)、RMO-MRW(r=0.680)と有意に(p<0.001)よく相関していた。
・視野のMDについても、BMO-MRA(r=0.534)、RMO-MRW(r=0.546)と有意に(p<0.001)よく相関していた。
・MDとRNFL厚との相関はr=0.646であった(TY)

2014
157巻

緑内障進行度の左右差と睡眠時体位

American Journal of Ophthalmology 157巻 (3号) 2014

Relationship between preferred sleeping position and asymmetric visual field loss in open-angle glaucoma patients.
Kim KN et al(Korea)
Amer J Ophthalmol 157(3): 739-745, 2014
・両眼の視野のMDに2dB以上差のある患者について、睡眠時の臥位の嗜好が影響しているかどうかを検討した。
・全692例のうち、NTGでは309/510例(60.6%)、POAGでは121/182例(66.5%)で視野の左右差が2dB以上あった。
・基礎眼圧は視野の悪い方は16.7±5.4、良い方は16.0±4.4であった(p<0.001)。
・NTGでは100/309例(32.4%)が側臥位を嗜好し、そのうち66/100例(66.0%)が視野の悪い方を下にした側臥位であった(p=0.001)。
・POAGでは32/121例(26.4%)が側臥位を嗜好し、そのうち23/32例(71.9%)が視野の悪い方を下にした側臥位であった(p=0.013)。(TY)

2014
157巻

ドライアイと眼炎症への良性眼瞼けいれんの影響

American Journal of Ophthalmology 157巻 (3号) 2014

The influence of benign essential blepharospasm on dry eye disease and ocular inflammation
RONG LU et al. (China)
Am J Ophthalmol 157(3): 591-597, 2014
目的:ドライアイへの眼瞼けいれんの影響を研究するため臨床的特徴、涙液サイトカイン、良性眼瞼けいれんのあるドライアイ患者の治療に対する効果を分析する。
方法:眼瞼けいれん(BEB)のあるドライアイ患者(DED)40名とドライアイのみの患者40名、対照として異常の無い健常者40名。
サイトカイン分析の為に全員の涙液を採取。良性眼瞼けいれん患者はA型ボツリヌス神経毒素で治療。以下を測定。①質問票②BUT,シルマーテスト、フルオレセイン染色の臨床所見③結膜細胞学④複数サイトカイン免疫測定
結果:DED+BEB患者の特徴は、DEDのみや健常対照群とは異なった。涙液サイトカイン分析ではDED+BEB患者では腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン1β、6,2,17とVEGFレベルが上昇していた。治療に関してはA型ボツリヌス神経毒素注射はDED+BEB全患者に有効であった。更に、この群の患者では、注射加療後、質問票で自覚改善し、BUTも上昇した。
結論:DED+BEB患者では、BEBが炎症に影響しているかもしれない。A型ボツリヌス毒素注射がDED+BEB患者の症状を改善し、眼表面の状態を回復させる。3群(DED+BEB)は涙液サイトカイン分析により、2群(DEDのみ)よりも眼表面炎症が強いと思われる。また、A型ボツリヌス毒素注射後3群では自覚とBUTが改善した。容量は5単位使用し全患者に十分な量であり、1週後に合併症は無かった。注射後シルマーテストと染色は改善無いもののBUTと自覚が改善した事から眼瞼けいれんはドライアイの一因と考えられ、これら患者の眼表面炎症に影響する。A型ボツリヌス毒素注射が有効である。(YM)

2014
157巻

ぶどう膜炎での広範囲FAと9方向パノラマFAとの比較

American Journal of Ophthalmology 157巻 (3号) 2014

Comarison of wide-field fluorescein angiography and 9-field montage angiography in uveitis
BENJAMIN P. NICHOLSON et al. (USA)
Am J Ophthalmol  157(3): 673-677, 2014
31名52眼のぶどう膜炎患者でのFA漏出領域は9方向パノラマよりもオプトスで広かった。49眼中22眼では、少なくとも25%以上オプトスで多く漏出を認めた。2眼(4.1%)では少なくとも25%オプトスの方が少なかった。25眼(51%)ではほぼ同様であった。9方向パノラマで漏出が無かった2眼でもオプトスでは認めた。49眼中23眼では後極に漏出を認め、そのうちの17眼(73.9%)ではオプトスでより後極に認めた。1枚の200度オプトスFAでは通常FAの平均1.5倍の領域を確認できた。
ぶどう膜炎での血管の異常は通常の画角50度FAでは写らない網膜周辺部に起こりやすい。オプトス眼底カメラは一枚で画角200度を撮影でき、通常の30から50度に比し広い。基本的に眼底カメラとSLOでは光源と反射光を受ける方法が異なる。眼底カメラではレンズの周辺は眼底に光源を設定し、レンズ中心でカメラ内の反射光の焦点を合わせる。一方SLOでは細いレーザー光源がだ円の鏡で網膜上に焦点を合わせる。光源が細いので、より広い瞳孔で反射光を受け取る。ゆえにオプトスSLOは広角というだけでなく、質的に異なるFA像を作る。
明らかなFA漏出は9方向パノラマで4.8㎟に対しオプトスで22.5㎟と広く認められた(P<0.0001)。
オプトスで多く漏出を認める理由
撮影される範囲が広い
②撮影範囲内に漏出を認める感度がSLOの方が高い。背景螢光が減少するため小血管の漏出も確認しやすい。(YM)

2014
157巻

開放隅角緑内障患者において睡眼時に好む姿勢と非対称視野欠損との関係

American Journal of Ophthalmology 157巻 (3号) 2014

Relationship between preferred sleeping position and asymmetric visual field loss in opne-angle glaucoma patients
KYOUNG NAM KIM et al (Korea)
Am J Ophthalmol 157(3): 739-745, 2014
方法:両眼の正常眼圧又は高眼圧緑内障患者692名。各々に睡眼時に好む姿勢を聞き、両眼でMD(mean deviation)2dB以上差がある場合を非対称視野欠損とした。非対称視野欠損の患者の中で悪い目を下にする姿勢と良い目を下にする姿勢の数を比較した。
結果:全患者中NTG309名(60.6%)と高眼圧121名(66.5%)に非対称視野を認めた。NTG309名中100名(32.4%)は側臥位を好んだ。この中で66名(66%)は悪い目の方を下にしていた(P=0.001)。高眼圧121名中32名(26.4%)は側臥位を好み、そのうち23名(71.9%)が悪い目の方を下にしていた(P=0.013)。
結論:緑内障患者では睡眼時の姿勢は視野欠損に影響しうる。
座位や仰臥位に比べて側臥位では眼圧が上がり、特に下方にある眼の眼圧が高くなる。人は1日の1/3から1/4は眠っているため、側臥位は緑内障の進行に影響する。NTGでは良い目と悪い目の眼圧に差が無かったが、高眼圧緑内障では悪い目は明らかに良い目よりも眼圧が高かった。姿勢が眼圧に影響を及ぼす理由は、強膜上の静脈圧が上昇することが原因でそのため眼動脈圧も上昇する。もう一つの可能性は脈絡膜血管の容量増加によるぶどう膜強膜血流量の割合の変化と考えられる。(YM)

2014
157巻

BRVO患者にデキサメサゾン硝子体内移植と黄斑グリッドレーザーの複合治療

American Journal of Ophthalmology 157巻 (3号) 2014

Combination therapy with dexamethasone intravitreal implant and macular grid laser in patients with branch retinal vein occlusion
FRANCESCO PICHI et al. (Italy)
Am J Ophthalmol 157(3): 607-615, 2014
BRVOによる黄斑浮腫の患者にまずOzurdex(緩徐放出型デキサメサゾン)を硝子体内移植し1ヶ月後無作為に2群にわける。1群は毎月経過観察し黄斑浮腫の再発か視力低下で再びOzurdexを移植する。2群では6から8週の間に黄斑グリッドレーザー治療をし、その後は1群同様の経過観察とする。6ヶ月目でOzurdex移植回数は1群で25名中3名(12%)、2群で25名中0名(0%)であった。Ozurdex移植と黄斑部グリッドレーザー複合治療は相乗的にBCVAを改善させ、注射の間隔を長く出来る。
Ozurdexは黄斑厚を減少させ、急速に視力改善するが、3から6ヶ月では再投与が必要となる。これまでの報告では平均で1年に4.2回投与が必要であった。一方、黄斑グリッドレーザーは黄斑浮腫治療の王道であるが、浮腫が強い状態での光凝固は困難である場合があり、パワーを上げる合併症として瘢痕の拡大、網膜下線維化、外網膜層萎縮、脈絡膜新生血管が起こりうる。ゆえに副作用や注射回数を減らすために治療を合併し、その相乗効果を確認した。今回は浮腫の軽減にてレーザーは低いセッティング(パワー100mW、時間0.1ms、サイズ75㎛)で施行できた。(YM)

2014
157巻

ドライアイに対する温度感受性アテロコラーゲン涙点プラグの評価

American Journal of Ophthalmology 157巻 (2号) 2014

Evaluation of a Thermosensitive Atelocollagen Punctal Plug Treatment for Dry Eye Disease
Kojima T, Murat D, et al.(慶應大、東京歯大)
Am J Ophthalmol 157(2):311–317 , 2014
【目的】ドライアイに対する温度感受性アテロコラーゲン涙点プラグの効果を検証
【方法】in vitroでキープティア®を37,39,41,43℃に温め適切な温度と凝固までの時間を評価
ドライアイ患者を2群に分け、2つの方法でキープティア®を涙小管に挿入;①室温で15分間置いてから注入(14例27眼)、②41℃で8分間温めてから涙小管に挿入(preheating群、13例23眼)
プラグ注入1か月後にstrip meniscometry、染色、BUT、自覚症状スコアにて評価
【結果】in vitroの実験にて、41℃で8分間温めるのがゲルが固まるのには十分だと判明【Fig.1】
従来の注入方法ではフルオレセイン染色スコアが有意に改善した(3.5±2.3→2.5±0.9, P<0.05)
Preheating群ではフルオレセイン染色スコア(3.7±1.7→1.5±1.2)、strip meniscometry(0.6±0.7mm→1.1±0.3mm)、BUT(3.2±0.7秒→4.8±1.0秒)、visual analog scale スコア(6.6±1.5ポイント→4.1±0.9ポイント)のいずれもが有意に改善した(P<0.05)。【Fig.2】
【結論】温度感受性アテロコラーゲン涙点プラグはドライアイ患者に対して効果がある。Preheating法はその効果を増大させるのに有用であるようだ。(MK)

2014
157巻

EXPRESSとトラベクレクトミーの比較:無作為前向き比較

American Journal of Ophthalmology 157巻 (2号) 2014

Randomized, Prospective, Comparative Trial of EX-PRESS Glaucoma Filtration Device versus Trabeculectomy (XVT Study)
Peter Netland et al (VA USA)
Am J of Ophthalmol 157(2):433-440, 2014
・POAG(IOP≧18mmHg)に対してエクスプレスあるいはレクトミーを無作為に割り付け
・エクスプレス59眼、レクトミー61眼 術後2年間の結果
・術前の群間:有意差なし、結膜切開方法、縫合糸の数、術後眼圧、合併症、点眼数に有意差なし
IOP≦21mmHg:EXPRESS vs レクトミー 1年後 92% vs 92%、 2年後 86% vs 84%
IOP≦15mmHg:EXPRESS vs レクトミー 1年後 73% vs 70%、 2年後 58% vs 56%
・術後の視力回復までの期間:EXPRESS 0.7か月:レクトミー 2.2か月  有意差あり(MM)

2014
157巻

点眼にてコントロール中の開放隅角緑内障に対する、白内障手術の影響

American Journal of Ophthalmology 157巻 (1号) 2014

The Effect of Phacoemulsification on Intraocular Pressure in Medically Controlled Open-Angle Glaucoma Patients
Mark A. Slabaugh et al (WA USA)
Am J of Ophthalmol 157(1):26-31, 2014
・1997.1.1から2011.10.1に行われた、開放隅角緑内障患者に対する白内障手術
・除外:以前の緑内障手術、術前3か月以内の点眼の変更、術前少なくとも3回の眼圧測定ができていない、術後1年未満のフォロー、白内障手術時合併症、PE、pigment dispersion, Uveitis, Steroid-induced glaucoma、フォロー中に緑内障以外の手術・レーザー治療を受けたもの
・両眼患者は最初の一眼を対象とした
・強角膜切開あるいは角膜切開
・157眼を対象
・1例:術後2カ月でレクトミー
・術後眼圧は平均で 術後1年:-1.8±3.1mmHg減少
・眼圧下降薬数は変化なし 1.85±1.01剤 vs 1.92±1.07剤(p=.11) 
60例(38%)の症例で術後1年目に術前よりも眼圧コントロールが悪化 (約6割では低下)
37例:薬剤追加、1例:レーザー線維柱帯形成術、1例:レクトミー、21例:同じ点眼数だが眼圧上昇
術後点眼数が変化なかったものの中では、術前高眼圧、高齢者、前房深度の深さが術後の眼圧下降と相関あり(MM)

2014
157巻

中等度進行した視野障害におけるVFIの有用性

American Journal of Ophthalmology 157巻 (1号) 2014

Performance of the Visual Field Index in Glaucoma Patients With Moderately Advanced Visual Field Loss
Jun Mo Lee et al (CA USA)
Am J of Ophthalmol 157(1):39-43, 2014
MD値が-16dB~-24dBの範囲で変化した患者の連続視野でVFIとMD値の関係を調べる
-20dBをまたぐ際に計算式が変化する際の影響を調査する
148症例で-20dB付近の1286視野を調べ2群に分けた
A:-20dBよりも常によい、あるいは常に悪い連続視野
B:-20dBをまたぐ連続視野
MDの変化量(ΔMD)とVFIの変化量(ΔVFI)を計算

ΔVFI  A:4.17% B:15.8%  (P<.001)
ΔVFI/ΔMD A: 6.8%/dB B: 7.9%/dB (P=.042)
MDが-20dBより悪化すると、パターン偏差を用いた計算式からトータル偏差を用いた計算式に変更となるため、その場合のVFIは臨床で用いるには問題がある(MM)

2014
157巻

OCTを用いたERM眼での網膜層状構造のマーカーとしてのParallelismの評価

American Journal of Ophthalmology 157巻 (1号) 2014

Parallelism as a Novel Marker for Structural Integrity of Retinal Layers in Optical Coherence Tomographic Images in Eyes With Epiretinal Membrane
Akihito Uji et al (Japan)
Am J of Ophthalmol 157(1): 227-236, 2014
57例のERM患者と30例の正常者のOCTを撮影
スケルトン化して、隣接するピクセルを0,45,90,135度の4つの角度に分けて、その数をソフトウェアを用いてカウントして、以下のParallelism(0-1の数値)を算出
視力とゆがみとの相関を見た
Parallelism =(|n0-n90|)+(|n45-n135|)/(n0+n45+n90+n135) (MM)

2013
156巻

1色覚患者の診断的眼底自発蛍光とOCT画像

American Journal of Ophthalmology 156巻 (6号) 2013

Diagnostic Fundus Autofluorescence Patterns in Achromatopsia
Abigail T Fahim et al (Michigan, USA)
Amer J Ophthalmol 156(6): 1211-1218, 2013

・1色覚:常染色体劣性遺伝の錐体異常 幼小児期より色覚異常、視力低下、羞明、眼振、ERGにて錐体機能の減弱あるいは消失
・10例の1色覚患者の矯正視力、眼底所見、ゴールドマン視野、full-field ERG、OCT、FAFを測定した
・4例のCNGA3 mutation患者と6例のCNGB3 mutation患者にERG,OCT,FAFを測定
・同一患者で進行する状態も測定
・視力:CNGA3患者 20/125~20/400, CNGB3患者 20/100~20/300 P-D-15は主にscotopic axisだが様々なパターンがあり、患者A1ではほぼ正常であった。共通所見は黄斑部の委縮、黄斑顆粒、網膜血管の狭細化であった。ffERGは全例非常に減弱 CNGA3 mutation患者はnonrecordableであった。患者B6ではわずかに検出できたb波が5年後にはNRとなった  患者B3は減弱したa波、b波が6年でNRとなった
・FAF:年齢が若い患者B1とA2では中心窩過蛍光がみられ、患者B2とB3では中心窩および傍中心窩の過蛍光(中心窩は傍中心窩と比べて弱い) 7カ月の子供では中心窩・傍中心窩過蛍光を認めた
・FAFの所見は年齢とOCTでの萎縮の進行と相関し、年齢が高い群のFAFでは中心窩はパンチアウト状に不連続な低蛍光となり、OCTのfoveal cavitationの範囲と一致した 
・同一患者で13歳、16歳、18歳時に撮影したOCTを比較してcavitationの進行を確認
・FAFで傍中心窩のリング状の過蛍光は多くの錐体ジストロフィーや錐体杆体の変性で認めるが、パンチアウト状の不連続な低蛍光は異なる。
・中心窩過蛍光はtypeⅡ macular telangiectasiasでも報告されているが発症年齢が遅く、眼底所見が異なり鑑別診断には挙がらない。
・シャープに断裂したパンチアウト状の低蛍光とその周りの過蛍光とOCTで網膜外層の空洞化が特徴的パターンと考えられる。
・CNGA3またはCNGB3 mutationによって視細胞の細胞質に異常たんぱくが蓄積し、それらが細胞タンパク分解経路を傷害、リポフスチンの蓄積をきたし自発蛍光が増加すると考えられる。
(過蛍光=RPEのリポフスチン>黄斑部のルテインやゼアキサンチンといった色素)
・OCTでの以上の前に中心窩過蛍光をとらえたことは、将来の遺伝子治療において早期治療につながる可能性がある(MM)

2013
156巻

初期から中期の緑内障患者において、ハンフリーフィールドアナライザーのVFIの正確性について検討

American Journal of Ophthalmology 156巻 (6号) 2013

Evaluating the Accuracy of the Visual Field Index for the Humphrey Visual Field Analyzer in Patients with Mild to Moderate Glaucoma
Renee Talbot et al (Australia)
Am J Ophthalmol 156(6):1272-1276, 2013

・834のカルテのうち、MD-20dB以上、連続11年以上毎年SITA30-2または24-2を行った患者をレビュー 42名61眼を対象とした
・初期の5年間をベースラインとした予測を、後半5年間の実測値と比較した。
・固視不良≧20%、FP≧15%、FN≧33%は信頼できない検査として除外 22眼
・VFIの計算式は非公開のため、1mm=1%となるようにヒストグラムを拡大して2回測定した。
・信頼できない検査の影響を見るため、除外したデータを再度含めて、信頼できる検査結果のみ(61眼)のデータと比較した
・レーザー線維柱帯形成術<LTP>(ALTorSLT)、レクトミーを行った患者も調査した
・病型はOHT 8人、 CACG 6人、 Secondary OAG 5人、NTG 1人、他POAG
・全体でみると予測と実測の差は1.37%予測が悪かった(Overestimated)
・信頼できない検査を入れた計算結果では0.09%違うのみであった。P=0.71
・14例はLTPを10例はレクトミーを受け、4例はどちらも受けていた。この場合予測よりも実測の方が良いことが予想されるが、LTPを受けた群と受けていない群での予測の正確性の平均誤差は0.12%で差がなかった。手術治療を受けた群と受けていない群での差は4.52%と有意差があった(手術群の方が予測値よりも高いVFIであった)
・VFIが90%以上の群では90%より低い群と比べて、予測が高精度であった
(range 9.7% vs 34.3%)
・VFI:PSDの値をもとに中心視野に加重して計算を出しているが、MDが-20dBより悪いものについてはMDの値を採用している。 今回は対象が-20dB以上なので、PSDのみ
・進行した緑内障では予測精度が悪い
・検査の信頼度が低くても予測の値に影響がなかったが、今回は1患者1回のみ(多くても前半5年1回と後半5年の1回の合計2回のみ)であった。
・緑内障における視野障害進行はVFIモデルのように直線回帰できるものではなく、もっと複雑な回帰曲線があるかもしれないが、現在のところ完全な予測方法はなく、患者のadherenceや通院状況、検査の出来など複雑な要因があり、標準化できるものではない。しかしVFIが90%以上の患者においては、現状の把握と経年変化を把握するのに有用なツールと考えられる。(MM)

2013
156巻

トラベクトームの手術適応

American Journal of Ophthalmology 156巻 (5号) 2013

Clinical results of ab interno trabeculotomy using the trabectome for open-angle glaucoma: the Mayo Clinic series in Rochester, Minnesota.
Ahuja A et al(MN USA)
Amer J Ophthalmol 156(5): 927-935, 2013
・OAGに対するトラベクトーム(ab interno trabeculotomy) の効果を2006.9ー2010.12に手術を行い、3ヶ月以上経過観察を行えた246例(トラベクトームのみの88例と、白内障同時手術の158例)で調査した。
・生命表分析でA区分(術後IOPが21以下 or 20%以上の眼圧低下を得た)、B区分(術後IOPが18以下+20%以上の眼圧低下を得た)、失敗(緑内障薬が増加か再手術が必要)とした。
・術前眼圧はトラベクトームのみは25.9±8.9mmHG、同時手術例は19.3±7.4であり、トラベクトームのみ群では、生命表解析で1年後と2年後の生存率はA区分では38.4%と36.2%、B区分では22.0%と20.0%、同時手術群ではA区分では77.4%と75.2%、B区分では31.9%と22.9%となった。
・再手術例は66例(26.8%)で、手術までの期間は平均10ヶ月(2日から3.2年)であった。
・目標眼圧を18mmHg以下にした場合、2年後の生存率は低くなるため、この手術は目標眼圧が21mmHgかそれ以上の場合に行うのが良い。(TY)

2013
156巻

全身麻酔下の小児の調節緊張度

American Journal of Ophthalmology 156巻 (5号) 2013

Accomodative Tone in Children Under General Anesthesia
Salchow DJ, et al.(Germany)
Am J Ophthalmol 156(5): 1034–1039, 2013
【目的】小児の調節緊張度に対する全身麻酔の影響を明らかにする
【対象と方法】全身麻酔を受ける予定の小児41例(0.8-11歳、平均3.7歳)。事前に外来で調節麻痺剤(シクロペントレート&トロピカミド)の点眼下に線状検影器を用いて調節麻痺下の屈折度を測定。その6か月以内に全身麻酔下で調節麻痺剤の点眼をしないで同様に屈折度を測定。
【結果】全身麻酔下でのレチノスコピーの屈折度は、調節麻酔剤の点眼下の屈折度よりも球面度数・等価球面度数ともに近視寄りの値を示した(ともにP<0.0001)。
乱視度数とその軸は良い整合性が得られた。
全身麻酔下と調節麻痺剤点眼下での差異の平均;球面度数で-0.98D(95%CI: -3.08D~+1.10D)、乱視度数で0.08D(95%CI: -0.67D~+0.82D)、等価球面度数で-0.94D(95%CI: -3.01D~+1.13D)
両測定値の差が1D以内に収まる割合;球面度数で25例(61%)、乱視度数はすべて、等価球面度数で28例(68.3%)であった。
【結論】全身麻酔で小児の調節緊張は減少するが、調節麻痺剤点眼下のそれと比べるとまだ有意差が残る。正確な屈折度数の測定が必要な場合は、全身麻酔下でも調節麻痺剤の併用が必要である。(MK)

2013
156巻

中心性網脈絡膜症と限局性脈絡膜窩

American Journal of Ophthalmology 156巻 (4号) 2013

Focal choroidal excavation in eyes with central serous chorioretinopathy.
Ellabban AA et al(京大)
Amer J Ophthalmol 156(4): 673-683, 2013
・116例の中心性網脈絡膜症CSCをOCTで調査し、9眼(7.8%)に限局性脈絡膜窩focal choroidal excavationが認められた。
・この内、5眼では異常な脈絡膜組織が脈絡膜窩の下にみられ、脈絡膜窩と脈絡膜の強膜側を繋いでいた。
・この5眼中3眼では、脈絡膜窩の下に上脈絡膜腔(強膜側)がみられ、あたかも、脈絡膜の外層がこの異常組織によって網膜側に引っ張られた様相を示していた。
・また、限局性脈絡膜窩は脈絡膜過蛍光を示す部位の中にみられた。
・限局性脈絡膜窩のある眼は、ない眼より近視気味であり、(-4.42±2.92D:-0.27±1.80D p=0.001)、中心窩の脈絡膜厚は有意に薄かった(301.3±60.1:376.6±104.8μm p=0.036)。
・これらのことから、この異常組織は脈絡膜結合織の限局性の瘢痕である可能性があると考えた(図)。(TY)

2013
156巻

脈絡膜厚とPCV活動性

American Journal of Ophthalmology 156巻 (3号) 2013

Choroidal thickness changes after intravitreal ranibizumab and photodynamic therapy in recurrent polypoidal choroidal vasculopathy.
Maruko I et al(福島医大)
Amer J Ophthalmol 156(3): 548-556, 2013
・27例27眼のPCVに対し、硝子体内ranibizumab注入とPDT治療の併用療法(PDT治療の1-2日前に0.5mg/0.05mlを注入)を行い、その後の中心窩下脈絡膜厚CTについて検討した。
・27例全例で3ヶ月以内にPCVは減退したが、10/27眼(37.0%)で3カ月以降に再治療が必要であった。
・再発例ではCTは、治療前の188±114μmが、3ヶ月後に157±93μmに減少したが(p<0.01)、再発後に179±94μmに増加した(治療前との比較p=0.54 平均8.0ヶ月)。
・非再発例では治療前の257±104μmが210±94μm(3ヶ月後 p<0.01)、212±106μm(1年後 p<0.01)と減少した。
・PDT後の脈絡膜厚はPCVの活動性を反映してるだろう(図)(TY)

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