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American Journal of Ophthalmology

2013
156巻

白内障手術後にERMは発生しやすいか

American Journal of Ophthalmology 156巻 (2号) 2013

Incidence and progression of epiretinal membranes in eyes after cataract surgery.
Fong CSU et al(Australia)
Amer J Ophthalmol 156(2): 312-318, 2013
・64歳以上の1932名の白内障手術患者で、超音波乳化吸引術後3年以内のERMの発生頻度を調査した。
・術眼は術前と術後1ヶ月、1年、2年、3年後の眼底カメラ画像でERMを判定した。
・ERMは初期像:セロファン反射、後期像は網膜前繊維増殖、網膜皺襞とした。
・ERMの判定は、発現:術前なかったものが発生、進展:初期像あるいは後期像の面積が25%を超えて増加、軽快:1)面積が25%減少、2)ERM消失、3)網膜前繊維増殖がセロファン反射に減退したものとした。
・発生率はBlue Mountains Eye Study(BMES)の5年間での発生率と比較した。
・術前と術後1ヶ月でデータの揃った1040眼では、ERMは術前で32眼(3.1%)、術後1ヶ月で154眼(14.8%)であった。
・この154眼のうち、134眼(87.0%)は術前にERMはなかった。
・術後1ヶ月目にERMがなかった1119眼で、ERM発生率は1年後5.0%(95%CI=3.9-6.5)、2年後9.0%(7.5-10.9)、3年後11.2%(9.4-13.4)であった。
・3年後の内訳は、セロファン反射7.0%(5.6-8.8)、網膜前繊維増殖4.4%(3.3-5.9)であった。
・年齢を合わせた検討では、手術群の3年目のERM発生率は12.1%(8.6-16.9)で、BMESの5年目の発生率4.4%(3.0-6.0)よりも高かった。(TY)

2013
156巻

黄斑円孔手術後の円孔非閉鎖例に対する液ガス置換の効果

American Journal of Ophthalmology 156巻 (2号) 2013

Outcomes of outpatient fluid-gas exchange for open macular hole after vitrectomy.
Rao X et al(Taiwan)
Amer J Ophthalmol 156(2): 326-333, 2013
・黄斑円孔硝子体手術後に円孔閉鎖が得られなかった36例に対する外来での液ガス置換について検討した。
・ガスは15%C3F8か、20%SF6を使用した。
・初回手術ではILM剥離は全例施行し、2回目のガス置換は27G針で4-8ml注入し、25G針で液排除を行い、全置換を行った。
・液ガス置換後、1-3週間で32眼(89%)では解剖学的に成功した(22眼でtype1閉鎖、10眼でtype2閉鎖、4眼で非閉鎖)。
・Type1閉鎖:組織欠損なく閉鎖。
・Type2閉鎖:円孔縁平坦でサイズ減少し組織欠損があるが閉鎖しているもの。
・BCVA(logMAR)はtype1では1.66±0.41→0.84±0.41(p<0.001)、type2では1.77±0.41→1.52±0.41(p=0.05)であった。
・液ガス置換後も非閉鎖であったものは全例、初回手術前にStageⅣの円孔で、円孔径が1000μmを越えたものだった。
・液ガス置換後に網膜剥離が2例に発生したが、手術により復位した。(TY)

ing:1<�;s� P� nguage: EN-US;mso-fareast-language:JA;mso-bidi-language:AR-SA’>年後11.2%(9.4-13.4)であった。
・3年後の内訳は、セロファン反射7.0%(5.6-8.8)、網膜前繊維増殖4.4%(3.3-5.9)であった。
・年齢を合わせた検討では、手術群の3年目のERM発生率は12.1%(8.6-16.9)で、BMESの5年目の発生率4.4%(3.0-6.0)よりも高かった。(TY)

2013
156巻

アバスチン、ルセンティスからアイリアへの治療変更の効果(1)

American Journal of Ophthalmology 156巻 (1号) 2013

Aflibercept therapy for exudative age-related macular degeneratinop resistant to bevacizumab and ranibizumab.
Bakall B et al(IA USA)
Amer J Ophthalmol 156(1): 15-22, 2013
・Ranibizumabあるいはbevacizumabに抵抗性のある滲出性AMDで、脈絡膜新生血管のある患者31名36眼(平均年齢79歳 60-88歳)に対し、aflibercept(アイリア)注射を最低3回、毎月投与した。
・それまでのRanあるいはBevの投与回数は6-74回であった。
・Aflの3回の投与後、網膜下あるいは網膜内滲出液は18/36(50.0%)で減少し、15/36(41.7%)で不変、3/36(8.3%)で悪化した。
・中心網膜厚は65μm減少(p<0.001)したが、視力には有意な変化はなかった。
・BevあるいはRanに抵抗性のある患者でAfl治療は有効であろう(TY)

2013
156巻

アバスチン、ルセンティスからアイリアへの治療変更の効果(2)

American Journal of Ophthalmology 156巻 (1号) 2013

Short-term outcomes of aflibercept for neovascular age-related macular degeneration in eyes previously treated with other vascular endothelial growth factor inhibitors.
Ho VY et al(GA USA)
Amer J Ophthalmol 156(1): 23-28, 2013
・以前にbevacizumab, ranibizumab あるいは両者で治療を受けていたAMD患者85例96眼に対し、毎月3ヶ月間aflibercept治療を行い、その2ヶ月以内に4回目の注射を行った患者の経過をみた。
・Baselineでは82/96(85%)では平均17回の抗VEGF注射を受けても活動性の滲出がみられたが、4±1ヶ月後には82/96(85%)で視力が1ライン以内に落ち着いており、7/96(7%)で2ライン以上改善、7/96(7%)で2ライン以上低下した。
・平均中心窩厚は-18μm(-242~+198μm)減少(p=0.06)、平均黄斑容積は-0.27mm3(95%CI=-0.4~-0.1 p=0.04)減少した。
・定性的な解析では4/96(5%)で完全緩解、40/96(49%)で部分緩解、26/96(32%)で不変、12/96(14%)で悪化した。Afl治療は有効であった。(TY)

2013
156巻

アバスチン、ルセンティスからアイリアへの治療変更の効果(3)

American Journal of Ophthalmology 156巻 (1号) 2013

Conversion to aflibercept for chronic refractory or recurrent neovascular age-related macular degeneration.
Yonekawa Y et al(MA USA)
Amer J Ophthalmol 156(1): 29-35, 2013
・94例102眼の、Bevacizumabあるいはranibizumab治療に抵抗性(毎月注射しても滲出が残る68眼)あるいは再発性(滲出は減るが頻回注射が必要な34眼)の新生血管AMDに対し、afliberceptに変更した症例について検討した。
・BevあるいはRanは平均20.4回注射されており、Aflは平均3.8回注射し、平均経過観察期間は18週である。
・視力変化は有意差がなかったが、抵抗性群ではCMTはAflを1回注射後も、最終注射後も有意に改善していた(いずれもp<0.001)。
・第1回注射後、網膜内浮腫も、網膜下浮腫も有意に改善した(いずれもp<0.001)。
・また、平均注射間隔は5.2→6.2週に延びた(p=0.03)。再発群でもCMTはAflを1回注射後も、最終注射後も有意に改善していた(いずれもp<0.001)。
・第1回注射後、網膜内浮腫も、網膜下浮腫も有意に改善した(p<0.003 p=0.046)。
・また、平均注射間隔は7.2→9.5週に延びた(p=0.001)。Aflへの変更は有効であった。(TY)

2013
156巻

ルセンティス治療後の黄斑下繊維増殖

American Journal of Ophthalmology 156巻 (1号) 2013

Subfoveal fibrosis in eyes with neovascular age-related macular degeneration treated with intravitreal ranibizumab.
Bloch SB et al(Denmark)
Amer J Ophthalmol 156(1): 116-124, 2013
・197例197眼の未治療のAMDによるCNV患者で、中心窩下に繊維増殖がない症例にranibizumab治療を行い、24ヶ月まで観察した。
・中心窩下の繊維増殖の発生率は、Predominantly classic CNVでは、minimally classicあるいはoccult CNVよりもHazard Ratioは5.95(95%CI=3.25-10.90)であったが、中心窩萎縮をともなった繊維増殖の発生率は、1.8年の経過観察では3.38倍(95%CI=1.47-7.81)であった。
・どんな繊維増殖でもそれが発生する率は、ETDRS視力が40以下の者では、70以上の者と比較して、3.38倍(95%CI=1.10-10.38)であった。
・CNVの発生から治療までの期間が15日以上経ったものでは、15日未満の者に比較して、繊維増殖の発生率は2.24倍(95%CI=1.28-3.94)であった。
・繊維増殖を来たしたものは有意に視力が不良であった。(TY)

2013
156巻

高度近視眼の黄斑円孔に対するILMフラップ反転法

American Journal of Ophthalmology 156巻 (1号) 2013

Efficacy of inverted internal limiting membrane flap technique for the treatment of macular hole in high myopia.
Kuriyama S et al(大津日赤)
Amer J Ophthalmol 156(1): 125-131, 2013
・眼軸長が26.5mm以上の高度近視眼で網膜剥離を伴った4眼と伴わない6眼の計10眼の黄斑円孔でinverted ILM flap法の効果を検討した。
・23Gの3ポート硝子体手術で、最初にPDVを発生させ、全例でtriamcinoloneを使用して残存皮質を除去し、Michalewskaらの方法に従ってinverted ILM flap法を行った。
・黄斑円孔周囲2DDまでICG染色したILMを円状に剥離し、円孔周囲のILMは残存させ、ILMを円孔の全周から掻把し、ILMを円孔上で反転させ、円孔を覆い、20%SF6ガス置換した。
・黄斑円孔はRD+の3/4眼、RD-の5/6眼で1回で閉鎖した。
・術後視力は5眼で2ライン以上改善、4眼で不変、1眼で悪化した。
・この方法は高度近視黄斑円孔眼では有効である。(TY)

2013
156巻

ドライアイが運転中の視機能に与える影響

American Journal of Ophthalmology 156巻 (1号) 2013

The Impact of Dry Eye Disease on Visual Performance While Driving
Deschamps N, Denoyer A, et al. (France)
Am J Ophthalmol  156 (1):184–189, 2013
・20名のドライアイ患者群、および性別と年齢とをマッチさせた20名の対照群
・ドライビングシュミレーターで運転能力を評価
・ターゲットを見失う率、および平均反応時間は、ドライアイ群が有意に多かった(p<0.01)
・交差点および遠回り(右折進入?)のような特殊なシチュエーションでドライアイ群の失敗が目立った【Fig.2】
・ドライアイ群において、反応時間と高次収差(p<0.01)およびOcular Surface Disease Indexの「徴候」のスコアとが有意に正の相関を示した。【Fig.3】
【結論】ドライアイによる眼の光学的な質の下落は運転中の視機能の障害に関連する。Tear filmに関連した収差の変化が日常生活の活動に影響を与えることが示された。(MK)

2013
155巻

SD-OCTにおける視神経乳頭ドルーゼンの形態学的特徴

American Journal of Ophthalmology 155巻 (6号) 2013

Morphologic characteristics of optic nerve head drusen on spectral-domain optical coherence tomography
Kyoung Min Lee et al (Seoul National University College of Medicine, Seoul, South Korea)
Am J Ophthalmol 155(6): 1139-1147, 2013
・視神経乳頭ドルーゼンのある61名の患者。44名(72%)女性。38名(62%)両眼。61名99眼のうち、3名4眼は眼底検査で診断できるvisible drusen(見える)、58名95眼はSD-OCTで診断できるburied drusen(隠された)。Buriedは外層網膜と網膜色素上皮、脈絡膜間に存在し、垂直断OCTで高さより大、中、小に更に分類した結果、小(<300㎛)30眼、中(300~500㎛)57眼、大(>500㎛)8眼。両眼にドルーゼンのある患者では、buriedかvisibleかは完全に一致したが、大きさは両眼同じではなかった。
・visibleの患者の年齢は、buriedよりも高齢(53.3±8.6才と13.5±7.1才 P<0.001)であり、視神経乳頭径は、より大きかった(1643±265㎛と1287±185㎛、P=0.016)visibleは、全例で乳頭全周に傍乳頭・網脈絡膜萎縮があり、内部に低反射の空間又は嚢胞を伴い石灰化を示す高反射の壁がある。上耳側、上鼻側の区域でRNFLが減少していた。
・大きな視神経乳頭ドルーゼンにみられたのは、小さい乳頭径、不均一な内部反射、境界が一部高反射、網膜内嚢胞、耳側網膜神経線維層厚の増加であった。
・視神経乳頭ドルーゼンは、患者の年齢と乳頭の大きさで異なるSD-OCT所見がみられる。
(YM)

2013
155巻

黄斑前膜手術前後の眼底自発蛍光の変化

American Journal of Ophthalmology 155巻 (6号) 2013

Displacement of the retina and its recovery after vitrectomy in idiopathic epiretinal membrane.
Nitta E et al(香川大)
Amer J Ophthalmol 155(6): 1014-1020, 2013
・ERM剥離硝子体手術を行った53例56眼で、眼底自発蛍光FAFを術前、術後1,3,6,12ヶ月で撮影し、網膜血管の手術後の移動について検討した。
・手術前には37/56(66.1%)に血管アーケード内に血管の偏位前の位置を示す過蛍光がみられた。
・黄斑前膜の持続期間が3年未満の症例で多かった。
・23/37(62.2%)で、この過蛍光線は手術1か月以内に消失しており、消失した例で1ヶ月後のlogMARが有意に良くなっており(p<0.05)、FAFは術後視力改善を予測する有益な検査になると考えた。(TY)

2013
155巻

結膜表層母斑に対するアルゴンレーザー光凝固

American Journal of Ophthalmology 155巻 (5号) 2013

Argon laser photocoagulation of superficial conjunctival nevus: results of a 3-year study
Kyung-Hoon Shin et al (Myongji Hospital, Korea)
Am J Ophthalmol 155(5): 823-828, 2013
・結膜母斑は表層母斑と深層血管性母斑に分類され、前者は平坦で褐色で周囲血管とは関連無く、嚢胞は含まない。後者は隆起しており、嚢胞を含む。栄養血管があり、結膜由来である。結膜母斑の除去は常に必要でないが、大きいとか場所によっては整容的に除去したい。除去は外科的かアルゴンレーザーによる。外科的切除では組織の欠損や血管新生が起こりうるため大きい表層の色素母斑には薦められない。
・レーザー治療の対象は①結膜表層母斑 ②強膜との癒着無し ③前5年間大きさ、色調に変化無し(悪性の除外) ④栄養血管なし ⑤母斑内に嚢胞なし ⑥角膜にかからない ⑦球結膜に存在
・2006年3月から2009年2月までに結膜表層母斑に対し、アルゴンレーザー光凝固を施行した230名。
レーザー光凝固手技:アルゴングリーンレーザー(波長514nm)、200㎛:0.1秒、300から340mW。術後綿棒で拭き取れば結膜組織より容易に除去できた。術後1週間はレボフロキサシン、0.1%フルオロメソロンを1日4回点眼。4×4㎜以内のものは1回で、それ以上の大きさのものは2週間の間隔をあけて2回以上施行した。1回で完全除去した症例は212眼(81%)。スポット総数は平均107.83。感染、角膜損傷等明瞭な合併症は無かった。
・結論として、アルゴンレーザー光凝固は良性の結膜表層色素沈着に対し安全で有効な治療である。外科的治療が困難な大きい結膜母斑に対しても有用である。(YM)

2013
155巻

ラニビズマブで治療した血管新生ARMD眼のスペクトラルドメインOCTでの予測

American Journal of Ophthalmology 155巻 (4号) 2013

Predictive value of spectral-domain optical coherence tomography features in assessment of visual prognosis in eyes with neovascular age-related macular degeneration treated with ranibizumab
Raeba Mathew et al (King’s College Hospital, London, United Kingdom)
Am J Ophthalmol 155(4); 720-726, 2013
・治療前のOCTの特徴により、血管新生ARMDをIVRで加療後12ヶ月の視力を予測できるかどうかを、加療を行なった94名100眼(平均年齢79.1±1.7才)で検討する。
・ellipsoid zone と中心窩下領域のELMが異常の無い事の2つのみが治療12ヶ月後の最終視力に良い影響を及ぼすが、形態学的な特徴では何も12ヶ月後を予測できなかった。
・網膜外層が無傷であることが血管新生ARMDに対するIVR治療後12ヶ月での最終視力を決定するのに非常に重要であり、治療に抵抗する症例に更にIVRを追加すべきかの決め手となる。(YM)

2013
155巻

ドライアイ治療のための2種類のシリコン涙点プラグの維持率と合併症の比較

American Journal of Ophthalmology 155巻 (4号) 2013

Comparison of Retention Rates and Complications of 2 Different Types of Silicon Lacrimal Punctal Plugs in the Treatment of Dry Eye Disease
Minako Kaido, et al. (慶応大)
Am J Ophthalmol 155(4): 155:648-653, 2013
・Punctal Plug FとSuper flex plugの維持率と合併症と涙点の大きさの関係について調べた。
中〜高年のドライアイ、シルマー試験5mm以下、BUT 5 sec以下、人工涙液を使っても症状改善しないもの
・グループA:Punctal Plug F:30人(男性4人、女性26人)平均年齢58.2±13.7歳
 グループB:Super flex plug:44人(男性10人、女性34人)平均年齢64.4±18.3歳
脱落は来院時自然に取れていた時、流涙または不快のためプラグをとった時とした。
重症ドライアイには上下涙点に、中等度ドライアイには上涙点のみにプラグを挿入した。
表1のようにAもBも110個ずつプラグを挿入した。涙点の大きさはAB間で相違なし。
プラグの維持率は6ヶ月後でA 57個(70.4%)、B 25個(30.1%)(表2)
6ヶ月での自然脱落率A 25.9%、B 63.9%
涙点の大きさでの比較:Aは涙点のサイズが大きくなると脱落が多い。Bでは差はなかった。(表3)
両グループとも涙点の上下では脱落率の相違はなかった。
A:プラグ維持した人の年齢 66.0±16.6歳、脱落した人の年齢 58.2±22.3歳
B:プラグ維持した人の年齢 53.1±14.8歳、脱落した人の年齢 62.8±11.1歳
年齢とプラグの脱落に関して、Bでは維持した患者より脱落した患者の年齢が際立って高かった。(P<0.05)
プラグ脱落後、再挿入時の涙点のサイズ 0.59±1.3mm→0.73±1.2mmときわだって拡大していた。
Super flex plugに比べ、Punctal Plug Fのほうが維持率がよかった。
短い維持期間の原因は自然脱落で、自然脱落はPunctal Plug Fでは大きい涙点で多い。しかし、Super flex plugでは涙点の大きさは関係なかった。
Punctal Plug Fは涙点の大きさが0.8より大きいと自然脱落レートは63.2%、0.8より小さいと11.3%だった。
・この結果から、Punctal Plug Fは0.8より小さい涙点に使用するのが良いと思われる。Punctal Plug Fはサイズが1つなので、よりいろいろなサイズがあると、一層維持率が上がるかもしれない。
自然脱落率と年齢の関係は、年齢が高くなるほど脱落率は高くなった。
これは、瞼のたるみや眼周囲の構造の変化が関係していると考えられた。
適切なプラグを選ぶためには、涙点のサイズと年齢は重要な要因である。(CH)

2013
155巻

高度近視眼での白内障手術後のIOL-後嚢接着

American Journal of Ophthalmology 155巻 (3号) 2013

Capsular adhesino to intraocular lens in highly myopic eyes evaluated in vivo using ultralong-scan-depth optical coherence tomography.
Zhao Y et al(China)
Amer J Ophthalmol 155(3): 484-491, 2013
・Ultralong-scan depth OCTで眼内レンズと嚢との接着を調べた。
・20眼は眼軸長26mmを越える高度近視で、20眼は眼軸長>22mm, <24.5mmの正視である。
・測定は術4時間後、1,7,14,28日後である。
・OCTは垂直解像度が7.5μm、空中で7.3mmまでの深度が測定でき、測定幅は8mmである。
・IOLと後嚢との完全な接着は、高度近視:正視眼で、4時間後0眼(0%):3眼(15%) p=0.23、1日目0(0%):6(30%) p=0.02、7日目1(5%):15(75%) <0.001、28日目4(20%):16(80%) p<0.001であり、高度近視眼では有意に遅れていた。
・IOLと後嚢との接着は眼軸長と逆相関していた(r=-0.494 p<0.001)。
・28日後の後発白内障の発症率は、高度近視眼で5/20眼、正視眼で1/20眼であった。

2013
155巻

コンタクトレンズ装用による重篤な輪部幹細胞欠損:臨床的特徴

American Journal of Ophthalmology 155巻 (3号) 2013

Severe limbal stem cell deficiency from contact lens wear: patient clinical features
Clara C. Chan et al (University of Cincinnati, Ohio, USA)
Am J Ophthalmol 155(3): 544-549, 2013
・12名18眼(平均年齢42才)8名(67%)は女性。平均装用期間は14.1年。6名(50%)は両眼。全例S.CLを使用。視力は平均20/78まで低下していた。15眼(83%)が羞明、痛み又はその両者を自覚。全眼で保存療法は奏功せず、14眼(78%)で免疫抑制剤使用のもと輪部幹細胞移植を施行した。(生体組織片4眼、死体組織片10眼)移植後平均26.4ヶ月で、86%(12/14眼)で症状が消退し、視力は20/30以上と改善し、炎症も無く角膜上皮も回復した。
・角膜輪部幹細胞は角膜上皮の維持のために必要で、結膜上皮が角膜表層に侵入するのを防ぐ。欠損した場合の症状としては、継続する上皮欠損、角膜瘢痕、慢性炎症、視力障害、慢性的な疼痛、羞明、角膜移植の不成功など。
・CL装用により、重篤な輪部幹細胞欠損がおこりうる。女性、ソフトコンタクトレンズ、10時間以上の長時間装用が危険因子。保存療法では改善せず、若く健康な患者であれば、免疫抑制剤を使用のもと輪部幹細胞移植が可能である。(YM)

2013
155巻

Dual-Blade Deviceを用いたMIGS

American Journal of Ophthalmology 155巻 (3号) 2013

Preclinical Investigation of Ab Interno Trabeculectomy Using a Novel Dual-Blade Device
MY Kahook et al (USA, CO)
Am J Ophthalmol 155(3) :524-529, 2013
Trabectomeのablationの代わりにknifeをつけたもの
MVR vs Trabectome vs Dual-Blade deviceで組織障害と切開後の還流圧をチェック
MVR:     170.0±14.1°/               18.5±1.9mmHg →12.8±2.2mmHg
Trabectome:               117.5±12.6°  /  18.8±1.7mmHg →11.3±1.0mmHg
Dual-Blade:               157.5±26.3°  /  18.3±3.0mmHg →11.1±2.2mmHg(MM)

2013
155巻

POAGにおける側臥位と仰臥位での眼圧変動

American Journal of Ophthalmology 155巻 (2号) 2013

The effect of lateral decubitus position on intraocular pressure in patients with untreated open-angle glaucoma.
Lee JY et al(Korea)
Amer J Ophthalmol 155(2): 329-335, 2013
・22例44眼の新規に診断された開放隅角緑内障眼で、仰臥位から側臥位に体位変換を行った場合の眼圧変動について検討した。
・測定はTono-Pen XLを用いて、座位→仰臥位→右側臥位→仰臥位→左側臥位→仰臥位に体位変換を行った10分後の眼圧を測定した。
・ハンフリー視野のMD値で、左右眼をMDが悪い方の眼とMDが良い方の眼として検討した。
・仰臥位から右側臥位になった時、右眼の眼圧は19.1±2.6→21.0±2.7(p=0.019)、左仰臥位になった時、左眼の眼圧は18.6±2.9→20.6±3.1(p=0.002)であり、下になった方の眼の眼圧は上の眼の眼圧と比較して、右側臥位では+1.2 SE±0.5(p=0.023)、左側臥位では+1.6 SE±0.5(p=0.004)と有意差があった。
・仰臥位から側臥位になった時の眼圧上昇はMDが良い眼(1.5±2.1)と比較してMDの悪い眼では、2.3±2.2mmHgと高い傾向があった(p=0.065)。(TY)

2013
155巻

硝子体-黄斑牽引症候群に対するC3F8硝子体注入による治療

American Journal of Ophthalmology 155巻 (2号) 2013

Intravitreal Injection of Expansile Perfluoropropane (C3F8) for the Treatment of Vitreomacular Traction
Rodrigues IA, Jackson TL, et al.(UK)
Am J Ophthalmol 155 (2):270–276, 2013
・硝子体-黄斑牽引(VMT)に対してC3F8の硝子体注入のみでの治療の効果を調査
・VMTが3か月以上持続した14例15眼、100%のC3F8を0.3mL硝子体注入、体位制限なし、398.7±174.4日追跡
・1か月後に6眼(40%)でVMTが解除、さらに3眼(20%)が6か月以内にVMT解除。4眼(27%)で解除されず硝子体手術を施行、残り2眼(13%)は手術を希望されず
・中心窩の形状は7眼(47%)で維持
・最終視力は0.03 logMAR unit 改善(p=0.536)、最大中心窩厚(MFT)は1か月後から有意に減少(p=0.041)【Tab.2】
・1か月後に解除される症例は、VMTの範囲が狭い(p=0.536)、硝子体界面の反射が低い、MFTが500μm未満、であった
【結論】持続する症候性VMTに対して、C3F8の硝子体注入は硝子体手術の代わりに侵襲が少ない治療として提案できる。SD-OCTにてVMTの範囲が狭い症例、硝子体界面の反射が狭い症例に限って効果があるようだが、更なる調査を要する。(MK)

2013
155巻

ポリープ状脈絡膜血管症に対する低照射エネルギー光線力学療法の2年の成績

American Journal of Ophthalmology 155巻 (1号) 2013

Two-Year Results of Reduced-Fluence Photodynamic Therapy for Polypoidal Choroidal Vasculopathy
Ayana Yamashita, at al (香川大)
Am J Ophthalmol 155(1): 96-102, 2013
・PCVに対するRF-PDTの有効性の長さを調査した。
・2007.7.1.~2009.6.30.の間に集められた、無治療のPCV患者38人38眼(男性34人、女性4人)、
平均年齢71.0歳(47~83歳)。
眼底検査とICGAで PCVと判定された。
すべての患者はRF-PDT前、RF-PDT後3ヶ月毎に経過観察をした。
RF-PDT終了は、FAで完全にleakが止まり、OCTで滲出性変化がなくなった時とした。
・視力RF-PDT前 0.43±0.28 、RF-PDT後3ヶ月0.32±0.32、6ヶ月0.30±0.31、12ヶ月0.28±0.32、
24ヶ月0.29±0.34
有意な変化は無かった。
さらに、RF-PDT前視力が20/40より良かった13眼はRF-PDT前0.18±0.07からRF-PDT後12ヶ月視力0.05±0.20に改善し、24ヶ月後まで維持した。
平均治療回数1.9回(1~4回)、38眼中19眼(50%)が24か月で1回だった。
RF-PDT後5眼(13%)でRF-PDT後3ヶ月以内で網膜下出血を認めたが、ひどいものではなかった。6ヶ月以内には完全に吸収し、3段階以上の視力低下はなかった。
全例でOCT でRF-PDTで治療した範囲のRPEに変化はなかった。
全身的な副作用はなかった。
・治療回数は抗VEGF治療に比べ、とても少なかった。
さらに、PCVに対するRF-PDTと抗VEGF治療の併用療法についての追加研究が必要である。(CH)

2012
154巻

角膜新生血管に対するbevacizumab点眼治療

American Journal of Ophthalmology 154巻 (6号) 2012

Short-term topical bevacizumab in the treatment of stable corneal neovascularization.
Cheng SF et al(MA USA)
Amer J Ophthalmol 154(6): 940-948, 2012
・安定した角膜新生血管に対するbevacizumab点眼の効果を20例20眼で検討した。
・1.0%bevacizumab点眼を1日2回(n=5)、4回(n=15)、3週間点眼し、24週間経過観察した。
・点眼中は涙点プラグを挿入しておいた。
・新生血管の改善は6週間でみられ(p=0.007)、血管径の縮小が12週目でみられた(p=0.006)。
・24週目では新生血管面積は47.5%減少(p<0.001)、血管径は36.2%減少(p=0.003)、血管侵入面積は20%減少(P=0.06)した。
・副作用はみられなかった

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