Postoperative complications in the Tube versus Trabeculectomy (TVT) Study during five years of follow-up.
Gedde SJ et al(CA USA)
Amer J Ophthalmol 153(5): 804-14, 2012
・Tube Versus Trabeculectomy (TVT) Studyでの107眼のTube(T)群と105眼の線維柱帯切除(L)群の5年後の術後合併症の報告。
・1か月以内の早期合併症はT群の22例(21%)、L群の39例(37%)に発生した(p=0.012)。
・1カ月以降の晩期合併症はT群の36例(34%)、L群の38例(36%)に発生し、合併症に対する再手術率はT群で20眼22%、L群で15例18%。
・有水晶体眼に対する白内障手術は、T群で13眼54%、L群で9眼43%で、いずれも、有意差はなかった。
・早期合併症はT群で多く、晩期合併症は両群間で有意差がない結果となった。
・ただし、合併症に対する再手術(T群20眼、L群15眼)の内容は、全層角膜移植T群6眼:L群0、硝子体手術T群6眼:L群0、濾泡再建T群0:L群5眼と差があった。
Treatment outcomes in the Tube Versus Trabeculectomy (TVT) Study after five years of follow-up.
Gedde SJ et al(CA USA)
Amer J Ophthalmol 153(5): 789-803, 2012
・Tube Versus Trabeculectomy (TVT) Studyの5年後の結果の報告。
・17施設で、18-85歳で、以前に線維柱帯切除術を受け、許容できる最大治療下での眼圧が18以上、40以下のコントロール不良例を対象として、Tubeシャント(350mm2 Baerveldtインプラント)あるいは、マイトマイシンCを使用した線維柱帯切除術を行った。
・手術失敗の基準は、追加治療を行っても眼圧が21mmHgを越えるか、眼圧が20%低下しないか、眼圧が5mmHg以下か、緑内障再手術を行ったか、光覚がなくなった場合とした。
・212例212眼を、107眼のTube(T)群と105眼の線維柱帯切除(L)群に分けて検討した。
・5年後の眼圧はT群14.4±6.9mmHg、L群12.6±5.9mmHgで有意差なし。
・緑内障点眼数もT群1.4±1.3、L群1.2±1.5で有意差なし。
・視力にも有意差なし。5年間の積算失敗率はT群29.8%、L群46.9%で有意差あり(HR=2.15 95%CI=1.30-3.56 p=0.002)。再手術率は、T群9%、L群29%で有意差あり(p=0.025)。
・この結果からは、Tubeの方が良好であった。
The effect of alpha antagonists on pupil dynamics: implications for the diagnosis of intraoperative floppy iris syndrome.
Theodossiadis PG et al(Greece)
Amer J Ophthalmol 153(4): 620-6, 2012
・α1受容体遮断剤の使用と瞳孔の動きを手持ちデジタル瞳孔計で測定した。
・15例のtamsulosin、25例のalfuzosin内服者と25名のコントロール者で検討。
・静止時の瞳孔径、収縮の潜時、速度、拡大速度を散瞳剤使用前後で測定した。
・散瞳検査は0.5%トロピカミドと10%フェニレフリン点眼30分後に検査した。
・散瞳前検査では、タムスロシン群では最大径が0.50±0.19mm(p=0.011)小さく、0.8秒の光刺激時の瞳孔径収縮量が5.23±2.42%(p=0.035)少なく、収縮速度は0.70±0.20m/s(p=0.01)遅かった。
・アフルゾシン群では最大径が0.49±0.17mm(p=0.005)少なく、収縮速度は0.54±0.18m/s(p=0.004)遅かった。
・散瞳後の最大瞳孔径はタムスロシン群で1.09±0.31mm(p=0.001)、最小径は0.89±0.36mm(p=0.016)小さかった。
The significance of cone outer segment tips as a prognostic factor in epiretinal membrane surgery.
Shimozono M et al(神戸市)
Amer J Ophthalmol 153(4): 698-704, 2012
・黄斑前膜ERM手術を受ける患者の視力予後をOCTで予測できるかを検討した。
・49例50眼のERM手術について、術前、術後1、6ヶ月で検討した。
・OCTでの中心窩厚CFT、外境界膜ELM、視細胞IS/OS、錐体外節チップCOST、最高視力を検討。
・ELM断裂は1例もなく、次の3群に分けられた。A群:IS/OS,COST連続している。B群:IS/OS連続し、COST断裂、C群:IS/OS,COSTとも断裂。
・6ヶ月後の視力はA群はB群より有意に良く(p<0.005)、C群では有意に悪かった(p=0.034)。
・IS/OSやCOSTの破綻径は視力と有意に相関していた。
・CFTと視力には相関がなかった。
Evolution of early changes at the vitreoretinal interface after cataract surgery detarmined by optical coherence tomography and ultrasonography.
Ivastinovic D et al(Austria)
Amer J Ophthalmol 153(4): 705-9, 2012
・OCTと超音波検査で、近視がなく、硝子体剥離が全くなく、白内障以外病変のない眼について白内障による後部硝子体剥離PVDの発生について、術後1,3ヶ月で検討した。
・眼軸が25mm以上の症例、合併症のあった症例は除外し、49例49眼について検討。
・軽度のPVDは1ヶ月後には29眼59.2%、3ヶ月後には35眼(71.4%)で発生し、PVDの度合いは期間と共に増大した。
・70歳以上では、92.3$%で何らかのPVDがあったが、70歳未満では47.8%であった(p=0.002)。
An outbreak of Streptococcus endhophthalmitis after intravitreal injection of Bevacizumab.
Goldberg RA et al(FL USA)
Amer J Ophthalmol 153(2): 204-8, 2012
・同じ調剤薬局で準備された硝子体内注入用bevacizumabの注射(2011/7/5~7/8)によって発生した12例について報告。
・注射後、1日から6日後に眼内炎を発症した。
・注射施設は南フロリダの4つの施設である。
・12名全員が硝子体液検査と注射を受け、8名が硝子体手術を受けた。
・10例で連鎖球菌が検出され、その薬局の使用していない7本のbevacizumab注射器からも同様の連鎖球菌が検出された。
・4ヶ月後の視力は1例を除き全員が指数弁以下で、3名は眼球内容除去あるいは眼球摘出となった。
Longitudinal study of macular folds by spectral-domain optical coherence tomography.
Wong R(UK)
Amer J Ophthalmol 153(1): 88-92, 2012
・裂孔原性網膜剥離に対して通常の3ポート硝子体手術を行った10例で、黄斑皺襞の経過を観察した。
・対象者の平均経過観察期間は9.9ヶ月(5-17ヶ月)
・網膜皺襞は、1)波紋状ripple, 2)メキシコ料理のタコス様taco, 3)転移displacementの3種が観察された。
・1)rippleと2)taco皺襞は、自然緩解した。
・これは、最初に網膜外層の高反射部位が消褪し、それに続いて網膜内層が平坦化していた
・displacement皺襞も緩解するが、黄斑部の下方への偏位を残し、両眼複視を発生させていた
The diversity of traction mechanisms in myopic traction maculopathy.
Vanderbeek BL et al(MI USA)
Amer J Ophthalmol 153(1): 93-102, 2012
・近視性黄斑牽引の要因についての見解がはっきりしていないため、硝子体手術時のガス注入の必要性やILM剥離の必要性についての議論がある。
・近視性黄斑牽引を発症するメカニズムについてOCTで検索し、6例6眼の硝子体手術例を対象として検討した。
・3眼は硝子体黄斑牽引を伴った傍中心窩PVD、2眼は内境界膜の異常、1眼は網膜上膜、1眼はPVD発症後の硝子体皮質残存であり、1眼は2つの要因を持っていた。
・手術は主要な要因の解除を目的に行われた。
・術後視力は全例で2段階以上改善し、黄斑厚は6例中5例で完全寛解、1例で部分寛解した。
・近視性黄斑牽引の要因を探り、その要因を取り除けば、硝子体手術は成功する。
・偽黄斑円孔様の外層の肥厚ではERM剥離+ガス注入。
・後部ぶどう腫を伴ったERM牽引と網膜分離症ではERM剥離のみで、ILM剥離はせず、ガス注入もしない。
・広範囲の薄い網膜前膜による網膜分離症ではケナコルトを使用してERM剥離をしっかり行い、ガス注入をする。
・PVDが発生している網膜分離症で、ERMがない症例では、ILM剥離+ガス注入。
・部分的PVDによる網膜牽引が強く、後部ぶどう腫内の網膜分離症のある症例では、硝子体皮質除去のみ行った。
・再手術ではILM剥離+ガス注入を行った。
A free retinal pigment epithelium-choroid graft in patients with exudative age-related macular degeneration: results up to 7 years.
Zeeburg EJTV et al(UK)
Amer J Ophthalmol 153(1): 120-7, 2012
・滲出性加齢黄斑変性症で、網膜色素上皮-脈絡膜移植を2001年6月から2006年2月までに受けた130例133眼について検討した。
・手術方法は、網膜下に液を注入して黄斑部網膜を剥離させ、耳側に作成した網膜切開部からCNVを除去した後、2x3mmの全層網膜(網膜+RPE+脈絡膜)を切り出し、網膜を剥離した後に黄斑下に移植した。
・パーフルオロカーボンで押さえてシリコンオイル置換し、3ヶ月後にSOを抜去した。
・全例がPDTの非適応あるいはPDT無反応者である。
・術前のBCVAは20/250であったが、手術4年後には15%はBCVAは0.1以上で、5%ではBCVAが0.5以上になった。
・1例は20/32(0.625)の視力が得られ、術後7年目まで維持できていた。
・合併症は増殖性脈絡網膜症が13例、再発性新生血管が13例、低眼圧が2例であった。
・通常治療ができないAMD患者には良い治療方法であろう。
Panretinal photocoagulation for proliferative diabetic retinopathy: pattern scan laser versus argon laser.
Chappellow AV, Kaiser PK et al(OH USA)
Amer J Ophthalmol 153(1): 137-42, 2012
・high-riskの増殖性糖尿病網膜症の連続する82眼(内41眼は2007/2以前にアルゴンレーザー光凝固、41眼は2007/2以降にPASCAL凝固)で、最低6カ月、経過観察した。
・凝固数はPASCAL:ARレーザー=1438:1386(p=0.59)であったが、PASCALでは初回治療の6ヶ月以内に新生血管の持続あるいは再発が多くみられた(73%:34% p<0.0008)。
・PASCALの効果は通常のARレーザーよりも弱いと考えらるので、PASCALを使用する時はパラメータを変えた方がいいと考えられた。
Prophylactic selective laser trabeculoplasty in the prevention of intraocular pressure elebvation after intravitreal triamcinolone acetonide injection.
Bozkurt E et al(Turkey)
Amer J Ophthalmol 152(6): 976-81, 2011
・基礎眼圧が21mmHg以上の31例の糖尿病黄斑症で、triamcinoloneの硝子体注射を予定している患者を対象として、15例15眼にSLTを行った。
・SLT群ではTA注入の8.2±4.1日前にSLTを行った。
・基礎眼圧はSLT群は21.6±0.9、コントロール群では21.5±0.8(p=0.98)。
・TA注入1日後の眼圧は、SLT群は17.0±2.0、コントロール群は19.5±4.3(p=0.23)。
・1週間後は、16.9±1.7:18.4±4.0(p=0.49)、1ヶ月後は、16.4±1.5:20.8±5.6(p=0.003)、3ヶ月後は、15.8±2.5:18.3±5.5(p=0.01)、6ヶ月後は、15.7±1.4:17.1±1.5(p=0.03)であった。
・経過観察中に緑内障点眼薬が必要になったものは、SLT群では0/15、コントロール群では8/16(p=0.001)であった。
・SLTは基礎眼圧の高い人には、TA注入後の眼圧を上昇させないために有効であった
The Association between glaucomatous and other causes of optic neuropathy and sleep apnea.
Stein JD et al(MI USA)
Amer J Ophthalmol 152(6): 989-98, 2011
・睡眠時無呼吸(SA)とPOAG、NTG、非動脈炎性虚血性視神経症(NAION)、鬱血乳頭、特発性頭蓋内圧亢進症(IIH)との関連があるかどうかと、持続陽圧治療の効果について検討した。
・Large US managed care networkに登録された2001~07年にかけての40歳以上の受給者記録を調査した。
・2,259,0561名の内、156,336名(6.9%)が睡眠時無呼吸の診断が付いていた。
・POAGやNTGの危険率は、睡眠時無呼吸(SA)と正常者の間に差がなかったが、陽圧治療を受けてないSAでは、NAION(HR=1.16 95%CI=1.01-1.33)、IIH(HR=2.03 95%CI=1.65-2.49)と危険率が上がっていた。
・陽圧治療を受けているSAでは、危険率は上がっていなかった(p>0.05)。
・無治療のSAはIIHやNAIONの危険率を上げていることが分かった。
Simultaneous topography-guided photorefractive keratectomy followed by corneal collagen cross-linking for keratoconus.
Kymionis GD et al(Greece)
Amer J Ophthalmol 152(5): 748-55, 2011
・26例31眼の進行性の円錐角膜に対し、角膜上皮剥離併用レーザー屈折矯正角膜切除(PRK)直後に、riboflavinと紫外線A照射による角膜collagen cross-linkingを行った症例の長期経過を検討した。
・経過観察は19.53±3.97ヶ月(12-25ヶ月)で、屈折度は術前の-2.3±2.8Dから-1.08±2.41Dに有意に減少した(p<0.001)。
・裸眼ならびに矯正のLogMAR値は0.46、0.084と有意に減少した(いずれもp<0.001)。
・PRKと角膜collagen cross-linkingの同時手術は円錐角膜に対して有望な治療である。
Elevatad intraoculr perssure in a common complication during active microbial keratitis.
Zarei-Ghanavati S et al(CA USA)
Amer J Ophthalmol 152(4): 575-81, 2011
・2003/1~2007/12に培養で証明された微生物角膜炎の184例につき、眼圧状態を検討した。
・微生物はグラム陽性細菌、陰性細菌、真菌、アカントアメーバ等である。
・高眼圧とは活動性の角膜炎の時期に22mmHg以上の眼圧であったものと定義した。
・高眼圧(22-51mmHg 平均29.1mmHg)は52/182(28%)でみられた。
・以前の眼手術(OR=2.8 p=0.013)、糖尿病(OR=3.33 p=0.011)、緑内障(p=0.02)、4.0mm以上の潰瘍径が眼圧上昇に相関があった(p<0.13)。
・潰瘍径3.9mm以下では OR=0.29 p=0.07、2mm未満では OR=0.20 p<0.001。微生物の種類は高眼圧には関連がなかった。
・外科的処置(角膜移植、被覆,掻把)が必要であったものは、高眼圧群では19/49(39%)、正常眼圧群では14/129(11%)であった(p<0.0001)。
・角膜潰瘍の治癒までの期間は高眼圧群(50.1±53.2日)では正常眼圧群(31.6±42.0日)より有意に長かった(p=0.005)。
・最終視力が0.5以上のものは、正常眼圧群(47%)は高眼圧群(20%)よりも有意に多かった(p<0.001)。
Vitrectomy timing for retained lens fragments after surgery for age-related cataracts: A systematic review and meta-analysis.
Vanner EA et al(NY USA)
Amer J Ophthalmol 152(3): 345-57, 2011
・白内障手術時に落下した水晶体片を硝子体手術で除去するタイミングについて、1985/1~2010/7の報告を調査した。
・10例以上の症例で3ヶ月以上経過を追ったもののmeta-analysisである。
・評価は視力、網膜剥離、眼圧上昇、眼内炎、CME、角膜浮腫である。
・257篇の内、27研究31論文を検討。早期硝子体手術はより良い結果が得られており、白内障手術から3日以上経ってから硝子体手術を行った例は、良い視力が得られない(視力0.5以下)のは OR=1.13(95%CI=1.04-1.22 p=0.005)、視力が悪い(視力0.1以下)のは OR=1.05(95%CI=1.01-1.09 p=0.009)。
・3日以上の硝子体手術では、硝子体手術前に網膜剥離の発生は OR=1.29(95%CI=1.01-1.65 p=0.038)、硝子体手術後の網膜剥離発生は OR=1.13(95%CI=1.02-1.26 p=0.024)。
・3日以上の硝子体手術では、眼圧上昇は OR=1.23(95%CI=1.07-1.41 p=0.003)。眼内感染か炎症は OR=1.20(95%CI=1.01-1.42 p=0.041)であった。
・CME、角膜浮腫は有意差がなかった
ntraocular oxygen distribution in advanced proliferative diabetic retinopathy.
Lange CAK et al(UK)
Amer J Ophthalmol 152(3): 406-12, 2011
・汎光凝固治療後に牽引性網膜剥離を発症した14例の進行性増殖性糖尿病網膜症で網膜前の酸素分布を調べ、硝子体内と血漿内のサイトカイン濃度と、眼内酸素圧との関連を調査し、14例の正常者と比較した。
・酸素圧は、硝子体中央部ではDM者では正常者より46%低下(DM=6.0±1.1:N=11.1±1.7mmHg p=0.017)、硝子体前部では47%低下(DM=5.6±1.0:N=10.7±1.8mmHg p=0.023)が、後極部網膜前では37%高かった(DM=15.4±2.6:N=9.8±0.6mmHg p=0.039)。
・また正常者では酸素圧は後極部網膜前と赤道部では差がなかったが(9.8 vs 8.7 p=0.39)、DM者では後極部網膜前では赤道部よりも47%高かった(15.4 vs 8.2 p=0.024)。
・硝子体内のIL-6など9種のサイトカイン濃度を調べた所、後極部網膜前の酸素圧は硝子体内のVEGF濃度と相関していた。この相関はDM+正常者でも(r=0.61 p=0.002)、DM者だけでも(r=0.56 p=0.07)みられた。
・ただ硝子体中央部の酸素圧とVEGF濃度との相関はなかった(r=0.33 p=0.35)。
Risk factors for development of choroidal detachment after scleral buckling procedure.
Auriol S et al(France)
Amer J Ophthalmol 152(3): 428-32, 2011
・強膜内陥手術を行った連続69例について検討した。
・15例で脈絡膜剥離CDを発生しており、このCD群では術中の収縮期血圧が高かった(127.3 vs 119.1mmHg p=0.008)。
・術中の最高収縮期血圧も高かった(149.3 vs 138.5mmHg p=0.019)。
・6D以上の高度近視はCD群は9/15(60%)、非CD群は15/54(28%)で有意差があった(p0.02)。
Long-term development of significant visual field defects in highly myopic eyes.
Ohno-Matui K et al(東京医科歯科大)
Amer J Ophthalmol 152(2): 256-65, 2011
・高度近視(-8Dを越える、あるいは眼軸長26.5mm以上)で5年以上経過をみた308例492眼のカルテを調べ、ゴールドマン視野結果を検討した。
・視野を100部位に分け、V4イソプターで10%以上の視野欠損がみられたものを有意な視野狭窄とし、経過観察中に10%以上の視野狭窄の進行があったものを有意な進行と定義した。
・後極部に高度近視性の眼底変化があり、それによる視野欠損のある症例は除外した。
・11.6±5.5年の経過観察中に新たに有意な視野欠損の発生したものは13.2%にみられた。
・高度近視眼で有意な視野欠損のみられる頻度は、円形乳頭(26/322 8.8%)よりも楕円形乳頭(垂直楕円 20/84 23.8%、斜楕円 19/78 24.4%)の方が有意に高かった。
・欠損部位別では、鼻側耳側の両方に欠損のある症例は円型乳頭 14/26 53.8%、垂直楕円乳頭 13/20 65.5%、斜楕円乳頭 10/19 52.6%であった。
・有意な視野欠損のあった症例で、10.2±3.4年の経過観察中に73.8%(48/65)で、有意な視野欠損の進行がみられた。
・視神経乳頭耳側縁の強膜曲率半径の急激な変化に伴った神経線維の進展あるいは彎曲だけが、この視野狭窄の進行に関連していた。
Photopigments in central serous chorioretinopathy.
Ojima A et al(福島医大)
Amer J Ophthalmol 151(6): 940-52, 2011
・中心性網脈絡膜症CSCの16眼で視色素の光学的濃度を調べるために自発蛍光のデンシトメトリーを行った。
・眼底自発蛍光FAFはHeidelberg Retinal Angiogram 2を用いて測定し、黄斑部内の分布差を調べ、OCT像と比較した。
・全例でCSCの網膜剥離部の自発蛍光の光学的濃度差は減少していた。
・網膜剥離吸収後も、濃度差の改善は見られなかったが、3か月後に再検した5眼中4眼で、OCT上、IS/OSラインは改善しており、この4眼中の2眼で濃度差は改善していた。
・このことから、CSCで低下した視細胞の光学濃度は、剥離が引いた直後には改善せず、ゆっくり改善すること、形態が戻っても濃度は改善しないことが分かった。
The tube versus trabeculectomy study: why its findings may not change clinical practice?
Caprioli J(CA USA)
Amer J Ophthalmol 151(5): 742-4, 2011
・Tube Versus Trabeculectomy (TVT) Study (AJO 143:9,2007)が3年間の術後経過についてなされた。
・眼圧21未満、5以上で20%以上の眼圧低下効果でみると、Tubeが有意に良かった(p=0.01)が、眼圧14未満でみると、両群間に有意差はなかった。
・ただこのStudyでは、Trabの合併症が多すぎるし、この解釈には問題がある。
1)より低い眼圧を求めた時にはTubeはTrabより良くない
2)全てのTubeが同じではなく、TVT StudyでのTrabの高い合併症は普遍的ではない
3)Tubeが動いてしまう問題は大きい
4)長期経過ではTubeの露出がもっとでるだろう
5)最初の手術としては検討していない
6)今回のTubeはBaervelds350で一般的でない、などである。