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American Journal of Ophthalmology

2010
149巻

網膜剥離に対する硝子体手術と強膜バックル手術

American Journal of Ophthalmology 149巻 (4号) 2010

Comparison of persistent submacular fluid in vitrectomy and scleral buckle surgery for macular-involving retinal detachment.
Kim YK et al(Korea)
Amer J Ophthalmol 149(4): 623-9, 2010
・最近発症した黄斑部を含む網膜剥離に対して、PPV(n=16)と強膜バックル(SB:n=45)の成功例を比較した。
・手術1か月後に黄斑下液(SMF)が残存していた例は、SBで55.6%、PPVで6.3%で有意にSBで多かった(p=0.06)。
・SB-SMF(+)群では、PPVやSB-SMF(-)群に比して、6か月後、12ヶ月後の術後視力が有意に悪かったが、最終視力(20±11カ月)には差がなかった。

2010
149巻

網膜剥離に対する硝子体手術後の視力とIS/OSライン

American Journal of Ophthalmology 149巻 (2号) 2010

Restoration of photoreceptor outer segment after vitrectomy for retinal detachment.
Shimada Y et al(群馬大)
Amer J Ophthalmol 149(2): 284-90, 2010
・黄斑剥離のあった裂孔原性網膜剥離20眼で、硝子体手術後1,2,6か月後のOCT、視力を検討。
・OCT像は、IS/OSラインの破壊、中心窩剥離残存、IS/OSラインの連続の3種類に分けた。
・6ヶ月目は総数が違っているが、IS/OSライン破壊は、1ヶ月目で11眼(55%)、3ヶ月目で8眼(40%)、6ヶ月目で3眼(17%)。
・中心窩剥離は、1ヶ月目で8眼(40%)、3ヶ月目で7眼(35%)、6ヶ月目で6眼(33%)。
・IS/OSラインの連続は1ヶ月目で1眼(5%)、3ヶ月目で5眼(25%)、6ヶ月目で9眼(50%)。
・1ヶ月目と6ヶ月目の視力は、IS/OSライン破壊例では0.26と0.16、中心窩剥離例では0.60と0.95、IS/OSライン連続例では0.8と0.95であり、IS/OSラインの断裂が有意に視力改善が悪かった(p<0.0001)

2009
148巻

白内障術後の黄斑浮腫とVEGF

American Journal of Ophthalmology 148巻 (6号) 2009

Aquous vascular endothelial growth factor as a predictor of macular thickening following cataract surgery in patients with diabetes mellitus.
Hartnett ME et al(NC USA)
Amer J Ophthalmol  148(6): 895  891, 2009
・糖尿病患者の超音波乳化吸引術後の血漿中、前房水中のVEGFと insulin-like growth factor 1 (IGF-1)の量と、OCTでの黄斑浮腫(centra subfieldの厚み:CSF)を測定した。
・網膜症のある人の前房内VEGFは術前から高かった。
・術前にCSMEのある人は網膜症もひどく、房水中のVEGFも高かった。
・術後1か月の前房内VEGFは、OCTでのCSFの11%以上の増加と優位に関連していた。

2009
148巻

抗VEGF治療の安全性は再検討すべきだ

American Journal of Ophthalmology 148巻 (3号) 2009

Age-related macular degeneration and cardiovascular disease in the era of anti-vascular endothelial growth factor therapies. (Editorials)
Wong TY(Australia)
Amer J Ophthalmol  148(3): 327  9, 2009
・AMDとCVD(cardiovascular disease)の関連について再検査することが大切だ。
・ここでは4つの質問をしてみた。
1、CVDはAMDの主たる危険因子か?AMDとCVDが同じような危険因子と病態 メ カ ニ ス ゙ ムを共有していることは確かである。
2、AMD患者はCVDになる危険性が高いか?殊に若いAMD患者はCVDの発症リスクが高いことは確かである。
3、AMD患者に対する抗VEGF治療はCVD発症リスクを高めるか?まだ不確定要素が多い。
4、抗VEGF治療は通常のAMD患者とCVDリスクファクターを持った患者とは別に管理すべきか?
・CVDのリスクが高い患者に対しての抗VEGF治療はmodifyすべきかどうかはまだ議論の余地がある

2009
148巻

テノン下に注入したケナコルトの全身への影響

American Journal of Ophthalmology 148巻 (3号) 2009

Systemic absorption of triamcinolone acetonide after posterior sub-tenon injection.
Rab AZU et al(India)
Amer J Ophthalmol  148(3): 414  9, 2009
・通常の水晶体水晶体嚢外摘出術後に40mgTAをテノン嚢下に注入した35眼で、注入後1, 2, 3, 24, 48時間後、1, 2, 6週後に血清TAレベルを測定した。
・1H:6.94±8.98ng/ml、2H:21.83±12.92、3H:47.17±12.20、24H:35.49±13.79、48H:10.46±10.69、1W:3.74±6.45、2W,6W:0であった

2009
148巻

LatanoprostとTimolol治療後の眼圧変動について

American Journal of Ophthalmology 148巻 (2号) 2009

Assessing the efficacy of latanoprost vs timolol using an alternate efficacy parameter: the intervisit intraocular pressure range.
Varma R et al(CA USA)
Amer J Ophthalmology 148(2): 221-6, 2009
・Latanoprost点眼1日1回群313眼とtimolol点眼1日2回群318眼とで、6ヶ月間の眼圧変動の差を検討した。
・3か所の施設で2重盲検で行った。
・治療前に測定した4回の眼圧の最高-最低値と、治療開始後18週目の午前8時頃の1回と、26週目の午前8時から午後17時までに測定した3回の眼圧の計4回の眼圧の最高-最低値の値を比較した。
・差が6mmHgを超えれば差が大きい、それ以下であれば小さいとした。
・治療前の眼圧差は両群間に有意差はなく、6mmHgを超えた者は22%と23%であったが、治療後は6%と11%になり、有意差があった(p=0.026)。
・Multivariate logistic regression解析では、治療後の眼圧に大きな変化のあった者の有意な危険因子は、術前の眼圧差が大きかったもの、timolol治療、黒人、診断後治療開始までの時間が長かったもの、術前の平均眼圧が高いもの、となった

2009
148巻

偽落屑症候群の発症率

American Journal of Ophthalmology 148巻 (2号) 2009

Pseudoexfoliation in the Reykjavik eye study: Five-year incidene and changes in related ophthalmologic variables.
Arnarsson A et al(Iceland)
Amer J Ophthalmology 148(2): 291-7, 2009
・1996年に50歳以上の白人1,045人で検査し、5年後の2001年にそのうち846名について調べた結果である。
・最初に偽落屑症候群PEXのあった眼と、初回 or 2001年に偽水晶体眼であった場合は発生率解析からは除外した。
・5年後にどちらかの目にPEXが発生した人は、50代3.7%、60代5.3%、70代6.5%、80以上25.0%で、合計は5.2%(37/712名, 95%CI=3.6-6.8%)であった

2009
147巻

睡眠時の呼吸障害は糖尿病網膜症を悪化させるか

American Journal of Ophthalmology 147巻 (6号) 2009

Relationship between diabetic retinopathy and sleep-disordered breathing.
Shiba T et al(東邦大)
Amer J Ophthalmol 147(6): 1017-21, 2009
・48例のNPDRと118例のPDRで手術を受けた症例について検討した。
・ ハ ゚ ル ス オ キ シ メ ー タを夜間睡眠中に装着し、睡眠時4% ODI(Oxygen desaturation index:4%を超える低酸素事象の1時間当たりの数)と、平均SpO2%を計算した。4% ODIが1時間当たり5回を超えた場合、睡眠障害呼吸(sleep-disorderd breathing: SDB)と診断した。
・NPDRの29%と、PDRの48%がSDBと診断され、SDBの発現と4%ODI/時間値は、PDRではNPDRよりも有意に高かった(p=0.003とp=0.03)。
・重回帰分析では、若年者程、4% ODI値が高いほど、PDRの診断に貢献していた。
・年齢:回帰係数 -0.34, t値 -4.44, p<0.0001、4% ODI:回帰係数 0.20、t値 2.15、p=0.03。
・このことから糖尿病患者では夜間のSDBにより引き起こされる、低酸素と回復の繰り返しがPDRへの進展と関連していると考えた

2009
147巻

長期にわたる黄斑前膜例の術後視力改善

American Journal of Ophthalmology 147巻 (5号) 2009

Subfoveal pigment changes in patients with longstanding epiretinal membranes.
Gomes NL et al(NY USA)
Amer J Ophthalmol 147(5): 865-8, 2009
・ERM手術を行った123症例を、術前に黄色のfoveal spotのある9例とないもの( コ ン ト ロ ー ル)112例の2群に分けて検討した。
・この9例は全例、OCTで網膜外層の乱れと自発蛍光の低下がみられた。
・自覚症状がでてから手術までの期間は、9例では53(12-120)ヵ月、 コ ン ト ロ ー ルでは10.7(1-42)ヵ月であった。
・視力は術前は 20/83.5(0.24) vs 20/59.7(0.34) p=0.041、術後1か月 20/64.8(0.31) vs 20/43.3(0.46) p=0.006、術後2カ月 20/50.3 vs 20/34.2 p=0.011であった。
・logMAR視力の改善でみると、yellow pucker群と コ ン ト ロ ー ル群とで1ヶ月目も3ヶ月目も有意差はなかった

2009
147巻

新生血管緑内障に対する線維柱帯手術効果の検討

American Journal of Ophthalmology 147巻 (5号) 2009

Trabeculectomy with mitomycin C for neovascular glaucoma: prognostic factors for surgical failure.
Takihara Y et al(熊本大)
Amer J Ophthalmol 147(5): 912-8, 2009
・新生血管緑内障に対する マ イ ト マ イ シ ンC併用線維柱帯切除術の経過について検討した。
・経過観察期間は平均29.3ヵ月(0.5-142.3ヵ月)。
・術後の成功率(TO<=21mmHg、視力は光覚弁以上、再手術不要)は1, 2, 5年後に62.6%, 58.2%, 51.7%であった。
・多変量解析で不成功の要因をみると、若年者(RR=0.96/年 p=0.0007)、硝子体手術の既往(RR-1.62 p=0.02)であった。
・硝子体手術既往者66眼のなかでは、増殖膜の残存 and/or RDの残存は RR=1.59 p=0.05。
・DM網膜症群では他眼もNVGであることが RR=1.73 p=0.003であった

2009
147巻

偽ドルーゼン所見を伴った強い黄斑委縮症の新しい病型

American Journal of Ophthalmology 147巻 (4号) 2009

Extensive macular atrophy with pseudodrusen-like appearance: a new clinical entity.
Hamel CP et al(France)
Amer J Ophthalmol 147(4): 609-20, 2009
・中年に発生する進行性の強い黄斑委縮で、ドルーゼン様の新しい疾患概念を報告する。
・40歳以上の黄斑変性で、偽ドルーゼン様の所見のあるものを検索したところ、45例のうち18例が検索された。
・両眼の多環性の境界明瞭な網脈絡膜萎縮で、耳側血管 ア ー ケ ー ト ゙まで続いており、中心窩を含んだ縦長病巣である。
・偽ドルーゼン所見は後極から周辺まで広くみられ、おおくは下方の極周辺部網膜に敷石状変性がみられる。
・AMDと違い、委縮の進行が早く、中心窩を早期に侵すため、強い視力障害を来し、ERGは減弱した。
・18例中2例を除き、経過観察中に視力0.05以下になったが、AMDと違い、脈絡膜新生血管は1例も見られなかった

2009
147巻

後部硝子体黄斑癒着が滲出性AMDの誘因になるか?

American Journal of Ophthalmology 147巻 (4号) 2009

Posterior vitreomacular adhesion and risk of exudative age-related macular degeneration: paired eye study.
Lee SJ et al(Korea)
Amer J Ophthalmol 147(4): 621-6, 2009
・AMDにおける脈絡膜新生血管(CNV)の リ ス ク フ ァ ク タ ーとしての後極部硝子体黄斑癒着を評価した。
・片眼性の滲出性AMDの連続する251例につき、OCTとFAGを検討した。
・OCTで後部硝子体線が内網膜面に接着している場合に硝子体黄斑癒着があると判断した。
・56例(22.3%)で後部硝子体黄斑癒着があり、そのうち3例では両眼に見られた。
・CNVは多くは硝子体黄斑癒着のある方の眼に存在し(44/53:83%)、硝子体黄斑癒着のない眼には殆どなかった(6/53:11.3% p=0.0007)。
・硝子体黄斑癒着の部位は全例(50/50)で滲出性眼のCNVの部位を含めて存在したことから、慢性の硝子体黄斑牽引が滲出性AMD発症の リ ス ク フ ァ ク タ ーであろう

2009
147巻

黄斑円孔手術後のOCTによるうつ伏せ期間の検討

American Journal of Ophthalmology 147巻 (3号) 2009

Posturing time after macular hole surgery modified by optical coherence tomography images: a pilot study.
Masuyama K et al(鹿児島大)
Amer J Ophthalmol 147(3): 481-8, 2009
・15例16眼の黄斑円孔硝子体手術で16%SF6 カ ゙ スを注入した例で、同意が得られたものでは術後3時間後に、その他の人では術翌日からFD-OCT検査を行った。
・OCTで円孔閉鎖が確認されたら、うつ伏せは中止したが、術後1週間はIOL偏位が起こらない様、仰臥位での就寝だけは避けてもらった。
・術翌日、16眼中13眼でFD-OCT検査が可能であり、10眼で閉鎖、3眼で開放していた。
・その翌日には2眼が閉鎖。
・ただ閉鎖が確実でなかった4眼では8日間うつ伏せを続行し、1ヶ月後には全例閉鎖。
・OCT所見は、7日目では9眼で神経網膜の橋形成、3眼で通常の閉鎖。
・1か月目では12眼が閉鎖、4眼が橋形成。7日目で橋形成の9眼中6眼は1か月目で閉鎖となった

2009
147巻

CirrusとStratus OCTの誤差

American Journal of Ophthalmology 147巻 (2号) 2009

Prospective comparison of Cirrus and Stratus optical coherence tomography for quantifying retina thickness.
Kiernan DF et al(IL USA)
Amer J Ophthalmol 147(2): 267-75, 2009
・Cirrus fourier-domain OCTと、Stratus time-domein OCTとで、網膜厚測定に差があるかどうかを60例120眼で検討した。
・Cirrus OCTでは全例で平均 43.2μm、Stratus OCTよりも有意に厚かった(p<0.0001)。
・これは、Cirrus OCTでは網膜色素上皮のouter bandを検出するのに対し、Stratus OCTではinner/outer segment photoreceptor junctionを検出することによるものである

2008
146巻

人工涙液と涙液量

American Journal of Ophthalmology 146巻 (6号) 2008

Effect of blinking on tear volume after instillation of midviscosity artifical tear.
Palakuru JR et al(FL USA)
Amer J Ophthalmol 146(6): 920-4, 2008
・瞬目が人工涙液使用後の眼表面の涙液量に影響を与えるかどうかをOCTで検査した。
・瞬目時の涙液 フ ィ ル ムと メ ニ ス カ ス量を正常者21名で測定。
・人工涙液1% メ チ ル セ ル ロ ー ス 35μL点眼直後と5分後で測定。
・点眼直後には涙液量は有意に増加したが、瞬目により下方涙液 メ ニ ス カ スの減少により全涙液量は減少(p<0.05)、涙液 フ ィ ル ム量は増加(p<0.05)。
・目を開いていると涙液 フ ィ ル ム量は減少し、下方 メ ニ ス カ スの涙液量は有意に増加(p<0.05)するため、総量としては変わらない。
・点眼直後には瞬目によって涙液 フ ィ ル ム量、下方 メ ニ ス カ ス涙液量、全涙液量は有意に減少した(p<0.05)。

2008
146巻

AMDと網膜静脈血管径

American Journal of Ophthalmology 146巻 (6号) 2008

Retinal vascular caliber and age-related macular degeneration: the Singapore Malay Eye Study.
Jeganathan VSE et al(Australia)
Amer J Ophthalmol 146(6): 954-9, 2008
・3280名の40‐80歳の シ ン カ ゙ ホ ゚ ー ルに住む マ レ ー人の眼底写真を撮影し、IVAN(USA)のソフトを使用して網膜血管径を計測した。
・AMDはWisconsin AMD Grading Systemで評価した。
・3,265名の テ ゙ ー タが解析可能で、早期AMDは4.9%(n=160人) 3.1%(n=205眼)、晩期AMDは0.7%(n=30) 0.5%(30眼)であった。
・年齢、網膜動脈径で補正すると、網膜静脈径が大きいほど早期AMDの有病率は高かった(OR=1.53 95%CI=1.13-2.09)。
・性、喫煙、高血圧、DM、BMIで補正しても有病率は高かった(OR=1.52 95%CI=1.11-2.09)。
・網膜動脈径と早期AMD、網膜静脈径や動脈径と晩期AMDの間にも関連はなかった。

2008
146巻

AMDと喫煙

American Journal of Ophthalmology 146巻 (6号) 2008

Smoking, cardiovascular risk factors, and age-related macular degeneration in Asians: The Singapore Malay Eye Study.
Cackett P et al(Singapore)
Amer J Ophthalmol 146(6): 960-7, 2008
・3,265人のうち、169人(5.2%)が早期AMD、21人(0.6%)が晩期AMDと診断された。
・年齢、性で補正すると、現在喫煙中の人は有意に晩期AMDが多かった(OR=3.79 95%CI=1.40-10.23)。
・この関係は週5箱以上の喫煙者ではより強かった(OR=9.35 95%CI=2.49-35.08)。

2008
146巻

拡大眼内レンズの長期経過

American Journal of Ophthalmology 146巻 (5号) 2008

Implantable telescope for end-stage age-related macular degeneration: long-term visual acuity and safety outcomes.
Hudson HL, IMT002 Study Group(USA)
Amer J Ophthalmol 146(5): 664-73, 2008
・28施設で、AMDに対して拡大眼内レンズ(3X, 2.2X)を移植した188例中174例の2年間の経過観察の報告。
・103/174(59.5%)でBCVAが3段階以上改善したが、他眼の コ ン ト ロ ー ル眼では 18/174(10.3%)が改善しただけであった(p<0.001)。
・角膜内皮密度ECDは 2.4%減少したが、術後半年以内の変化であった

2008
146巻

ハイドロビューIOLの混濁原因

American Journal of Ophthalmology 146巻 (3号) 2008

Opacification of hydrophyilic acrylic intraocular lens attributable to calcification: investigation on mechanism.
Gartaganis SP et al(Greece)
Amer J Ophthalmol 146(3): 395-403, 2008
・Hydrophilic acrylic IOLの後期混濁について検討した。
・IOL混濁によって、術後1年から12年後に摘出した30 IOL(Bausch & Lomb ハ イ ト ゙ ロ ヒ ゙ ュ ー24個、その他6個)。
・検査は走査電顕(SEM)、confocal 顕微鏡、x-ray回折 diffraction(XRD)、 フ ー リ エ変換した赤外光(FRIR)で行った。
・SEMでは、皿状(octacalcium phosphate OCP)あるいは フ ゚ リ ス ゙ ム状(hydroxyapatite HAP)の カ ル シ ウ ム リ ン酸結晶の小さな沈着物がIOLの表面や内部にみられた。
・前房水解析では、OCPやHAPに関連する物質で飽和していた。
・Hydrophilic acrylic IOL混濁はcalcium phosphate crystallitesの沈着によるもので、この中でHAPが主である。
・IOL混濁の原因は、前房がこのリン酸塩で飽和することで、この1因には嚢内皮質を綺麗にしなかったことも考えられる。

2008
146巻

レチノイン酸の網膜保護作用

American Journal of Ophthalmology 146巻 (3号) 2008

Effect of oral 13-cis-retinoic acid treatment on postoperative clinical outcome of eyes with proliferative vitreoretinopathy.
Chang YC et al(Taiwan)
Amer J Ophthalmol 146(3): 440-6, 2008
・術後の 13-cis-retinoic acid(RA)内服が増殖性硝子体網膜症に対して、 シ リ コ ン オ イ ルを使用した硝子体手術後の結果を改善させるかどうかを検討。
・裂孔原性網膜剥離でPVRを伴っていた35例35眼の内、16眼にRA 10mgを1日2回術後8週間摂取した群と、19眼の コ ン ト ロ ー ル眼とで比較。
・1年後の経過観察で剥離が消失したものは、RA群は15/16(93.8%)、 コ ン ト ロ ー ル群は12/19(63.2%)で有意差があった(p=0.47)。
・黄斑pucker形成は、RA群は18.8%、cont群は78.9%で有意差(p=0.001)。
・ レ チ ノ イ ン酸は in vitroで ヒ トRPE細胞の増殖を抑制することが分かっている。
・臨床的にもRAの内服は、尋常性座そうや頭や首の扁平上皮癌の治療に使用されている

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