Randomized controlled trial of intraocular lens orientation for dysphotopsia.
Pamulapati SV et al(IL USA)
Amer J Ophthalmol 243(11): 28-33, 2022
・IOLのoptic-haptic接合部の方向について、Positive とNegative dysphotopsia(PDとND)の発症頻度を163例326眼で調査した。
・使用したIOLはTecnis単焦点IOL(ZCB00)で、接合部を垂直82眼、水平72眼、上鼻側94眼、下鼻側78眼に挿入した。
・視野欠損のある患者や最高視力が20/80未満の患者は除外し、術後1週間と4-6週間後に調査した。
・術後1週目と4-6週目のdysphotopsiaの全体の頻度は、Positive Dが20.8%と20.8%、Negative Dが14.4%と10.4%であった。
・接合部の挿入方向別でみると、NDについては、上鼻側挿入群は1週(22.3%)、4-6週後(17.0%)のいずれでも発症率が高く、水平挿入群は1週(13.9%)であったが、4-6週では2.8%であり、有意に発症が少なかった。
・PDについては、有意差はみられなかった(TY)
Corneal stifness and modulus of normal-tension glaucoma in Chinese.
Xu Y et al(China)
Amer J Ophthalmol 242(10): 131-138, 2022
・正常眼圧緑内障(NTG)108眼、高眼圧の緑内障(HTG)113眼、正常者113眼で角膜の生体力学的解析を行ない、中心角膜厚(CCT)、視野、網膜神経線維層厚(RNFL厚)も同時に評価した。
・角膜解析は開発したCorneal indentation device(CID)とCorvis STを用いた。
・CIDは角膜に接触させた器具で、1mm間隔に角膜をindentして解析するものである。
・角膜硬はNTGでは71.0±10.9N/mで、HTGの77.3±15.6(p=0.001)、正常者の75.6±11.0(p=0.023)より有意に低かった。
・NTGでは角膜硬とCCTは正の相関がみられた(p=0.028)が、HTGでは相関がなかった(p=0.5)。(TY)
Retinal detachments associated with topical pilocarpine use for presbyopia.
Al-Khrsan H et al(FL USA)
Amer J Ophthalmol 242(10): 52-55, 2022
・老視に対してピロカルピン点眼を使用していた2例3眼の網膜剥離について検討した。
・第1例は47歳男性で、老眼に対して1.25%ピロカルピン点眼を両眼に使用し始めた3日後から閃光と飛蚊症が発生しており、1か月後に右眼の下耳側の網膜裂孔と網膜剥離が発見された。
・左眼も上方の網膜裂孔と網膜剥離が見つかった。
・第2例は46歳男性で、1.25%ピロカルピン点眼開始5週間後に左眼の視野欠損を自覚し上方の網膜剥離が見つかった。
・ピロカルピンは網膜剥離のリスクが高くなることが知られているので、老眼に対して処方する前にその旨を話をし、殊に近視がある人では散瞳検査をすべきである。(TY)
Risk Factors for Repeat Keratoplasty After Endothelial Keratoplasty
HYECK-SOO SON, et al. (MD USA)
Am J Ophthalmol 2022(10);242: 77-87.
・目的: 角膜内皮移植術(EK) 後の再手術の危険因子を評価すること。
・対象と方法:IRIS レジストリ (Intelligent Research in Sight) で2013 年から 2018 年の間にEKを受けた18歳以上の患者59,344人が特定され、そのうち 30,600眼(平均年齢72.8±10.5歳)が EK 手術基準を満たしていた。
・フックス角膜内皮変性症(FECD)が最も一般的な疾患(n=14,305; 46.8%) で、その他は水疱性角膜症(BK)、他の原因による角膜浮腫 (n=6714; 21.9%)、再移植 (n=2086; 6.8%) だった。最も多い合併疾患は緑内障 (n=6349; 20.7%)、その他黄斑変性症 (n=2955; 9.7%) 、糖尿病性網膜症 (n=1080; 3.5%)だった。
・結果:再移植の確率は、術後1 年目で8.7%、5 年で 17.4% だった。
・5 年後の移植片の生存率は FECDで 89.0% であったのに対し、BK 72.2%、以前の角膜移植片不全63.4%と低かった。
・最も多い合併症は前房内空気再注入だった。
・再移植の危険因子はBK およびその他の角膜浮腫 (HR 1.4 7.95% CI 1.33-1.61) 、以前の角膜移植片不全 (HR 2.07、95% CI 1.84-2.32)、黒人 (HR 1.25、95% CI 1.11-1.40)、喫煙(HR 1.16、95% CI 1.05-1.27)、保険加入者 (HR 1.29、95% CI 1.03-1.60)、術後の前房内空気再注入(HR 2.24、95% CI 2.05-2.45)、眼内炎 (HR 1.35、95% CI 1.05-1.75)、感染性角膜炎 (HR 1.60、95% CI 1.39-1.84)、嚢胞様黄斑浮腫 (HR 1.39、95% CI 1.21-1.59)、緑内障の既往(HR 1.24、95% CI 1.14-1.35)、移植前または同時の緑内障手術(HR 1.23、95% CI 1.11-1.36)、移植後の緑内障手術(HR 1.53、95% CI 1.39-1.69)だった。
・結論:水疱性角膜症、緑内障の病歴、緑内障手術、以前の角膜移植片不全、黒人、保険プラン、喫煙などが再移植に関連する危険因子として特定された。
・以前の研究で報告されていた性差(男性が多い)は認められなかった。
・4、1型糖尿病は2型糖尿病よりも角膜内皮細胞密度とパキメトリーに大きな影響を与える(CH)
Comparison of Long-Term Corneal Astigmatic Changes After Cataract Surgery in Eyes With Superior or Horizontal Clear Corneal Incisions
Sunsuke Hayashi. et al, Am J Ophthalmol 242(10), 221-227: 2022
・2.4mm上方及び水平角膜切開白内障手術後(各群43名43眼)の角膜乱視の長期変化を調べた。
・術前、術後SIAが安定した時点(ベースライン:術後約6か月後で2回測定し円柱度数の差が0.5D以内、軸±15°以内)、ベースラインから7年以上経過した時点で調査。垂直/水平(Rx)成分と斜乱視(Ry)に分解して比較
結果
・ベースラインからの平均期間8.90±1.25年。
・直乱視→上方切開、倒乱視→水平切開
・手術からベースライン
・上方切開:0.26D±0.50D倒乱視化
・水平切開:0.26D±0.77D直乱視化 両群で有意差あり (P<0.001)
・斜乱視成分は両眼とも有意差なし
・ベースラインから術後7年以上経過後
・上方切開:0.20D±0.48D倒乱視化
・水平切開:0.262±0.66D倒乱視化 両群で有意差なし (P=0.314)
・斜乱視成分は両眼とも有意差なし
・本研究で約9年で0.22D倒乱視が進み、手術切開部位によらなかった。
・既報で白内障手術後20年で0.5-0.65Dの倒乱視化が生じる
・直乱視から倒乱視への移行は50歳以上の男性と60歳以上の女性で発症
・上記から
・60歳以上の男性、70歳以上の女性では手術時に倒乱視は水平切開で完全矯正し、0.5D以上の直乱視は垂直切開で矯正を提唱する(MM)
Corneal Sensitivity and Patient-Reported Dry Eye Symptoms in a Prospective Randomized Contralateral-Eye Trial Comparing Laser In Situ Keratomileusis and Small Incision Lenticule Extraction
KEVIN K. MA, et al. (CA USA)
Am J Ophthalmol 2022(9);241: 248-253
・目的: LASIKおよびSMILE(Small incision femtosecond lenticule extraction) の角膜感度とドライアイの自覚症状を比較する。
・対象と方法:近視患者40人80眼(平均年齢34±8年、24-54歳))を無作為に割り当てて、片眼にLASIK、もう片眼に SMILE を施行した。Cochet-Bonnet角膜知覚計を使用し、術前および術後 1、3、6、および 12 か月の角膜感度を評価した。また、ドライアイ疾患特異的問診票であるOcular Surface Disease Index (OSDI)を受診毎に行った。
・結果:角膜知覚は術後1か月 LASIK vs SMILE (平均 2.1 vs 3.6 cm、P < .001)、3か月 (3.5 vs 5.4 cm、P < .001)、、6か月 (4.7 vs 5.7cm、P < .001) で有意差なく、12か月目の受診時に、両グループともベースラインの角膜知覚に戻っていた (5.9 vs 5.9 cm、P = .908)。
・OSDIは LASIK vs SMILEで術前 (15.3 対 15.1、P = .974)、術後1か月 (14.4 対 15.7、P = .974)、3か月 (10.9 対 13.2、P = .934)、6か月 (9.1 対 10.6、P = .974)、12か月 (8.6 対 9.4、P = .974)。 平均 OSDI は、LASIK (15.3 から 8.6、P = .020) と SMILE (15.1 から 9.5、P = .029)で、術前よりも術後 12 か月で改善した。
・結論: LASIK は SMILE と比較して術後早期の角膜神経切除範囲が大きいものの、自己申告によるドライアイ症状に差はなかった。(CH)
The blue light hazard versus blue light hype.
Mainster MA et al(KS USA)
Amer J Ophthalmol 240(8): 51-57, 2022
・青色光による網膜障害は実験室的な結果で、太陽を見つめたとか、硝子体手術時の強い照明等、短時間の異常に強い光によるものであるが、われわれの周囲の環境での光暴露が網膜に障害を及ぼし、AMDなどを発症すると誤解されやすい。
・疫学調査では、短波長カットのIOLはAMDの発症リスクや進行を抑制できないことが分かっている。
・短波長カットレンズでもグレアを抑制することはできない。
・また、白内障や縮瞳、杆体や網膜神経節細胞の変性によって、最適な杆体や神経節細胞の光受容の為の青色光要素は減少する。
・健康的な毎日の生活での青色光暴露は、年とともに、特に女性で減少する。
・青色光は薄暗い環境では転倒のリスクを下げてくれる。
・青色光は短波長カットIOL眼では永久にカットされてしまっている。
・青色光の危険性が、環境光暴露や白内障手術がAMDを起こしやすいという事実がないままに誇大に広報されている。
・青色光を抑制することによって精神的、肉体的な健康や、薄明視あるいは暗所視を抑制することを認識すべき。(TY)
A prospective longitudinal study to investigate corneal hysteresis as a risk factor of central visual field progression in glaucoma.
Kamalipour A et al(CA USA)
Amer J Ophthalmol 240(8): 159-169, 2022
・角膜ヒステレシス(CH)が緑内障疑い者や緑内障患者の中心視野障害の進行に影響するかどうかを143例248眼(平均4.8年経過観察)で検討した。
・CHは10-2や24/2の視野進行と有意に相関がみられた。
・CHが低いと、10-2のMDの低下が早かったが(0.07dB/y per 1mmHg p<0.001)、24-2のMDとは関連がなかった。
Corneal hysteresis and beyond: Does it involve the sclera?
Roberts CJ et al(OH USA) J Cat Refract Surg 47(4): 427-429, 2021
・強膜が柔らかいと大きく変形するため、角膜の変形も大きく、角膜が柔らかいと誤解されやすい。
・強膜の状態が、CHと緑内障性の視神経障害の両者に係っていると考えられる。(TY)
Effect of mindfulness-based stress reduction on intraocular pressure in patients with ocular hypertension: a randomized control trial.
Dada T et al(India)
Amer J Ophthalmol 239(7): 66-73, 2022
・ヨガ呼吸法によるストレス軽減が高眼圧症の眼圧下降に影響するかどうかを検討した。
・眼圧が21を越え30未満の高眼圧症者を対象とした。
・毎日1時間のヨガセッションを6週間行なったGroup1の30名と、コントロールの30名で比較した。
・G1では眼圧の有意な下降が得られたが(23.05±1.17→19.15±1.45 p=0.001)、Ctrlでは変化がなかった(22.55±0.98→22.37±1.07 p=0.107)。
・眼圧の日内変動はG1では4.87±1.13→2.73±0.98(p=0.001)であったが、Ctrlでは4.50±0.86→4.30±0.83(p=0.227)であった。(TY)
Corneal Edema and Keratoplasty: Risk Factors in Eyes With Previous Glaucoma Drainage Devices
BRADLEY BEATSON, et al. (US MA)
Am J Ophthalmol 2022(6);238: 27–35.
・目的: 緑内障チューブシャント手術 (GDD)術後の角膜不全に関係する危険因子を評価すること。
・対象と方法:GDDを受けた 1610 眼のうち79 眼 (5%) が術後角膜不全を発症し(角膜不全群)、46 眼が角膜移植術を受けた。DSAEK 39眼、全層角膜移植5 眼、人工角膜移植2眼。
・角膜不全にならなかった220眼を対照群とした。
・結果: GDD手術から角膜不全発症までの平均期間は 32 ヶ月で。術後3 年、6 年、9 年で角膜不全の発症率は、それぞれ 4.7%、9.2%、14.8% だった。
・対照群の平均視力 1.11±1.36 logMAR 角膜不全群の最終平均視力は 1.96±1.25 logMARだった (P < .001)。
・角膜代償不全の有意な危険因子は、手術時の年齢(高齢)、フックス角膜ジストロフィーまたはICE症候群の既往、低眼圧、チューブの角膜への接触だった。
・結論: GDD 術後の角膜生存率は経過とともに直線的に減少し、9 年で 85.1% だった。角膜不全は、GDD術後の視力低下を起こす合併症であり、チューブの配置など、このリスクを軽減する可能性のある方法についてさらに調査する必要がある。(CH)
Corneal Edema and Keratoplasty: Risk Factors in Eyes With Previous Glaucoma Drainage Devices
Bradley B et al. Am J of Ophthalmol 238(6), 27-35: 2022 (USA)
・2009.6.1-2020.4.1までにJohns Hopkins Univ. Wilmer Eye InstituteでGDDを受けた1610眼をレビュー
・症例群:18歳以上の非若年性緑内障でGDDを受け、改善しない角膜代償不全が連続3か月以上持続する症例。 79眼(5%)が角膜代償不全となりうち46眼が角膜移植を受けた。そのうち23眼はチューブのトリミング、位置替えを実施していた。
・対照群:79眼にマッチさせた角膜代償不全をきたさなかった220名220眼をコントロールとした。
・対照群は術者、手術日、十分な経過観察期間(最低6か月以上もしくは一致するケースのフォローアップ期間の長い方)をマッチさせた。対照眼の手術日が症例眼の2年以内にない場合は、他の術者の症例を用いて一致させた(7/220眼)
結果
・平均観察期間 症例群:3年9か月、 対照群:5年3か月
・GDD手術から角膜代償不全まで:平均32(3-98)か月
・手術から角膜移植まで:41か月(4-109)
・3年,6年,9年での代償不全発症累積確率は4.7%、9.2%、14.8%。
・最終的な視力±SD(LogMAR):症例群 1.96±1.25、 対照群 1.11±1.36(P<0.001)
Risk Factor:
・年齢増加:調整ハザード比(AHR) 1.39
・術後低眼圧:AHR 3.25
・Fuchs dystrophy or ICE syndrome: AHR 9.18
・チューブの角膜接触: AHR 6.37
結論
・GDD後の角膜代償不全のリスクは時間とともに持続する。高齢や、角膜疾患のある者、術後合併症のある場合には角膜代償不全についてのカウンセリングを行うべき(MM)
Clinically significant intraocular lens decetration and tilt in highly myopic eyes: a swept-source optical coherence tomography study.
Wang L et al(China): Amer J Ophthalmol 235(3): 46-55, 2022
・眼軸長が26mm以上の高度近視眼334例334眼についてIOL偏位を調査した。
・IOL偏位は0.4mm以上の中心ずれで7°以上の傾斜ずれをAS-OCTで調べた。
・334眼中、IOLの中心ずれは71眼(21.3%)、傾斜ずれは26眼(7.78%)で発生していた。
・眼軸長が30mm以上と未満とでは、IOL中心ずれは37.1%:14.0%(p<0.001)、odds比は1.65(p-0.002)、傾斜ずれは16.2%:3.90%(p<0.001)、odds比は2.09(p=0.001)であり、有意差があった。(TY)
Report of a cluster of cases of toxic anterior-segment syndrome after implantation of a specific intraocular lens model.
Imamachi K et al(島根大)
Amer J Ophthalmol 228(8): 1-7, 2021
・2020年7月から11月にかけて島根大学と松江赤十字病院で発生した白内障術後のTASSの4例7眼について報告する。
・Lentis Comfort/LS-313 MF15 IOL(1.5D加入)を使用した162眼の内、7眼(4.3%)にTASSを発生した。
・この内、4眼は白内障単独手術、2眼はiStent併用、1眼はマイクロフック併用白内障手術であった。
・1例2眼はステロイド点眼のみで軽快、1例2眼はフィブリン膜除去で軽快、1例2眼は前房洗浄+ステロイド結膜下注射で軽快、1例1眼はYAGフィブリン膜切開+ステロイド結膜下注射で軽快した。(TY)
Venous air embolus: a rare but serious complication of fluid-gas exchange during pars plana vitrectomy.
Iyer PG et al(FL USA)
Amer J Ophthalmol 227(7): A3-A4, 2021
・強膜にカニューラを縫合しなくなり、スピードは上昇したが、鋭角に挿入した管の先端の位置がずれて、上脈絡膜腔に灌流してしまうことが起こり始めた。
・これは稀ではあるが、致命的な静脈空気塞栓(VAE)を発症することがある。
・上脈絡膜腔から渦静脈、眼静脈を経由して右心房に入りうる。
・2010年に最初に報告されて以来、13例が報告され、そのうち9名は死亡している。
・液空気置換を開始する前にカニューラを確認する事が大切である。
・発生したらTrendelenburg position(頭を下げる)が大切である(TY)
Risk of retinal artery occlusion in patients with migraine.
Al-Moujahed A et al(CA USA)
Amer J Ophthalmol 225(5): 157-165, 2021
・頭痛が網膜動脈閉塞と関連するかについて、2007-2016の保険データベースを基に調査した。
・網膜動脈閉塞は、全てのRAO、CRAO、BRAO、その他のRAO(一過性あるいは局所的なもの)について調査した。
・調査基準に合致した頭痛患者を418,965名抽出し、年齢等を合致させたコントロール者と比較した。
・頭痛患者418,965名のうち、1060名(0.25%)がRAOと診断されたが、同数のコントロール者の中では、335名(0.08%)がRAOと診断されただけであり、危険率HR=3.48(95%CI= 3.07-3.94 p<0.0001)で有意差があった。
・RAOの全タイプで同じ様な傾向があり、CRAOではHR=1.62(1.15-2.28)、BRAOではHR=2.09(1.60-2.72)、他のCRAOではHR=4.61(3.94-5.38)であった。
・前駆症を伴った頭痛では前駆症を伴わないものに比較してHR=1.58(1.40-1.79 p<0.001)であった。
・BRAOではHR=1.43(1.04-1.97)、他のCRAOではHR=1.67(1.45-1.91)であったが、CRAOではその傾向はなかったHR=1.18(0.75-1.87)。
・この傾向は加齢、男性、急性冠不全、高血圧、SLEなどで強かった。(TY)
Refractive and Visual Outcome of Misaligned Toric Intraocular Lens After Operative Realignment
ANNIKA MULLER-KASSNER, et al. (Germany)
Am J OphthaLmol 2021(4) ;224:150-157
・トーリック眼内レンズの症例では0.65%から7.41%で軸ずれのため再調整が必要となる。
・再調整手術の屈折および臨床結果を調査し、最初に計算された軸との位置合わせを再計算によって決定された軸と比較する。
・2013年8月から2019年12月の間にトーリック眼内レンズを挿入した1209例のうち、大きな軸ずれを起こし再調整するために2回目の手術を受けた39人39眼 (3.2%)。トーリックIOLは、術後25.69±26.06°のずれを示していた。
IOL計算はlOL Master 500/700に基づくBarrett式を使用した。レンズ交換は、フェムトレーザーの乱視軸ガイド使用して行った。
・患者は術後7日目に散瞳下細隙灯検査で乱視軸の評価が行われた。
・再計算によるトーリック軸は、astigmatismfix.comを使用した。
・最高矯正視力(BCVA)は0.28±0.22 logMAR(20/40)から0.15±0.14 logMAR(20/32)に改善し、裸眼遠方視力(UDVA)は、0.39±0.29logMARから0.27±0.18logMARに改善した。
・17眼(44%)は時計回り(30.12±28.95°)に、22眼(56%)は反時計回り(22.27±23.72°)に回転させた。
・再手術は平均86.54±157.99日後に実施された。
・最初に計算された軸に位置合わせをした20眼(51%)の術後のUDVAは0.24±0.16logMAR、cylinder 0.90±0.90D
・再計算された軸に位置合わせた19眼(49%)では、UDVAは0.32±0.20 logMARで、cylinder 0.76±0.72 Dだった。
・高シリンダーパワーIOL(≥2D)は、再計算すると残存乱視がより減少した。
・トーリックIOLの再調整により、視力が向上し、屈折異常が減少する。特に高シリンダーパワーIOLの場合、再調整の前に再計算するとより良い結果が得られる。(CH)
Exposure to secondhand smoke in children is associated with a thinner retinal nerve fiber layer: The Hong Kong Children Eye Study.
Li J et al(China): Amer J Ophthalmol 223(3): 91-99, 2021
・6-8才の3,103名を対象としたHong Kong Children Eye Studyである。
・受動喫煙者は1,097名(35.4%)であり、非受動喫煙者と比較すると、年齢、性、BMI、体重、眼軸長には有意差はなかったが、家族の収入(p<0.001)、両親の教育レベル(p<0.001)に有意差がみられた。
・受動喫煙者は視神経乳頭周囲の神経線維層(p-RNFL)の厚みが4.4μm薄く(p<0.001)、家族内の喫煙者数に比例してより薄くなっていた(p<0.001)。(TY)
Digital Screen Time During th COVID-19 Pandemic: Risk for a Further Myopia Boom?
Chee W Wong, et al(Singapore)
Am J Ophthalmol. 223(3):333-337, 2021
・デジタルスクリーンタイム、近業、屋外活動の減少は近視の発症、進行と関連している。
COVID-19のパンデミック期間だけでなく、その後においても悪化すると思われる。学校の閉鎖期間は短くても、その間にデジタルデバイスへのアクセスの増加や新たな採用、依存は長期的には子供の発達に悪影響を及ぼす可能性がある。
・親、子供、行政機関の間で認識を高めることが、パンデミック下で定着する可能性のある、近視化をきたす行動を抑える鍵となる。(MM)
Longitudinal Macular Ganglion Cell-Inner Plexiform Layer Measurements to Detect Glaucoma Progression in High Myopia
Joong W Shin, et al (South Korea)
Am J Ophthalmol 223(3): 9-20, 2021
・104眼の高度近視のあるPOAGと104眼の年齢と視野障害をマッチさせた高度近視のないPOAGを平均5.4年フォローしてGC-IPL測定と乳頭周囲RNFL測定と視野障害進行のリスクについて検討した。
・高度近視は-6.0Dより多い近視もしくは26.5mmより長い眼軸
・両群とも、ベースライン眼圧とピーク眼圧が高いほど、視野障害進行が早い
・高度近視眼ではGC-IPL菲薄化の進行はVF進行の非常に強いリスクであるが、乳頭周囲RNFLはそうではなかった。
・進行群と非進行群のGC-IPL -0.80±0.81μm/y vs -0.26±0.41μm/y
・GC-IPL菲薄化進行があると、ない群と比較してHR3.11-4.00倍VF進行のリスクが高い
・高度近視でないPOAGではGC-IPL/乳頭周囲RNFL進行ともにVF進行の強いリスク因子であった。
・進行群と非進行群のGC-IPL -0.87±0.54μm/y vs -0.37±0.48μm/y
・高度近視にかかわらず、黄斑部のGC-IPLの変化をしっかりとモニターすることが重要(MM)
Exposure to Secondhand Smoke in Children is Associated with a Thinner Retinal Nerve Fiber Layer: The Hong Kong Children Eye Study
Jian Li, et al (Hong Kong)
Am J Ophthalmol 223(3)91-99, 2021
・Hong Kong Children Eye Studyから6-8歳の子供達を調査。SDOCTで乳頭周囲RNFLを調べ、受動喫煙の状況、家族内の喫煙者の数と喫煙量 との関係を調査した。
・3103名の対象者のうち、約3分の1(35.4%,n=1097)が受動喫煙にあった。
・非受動喫煙の子供と比較すると、年齢、性別、BMI、体重、眼軸に差はなかったが、世帯収入と親の教育レベルが低かった。
・上記因子を調整後の比較で、受動喫煙の子供は4.4μm乳頭部RNFLが薄く(P<0.001)、家族内の喫煙者数、受動喫煙量と相関していた。
・受動喫煙のある子供は乳頭周囲RNFLが薄い。これは将来不可逆的な視機能障害をきたすことがあり得るため、子供の受動喫煙を回避するよう推奨するものである。(MM)