Long-Term Outcome of Second Ahmed Valves in Adult Glaucoma
Nima Fathehi, et al (UCLA, USA)
Am J Ophthalmol 186(2): 96-103, 2018
・1994年から2016年までに同一眼に続けてAhmedインプラントを入れた104名110眼の5年間の成績を調べ、有効性と安全性、不成功のリスクファクターを調査した
・成功基準
1.IOP 21mmHg以下かつ20%低下もしくは術前が21mmHg以下の場合2剤減量で術前眼圧以下
2.18mmHg以下かつ25%低下もしくは術前が18mmHg以下の場合2剤減量で術前眼圧以下
3.15mmHg以下かつ30%低下もしくは術前が15mmHg以下の場合2剤減量で術前眼圧以下
・上記3つの基準で術後3ヶ月以上経過後2回続けて満たさない場合、光覚喪失、追加手術、低眼圧黄斑症、重篤な合併症は不成功とした
・結果:再手術時平均年齢63.8歳(±18.7) 手術間隔2.1(0.7-4.0)年
・平均観察期間4.2年 術前眼圧 25.7(±9.3)mmHg(3-50) 点眼数 3.4(±1.2) モデルFP-755眼、S-2 55眼
1年,3年、5年の各基準での生存率
1) 70%、64.8%、50.6%
2) 62.8%、55.4%、36.2%
3) 56.9%、51.1%、30.3%
・不成功の要因の最大は眼圧下降不十分
・10眼は追加手術(うち9眼は3個目のAGV)
・8眼は光覚喪失
・リスクファクターとして若年者(基準1-3)と高血圧(基準3)は成績が良くない
・角膜移植は基準2でprotective factorであった(MM)
Measurement and associations of the optic nerve subarachnoid space in normal tension and primary open-angle glaucoma.
Liu H et al(China)
Amer J Ophthalmol 186(2): 128-137, 2018
・視神経の強膜部から7mmまでのくも膜下腔の面積(ONSASA)を40名のNTG、42名のPOAG、45名のCtrlで測定した。
・測定には12.5MHzの超音波Bモ-ドを用いた
・眼球後方3mmから7mmのONSASAはNTGでは5.15±0.81mm2と小さく、POAGの6.24±1.62(p=0.0008)、Ctrlの6.40±2.20(p=0.0007)と比較して有意差があった
・POAGとCtrl間には有意差はなかった。
・NTGではONSASAは平均眼圧(p=0.004)、最高眼圧(p=0.007)と有意に関連していた
・視神経の直径は、NTG:POAG:Ctrlでは、2.94±0.35:2.96±0.29:3.24±0.29、視神経鞘直径は、4.48±037:4.68±0.37:4.99±0.39、視神経鞘だけの径は、1.54±0.24:1.74±0.20:1.72±0.19で、NTGでは有意に小さかった。(TY)
Scleral lenses reduce the need for corneal transplants in severe keratoconus.
Koppen C et al(Belgium)
Amer J Ophthalmol 185(1): 43-47, 2018
・2010年から2014年に円錐角膜外来を訪れた円錐角膜患者で、Scheimpflug像の矢状断で70D以上の角膜曲率半径を示す75眼を対象とした。
・除外したものは弱視、知能障害者、視力に影響する他の眼疾患を持つものである。
・8眼は強膜レンズは効果がないか、レンズが使用できずに角膜移植となった。
・12眼は他眼の視力が良いかCLの適応でないため行わず、3眼は現在のCLが順調なため適応にならなかったため、51眼が対象となった。
・強膜レンズでの視力上昇は小数点で0.54±0.18であった。
・51眼の内、7眼は経過を追えず脱落、4眼は脱落したため、40眼が最後まで、平均30.15±12.8ヶ月間、強膜CLが使用できたことから、強膜CLは角膜移植のタイミングを遅らせることができると考えた。(TY)
Trabecular meshwork height in primary open-angle glaucoma versus primary angle-closure glaucoma.
Masis M et al(CA USA)
Amer J Ophthalmol 183(11): 42-47, 2017
・OCTを用いて、線維柱帯の高さを123例260眼のPOAGと123例199眼のPACGで調べた。
・POAGでは812±13μm、PACGでは732±27μmで有意差があり(p=0.004)、PACGでは有意に線維柱帯の高さが低いことが分った。
・ただし、眼軸長を考慮して多変量解析するとこの有意差はなくなった。
・これは、眼軸長と線維柱帯の高さには強い相関があるからである(TY)
Evaluating Structural Progression of Retinitis Pigmentosa After Cataract Surgery
JOAQUIN O.DE ROJAS, et al. (NY,USA)
Am J Ophthalmol 2017(8);180: 117-123.
目的:白内障手術によってRPが進行するかどうか、ellipsoid zone (EZ)幅の損失率などを比較することによって検討した。
対象と方法:RP 70眼(白内障手術群19眼と非手術群51眼)を対象とした。平均経過観察期間768日。
遺伝形式は常染色体性劣性RP(ARRP)50眼、常染色体優性RP(ADRP)18眼、X連鎖性RP(XLRP) 2眼
EZの幅はSD-OCTで鼻側から耳側の水平ラインで測定した。
ベースライン時、ERMやCMEのパーセンテージ、ベースラインのEZ幅は群間で差がなかった。
結果:白内障手術群19眼の内、術後CMEが認められたのは6眼だったが、術後に増えたのは2眼だった。(表2)
視力は術前0.33±0.20 logMARから術後最終視力0.19±0.17 logMARと改善した。後嚢破損、眼内レンズ偏位、眼内炎は認められなかった。
EZ幅の減少率は白内障手術群 -0.42μm/day、非手術群 -0.33μm/dayで有意差はなかった。
ベースラインのEZ幅が1000μm未満での「非常に重度のRP」眼では、ベースラインEZ幅1000μm以上の「重度のRP」眼と比較して減少率に有意差はなかった。(P = 0.36)。
ARRP群はAORP群より有意に早いRPの悪化を示した(P = 0.005)。(表3)
年齢、ベースラインEZ幅、遺伝様式、および白内障手術状態を含む多変量解析では、遺伝様式が進行速度と独立して関連していた(P =0.003)。白内障手術は、RPの進行と関連していなかった(P = 0.23)。
性別、ベースライン時のCME、ERM、PSCの存在もRPの進行と関連していなかった(P>0.05)。
結論: 白内障手術はRPの進行に影響しないと思われた。
白内障手術は、疾患の重症度に関係なく、RP患者において安全かつ有効であることを示唆している。(CH)
Orbital and Orbitocranial Trauma From Pencil Fragments: Role of Timely Diagnosis and Management.
Cho WK, Ko AC, Eatamadi H, Al-Ali A, Abboud JP, Kikkawa DO, Korn BS.(Korea)
Am J Ophthalmol. 2017 Aug;180:46-54.
・2施設における眼窩・頭蓋内を貫通した鉛筆破片異物の4症例
・3例が2歳以下、残りは34歳男性(自殺企図)
・3例で初診時に異物を発見できず、1例で異物摘出するも視力喪失
【結論】眼窩周囲の鉛筆の穿孔外傷と鉛筆片の残存を見逃すことは生命や視力を脅かす。残存異物の発見には放射線学的検索が必要。迅速な(<48h)異物片の発見と摘出、抗生剤の投与が視力と生命を救うことができる(MK)
Diabetic microaneurysms internal reflectivity on spectral-domain optical coherence tomography and optical coherence tomography angiography detection.
Parravano M et al(Italy)
Amer J Ophathalmol 179(7): 90-96, 2017
・黄斑浮腫のない非増殖性DMR16例について、その毛細血管瘤のSD-OCTとOCTA画像を比較した。
・SD-OCT上では、145個のMAが見つかり、47個(32.4%)は高反射像、71個(49%)は中反射像、27個(18.6%)は低反射像であった。
・このうち、画像がはっきりしている135個についてOCTA結果を見ると、76個(56.3%)は深層毛細血管叢DCPのみにみられ、9個(6.7%)だけが表層毛細血管叢SCPにあり、29個(21.5%)はDCPとSCPにあり、21個(15.6%)はOCTAでは見つからなかった。
OCTAで見つかったものは、SD-OCTでの高反射像(40/47 88.9%)、中反射像(56/71 88.9%)、低反射像(18/27 66.7%)で、高反射像のものの方が有意に見つけやすかった(TY)。
Retinal pigment epithelium humps in high myopia.
Marchese A et al(Italy)
Amer J Ophthalmol 182(7): 56-61, 2017
・高度近視眼で、OCT上、RPEの盛り上りがあり、その他に病変が見つからない症例を検討した。
・対象は18歳以上の6D以上あるいは眼軸長が26.5mm以上の近視で、白内障手術以外の手術既往もない101例の高度近視である。
・195眼中99眼(50.8%)でOCTのRPE humpがみつかり、いずれも大きな脈絡膜血管がRPEを持ち上げていた。
・この病態を知っておくことは病的なRPE剥離やCNVとの鑑別に重要である(図3)(TY)
Quantitative retinal vascular changes in obstructive sleep apnea.
Tong JY et al(Australia)
Amer J Ophthalmol 182(7): 72-80, 2017
・115例の閉塞性睡眠時無呼吸OSAをapnea-hypopnea index(AHI)で重症度を分類し、平均網膜動脈径CRAEと平均網膜静脈系CRVE、動静脈比AVRを求めて比較した。
・AHIの重症度が上がるほどAVR(p=.0008)、CRAE(p=0.016)は有意に減少しており、また、網膜動脈(p=0.028)、網膜静脈(p<0.001)の拍動幅も小さくなっていた。(図2)(TY)
Microbial keratitis after penetrating keratoplasty.
Sun J et al(Taiwan)
Amer J Ophthalmol 178(6): 150-156, 2017
・全層角膜移植後の感染症について検討した。
・2000.1~2009.12の間に国立台湾大学で行われた871例のPK後に発生した52眼(67回)の培養陽性感染症を対象とした。
・1年以内の発症は32眼(47.8%)であった。
・グラム陽性菌が44眼(57.9%)、グラム陰性菌が17眼(22.4%)、真菌が15眼(19.7%)。
・感染治癒後に透明治癒したものは23眼(34.3%、25-3962日、平均1127日の経過観察)。
・予後にはPK手術をする原疾患は関係しておらず、縫合糸関連の感染は透明治癒する比率が高かった(p=0.02)。
・緑内障治療薬を使用していた者では透明治癒しない確率が上がっていた。(TY)
Comparing the Rates of Retinal Nerve Fiber Layer and Ganglion Cell-Inner Plexiform Layer Loss in Healthy Eyes and in Glaucoma Eyes
Naama HaMMEL et al (UCSD, CA,USA)
Am J Ophthalmol 178(6): 38-50, 2017
正常眼(28例56眼)と緑内障眼(97例76眼)でcpRNFLとGC—IPLの変化を比較
初期70例135眼、中期16例21眼、後期11例20眼
観察期間:正常 中央値1.7年、緑内障 中央値3.2年
結果
cpRNFL: healthy; -0.48μm/y、glaucoma; -0.98μm/y 初期から中期で早い傾向
GC-IPL: healthy; -0.14μm/y、glaucoma; -0.57μm/y 中期から後期で早い傾向
緑内障眼ではGC—IPLよりもcpRNFLの変化のほうが有意に早かった
正常眼でも同様の傾向があったが有意差はなし
進行期緑内障ではGCIPL変化を検出できた
変化率で比較しても同様であった
平均の黄斑部GCIPLと下方のcpRNFL、下方の黄斑部GCIPLと全体および下方のcpRNFLの変化率は有意差があった
結論
緑内障眼では黄斑部GCIPLよりもcpRNFLのほうが変化が早く、正常眼でも同様の傾向があった
黄斑部GCIPLは進行期でも変化を検出できた(MM)
Risk of posterior capsule rupture during cataract surgery in eyes with previous intravitreal injections.
Shalchi Z et al(UK)
Amer J Ophthalmol 177(5): 77-80, 2017
・以前に硝子体内注射IVIを受けた眼の白内障手術時の後嚢破損のリスクについて検討した。
・MoorfieldsとOpenEyesのデータベースから、2012/1/1~2015/8/31の全白内障手術62,994例について調査した。
・1,035例(1.64%)で以前にIVI処置を受けており、後嚢破損PCRは650例(1.04%)で発生していた。
・ロジスティック回帰分析ではIVIの既往はPCRのリスクが高くなっていた(OR=1.66,95%CI=1.03-2.69,p=0.037)。
・IVIの回数、IVIの病院などはPCRのリスクに関連していなかった(p>0.1)。
・IVI時に水晶体に触れていた可能性、IVIが必要であった症例の手術が難しかったことなどなども考えられた。
・その他、男性(OR=1.49 p=0.00)、未熟な術者(OR=1.48 p=0.00)がリスクに関連していた。(TY)
Importance of Accommodation and Eye Dominance for Measuring Objective Refractions.
Tsuneyoshi Y, Negishi K, Tsubota K.(慶応大)
Am J Ophthalmol. 2017 May; 177: 69-76.
・健常ボランティア29名58眼、25-60(平均38.4)歳
・Nidek ARK-730Aにて片眼屈折度数(MR)、Grand Seiko WAM-5500にて両眼開放下での屈折度数(BR)と調節幅(AA)を測定、hole-in-cardテストにて利き目を調査、プリズムカバーテストにて遠見/近見の斜位角を計測
【結果】BRの等価球面度数(SE)はMRより有意に遠視傾向を示した(0.51±0.33, P<0.001)
・両条件の差(BR-MR)は年齢が上がるほど減少(r=-0.231, P=0.08)し、AAが減弱するほど減少(r=0.223, P=0.092)する傾向を示した
・年齢と両条件のSE差は優位眼では有意差みられる(r=-0.372, P=0.047)も、非優位眼では有意差がみられなかった(r=-0.102, P=0.60)
・非優位眼では、近見斜位角はSE差と有意に関連しており(r=0.403, P=0.03)、この関連はAAが3D以上の群で殊に強かった(r=0.598, P=0.01)
【結論】両眼開放下での屈折度数を評価することは、適切な屈折矯正治療を行うために重要である(MK)
Prospective, randomized clinical trial of povidone-iodine 1.25% solution versus topical antibiotics for treatment of bacterial keratitis.
Isenberg SJ et al(CA USA)
Amer J Ophthalmol 176(4): 244-253, 2017
・多くの抗生剤点眼薬が使用できない地区で、172眼の細菌性角膜炎に対して、1.25% povidone-iodine(PI)と抗生剤点眼とを比較した。
・使用した抗生剤点眼はneomycin-polymyxin B-Gramicidin(フィリピン)か ciprofloxacin0.3%(インド)である。
・判定は治癒(角膜上皮欠損消失)、軽快(上皮欠損が1mm2以内で炎症所見微度)とした。
・フィリピンでは治癒までの中間値はPI、抗生剤ともに7日、インドではPIは12日、抗生剤は17日であった。
・安価でどこでも手に入るPIを使ってみることも良いだろう(TY)
Corneal Endothelial Cell Density in Children: Normative Data From Birth to 5 Years Old
Uri Elbaz, Kamiar Mireskandari, Nasrin Tehrani, Carl Shen, Muhammad Saad Khan, Sara Williams, Asim Ali (Canada)
Am J Ophthalmol 2017;173(1):134-138
・出生~5歳児の角膜内皮膚密度(ECD)をスペキュラーマイクロスコピーで測定
・全麻下測定の子には角膜径も測定
・118名、平均2.6±1.4歳、平均ECDは3760±370個/mm2(3145-5013個/mm2)
・2歳児までは、ECDは年齢よりも角膜径と強い逆相関
・2歳を超えると、ECDは年齢と有意な逆相関、角膜径とは有意な相関関係なし
・ECD減少率は最初の二年(8.2%, 334個/mm2/年)の方が2-5歳(2.7%, 100個/mm2/年)よりも有意に大きい
・生後二年間で急速なECD減少がみられるが、角膜径および表面積の増加に伴うもののよう、角膜径が成人並みに達すると成人でのECD減少率に近づく(MK)
Management of Severely Subluxated Cataracts Using Femtosecond Laser–Assisted Cataract Surgery
Soon-Phaik Chee, Melissa H.Y. Wong, Aliza Jap (Singapore)
Am J Ophthalmol 2017;173(1):7-15
・180度以上Zinn小帯が脆弱な47眼
・フェムトセカンドレーザーでCCCおよび核分割、水晶体嚢拡張デバイスを併用して白内障手術
・43眼(91.5%)で水晶体嚢が保存、43眼(91.5%)でIOLが中心安定
・6眼で前嚢に亀裂(すべて核硬度3以上)うち3眼が後嚢にまわる
・前嚢の亀裂なく後嚢破損1眼
(結論:症例を選べばフェムトセカンドレーザーでCCCと核分割が可能、9割以上の症例で水晶体嚢の保存が可能であった)
*除外例19眼
水晶体変位が高度でOCT画像より外れる(8眼)、浅前房(4眼)、角膜混濁(2眼)、その他の理由でフェムト使用不可(5眼、過熟白内障・斜視角大・進行緑内障・眼窩骨折・経済的事由)(MK)
Analysis of Intraocular Lens Biofilms and Fluids After Long-Term Uncomplicated Cataract Surgery.
Mazoteras P, Quiles MG, Martins Bispo PJ, Höfling-Lima AL, Pignatari AC, Casaroli-Marano RP. (Spain)
Am J Ophthalmol. 2016 ;169:46-57.
【目的】
・長期間合併症がみられなかったIOL眼の眼内環境および水晶体嚢・IOL表面を調査
【対象と方法】
・角膜移植のドナー眼、後房IOL挿入後に炎症を含む合併症の記録のない69眼
・前房水・硝子体液を従来の細菌培養および分子生物学的検査で菌の存在を調査
・走査電子顕微鏡でIOL表面のバイオフィルム形成を、透過型電子顕微鏡でcapsule残存物質中のバイオフィルム形成を検索
【結果】
・従来の細菌培養検査では眼内液中に細菌は検出されず
・13眼(18.8%)でIOL光学面にバイオフィルム形成がみられた
・うち3眼の眼内液PCRで16S rDNA陽性
【結論】
・合併症のない正常眼でも、眼内液や臨床所見が陰性にかかわらずIOL表面にバイオフィルムが形成されている可能性がある(MK)
Microvascular Density in Glaucomatous Eyes With Hemifield Visual Field Defects: An Optical Coherence Tomography Angiography Study.
Akagi T, Iida Y, Nakanishi H, Terada N, Morooka S, Yamada H, Hasegawa T, Yokota S, Yoshikawa M, Yoshimura N.(京都大)
Am J Ophthalmol. 2016 ;168:237-49.
【目的】
・半側視野異常がある緑内障患者の視神経乳頭とその周囲の微小循環を評価
【対象と方法】
・POAG患者60眼(上方視野欠損41眼、下方視野欠損19眼)
・OCT angiography(RTVue-XR, 3×3mm cube)で視神経乳頭周囲の血管密度を測定
・SD-OCT (Spectoralis)にて乳頭周囲RNFLを測定
【結果】
・傍乳頭の網膜血管密度は、非高度近視眼・高度近視眼ともに、視野欠損に対応する領域で有意に減少
・視神経乳頭の網膜血管密度は、非高度近視眼の下方視野欠損群のみ、視野欠損に関連する部位に有意な減少
・傍乳頭の網膜血管密度は対応する部位の視野検査のtotal deviationと有意に関連
・傍乳頭の脈絡膜血管の密度の減少は、β-PPA領域のみならずα-PPA領域にも広がっていた
【結論】
・視野障害の領域に一致して、傍乳頭および一部の視神経乳頭領域の微小血管の減少がみられた
・OCTAでの調査で、微小血管の消失はβ-PPA領域のみならずγ領域やα領域にわたっていることがわかった
・OCTAのこれらの知見が、緑内障の病態を理解する新たな発見につながるかもしれない
*NFLDは視野障害に対応した領域以上に広がっているが、血管密度の減少は視野欠損に対応する領域のみ
→傍乳頭の微小血管減少はNFL菲薄化に続いて起こり、血管密度が視機能と関係している可能性(MK)
Influence of Early Descemet Stripping Endothelial Keratoplasty on Visual Outcomes in Pseudophakic Corneal Edema
SARAH B. WEISSBART, et al. (PA, USA)
Am J Ophthalmol 2016(12);172:58-63.
目的:水疱性角膜症に対するDSEKを行うタイミングと術後視力結果の関連性を調査する。
対象と方法:114人120眼(男性54人、女性60人、平均年齢71.4歳)、87%がフックス角膜内皮変性症。
水疱性角膜症になってからDSEKまでの平均期間8.62ヶ月。
グループ① 白内障手術から6ヶ月以内にDSEK施行 44眼
グループ② 白内障手術から6ヶ月以後にDSEK施行 76眼
結果:術前視力 ① 0.54 logMAR ② 0.24 logMAR
術後6ヶ月 ① 0.18 logMAR ② 0.30 logMAR
術後12ヶ月 ① 0.18 logMAR ② 0.26 logMAR
20/40より視力改善 ① 53% ② 48%、20/25より視力改善 ① 25% ② 9%
合併症 グラフト解離 ①2眼 ②2眼、拒絶反応 ①0眼 ②2眼、ステロイドレスポンダー ①2眼 ②4眼
結論:長期間の角膜浮腫は角膜の構造的変化をもたらすかもしれないので、角膜浮腫が発症してから早めに(6ヶ月以内)DSEKをした方が良いと思われる。(CH)
In Vivo Porcine Model of Venous Air Embolism During Pars Plana Vitrectomy
Steven Gayer, Howard D. Palte, Thomas A. Albini, Harry W. Flynn Jr., Ricardo Martinez-Ruiz, Nelson Salas, Andrew J. McClellan, Nidhi Relhan, Jean-Marie Parel (US-FL)
AM J Ophthalmol 2016;171(11):139-144
・豚に全身麻酔をかけ、硝子体手術のインフュージョンカニューラを上脈絡膜腔に設置
・空気灌流を開始して硝子体切除を進めながらバイタルサインを監視
・3眼目の実験でVAE発生、灌流圧30→60mmHgに増加させると30秒以内に心臓内に空気の存在
・まずETCO2が低下、続いて血圧の減少と心電図変化
・SaO2はかなり後になって低下
・7分後にVAEにより死亡、剖検にて右心室に空気の存在
(結論:上脈絡膜腔に間違って設置されたカニューラより空気が圧出されると、目から全身循環に空気が移行して致死的なVAEが生ずることが豚の実験で証明された) (MK)