Localized changes in retinal nerve fiber layer thickness as a predictor of localized functional change in glaucoma.
Gardiner SK et al(OR USA)
Amer J Ophthalmol 170: 75-82, 2016
・局所的なRNFL厚の変化速度がその対応部位の視野変化速度に相関があるかどうかを調査した。191例364眼の緑内障疑いあるいは緑内障で6か月毎に24-2視野と30度毎の周視神経乳頭のRNFL厚測定を行ない、Passing-Bablok回帰を求めた:PB回帰は原因結果の関係のない2測定法の結果を比較解析するもの。セクターに分けたRNFL厚の変化速度は全ての網膜部位で感度変化を有意に予測し得た。セクターの1μm/年以上の速度の厚みの減少は、上方視野の0.3dB/年以上の感度低下と相関していたが、下方視野では相関がなかった。(TY)
Endophthalmitis after intravitreal injections in patients with self-reportede iodine allergy.
Modjtahedi BS et al(OK USA)
Amer J Ophthalmol 170: 68-74, 2016
・硝子体内注入を2つの施設で、2008/6-2014/11と2010/1-2015/1の間に行った患者でそれぞれ、6眼/30,046注射、6眼/33,699注射で眼内炎を発症した。
・発症率は0.019%である。2つの施設に紹介された患者も合わせて42例の眼内炎患者のうち、5例(11.9%)はPI消毒をしていないものであった。
・この5例は眼内炎発症前に平均10.6回、合計53回の注射をうけており、発症率は5/53=9.4%である。
・PIを使用しなかった理由は、PIアレルギーがあるとの申告があったためであった。(TY)
Same-site Trabeculectomy Revision for Failed Trabeculectomy: Outcomes and Risk Factors for Failure
Hirunpatravong P. et al (UCLA, USA)
Am J Ophthalmol 170(10) :110-118, 2016
・初回レクトミー後の眼圧再上昇に対して同一部位をはがしてMMC併用レクトミー(再建術)を行った結果
・連続した40歳以上の145例178眼の開放隅角緑内障に対して実施
・3か月以上経過観察できなかったもの(22眼)、低眼圧の修正や異物感のために行ったもの(11眼)、MMCを使用しなかったもの(6眼)、過去の白内障手術で問題があったもの(3眼)、ゴニオトミー・エクスプレスが行われていたもの(各1眼)を除外した117例130眼を対象
・POAG 108眼, PE 17眼, 色素緑内障 5眼 平均観察期間5.2(0.25-14)年 60眼は5年以上経過観察
初回手術から手術までの期間は平均4.32年
Fornix-base: 115眼、Limus-base: 15眼 結膜とテノンを強膜からはがし、フラップの上にMMC: 0.2-0.4mg/mlで1-5分 その後強膜フラップを起こしてWindowをあけてフラップを2針縫合
LSL: 73眼で実施 うち44眼(60.3%)は2週間以内に66眼(90.4%)は1か月以内
・術後眼圧:16.9±4.4→ 13.1±5.0mmHg (1Y), 11.8±4.4mmHg (3Y), 12.3±4.9mmHg (5Y)
・術後点眼:2.82±0.99→ 1.3±1.4mmHg (1Y), 1.28±1.4mmHg (3Y), 1.45±1.4mmHg (5Y)
・危険因子を検討: 年齢、性別、人種、緑内障病型、左右眼、術前眼圧、術前点眼数、術前MD値・PSD値、レンズの状態、CCT、過去の手術やレーザー、全身疾患、初回手術からの期間、MMCの濃度と作用時間、LSLのタイミング、結膜切開部位、術後初回診察時の眼圧、Revision後の白内障手術の有無とその時期
・成功基準;(A)IOP≦18mmHg かつ20%下降、(B)≦15mmHg, 25% (C)≦12mmHg, 30%
・結果:成功率 1年、3年、5年後 (A) 69.7%, 58.2%, 51.1%
(B) 60.9%, 47.8%, 44.0%
(C) 44.6%, 29.7%, 25.8%
・危険因子:3年以内のRevisionと脂質異常症が危険因子となった
結論:レクトミー後の再手術はあまり成績が良くないという報告が多い、TVT Studyではレクトミー後の再手術では再度別部位でのTLEやチューブが選択肢とされているが、同一部位での再手術も悪くはない
ただし、非常に低い眼圧を望むのであれば、成功率は高くない(MM)
Analysis of Intraocular Lens Biofilms and Fluids After Long-Term Uncomplicated Cataract Surgery.
Mazoteras P, Quiles MG, Martins Bispo PJ, Höfling-Lima AL, Pignatari AC, Casaroli-Marano RP. (Spain)
Am J Ophthalmol. 2016 ;169:46-57.
【目的】
・長期間合併症がみられなかったIOL眼の眼内環境および水晶体嚢・IOL表面を調査
【対象と方法】
・角膜移植のドナー眼、後房IOL挿入後に炎症を含む合併症の記録のない69眼
・前房水・硝子体液を従来の細菌培養および分子生物学的検査で菌の存在を調査
・走査電子顕微鏡でIOL表面のバイオフィルム形成を、透過型電子顕微鏡でcapsule残存物質中のバイオフィルム形成を検索
【結果】
・従来の細菌培養検査では眼内液中に細菌は検出されず
・13眼(18.8%)でIOL光学面にバイオフィルム形成がみられた
・うち3眼の眼内液PCRで16S rDNA陽性
【結論】
・合併症のない正常眼でも、眼内液や臨床所見が陰性にかかわらずIOL表面にバイオフィルムが形成されている可能性がある(MK)
Microarchitecture of the vitreous body: a high-resolution optical coherence tomography study.
Uji A & Yoshimura N(京大)
Amer J Ophthalmol 168(8): 24-30, 2016
・若年者17名17眼で高解像度HR-SD-OCTの硝子体強調画像を使用して硝子体を観察した。
・網膜と後部硝子体皮質の間の物質を90%で検出できた。
・1)高反射の小点と多層の高反射線が剥離した硝子体皮質の周囲にみられた。
・2)上方のarcade以外の部位では層状構造が70-80%の高比率でみられた。
・3)低反射の管状物が80%以上でみられ、これは網膜血管部にある様だった。(図)(TY)
Trabeculectomy Versus EX-PRESS Shunt Versus Ahmed Valve Implant: Short-term Effects on Corneal Endothelial Cells
HALIL ATES, et al. (Turkey)
Am J Ophthalmol 2016;162(2):201-202.
目的:PKP後に緑内障点眼治療に反応しない15眼にEX-PRESSを施行し評価した。
対象と方法:PKP後15眼(先天緑内障+水疱性角膜症 6眼、眼内レンズ眼の水疱性角膜症 2眼、デスメ膜破裂 3眼、再移植 2眼、ヘルペス性角膜炎 1眼、円錐角膜 1眼)
EX-PRESSの前に8眼が線維柱帯切除術、2眼がインプラント手術を受けていた。
結果:EX-PRESS後、93.3%の症例で30%またはそれ以上の眼圧下降が得られた。
術後12.2ヶ月の間、グラフトの透明性は維持していた。
結論:チューブシャント手術によって引き起こされる内皮細胞障害は、手術中の物理的な力、手術時の接触、術後の小さな動きによるものと思われる。
EX-PRESSのようなステンレススチール素材はアーメドなどのシリコン素材より安定している。眼球運動の影響も少ない。EX-PRESSは他のインプラントと比べ、前房に入っている部分が短いので内皮に影響が少ないのではないか。
EX-PRESSは内皮細胞の少ない患者だけでなく、角膜移植後の緑内障にも良い適応である。(CH)
Microvascular Density in Glaucomatous Eyes With Hemifield Visual Field Defects: An Optical Coherence Tomography Angiography Study.
Akagi T, Iida Y, Nakanishi H, Terada N, Morooka S, Yamada H, Hasegawa T, Yokota S, Yoshikawa M, Yoshimura N.(京都大)
Am J Ophthalmol. 2016 ;168:237-49.
【目的】
・半側視野異常がある緑内障患者の視神経乳頭とその周囲の微小循環を評価
【対象と方法】
・POAG患者60眼(上方視野欠損41眼、下方視野欠損19眼)
・OCT angiography(RTVue-XR, 3×3mm cube)で視神経乳頭周囲の血管密度を測定
・SD-OCT (Spectoralis)にて乳頭周囲RNFLを測定
【結果】
・傍乳頭の網膜血管密度は、非高度近視眼・高度近視眼ともに、視野欠損に対応する領域で有意に減少
・視神経乳頭の網膜血管密度は、非高度近視眼の下方視野欠損群のみ、視野欠損に関連する部位に有意な減少
・傍乳頭の網膜血管密度は対応する部位の視野検査のtotal deviationと有意に関連
・傍乳頭の脈絡膜血管の密度の減少は、β-PPA領域のみならずα-PPA領域にも広がっていた
【結論】
・視野障害の領域に一致して、傍乳頭および一部の視神経乳頭領域の微小血管の減少がみられた
・OCTAでの調査で、微小血管の消失はβ-PPA領域のみならずγ領域やα領域にわたっていることがわかった
・OCTAのこれらの知見が、緑内障の病態を理解する新たな発見につながるかもしれない
*NFLDは視野障害に対応した領域以上に広がっているが、血管密度の減少は視野欠損に対応する領域のみ
→傍乳頭の微小血管減少はNFL菲薄化に続いて起こり、血管密度が視機能と関係している可能性(MK)
Macular bruch membrane holes in highly myopic patchy chorioretinal atrophy.
Ohno-Matsui K et al(東京医歯大)
Amer J Ophthalmol 166(6): 22-28, 2016
・近視網膜症眼の中心窩外に網脈絡膜の班状萎縮があるタイプがある。
・ブルッフ膜孔は脈絡膜新生血管CNVに伴った中心窩脈絡膜萎縮を伴ったものに発生するとされていた。
・このブルッフ膜孔が網脈絡膜お斑状萎縮にみられた症例を検査した。
・全例眼軸長26.5mm以上の軸性近視である。
・斑状萎縮のある17例22眼のうち、21眼(96%)にブルッフ膜孔がみられた。
・特徴はブルッフ膜欠損、RPE欠損、視細胞欠損、脈絡膜毛細血管欠損である。
・ブルッフ膜孔縁ではブルッフ膜は翻転し、RPEも翻転しており、その上の内層網膜は極端に薄くなっていた。(図)(TY)
Distinct Responsiveness to Intravitreal Ranibizumab Therapy in Polypoidal Choroidal Vasculopathy With Single or Multiple Polyps
Misa Suzuki, et al. (慶応大学)
Am J Ophthalmol 2016(6);166:52–59.
目的:PCVを単発例と多発例に分けてラニビズマブ硝子体内注射(IVR)単独治療を施行し治療効果の違いを検討した。
対象と方法:12ヶ月以上経過観察できた単発例29眼(男性22眼、女性7眼)、多発例19眼(男性12眼、女性7眼)。
ICGAとOCTでポリープが単発か多発かを判断した。
IVRは最初の3ヶ月は月1回。その後、OCTでME、SRF、PEDの増加を認めたら繰り返しIVRを施行した。(pro re nata)
多発例 2個4例、3個4例、4個3例、5個1例、6個3例、7個1例、12個1例。
経過中5例脱落した。(単発2例 通院なくなった、治療法変更、多発3例 治療法変更、硝子体出血)
IVR施行し2年以上経過してもBCVAが0.2 logMAR以上改善しなかった症例、眼底所見で悪化するか、新しい滲出性変化出現、CRT100μm以上増加した症例を反応不良例とした。
治療前、多発例の方がBCVA低く、GLD大きく、線維血管性色素上皮剝離を持つ症例が多かった。
結果:視力 1年以上視力維持または改善 単発 28/29例(96.6%)、多発 14/19例(73.7%)
2年以上視力維持または改善 単発 25/27例(92.6%)、多発 13/16例(81.3%)
CRT 両グループとも治療後3ヶ月で減少し、その後維持していた。
1年後単発 226.66±114.4μm(平均168.0±178.6μm減少)、多発 297.56±127.4μm(平均101.26±116.1μm減少)。
注射回数 単発 1年目 4.4±2.1回、2年目 1.7±2.0回 多発 1年目 6.0±2.5回、2年目 2.3±2.4回。
黄斑部がdryになるまでの注射回数 単発 3.3±1.4回、多発 4.9±3.3回。
反応不良例 視力で判定 単発 1例(3.4%)、多発 6例(31.6%)、眼底所見で判定 単発 0例(0%)、多発 5例(28.3%)。
結論: 単発例に比べ、多発例の方がIVRに対する反応不良例が多く、視力予後が悪かった。
PCVの症例でポリープの数が予後予測に役立つと思われる。(CH)
A Prospective Study of Biometric Stability After Scleral Buckling Surgery
Wong CW, Shu Yen Lee SY, et al. (Singapore)
Am J Ophthalmol 2016;165(5):10 47-53
・バックリング手術を受けた17名の眼軸長(AL)・前房深度(ACD)・角膜屈折力(K値)を前向き調査
術前および術後1w、1,3,6,9,12Mに測定、術後12Mと有意差がない最初の地点を安定時期と定義
【結果】術後12Mにおいて【Tab.2】
AL:26.09±1.46mm→26.51±1.96mmと有意に増加(P=0.01)
ACD:3.84±0.47mm→3.32±0.57mmと有意に減少(P<0.01)
平均1.04Dの近視化(95%CI:0.03-2.05, P=0.04)
・K値は前面・後面とも有意な変化なし
・ALは術後3Mで安定、ACDと等価球面度数は術後1wで安定【Tab.3】
・クライオの実施と長いバックルはALおよび近視化に有意に関連【Tab.4】
【結論】バックリング術後3M以上あけて白内障手術の生体検査をすべき。IOLパワー計算は第4世代計算式が望ましい。(MK)
Shift Work: A Risk Factor for Central Serous Chorioreti nopathy
ELODIE BOUSQUET, et al. (France)
Am J Ophthalmol 2016(5);165:23-28.
目的:シフトの仕事あるいは睡眠障害が中心性漿液性網脈絡膜症(CSCR)のリスク要因であるかどうか調査する。
対象と方法:CSCグループ40人(44.1±8.6歳)、男性34人、女性6人
コントロールグループ40人(43±10.1歳)、男性34人、女性6人
CSCグループ40人中、急性期26人、慢性期14人
睡眠障害の評価は不眠症重度指数(ISI)で評価した。(点数が高いほど重症)
結果:平均ISIスコア CSCグループ 9.6±6.2、コントロールグループ 4.1±4.5 (p<0.001)
平均ISIスコア10以上 CSCグループ 57.5% (急性期78.6%、慢性期46.1%)、コントロールグループ 15% (p<0.001)
シフト勤務 CSCグループ17人(42.5%)、コントロールグループ6人(15%)(p=0.007)
シフト勤務の人のISIスコア CSCグループ 10.9±5.5、コントロールグループ 5.2±5.5 (p<0.001)
高血圧、うつ、アレルギー、タバコ、アルコールはグループ間で相違なかった。
結論:交代制勤務がCSCRの独自のリスク要因であることを示唆する。
就労時間の変更が長期または再発性のCSCR患者の治療の一つとして考えられる。(CH)
Choroidal neovascularizatoin analyzed on ultrahigh-speed swept-source optical coherence tomography angiography compared to spectral-domain optical coherence tomography angiography.
Novais EA et al(MA USA)
Amer J Ophthalmol 164(4): 80-88, 2016
・Ultrahigh-speed swept-source(SS) OCT angiographを開発し、spectral-domain(SD) OCT angiographと比較した。
・SD-OCTは波長が840nm、70,000A-scans/秒で、SS-OCTは波長が1050nm、400,000A-scans/秒である。
・SS-OCTAは、SD-OCTAよりも有意にCNVを確認できた(TY)
Lamellar macular hole: two distinct clinical entities.
Govetto A et al(CA USA)
Amer J Ophthalmol 164(4): 99-109, 2016
・偽黄斑円孔が2つのsub-groupに分けれるかどうかを検討した。
・偽黄斑円孔の90例102眼について検討し、牽引性と変性に分けることができた。
・牽引性は43眼あり、外網状層と外顆粒層の間の神経網膜の分離があり、ellipsoid層が正常の場合が多かった。
・変性のものは48眼あり、網膜のあらゆる層に発生しうる網膜内空洞が特徴であり、時に非牽引性の網膜増殖や網膜隆起がみられた。
・また、早期のellipsoid層の欠損もみられた。
・11眼は牽引性と変性の両者の特徴を持っていた。
・視力は牽引性が20/27で、変性20/37よりも有意に良かった。
・経過観察中の変化はいずれも少なかった。(TY)
Clinical effects and safety of 3% Diquafosol ophthalmic solution for patients with dry eye after cataract surgery: a randomized controlled study.
Park DH et al(Korea)
Amer J Ophthalmol 163(3): 122-131, 2016
・ヒアルロン酸群とジクアス群を分け、術後1日6回点眼し、BUT、シルマーⅠテスト、角膜染色、高次収差、視力で比較した。
・ドライアイのある白内障患者にはジクアス点眼は有効であった(TY)
Intensified Topical Steroids as Prophylaxis for Macular Edema After Posterior Lamellar Keratoplasty Combined With Cataract Surgery
ROBERT HOERSTER, et al, (Germany)
Am J Ophthalmol 2016;163(3): 174-179.
目的:白内障手術併用DMEK後に起こるCME発生率と、その治療としてのステロイド点眼の効果を検討する。
対象と方法:2012年12月3日から2015年1月9日までに白内障手術併用DMEKを施行した150眼(フックス角膜変性症と偽落屑症候群)
グループ1(2014年4月1日以前の症例 75 眼)
1%プレドニゾロン点眼1日5回 術後1ヶ月間、その後1ヶ月毎に1回ずつ減らしていく。
グループ2(2014年4月1日以後の症例75 眼)
術後1週間は1%プレドニゾロン点眼1時間毎、その後1日5回 術後1ヶ月間、その後1ヶ月毎1回ずつ減らしていく。
結果:術後3ヶ月以内でCMEを認めた症例は、グループ1で9眼、グループ2で0眼だった。
空気再注入は、グループ1 50眼(67%)、グループ2 39眼(52%)だった。
両グループ共、グラフトの偏位はなかった。空気再注入とCMEは関連なかった。
視力 グループ1 0.22±0.22 logMAR グループ2 0.23±0.16 logMARで有意差はなかった。
グループ2の2眼が術後6週目と5ヶ月目に眼圧が25mmHg以上になったので、1 %リメキソロン点眼に変更した。
CMEの治療は、プレドニゾロン点眼1日8回 1週間、その後1日5回点眼とした。
1眼のみアセタゾラミド内服治療を2週間行った。
1眼でステロイド硝子体内注射を行ったがCMEはしつこく残り、12ヶ月後でも残っている。
結論:白内障手術併用DMEK後最初の1週間だけ1時間毎にステロイド点眼するという単純な処置が、術後CMEのリスクを減らすことができる。(CH)
Inverted internal limining membrane insertion for macular hole-associated retinal detachment in high myopia.
Chen SN et al(Taiwan)
Amer J Ophthalmol 162(2): 99-106, 2016
・高度近視眼で黄斑円孔網膜剥離のある40眼を2群に分けて検討した
・1群20例はarcade内のILM剥離と空気置換、2群20眼は黄斑円孔内に反転したILMを挿入して空気置換を行った。
・1群では35%が閉鎖し、2群では全例が閉鎖した。
・2群の手法は、直径1.5-3.0乳頭経のILMを残して、それを黄斑円孔内に挿入し、空気置換はぶどう腫部までは行わず、20%C3F8で置換した。(TY)
Development of retinal layers in prenatal human rtina.
Hendrickson A(WA USA)
Amer J Ophthalmol 161(1): 29-35, 2016
・胎生8週(Fwk8)から生後10週(P10)までの20眼のヒトの眼球組織を調査した。
・水平断で鼻側から耳側網膜長は胎生8週で5.19mmが、耐性中期で20.92mm、生直後で32.88mmと延びていた。
・中心窩と思われる部位の内網状層IPLは胎生8週で現われ、視神経周囲には胎生12週に、鼻側耳側の周辺部には胎生18-21週で現れる。
・対照的に、外網状層OPLはゆっくりで、短いOPLは胎生11週で現われ、胎生中期まで視神経周囲には現れず、網膜周辺部には胎生30週で現れる。
・IPLとOPLの層状構造は血管形成の前に現れる。(TY)
Cone integrity in glaucoma: an adaptive-optics scanning laser ophthalmoscopy study.
Hasegawa T et al(京大)
Amer J Ophthalmol 171: 53-66, 2016
・緑内障眼で視野欠損があり、神経線維欠損がある部位でも、AO-SLO、SD-OCT検査で錐体細胞に障害は見られなかった。
・AO-SLOでは、内顆粒層にmicrocystoがある部位では錐体モザイク構造に多少、影響があった(TY)
Internal limiting membrane peeling to prevent post-vitrectomy epiretinal membrane development in retinal detachment.
Akiyama K et al(東京医療センター)
Amer J Ophthalmol 171: 1-10, 2016
・網膜剥離の硝子体手術時にILM剥離を行ったかどうかで、術後のERM発生と視力予後に影響があるかどうかを検討した。
・102例の連続する症例で術後、最低6か月経過をみた。ILM剥離は染色せずに剥離した。
・102例を術後にERMを発生しなかったGroup1の81眼と、ERMを発生したGroup2の21眼に分け、また、術中にILM剥離を行った58眼と行わなかった44眼に小分類した。
・ERM発生しなかった群ではILM剥離を58/81例(71.6%)に行っており、ERMを発生した群ではILM剥離を行った症例は0/21眼(0%)であり、ILM剥離は有意にERM発生を予防していた(p<0.001)。
・ILM剥離を行ったかどうかでみると、ERM発生率は、剥離群では0/58例(0%)、非剥離群では21/44(47.7%)であった。
・ILM剥離の有無は最終のBCVAに関連がなかった。(TY)
Degradation of Contrast Sensitivity Function Following Posterior Vitreous Detachment
Giancarlo A. Garcia, Matin Khoshnevis, Kenneth M.P. Yee, Jeannie Nguyen-Cuu, Justin H. Nguyen, J. Sebag
Am J Ophthalmol 2016;172(1):7-12
・PVDなしでコントラスト感度(CSF)正常、その後にPVD発生(BモードおよびOCTで確認)8例8眼→うち6眼でlimited vitrectomy希望
・上記の僚眼(PVDなし)8眼
・コントロール12眼、うち9眼はPVDありで経過観察希望、3眼はPVDなし
・エントリー時のCSFは有意差なし
・PVD出現した眼では平均52.5%のCSF低下
・PVD出現眼で手術を希望した群は経過観察を希望した群より有意にCSF悪い
・Limited vitrectomy施行にて平均43.2%CSF改善、どの眼も術後1Mで正常化、その後も悪化なし
(結論:PVDは元が正常の眼でも有意にCSFを低下させる、この負の作用を定量化させることで飛蚊症に悩む患者さんを区別することが出来うる)(MK)