Intraocular pressure in children: the effect of body position as assessed by Icare and Tono-Pen Tonometer.
Dosunmu EO et al(OH USA)
Amer J Ophthalmol 158(6): 1348-1352, 2014
・47名94眼でGoldmannアプラネーション(GAT)、Icare PRO、Tono-Penで、体位変更して眼圧測定を行った。
・座位でのGAT,Icare,Tono-Penの眼圧は16.4±4.2、17.5±3.5、18.0±3.9mmHg、仰臥位での眼圧はIcare,Tono-Penで、18.4±4.5、18.8±4.2であり、眼圧上昇はIcareでは0.9±2.3、Tono-Penでは0.7±1.8であり、臨床的に小児の緑内障眼圧測定に有意差にはならないことが分った。(TY)
Endothelial Keratoplasty After Failed Penetrating Keratoplasty: An Alternative to Repeat Penetrating Keratoplasty
MARCUS ANG, et al. (Singapore)
Am J Ophthalmol 158(6): 1221-1227, 2014
目的:不成功の全層角膜移植術(PK)に対して内皮移植術(EK)と全層角膜再移植術の移植片生着率を比較した。
対象と方法:白内障手術後の水疱性角膜症のため、初回全層角膜移植を受けた患者 113眼(表1)。
移植片機能不全のため、2回目の手術として全層角膜移植術(81眼)または内皮移植術(32眼)を施行した。
結果:PK 1年後生存率 91.9%、2年後 82.6%、3年後 66.8%、5年後 51.3%
EK 1年後生存率 96.2%、2年後 91.6%、3年後 86.4%、5年後 86.4%
視力はPK、EKとも、術前より有意に改善した。
結論:水疱性角膜症に対する全層角膜移植術後の移植片機能不全に対し、内皮移植術は術後5年間で優れた生着率を示した。全層角膜再移植に代わる良い方法である。(CH)
Wide-field fundus autofluorescence imaging to evaluate retinal function in patients with retinitis pigmentosa.
Ogura S et al(名市大)
Amer J Ophthalmol 158(5): 1093-1098, 2014
・12例24眼の網膜色素変性症(RP)でのゴールドマン視野(VF)での視野欠損部と広角眼底自発蛍光(FAF)での低蛍光野との関連を検討した。
・FAF、VFともに中心60°を抜き出して重ね合わせ、低蛍光部と暗点、等蛍光、過蛍光と残存視野との関係を調べた。
・FAFの低蛍光面積は視野欠損面積と有意に相関していた(R=0.86 p<0.001)。
・低蛍光と視野欠損との一致率は91.0±7.7%、等蛍光、過蛍光と残存視野との一致率は84.5±7.4%であった。(TY)
Clinical Outocomes in Cytomegalovirus-Positive Posner-Schlossman Syndrome Patients Treated With Topical Ganciclovir Therapy
Chien et al (Taiwan)
Am J Ophthalmol 158:1024-1031, 2014
CMVの前房内感染では前房内炎症、KP、眼圧上昇、角膜内皮細胞のダメージがみられ、ポスナーシュロスマン症候群やFuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎として診断・治療されていることが多い
ガンシクロビルの点滴内服で鎮静化されるが、中止による再発もあり、点滴内服を継続すると全身副作用(汎血球減少、腎障害など)の点で問題があるため、2%ガンシクロビル点眼を用いるが、有効性について検討した(日本ではCMV角膜内皮炎に対して0.5%ガンシクロビル(デノシンR)の自家調剤点眼の報告)
2005年1月1日から2013年6月30日までの期間にポスナーシュロスマン症候群と診断された全例で前房水PCRをおこない、HSV,VZV陰性、片眼性の中等度の再発する炎症、角膜浮腫とKP、発作時の眼圧上昇、虹彩後癒着や後眼部の炎症なし、発作は数日から数週間持続、発作時以外は正常の所見を満たす126例のうち、CMV陽性68例、58例がCMV陰性であった
CMV陽性群はすべて2%ガンシクロビル点眼(500mgを25mlで溶解したもの)を、導入時は2-3時間ごと、維持期は4時間ごとに点眼した。3か月後再度前房穿刺しPCRを実施、点眼は継続した。眼圧上昇や角膜浮腫が生じたものはCMVのウイルス量も調べた
陽性群vs陰性群で以下有意差あり:
診断時に濾過手術群を受けていた割合 13.24% vs 1.72% (P=0.017)
角膜内皮細胞密度 1498 vs 2040 (P<0.001)
内皮減少率(反対眼と比較) 45.24% vs 18.48% (P<0.001)
矯正視力 0.33 vs 0.18 LogMAR (P=0.023)
その他年齢、性別、点眼使用数、罹病期間に有意差なし
点眼治療開始後1か月は全例で治療に反応し、炎症、眼圧、角膜浮腫が改善 点眼数 1.78→0.88
3か月後のPCRではCMVは検出されず
陽性群29眼(42.65%)、陰性群34眼(58.62%)で眼圧下降薬なし(有意差なし)
陽性群25眼(36.76%)で3か月以降に眼圧上昇した 5眼では発作の再発とCMVの検出があったが、点眼自己中断していた その他20眼では炎症やウイルスの検出はなかった
陰性群26眼で経過中IOP上昇発作あり(CMVウイルスは検出されず) IOP上昇発作は両群で有意差なし
陽性群25眼中8眼で濾過手術実施
CMV陽性のうち、罹病期間5年以内のものは陰性群と生存率(濾過手術)に有意差なしだが、5年以上の群は有意に悪い
治療後の内皮細胞密度減少は両群とも認めなかった
CMV陽性ポスナーシュロスマン症候群は早期診断し点眼加療することで内皮減少をくい止めたり、眼圧上昇発作や濾過手術まで進行することを予防できる可能性がある(MM)
Laser-assisted penetrating keratoplasty: 1-year results in patients using a laser-welded anvil-profiled graft.
Canovetti A et al(Italy)
Amer J Ophthalmol 158(4): 664-670, 2014
・22例24眼の全層角膜移植で検討。
・Femotosecondレーザーを使用して角膜を金床形に切除して接着面を大きくして機械的なバルブ効果を期待した。
・その接着部をICGで染め、ダイオードレーザーで溶接した。
・ダイオードレーザーは波長810nmで、300μ径のファイバーを用いて角膜から1.5mm離れ、60mW(角膜面では8W/cm2)で、130秒溶接した(図)(TY)
Characteristics of the retinal surface after internal limiting membrane peeling in highlymyopic eyes.
Sakimoto S et al(阪大)
Amer J Ophthalmol 158(4): 762-768, 2014
・近視性黄斑疾患に対してILM剥離後の網膜表面の状態をEn face OCTで観察し、3種類の窪みを同定した。
・中心窩中心パターン60.0%、線状パターン45.0%、傍血管パターン40.0%である。
・手術時にはBBGを使用した。
・En face OCTは、Cirrus OCT4000でとりだした、6x6mmの3次元立体を再構築した。
・20例20眼でみつかった窪みは、術後1か月で18/20(90%)、2か月で20/20(100%)であり、数は術前0個であったが、術後1,3,6か月で、31.8±23.7、47.95±29.5、54.6±30.7個みつかった。(TY)
Prophylactic use of bevacizumab to avoid anterior segment neovascularization following proton therapy for uveal melanoma
Irmela Mantel et al .(University of Lausanne, Jules-Gonin eye hospital, Fondation Asile des Aveugles, Switzerland)
Am J Ophthalmol 158(4): 693-701, 2014
・虚血性網膜剥離があり陽子線治療を受けたぶどう膜メラノーマの患者のうち予防的IVBを施行した24名を施行しない44名と比較した。
・IVBは6ヵ月間は2ヵ月毎に、その後は3ヵ月毎に施行した。
・広範囲血管造影にて、網膜の虚血、血管新生、網膜復位と虚血網膜へのレーザー光凝固の時期を比較した。
・加療前の状態は差が無かったが、IVB群では腫瘍が厚く、剥離が広かった。
・しかしながら、予防的IVBは明らかに虹彩ルベオーシスを36%から4%(P=0.02)に減少させ、無灌流区域へのレーザー光凝固までの期間を短縮させた。
・ぶどう膜メラノーマに対する陽子線治療は局在腫瘍の治療に非常に高率に有効である(5年後94~99%)が、放射線照射眼はその合併症のため二次的に眼球摘出に至る場合もある。
・危険を増す要素は腫瘍の高さ、毛様体を含むこと、視神経又は中心窩に近接している場合。新生血管緑内障は最も眼球摘出となりやすく、発生率は7%から47%と報告がある。
・虚血の原因は腫瘍や放射線由来の炎症、漿液性網膜剥離や網膜腫瘍の侵入による網膜の虚血と考えられる。以前、新生血管緑内障にバルベルトインプラントが有効と報告したが、理想は血管新生しないことであり、抗VEGF薬の硝子体注射が有効と思われる。(YM)
Relation between time spent outdoors and exfoliation glaucoma or exfoliation glaucoma suspect.
Kang J et al(MA USA)
Amer J Ophthalmol 158(3): 605-614, 2014
・60歳以上の女性49,033名、男性20,066名で、白内障、緑内障がない人について戸外活動の時間(1時間以内、2-5、6-10、11時間以上)を人生の3時期に分けて答えてもらった。
・高校から24歳まで、25-35歳、36歳から59歳。25-35歳と、36-59歳の間には何ら関連は見いだせなかったが、高校から24歳までの間に11時間以上戸外にいた人は、5時間以内であった人に比較して落屑緑内障の比率が2.0倍(95%CI=1.30-3.08 p=0.001)であった。
・女性でこの傾向がさらに強かった。
・このことから落屑症候群の成因に若年期の日光暴露が関連していると考えた。(TY)
Pathogenesis and treatment of maculopathy associated with cavitary optic disc anomalies.
Jain N et al(MI USA)
Amer J Ophthalmol 158(3): 423-435, 2014
・視神経乳頭の先天的空洞形成には、コロボーマ、ピット、朝顔症候群、乳頭外空洞があるが、これらは網膜分離症様、あるいは漿液性剥離の様な黄斑症を伴っている。
・これは眼内と眼外腔を結ぶ強膜あるいは篩板の欠損が要因である。
・眼内圧と頭蓋内圧の差による液の移動を止めるか、網膜内への流入路を遮断すれば黄斑症は軽快する。
・ガス注入を併用した硝子体手術後の慎重な視神経乳頭縁の光凝固が恒久的な流入路遮断に有効であると考えている。
・脱出した異形成組織やピットの嚢には個人差がある。
・透過性のない嚢の場合はこのピットは球状のシリンジとして働き、脳脊髄圧ICPが低い時は硝子体液をピット嚢内に吸入し、ICPが上昇した時は嚢内から放出する。
・嚢に透過性がある時は、ICPの変動がピットに伝達し、脳脊髄液が嚢を透して嚢に混入する(図)。
・治療としては、網膜内の液がバッファとなって神経線維が熱障害されるのを避けてくれることを期待して、硝子体手術を行う前に外来で傍乳頭部に光凝固(赤647nm,200μ)を4-5列に行う。
・光凝固後、1-2時間以内に硝子体手術を行うことを推奨したい。
(TY)
Tattoo-associated uveitis
Trucian A. Ostheimer et al. (Wilmer Eye Institute, Johns Hopkins University school of medicine)
Am J Ophthalmol 158(3): 637-643, 2014
・刺青と同時に発症のぶどう膜炎患者7名を、8か月経過観察した。1から20か月(平均9か月)経過観察し、眼内炎症の程度、眼合併症、視力、刺青皮膚の変化、生検結果を評価する。
・7名中5名には両眼に非肉芽腫性前部ぶどう膜炎を認めた。4名は慢性、1名は再発。
・残る2名には両眼の慢性肉芽腫性ぶどう膜炎があった。2名の患者で刺青の生検を施行したところ、刺青色素周囲の肉芽腫性炎症を認めた。
・眼内炎症に大して大量の経ロプレドニゾンで治療し、全患者で皮膚の変化は緩解した。
・5名はその後、刺青の隆起と硬化の再発と共に眼内炎症が再発した。
・この調査で、皮膚の刺青により免疫反応が起こり、眼炎症と刺青部皮膚の炎症を同時にきたしうると思われた。
・サルコイドーシス発症の誘因は不明だが、仮説として宿主が様々な環境要因にさらされた場合、マクロファージとCD4+Tリンパ球の活性化で免疫複合体が生じ、サイトカインの産生でTH1タイプ免疫反応が肉芽腫を形成する。
・サルコイドーシスは広く環境因子に対する免疫反応の最終結果と推測される。今回の症例は全例黒インクを使用していたが、黒インクはカーボンブラックやフェノールのような毒性、発ガン性因子を含む可能性がある。
・今回の症例では皮膚への刺青が同時に眼炎症の原因ともなったが、この経過は過敏反応の結果であるサルコイドーシスの場合と似ていると思われた。(YM)
Reduction in mean deviation values in automated perimetry in eyes with multifocal compared to monofocal intraocular lens implants.
Farid M et al(CA USA)
Amer J Ophthalmol 158(2): 227-231, 2014
・両眼に多焦点眼内レンズを使用した22例と、単焦点IOLを使用した15例に、ハンフリー視野10-2を、指標径Ⅲを使用して測定した。
・全例、網膜等にも異常はなく、視力も正常で、乱視も0.5D未満である。
・使用多焦点IOLは全例回折型である(Tecnis ZMB00, Tecnis ZMA00, ReSTOR SN6AD1)、単焦点IOLは(Tecnis ZCB00, Tecnis ZA9003, Acrysof SN60WF)である。
・10-2の平均MD値は多焦点群でー2.84±2.32dB、単焦点群でー0.97±1.58dBで有意差があった(P-0.006)。
・パターンSDは1.41±0.94:1.41±0.37で、有意差がなかった(p=0.99)。
・この傾向は6か月後も同様であった。
・このことから、黄斑変性、RPE変化、緑内障などの患者には使用すべきでない。(TY)
Relationship between severity of obstructive sleep apnea syndrome and retinal nerve fiber layer thickness.
Shiba T et al(東邦大)
Amer J Ophthalmol 157(6): 1202-1208, 2014
・124例の閉塞性睡眠時無呼吸症候群において、その重症度apnea-hypopnea index(回数/時間)と傍乳頭網膜神経線維層RNFL厚、中心窩厚、全黄斑容積との関連を調べた。
・AH indexは鼻側RNFL厚と有意な負の相関があった(右眼 r=-0.31 p=0.0004、左眼 r=-0.39 p<0.0001)。
・中心窩厚、全黄斑容積には相関がなかった。
・鼻側のRNFL厚は両眼とも閉塞性睡眠時無呼吸の重症度に応じて有意に減少していた。(TY)
Pseudocystic foveal cavitation in Tamoxifen retinopathy.
Doshi RR et al(FL USA)
Amer J Ophthalmol 157(6): 1291-1298, 2014
・乳がん治療薬であるタモキシフェン(非ステロイド性の抗エストロゲン剤)で誘発された中心窩陥凹の3例についての報告。
・黄斑部telangiectasia type2によく似た偽嚢胞様中心窩陥凹である(TY)
Retinal Displacement Toward Optic Disc After Internal Limiting Membrane Peeling for Idiopathic Macular Hole
Masahiro Ishida, Yutaka Imamura, et.al. (帝京大)
Am J Ophthalmol 157(5) : 971-977, 2014
【目的】ILM剥離・ガスタンポナーデを併用した黄斑円孔(MH)手術の後に網膜が変位するか、また円孔径と術後網膜変位との関連を調査
【対象と方法】MHに対してILM剥離・ガスタンポナーデを併用した硝子体手術を施行した連続症例をレトロスペクティブに解析。SD-OCTの眼底自発蛍光画像(FAF)または近赤外線画像を用いて、視神経乳頭の耳側縁と網膜血管の交叉部(中心窩より耳側・鼻側の二か所)との距離を計測。術前 (A)、手術2週間後、1・3・6・12か月後 (B) に測定。SD-OCTでMHの底部の直径および最小径を計測。
*ILM剥離は2-3乳頭径、1例(ICG染色)のぞき全例でILM染色せず施行。
【結果】21例21眼、stage2・3・4のMHがそれぞれ10・9・3眼。
手術2週間後における網膜血管の変位;耳側は260.8±145.8μm乳頭側に移動、鼻側は91.1±89.7μm乳頭側に移動 (p<0.001)。
術後2週間での耳側血管の変位比 (A – B/A)はMH底部の径と有意に相関していた(r=-0.476, p=0.033)
【結論】MH手術後は鼻側より耳側の血管がより多く移動する。これは耳側の網膜がよりフレキシブルでありMHが閉鎖する際に視神経乳頭の方向に牽引される事を示唆する。(MK)
Dysphotopsia after temporal versus superior laser peripheral iridotomy: a prospective randomized paired eye trial.
Vera V et al(Canada)
Amer J Ophthalmol 157(5): 929-935, 2014
・原発隅角閉塞PACあるいは原発閉奏隅角症疑いPACSの208例について、1眼は耳側(2-4時か8-10時)に、他眼は上方(11-13時)にレーザー虹彩切開LPIを行い、新規の線状の光視症について、術前と術後1か月目で検討した。
・169例(84%)で調査でき、そのうち新規の線状光視症は、上方切開では18眼(10.7%)、耳側切開では4眼(2.4%)に発生した(p=0.002)。
・上方切開眼では11眼(6.5%)は切開部が完全に上眼瞼に覆われているのに線状光視症を訴えていた。
・これは涙液プリズムによるものと考えた。
・LPI中の疼痛については、痛みスコア(0-10)は耳側切開では2.8±2.2:上方切開では2.1±2.0で有意差があった(p=0.001)。
・術中の出血は8.9%と10.1%で有意差はなかった(p=0.71)。図(TY)
Retinal displacement toward optic disc after internal limiting membrane peeling for idiopathic macular hole.
Ishida M et al(帝京大)
Amer J Ophthalmol 157(5): 971-977, 2014
・ILM剥離、ガス注入を行った黄斑円孔手術の成功例21眼(64.6±8.4歳)で、術後の黄斑部網膜の移動について検討した。
・耳側と鼻側の網膜血管の交点の術前(A)、術後2週、1,3,6,12か月後(B)の移動距離を測定した。
・測定には自発蛍光あるいは近赤外眼底写真を使用した。
・黄斑円孔はステージ2が10眼(47.6%)、3が9眼(42.9%)、4が2眼(9.5%)で、円孔の底の大きさは281±1116μm、最少径は271.8±111.3μmであった。
・術後2週間目に大きな移動があり、耳側血管は乳頭に向かって260.8±145.8μ移動したが、鼻側血管は91.1±89.7μmで有意差があった(p<0.001)。
・この2週間目の耳側網膜の移動比率は黄斑円孔基底の大きさと有意に相関していた(スピアマンの順位相関係数=-0.476 p=0.033)。
・2週間後は大きな移動はなかった。
・黄斑円孔の治癒には耳側網膜の移動が大切である。(TY)
Risk Factors for Optic Disc Hemorrhage in the Low-Pressure Glaucoma Treatment Study
RAFAEL L. FURLANETIO, et al. (New York, U.S.)
Am J Ophthalmol 157(5): 945-952, 2014
・乳頭出血の危険因子と、0.5%マレイン酸チモロールと0.2%酒石酸ブリモニジンが乳頭出血に影響を与えたかどうか調査した。
・127人253眼 平均年齢64.7±10.9歳 平均経過観察期間40.6±1.2ヶ月
ベースラインの眼圧を決めるため、4週間wash outし、8時、10時、12時、16時の眼圧を測定した。
1日2回の0.5%マレイン酸チモロール点眼(138眼)か0.2%酒石酸ブリモニジン点眼(115眼)に振り分けられた。
点眼開始から1ヶ月、4ヶ月、その後4ヶ月毎に経過観察した。
・18眼(7.1%)に乳頭出血を認めた。乳頭出血1カ所5眼、2カ所4眼、3カ所2眼、4カ所以上7眼
0.5%マレイン酸チモロール 12/138眼(8.6%)
0.2%酒石酸ブリモニジン 6/115眼(5.2%)
再出血 0.5%マレイン酸チモロール 10/12眼(83.3%)
0.2%酒石酸ブリモニジン 3/6眼(50%)
・単変量解析では、片頭痛の既往、低い収縮期血圧、低い眼灌流圧が危険因子であった。
マレイン酸チモロールも影響を与えた。
多変量解析では、片頭痛の既往、rimの薄さ、β-blocker内服、低い収縮期血圧が独自の危険因子であった。
・低眼圧緑内障での眼圧と無関係な変数が乳頭出血の発生と結び付けられたという発見は、眼圧に依存しない要因の役割を強調させるものである。(CH)
Dysphotopsia after Temporal versus Superior Laser Peripheral Iridotomy: A Prospective Randomized Paired Eye Trial
Vanessa Vera, Iqbal Ike K. Ahmed, et al. (Canada)
Am J Ophthalmol 157(5) : 929-935, 2014
【目的】周辺部レーザー虹彩切開術(LPI)を施行する位置が術後の異常光視症の頻度に関係するか調査
【対象と方法】原発性閉塞隅角症(PAC)およびPAC疑い患者。片眼には耳側に、反対眼には上方にYAGレーザーによるLPIを施行。部位は前向きランダムに割付け。患者にはLPI施行部位を伝えず。術前と術後1か月で異常視の有無を聞き取り調査。
【結果】208名エントリー、うち169名(84%)完遂。
線状の異常光視が耳側で18眼(10.7%)、上方で4眼(2.4%)出現(p=0.002)【Tab.2】【Fig.2】。上方LPI後に線状の異常光視を自覚した18眼のうち11眼はLI孔がまぶたで完全に隠れていた【Tab.3】。
他の異常光視の頻度は両群に有意差みられず【Fig.2】
LPIの痛みスコアは耳側の方が有意に高かった(2.8±2.2 vs 2.1±2.0; p=0.001)。術中出血の頻度は同程度(8.9% vs 10.1%; p=0.71)。
【結論】耳側へのLPIは安全に施行でき、上方へのLPIに比べ線状の異常光視症が少ないようだ。したがって虹彩耳側はLPIに適した場所と考えられる。(MK)
Prevalence of Low Serum Vitamin A Levels in Young Children With Chalazia in Southwest China
Lin Chen, Jing Fang, et al. (China)
Am J Ophthalmol 157(5): 1103-1108, 2014
【目的】中国南西部における小児霰粒腫のリスク因子を突き止める
【対象と方法】88名の霰粒腫に罹患した小児;young children (48名):生後6か月~6歳、older children (40名):7歳~12歳。対照としてyoung children 40名、older children 32名。血漿ビタミンA、ビタミンD3、IgEを測定。
【結果】血漿ビタミンAの平均値は症例群で有意に低かった (p<0.001)。血漿ビタミンD3およびIgEの値は群間で有意差がみられなかった【Tab.3】。
Young children群で霰粒腫が多発した症例では血漿ビタミンAの平均値は0.65±0.12μmol/Lと低値であった (*WHOの定義で0.7μmol/L未満はビタミンA欠乏症に分類)【Tab.4】。
【結論】中国南西部において、血漿ビタミンAの低値は小児の霰粒腫、とりわけ6歳以下の多発性霰粒腫と関連した。(MK)
Autologous transplantation of the internal limiting membrane for refractory macular holes.
Morizane Y et al(岡山大)
Amer J Ophthalmol 157(4): 861-869, 2014
・難治性黄斑円孔10例(4例:1年以上前に発生、1例:外傷性、2例:近視性中心窩網膜分離、2例:pit-macular症候群からの網膜分離、1例:増殖性DM網膜症)で、外傷性と特発性の5眼を除き、残り5眼はILM剥離硝子体手術後のものである。
・自己ILM移植手術による黄斑円孔の閉鎖率は90%であった。
・手技は、残存ILMをBBGで染色し、黄斑円孔と同じ大きさのILMを剥離し、その中に置いた
・この時、還流をOFFとしてILM片が舞ってしまわないようにした。
・その後、低分子量の粘弾物質(オペガン)をその上に載せ、還流をONとし、すぐに液空気置換を行い、10% SF6で置換、3日間うつ伏せ姿勢とした。(TY)