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British Journal of Ophthalmology

2012
96巻

全色盲は進行性疾患か

British Journal of Ophthalmology 96巻(9号)2012

Early signs of longitudinal progressive cone photoreceptor degeneration in achromatopsia.
Thomas MG et al(UK)
Brit J Ophthalmol 96(9): 1232-1236, 2012
・高解像度OCT(縦方向3μm)を使用して全色盲の中心窩の画像を5名の小児と3名の成人で平均16ヶ月(10-25ヶ月)の間隔をおいて2回測定し、IS/OS接合部、中心窩厚、外顆粒層厚を解析した。
・経過を見ると、10歳未満の小児(症例1-5)ではIS/OS面に進行性の形態変化があったが、40歳以上の患者(症例6-8)では変化はみられなかった。
・症例1,2では、中心窩のIS/OSの断絶が高反射帯に進展しており、症例3では初回にみられた高反射帯がIS/OS断裂となり、小さな低反射帯が発生していた。
・症例4,5では初回にみられた低反射帯が増加しており、全例で中心窩厚と外顆粒層厚が薄くなっていた。
・初期の変化は些細なIS/OSの反射の変化であり、中心窩の独特な低反射帯に進展するが、若年者にみられるこのような進行性の網膜の変化は、全色盲が進行性の疾患であり、初期に遺伝子治療を導入すれば予後が良くなる可能性のあることを示唆している。
・全色盲の中心窩の低反射帯は錐体がアポトーシスを起こした後の空胞あるいは変性産物である可能性がある。
・Adaptive Optic像では中心窩は正常者よりも暗く、密度が低くなっており、視細胞モザイクが崩壊していることが分かってきた。
・症例の選択には、Blue Cone Monochromacyを除外診断し、ERGではphotopic反応がなく、正常なscotopic反応を呈する典型的なパターン、パネルD15では症例1が2個のエラー、症例2がエラーなしであったのを除き、全例、全色盲のパターンであった。
・全例、CNGB3,CNGA3,GNAT2の対立遺伝子変異を確認した。
・経過観察中に全例、視力変化はみられなかった。

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