The course of uveitis in pregnancy and postpartum
Nathalie PY Chiam et al (Australia)
Br J Ophthalmol 97(10):1284-1288, 2013
・47例の非感染性ぶどう膜炎の病型・解剖学的な病変部位・子供の性別・母乳保育の状態・投薬状況・周産期のぶどう膜炎の活動性悪化(flare-up)をレトロスペクティブに調査
Flare-up: standardization of uveitis nomenclature (SUN) criteria
Two-step or greater increase in anterior cell count or vitreous haze
The worsening or development of other inflammatory features
(eg, CME, retinitis,choroiditis)
・診断時平均年齢:24.6±8.0歳(6-38歳)
・14例(26%)は2回の妊娠、2例(4%)は3回の妊娠を含む
・観察期間
妊娠前:11.2±2.4M(3.0-12.0)
妊娠中:8.6±1.4M(3.0-9.0)
妊娠後:10.0±2.8M(12.0-33.0)
・病型
原発性 21例(45%)、HLA-B27 11例(23%)
その他 15例(23%)
Juvenile Idiopathic arthritis 5例
Fuch’s heterochromic uveitis 3例
Multifocal chorioretinitis 3例
Behcet disease 2例
Sarcoidosis 2例
・Rate of flare-up (per person year)は妊娠前、妊娠初期と比べ、妊娠中期・後期で有意に減少した。出産後は妊娠前と有意差無まで増加した
・病型別に分けて検討しても同様のパターンであった
統計学的に有意差あり:Idiopathic uveitis (p=0.001)とOther subgroups (p=0.007)
HLA-B27 positiveグループは p=0.114で有意差はなかった
・病因、解剖学的な活動部位、投薬の有無、子供の性別、通院回数はどれも妊娠前、妊娠中、出産後のflare-up rateとは関係がなかった
・妊娠中にエストロゲンとプロゲステロンの上昇がTh1関連免疫を抑制し、Th2関連の免疫反応を活性化させる。そのため、妊娠中には関節リウマチのようなTh1関連自己免疫性疾患は軽快し、SLEのようなTh2関連自己免疫疾患は悪化する。
・母体循環では、regulatory T cellは胎児への免疫寛容と感染への自己免疫の間で表現型の変化が生じる。このような免疫修飾が母体の自己免疫状態に影響を与えていると考えられる。妊娠中の自己免疫システムの変化には様々な要素が関係しているようだ。
・この研究では妊娠初期には変化はなく、中期以降に活動性が減少していることが分かった。
・多くの非感染性のぶどう膜炎はTh1による病気だといえる。
・出産後1-2か月で妊娠に伴う変化が元に戻る。
・妊娠中にぶどう膜炎の活動性が低下することで、妊婦への投薬減少、胎児へのリスク減少につながるし、出産後にぶどう膜炎が再燃することに対して、重点的なケアが可能となる(MM)