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British Journal of Ophthalmology

2013
97巻

Acute macular neuroretinopathy(AMNR)のような所見となった外傷性網膜症

British Journal of Ophthalmology 97巻(10号)2013

Traumatic retinopathy presenting as acute macular neuroretinopathy
Martin M Nentwich et al (Germany)
Br J Ophthalmol 97(10): 1268-1272, 2013

・AMNR: 1975年に BosとDeutmanが報告した稀な疾患で、感冒様前駆症状が多くの症例であり、黄斑病変はしばしば非対称両側性の傍中心暗点をきたす楔形の暗い黄斑病変
のちのOCTの出現によってIS/OS接合部の異常と判明
・Red freeによってAMNRを疑って注意深く観察しないとしばしば見落とす
・1997年にGilliesらがindirect trauma後のAMNR様症例を4眼報告(OCTなし)
・症例1:68歳男性 交通事故 両脛骨骨折 意識消失や眼外傷はないが左眼の視力低下と傍中心暗点自覚 事故後11日目視力(0.03)、傍中心暗点、IR-SLOでdark, wedge-shaped defect、同部位にSD-OCTでIS/OSラインの乱れ、視細胞外節レベルの欠損と外顆粒層(ONL)の輝度亢進。FAGでは明らかな異常所見無。1年後には視力(1.0)まで回復、IS/OSも部分的に回復したが、暗点は持続。32か月後、ONLレベルの網膜の菲薄化がわずかにあるのみ。56か月後電話連絡では傍中心暗点は変わらず存在。
・症例2:48歳女性 交通事故後右眼に暗点自覚 視力(0.1) 眼底は小さな黄斑部傍中心の出血 FAGは明らかな異常所見無 IR-SLO SD-OCTで症例1と同等の所見 22日後には視力(1.0)に回復
・症例3:21歳女性 交通事故後左眼に暗点に変化した白点を自覚 IR-SLOのDark areaの部位と一致 右眼にもごく軽度のAMNRと暗点を認めた 視力は両眼とも(1.0) FAGは明らかな血管異常所見無 多局所ERGでは非対称性の左中心部振幅減弱 13か月後暗点は持続、Dark Lesionは消失 13年後電話連絡では暗点自覚
・症例4・症例5:上記症例同様交通外傷後暗点自覚 IR-SLOでDark area 多局所ERGで振幅減弱
・非直達外傷後の黄斑部変化はバルサルバ網膜症のように局所の血流不足、脂肪塞栓症で見られるようにな血管ダメージ、および血管の変化はなく急性の後部硝子体剥離によるものがある
・Gilliesらは非直達外傷後のAMNR類似網膜症について初めて報告 事故に伴い急激な胸郭圧が上昇し血管内圧が急上昇することで、網膜血管柵の破たんを生じると示唆した。血管外液が急激に除去されることで網膜の構造的異常が持続する。
・IR-SLOでDark areaとなった部位はMuller細胞の障害を示している
・SD-OCTではIS/OSの乱れと視細胞外節レベルの欠損を示し、非外傷性AMNRでも見られる。ONLの高輝度はMuller細胞のグリオーシスの反応を示している。網膜外層の菲薄化は日外傷性AMNRでも認められ、視細胞のロスを反映していると思われる
・多局所ERGの振幅低下もAMNRで認められる。
・非直達性外傷もAMNRの原因となりうる(MM)

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