Effect of intravitreal triamcinolone acetonide injection at the end of vitrectomy for vitreous haemorrhage related to proliferative diabetic retinopathy
Yoshihiro Takamura, et al. (福井大学)
Br J Ophthalmol 2018(9):1351-1357.
目的:硝子体切除術(VIT)と組み合わせたトリアムシノロンアセトニド硝子体内注射(IVTA)は、増殖糖尿病網膜症(PDR)による硝子体出血(VH)患者の術後炎症を予防するかどうかを調べた。
対象と方法:PDRによるVHと診断された患者のVIT終了時に、IVTAを伴うIVTA + VIT群または伴わないVIT群に分けた。IVTA + VIT群では、手術終了時に30ゲージ針を通してTA 0.1 ml(4 mg)を硝子体腔に注射した。
術前および術後3日、1週間、1、3、6ヶ月目に前房フレア強度(AFI)、中心網膜厚(CRT)、最高矯正視力(BCVA)および眼圧(IOP)を測定し比較検討した。
結果:6か月以上経過観察できたのはVIT + IVTA群41眼、VIT群40眼。
前方フレア強度(AFI)は両群とも3日目に急激に増加し、その後徐々に減少した。 3日目(P = 0.033)、1週間(P = 0.019)および1ヶ月(P = 0.037)で、VIT群よりもIVTA + VIT群において有意に低かった。
BCVAは両群とも術後3日目以降に改善し、最終BCVAはVIT群とIVTA + VIT群でそれぞれ0.195±0.048logMARと0.251±0.059logMARであった。
レーザーショット数は、VIT群で術後1週間目のAFIと有意に相関していた(P = 0.024)。一方、IVTA + VIT群では相関は認められなかった。
術後3日目の平均CRT値はVIT群とVIT + IVTA群でそれぞれ328±19μmと330±14μm。両群ともCRTは徐々に減少し、ベースラインからの差は手術後6ヶ月目で有意になった。 3日目に>350μmと測定された黄斑浮腫患者の割合は、VIT群とVIT + IVTA群でそれぞれ42.5%(17/40)と43.9%(18/41)であった。これらの症例では、術後1ヵ月目のCRTはVIT群よりもIVTA + VIT群の方が有意に低かった(P = 0.041)。
観察期間を通して、群間でBCVAおよびIOPに有意差はなかった。
結論:IVTAと硝子体切除術の併用はCRTの減少に寄与する可能性があるが、その効果は手術後の初期段階では限られているようである。(CH)