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British Journal of Ophthalmology

2023
107巻

高脂血症治療薬と緑内障発症との関連

British Journal of Ophthalmology 107巻(1号)2023

Association between statin use and the risks of glaucoma in Australia: a 10-year cohort study.
Yuan Y et al(Australia)
Brit J Ophthalmol 107(1): 66-71, 2023
・45歳以上のオーストラリア人で、長期間のスタチン使用が緑内障発症に影響するかどうかを検討した。
・スタチンの使用については、2009-2016年の薬剤領収書から同定し、緑内障の発症については、少なくとも3回抗緑内障薬の領収書から同定した。
・以下の症例は緑内障発症群から除外した。①2009年以前から緑内障薬の処方があったもの、②2004~2016の間に1枚あるいは2枚の緑内障薬の処方があったもの(緑内障疑い者)、③3枚以上の緑内障薬の処方があったものでも、Ctrl群が取れなかったもの。
・年齢、性、心血管疾患をマッチさせた緑内障薬の未使用者をCtrlとした。
・緑内障発症は、経過観察期間中に緑内障薬が処方された時とした。
・スタチン内服者の率は緑内障発症群ではCtrl群より多く(40.5%:38.4% p<0.001)、高血圧治療薬内服率も緑内障発症群ではCtrl群より多かった(46.9%:45.5 % p=0.04)。
・スタチンの使用と緑内障の発症との関連はなかった(OR=1.04 95%CI= 0.97-1.11)。
・しかし、スタチン服用が3年を越す群と1年未満群とを比較すると、長期間群での発症率は有意に高かった(OR=1.12 95%CI= 1.04-1.21)。
・スタチンの種類ではロスバスタチン(クレストール)服用者がCtrl群よりも緑内障発症率が高かったが(OR=1.11 95%CI= 1.01-1.22)、他のスタチンでは有意差はなかった。
・スタチンと緑内障発症との関連は不明だが、神経保護作用をもつCoenzyme Q10の濃度低下が影響している可能性なども考えられる。
・ロスバスタチンについては、このCoenzyme Q10濃度低下に対する効果が強いことや、ロスバスタチン内服者は元来、血中コレステロール値が高いことなども考えられるが、詳細は不明である(TY)

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