Effect of herpes simplex keratitis scar location on bilateral corneal nerve alterations: an in vivo confocal microscopy study
Chareenun Chirapapaisan,et al.( Thailand)
Br J Ophthalmol. 2022 Mar;106(3):319-325.
・目的:生体レーザー共焦点顕微鏡法 (IVCM) を使用して、単純ヘルペスウイルスが原因の瘢痕位置が両側角膜上皮下神経叢に及ぼす影響を評価すること。
・対象と方法:片側単純ヘルペスウイルスが原因の角膜瘢痕がある39人39眼(研究グループ)と、年齢と性別が一致した24人24眼の健康なボランティア(コントロールグループ)。
・研究グループ (39眼) は、角膜瘢痕の位置に基づいてさらに 2 つのサブグループに分けられた。角膜瘢痕の位置が角膜の中央 5 mm ゾーン内にある場合は中央瘢痕 (CS 21眼)、それより外側は周辺瘢痕とした(PS 18眼)。複数の瘢痕のある患者は除外された。
・結果:研究グループの神経密度は、中心角膜 および周辺角膜 (9.13±0.98 and 6.26±0.53 mm/mm2, p<0.001) で、コントロールグループ(22.60±0.77 and 9.88±0.49 mm/mm2)より有意に減少していた。同様に、研究グループの健眼もコントロールグループと比較して、中心部 (17.63±0.91 mm/mm2、p=0.002) および周辺部 (8.36±0.45 mm/mm2、p=0.016) で有意な神経損失を示した。
・CS 眼では中心角膜 (8.09±1.30 mm/mm2)および角膜周辺全体(5.15±0.62 mm/mm2)の両方でコントロールグループと比較し有意に神経密度が減少していた。 (p<0.001)。
・PS眼では中心角膜 (10.34±1.48 mm/mm2, p<0.001)および周辺角膜の瘢痕が認められた側のみ(4.22±0.77 mm/mm2, p<0.001) 神経密度が減少していた。
・研究グループの健眼の神経密度は、CS 眼では中心角膜で減少したが(16.88 ±1.27 mm/mm2、p=0.004)が減少したが、周辺は減少しなかった。PS 眼では患側の瘢痕場所を反映する部分のみ減少が認められたが(7.20±0.87 mm/mm2、p=0.032)、中央は減少しなかった。
・角膜知覚は患眼の角膜全体で低下していた。健眼は低下していなかった。
・結論: HSV が原因の角膜瘢痕を有する患者は、両側角膜上皮下神経密度の減少を示した。そのため、両眼の神経栄養性角膜症が発生する可能性が高くなり、注意する必要がある。
・両眼に影響するのは、第一に神経系の中枢調節が健眼の神経ダウンレギュレーションを開始する可能性、第二に三叉神経脊髄路は一度脊髄まで下降して左右交差してから再度上行することから、HSV が罹患した眼から対側の眼に直接拡散する可能性考えられる。(CH)