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British Journal of Ophthalmology

2024
-巻

OCTの黄斑部鼻側/耳側厚比を用いた緑内障と視交叉圧迫病変の鑑別

British Journal of Ophthalmology -巻(-号)2024

Differentiating glaucoma from chiasmal compression using optical coherence tomography: the macular naso-temporal ratio
Iris Kleerekooper et al. Br J of Ophthalmol impress, 2024 (UK)
・OCTの黄斑部GCL-IPL厚(mGCIPL)を調べ、鼻側と耳側mGCIPL比(the macular naso-temporal ratio:mNTR)を求め、緑内障と視交叉圧迫病変の鑑別精度を求めた。
・Heidelberg Spectralis SD-OCT Macular volume scans(1024 A-scans, 37 B-scans volume=15×15°)
・Microsystic macular oedema(MMO)の検出も行った。
・結果:視交叉圧迫病変 31例、POAG 30例、正常 50例の111例
・全体のmGCIPL厚はPOAG-視交叉圧迫群間で有意差がなかったが、正常眼と比べ、POAGではmNTRが有意に高く、視交叉圧迫病変では有意に低かった。
(どちらもGCIPLの萎縮が見られるが、POAGでは耳側優位、視交叉圧迫病変では鼻側優位に萎縮が生じる)
・視交叉圧迫病変と緑内障の鑑別能はAUC 95.3%(95%CI 95-100%)
・平均mNTRのカットオフ値を<0.99とすると感度84%、特異度100%
・正常との鑑別は POAG 79%, 視交叉圧迫病変 89%であった
・視交叉圧迫病変:カットオフ値を<0.96とすると感度77%、特異度100% 
・緑内障:カットオフ値を>1.06とすると感度60%、特異度88% 
・mGCIPL厚のカットオフ値を<309μmとすると感度89%、特異度89%で正常と視交叉圧迫病変・緑内障の鑑別
・結論:mNTRはPOAGと視交叉圧迫病変の鑑別が高い精度で可能であった
Microsystic macular oedema(MMO)は視交叉圧迫病変の10%程度で認め、緑内障では通常認めない。認めた場合は頭蓋内精査必要。(MM)

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