眼科JOURNALトップ > British Journal of Ophthalmology > SARS-CoV-2ワクチン接種後のワクチン関連角膜移植片拒絶反応

British Journal of Ophthalmology

2024
108巻

SARS-CoV-2ワクチン接種後のワクチン関連角膜移植片拒絶反応

British Journal of Ophthalmology 108巻(1号)2024

Vaccine-associated corneal graft rejection following SARS-CoV-2 vaccination: a CDC-VAERS database analysis
Rohan Bir Singh, et al. (Massachusetts, USA)
Br J Ophthalmol 2024(1);108:17–22.
・目的:米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)のワクチン有害事象報告システム(Vaccine Adverse Event Reporting System)に報告されたSARS-CoV-2ワクチン接種後の角膜移植片拒絶反応の症例を評価する。
・対象と方法:ワクチン接種後のワクチン関連移植片拒絶反応(VAR)発症期間、ワクチンの種類、および角膜移植の種類における VAR のリスクを評価した。
・結果:46 例 55 眼(平均年齢62.76±15.83 歳、男性27例、女性28 例)が、BNT162b2ファイザー(73.91%)および mRNA-1273モデルナ(26.09%)のワクチン接種後に VAR と診断された。全層角膜移植術(61.82%)、デスメ膜内角膜内皮植術DMEK(12.73%)、角膜内皮移植術DSAEK(18.18%)、角膜表層移植術(3.64%)、角膜上皮幹細胞移植 (1.82%)。
・全層角膜移植術および角膜内皮移植術後(DMEK、DSAEK)のVAR発症平均期間は、それぞれ8.42±9.23年、4.18±4.40年。VAR発症例の45.65%はワクチン2回目接種後に報告された。
・VARの発症期間は、初回接種およびブースター接種と比較して2回目接種後が有意に短く(p=0.0165)、全層角膜移植術と比較して角膜内皮移植術を受けた患者で有意に短かった(p=0.041)。
・結論: VAR の早期発症は、角膜内皮移植の既往歴があり、2 回目のワクチン接種後の患者で認められた。
・ワクチン接種後の角膜移植片拒絶反応は、ウイルス抗原特異的T細胞と角膜内皮細胞のヒト白血球抗原との交差反応によって起こると推測されている。
・さらに、SARS-CoV-2ワクチンに反応して産生された中和抗体は、強力なCD4+ Th1反応を引き起こすことが示されている。
・報告された VAR 症例の多くは、1 回目の接種後よりも 2 回目の接種後であり、これはワクチンの 1 回目の接種後に抗原感作が起こり、免疫反応が促進されたためと考えられる
・SARS-CoV-2ワクチン接種後の移植片拒絶反応についてこれらの患者を注意深く経過観察する必要がある。(CH)

過去のアーカイブ