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British Journal of Ophthalmology

2023
107巻

脂質低下薬および抗糖尿病薬と加齢黄斑変性との関連

British Journal of Ophthalmology 107巻(11号)2023

Association of lipid-lowering drugs and antidiabetic drugs with age-related macular degeneration
Matthias M Mauschitz, et al. (Germany)
Br J Ophthalmol 2023(11);107:1880–1886.
・目的:これまでの研究で、加齢黄斑変性(AMD)とさまざまな全身薬との関係が調査されており、脂質低下薬(LLD)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、炎症と酸化ストレスを軽減する可能性のある抗糖尿病薬(特にメトホルミン)はAMDの発症に影響がある経路を妨害すると考えられている。
・薬剤の使用とAMDの存在との間の関連性を調査した。
・対象と方法:欧州眼疫学コンソーシアムの14集団ベースおよび病院ベースの研究から38,694人の成人を対象とした。
・全身薬の使用とAMD有病率および晩期AMDとの関連を検討した。
・結果: 研究間の平均年齢は61.5±7.1~82.6±3.8歳、有病率はAMDが12.1~64.5%、晩期AMDが0.5~35.5%であった。
・脂質低下薬(LLD)および抗糖尿病薬は、AMDの有病率の低下と関連していた(OR 0.85、95% CI=0.79~0.91およびOR 0.78、95% CI=0.66~0.91)。 晩期AMDはどの薬剤とも関連性は認められなかった。
・結論: メトホルミンは、抗酸化作用と抗炎症作用があり、AMD の病態生理の重要な部分である RPE 内の酸化ストレスを軽減すると考えられている。
・またLLDは低密度リポタンパク質およびコレステロールの血清レベルを低下させることとは別に抗炎症作用および抗酸化作用、血管内皮改善作用があり、AMD の発症にも関与していることが報告されている。
・LLDと抗糖尿病薬の使用がAMD有病率に有益な影響を及ぼす可能性が示された。
・この発見は、AMDの多因子病因における代謝プロセスの重要性を裏付けている。(CH)

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