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British Journal of Ophthalmology

2024
108巻

ベバシズマブ硝子体内投与はトラベクレクトミー後12ヵ月の生存率を改善する

British Journal of Ophthalmology 108巻(8号)2024

Intravitreal bevacizumab improves trabeculectomy survival at 12 months: the bevacizumab in trabeculectomy study—a randomised clinical trial
Landers JA, et al. (Australia)
Br J Ophthalmol 2024(8);108:679–686.
目的:ベバシズマブ(アバスチン)の術中投与が、マイトマイシンC(MMC)併用トラベクレクトミー後の手術成功率に及ぼす影響を評価する。
対象と方法:緑内障の進行によりMMC併用トラベクレクトミーが必要な患者を対象とした。患者はベバシズマブ硝子体内注射とプラセボに無作為に割り付けられた。治療成功の主要評価項目は、緑内障点眼薬を必要とせずに眼圧があらかじめ設定された目標眼圧以下に維持された場合を「完全成功」、あらかじめ設定された目標眼圧維持するために緑内障点眼薬を必要とした場合を「条件付きの成功」と定義した。
患者はトラベクレクトミー手術(MMC 0.04%は、低リスク症例には2分間、高リスク症例には3分間使用)終了後、ベバシズマブ(アバスチン;0.05mL中1.25mg)またはBSSのいずれかの硝子体内注射を施行した。術後は、クロラムフェニコール点眼1日4回1週間、デキサメタゾン1%点眼を2時間毎1週間、その後1日4回3ヵ月間点眼した。
結果 ベバシズマブ群(65例)とプラセボ群(66例)に無作為に割り付けられた131例。12ヵ月後の成功率はベバシズマブ群で高かった(完全成功:ベバシズマブ群 94% vsプラセボ 83%、p=0.015、条件付きの成功:ベバシズマブ群98%対プラセボ群90%;p=0.033)。プラセボ群では緑内障点眼使用率が高く、6ヵ月後(p=0.045)および12ヵ月後(p=0.045)、1ヵ月後の時点でblebのneedlingの必要性が高かった(p=0.035)。ベバシズマブ群では、1 ヵ月後にはblebが大きくなり (p<0.001)、血管の炎症も少なかった (p<0.0001)。
術後 BCVA は最初の 12ヶ月間で変化せず、群間でも差はなかった (1ヶ月 p=0.41、3ヶ月 p=0.61、6ヶ月 p=0.13、12ヶ月、p=0.37)。低眼圧黄斑症の発生率 (p=0.65) や低眼圧に対する治療の必要性 (p=0.40) にも差はなかった。
結論 :ベバシズマブは創傷治癒の線維増殖期を中断する。この効果は、テノン嚢と結膜での肥厚が少なくなり、水分拡散に対する抵抗が少なくなると考えられる。以前の研究では、ベバシズマブによって無血管ブレブまたはテノン嚢胞の発生率が高くなる可能性があるという懸念が提起されているが、今回の研究では無血管ブレブの発生率は両群で有意差はなかった。目標眼圧を達成するための点眼追加や追加手術の必要性が大幅に減少することが実証された。(CH)

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