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British Journal of Ophthalmology

2012
96巻

緑内障患者の不安とうつ病に対する危険因子

British Journal of Ophthalmology 96巻 (6号) 2012

Risk factors for anxiety and depression in patients with glaucoma
Mabuchi F et al.(山梨大)
Br J Ophthalmology 96:821-825,2012
・緑内障患者における不安とうつ病に対する危険因子を評価する。
・緑内障患者408人(POAG318人、XFG43人、PACG32人とSG15人)、平均年齢は66.2±11.8歳、男性194人と女性214人
・身体的に病気の患者で最もよくある2つの心理的障害(不安とうつ病)を識別し数量化するためにHADS(the hospital anxiety and depression scale)を使用した。
HADS -不安(HADS -A)とHADS -うつ病(HADS -D)は7つの項目があり、0〜3で採点されてそれぞれの最小合計スコアは0、最大限は21。より高いスコアはより高いレベルのうつと不安を示している。
・年齢とHADS -A(P= 0.0007)に関係があった。これは、若い緑内障患者が高齢の患者と比較していっそう不安である傾向があることを示す。
・良い方の眼のHFA30-2MD値とHADS -D(P= 0.0026)と関係があった。視機能を維持することについて、いっそう不安であったかもしれない。
・医者と共同医療スタッフが緑内障患者の不安とうつ病のリスク要因に気付いて、そして不安とうつ病を引き起こすのを阻止するため眼科的ケアと同様、適切な心のケアを緑内障患者に提供することは不可欠である。(CH)

2012
96巻

糖尿病網膜症での網膜周辺部の虚血の検討

British Journal of Ophthalmology 96巻 (5号) 2012

Peripheral retinal ischaemia, as evaluated by ultra-widefield fluoerscein angiography, is associated with diabetic macular oedema.
Wessel MM et al(NY USA)
Brit J Ophthalmol 96(5): 694-8, 2012
・70例122眼の未治療の糖尿病網膜症者で、Optos 200Txを用いた超広角蛍光眼底検査での網膜虚血と黄斑浮腫の存在との関連を検討した。
・76眼(62%)で網膜虚血がみられ、DMEの存在と周辺網膜虚血の存在とは有意に相関があった(p<0.001)。
・網膜虚血のある患者では、ない患者に比較してDMEを持っている頻度が3.75倍であった(95%CI=1.26-11.13 p<0.02)。

2012
96巻

NTGにおける視神経クモ膜下腔灌流

British Journal of Ophthalmology 96巻 (4号) 2012

Cerebrospinal fluid exchange in the optic nerve in normal-tension glaucoma.
Killer HE et al(MD USA)
Brit J Ophthalmol 96(4): 544-8, 2012
・正常眼圧緑内障(NTG)では脳脊髄液(CSF)圧が低く、眼圧と視神経ONのクモ膜下腔(SAS)との篩板前後圧勾配が大きい事が軸索の死亡に関与すると考えられており、NTGではPOAGよりも頭蓋内圧(ICP)が低く、高眼圧症ではICPが正常者よりも高いことも報告されている。
・今回は、頭蓋内と視神経のクモ膜下腔(SAS)との間でのCSFの交換について、NTGとコントロールとの間に差があるかどうかを検討した。
・18名のNTG(男11、女7、64.9±8.9歳)と4名の正常者(62.8±18.4歳)で脳、眼窩のCT撮影を大槽造影法cisternographyと一緒に行った。
・脊髄穿刺を行い、圧が20cm水柱以下であることを確認後、10mlの造影剤を髄腔内に注入し、頭蓋内腔とON周囲のSAS内の造影剤濃度を測定した(単位はHU)。
・正常者ではON周囲のSAS内の濃度は529±286HU、視交差部の槽内濃度は531±208HUであったが、NTGではON周囲のSAS内濃度は144±88HUと有意に低かったが、槽内濃度は566±166HUで有意差がなかった。
・このことは、NTGでは基底槽とON周囲のSAS間のCSFの交換が低下しており、ON周囲のCSFのturnoverが減少していると考えられる。
・これは髄膜上皮細胞MECの数や体積が増え、ON周囲のSASを狭くし、CSFの流れに対する抵抗を増やしていることによるかもしれない。

2012
96巻

糖尿病網膜症における網膜血管内酸素飽和度

British Journal of Ophthalmology 96巻 (4号) 2012

Retinal oxygen saturation is altered in diabetic retinopathy.
Hardarson SH et al(Iceland)
Brit J Ophthalmol 96(4): 560-3, 2012
・網膜血管の酸素飽和度が糖尿病者と正常者で異なるかどうかを検討した。
・眼底カメラに取り付けた測定装置で586nmと605nmの色光の吸収度を測定することで、網膜酸素濃度を調べた。
・正常者では動脈は93±4、静脈では58±6%であったが、DM者では動脈が101±5、静脈が68±7であり、いずれも有意に高かったが(p<0.001)、動静脈差には有意差がなかった(p=0.53)。
・これは、毛細血管のnon-perfusionや短絡、毛細血管壁の肥厚、糖尿病者での糖化されたヘモグロビンの酸素への親和性の高さが影響しているだろう。
・糖尿病では網膜組織の一部は酸素不足に陥っているのに、大血管では酸素飽和度が高いことがわかった。

2012
96巻

虹彩腫瘍の侵襲の少ない生検法

British Journal of Ophthalmology 96巻 (3号) 2012

Trans-corneal fine cannula aspiration: Rycroft cannula aspiration technique for sampling iris tumours.
Matthews BJ et al(UK)
Brit J Ophthalmol 96(3): 329-31, 2012
・25GのRycroft cannulaを用いた、経角膜吸引での虹彩腫瘍の生体検査方法の有効性について述べた。
・前房穿刺後、前房虚脱が発生しないように粘弾物質を注入し、生検を行った。
・12例全例で組織検査が可能であり、10例が虹彩メラノーマと診断された。

2012
96巻

コーツ病に対するbevacizumabの効果と副作用

British Journal of Ophthalmology 96巻 (3号) 2012

Bevacizumab for Coats’ disease with exudative retinal detachment and risk of vitreoretinal traction.
Ramasubramanian A et al(PA USA)
Brit J Ophthalmol 96(3): 356-9, 2012
・Coats病で、全あるいは部分網膜剥離があり、網膜血管拡張部は通常の光凝固 and/or 冷凍凝固と硝子体内bevacizumab(1.25mg/0.05ml)を行った8症例を検討した。
・平均年齢は88カ月(7-240)で、5名は男児で、stageは2(1例)、3a(3例)、3b(4例)である。
・全例に網膜剥離(平均8時間分)があり、FAGでの周辺網膜虚血が7例、血管新生は0例である。
・治療は冷凍凝固が8例、光凝固が4例、bevacizumabが8例(注射回数の中間値は1回:平均1.75回:1-4回)で、平均経過観察期間は8.5ヶ月、全例で網膜症の軽快があり、全例で網膜下液の軽快、6例で網膜滲出の軽快がみられた。
・しかし、Bevacizumab注射後、平均5ヶ月後、平均1.75回の注射後に、硝子体線維化が4例で発生し、3例では牽引性網膜剥離に進展した。
・Bevacizumabを使用しない場合には、通常、この様な牽引性変化は見られないので、注意が必要。

2012
96巻

眼窩眼瞼の血管腫に対するプロプラノロールの効果

British Journal of Ophthalmology 96巻 (3号) 2012

Efficacy of systemic propranolol for severe infantile haemangioma of the orbit and eyelid: a case study of eight patients.
Thoumazet F et al(France)
Brit J Ophthalmol 96(3): 370-4, 2012
・眼科の重症な毛細血管腫8例に対してプロプラノロール内服を投与しその効果を調べた。
・propranololはアドレナリン作動性β1受容体とβ2受容体を遮断する降圧剤で、狭心症や頻脈治療にも使用される。
・3例は眼窩血管腫が生命にかかわる程度に強く、最初に全身的ステロイドとβ遮断剤で治療。
・5例はpropranololだけで治療した。全例1日当たり2mg/体重kgのpropranololを投与した。
・治療開始年齢は2-36ヶ月で、投与期間は3-10ヶ月、経過観察期間は6-30ヶ月。
・効果が十分あり、第1選択として使うのが良いと考えた。

2012
96巻

静脈閉塞症に対する抗VEGF治療時の黄斑浮腫への考慮

British Journal of Ophthalmology 96巻 (2号) 2012

Macular ischaemia: a contraindication for anti-VEGF treatment in retinal vascular disease?
Manousaridis K et al(UK)
Brit J Ophthalmol 96(2): 179-84, 2012
・VEGFを阻害することは、理論上は網膜の完全性に対して有害である可能性がある。
・黄斑浮腫と黄斑虚血が混在する患者は多数おり、どちらが、どの程度、視力障害に関与しているかを決めることは困難である。
・殊に基礎に虚血がある患者、あるいは抗VEGF剤が頻回投与された患者では、長期的にみれば黄斑虚血を悪化させている可能性がある。
・黄斑虚血のある患者で、抗VEGF剤を長期間投与するかどうかの判定には、黄斑厚測定だけでは不十分で、FA眼底検査を繰り返す必要があるだろう

2012
96巻

高度近視性の黄斑円孔治療に対する網膜分離の影響

British Journal of Ophthalmology 96巻 (2号) 2012

Retinoschisis: a predictive factor in vitrectomy for macular holes without retinal detachiment in highly myopic eyes.
Jo Y et al(大阪大)
Brit J Ophthalmol 96(2): 197-200, 2012
・高度近視性の黄斑円孔(HMMHs)に対する硝子体手術を行った22眼で、網膜分離を伴った10眼と、網膜分離のない12眼とで予後を比較した。
・網膜分離群は年齢が有意に高く(66.7±7.1:57.4±4.2 p<0.01)、術前logMAR値が悪く(0.81±0.21:0.55±0.31 p<0.05)、後部ぶどう腫が大きかった(1639±396:1129±295μm p<0.05)。
・術前の最高視力と網膜分離症の有無は有意に術後最高視力と相関していた(それぞれ、p<0.01 p=0.01)。

2012
96巻

手術室で硝子体注射を行う利点はあるか?

British Journal of Ophthalmology 96巻 (2号) 2012

Intravitreal injections: is there benefit for a theatre setting?
Abell RG, Vote BJ, et al.(Australia)
Br J Ophthalmol 96(2):1474–1478, 2012
・硝子体注射を行うにあたって外来の専用部屋(クリーンルーム)と手術室での眼内炎の発症率を比較
・2006年3月-2012年3月、同一術者がranibizumabまたはbevasizumabの硝子体注入を行った12,249眼
(2006~2008は全て手術室、その後は外来にクリーンルームが作られ33%が外来、67%が手術室)
・外来の注射専用部屋;手術室の環境に近づけ標準ガイドラインを超える環境;天井高2m以上、表面ビニール、層状・ハイフローではないが高効率の空気フィルター、部屋には4人以上入らない、手術室に順じたチェックポイントなど
・外来で施行した3,376眼のうち4眼で眼内炎発症、手術室で施行した8873眼には眼内炎発症せず(p=0.006)
【結論】硝子体注射を行うには手術室の環境が適しており、有意に感染性眼内炎の発症が少なかった(MK)

2012
96巻

裂孔原性網膜剥離の他眼の疫学調査結果

British Journal of Ophthalmology 96巻 (1号) 2012

The fellow eye in retinal detachment: findings from the Scottish Retinal Detachment Study.
Mitry D et al(UK)
Brit J Ophthalmol 96(1): 110-3, 2012
・Scottish Retinal Detachment Studyとして、2年間のScotland全体の初発の裂孔原性網膜剥離RRDの全例1202例と、1130眼(94%)の他眼の臨床所見を調べた疫学調査である。
・8.4%(95/1130)の他眼に網膜全層裂孔があり、格子様変性は14.5%(164/1130)にみられた。
・13%(148/1130)の他眼の最良視力は6/18以下であり、その原因の2位は以前に存在したRRDであった。
・7.3%(88/1202)は両眼にRRDがあり、そのうちの約60%は黄斑部が剥離する前に見つかっていた。
・両眼のRRDと片眼のRRDとの比較では、黄斑部ON率は、62.8%:40.2%、偽水晶体眼率は、40.0%:20.1%であった。

2011
95巻

糖尿病患者と緑内障発症との関連

British Journal of Ophthalmology 95巻 (12号) 2011

Diabetes: a risk factor for glaucoma?
Primus S et al(IN USA)
Brit J Ophthalmol 95(12): 1621-2, 2011
・2020年には全米で、緑内障患者は330万人、糖尿病患者は720万人に達し、DMのうち、45%近くが網膜症を発症すると推計されている。
・球後や網膜微小循環の異常は糖尿病と緑内障の両者にみられる。
・一酸化窒素(NO)とエンドセリン-1(ET-1)の影響が考えられている。
・NOは血管平滑筋拡張を来たす。低NOは血管収縮を来たすが、異常に高いNOは網膜神経毒となる。
・DMでの高血糖はNO産生を抑制するとともに血管平滑筋細胞のNOに対する感受性を低下させ、血管収縮を来たす。
・OAG患者はNOの血中濃度が異常であるとの報告もある。
・また、内皮のNO生成酵素のいくつかの遺伝子多型は緑内障発症のリスクを上昇させることに関連し、緑内障病態におけるNOの機構的な重要性を示している。
・NOと反対に血管収縮を来たすET-1は、緑内障患者の前房水中に高濃度であることが分かっている。
・NOとET-1の緑内障とDMにおける役割は両疾患の血管機能不全における潜在的な機構である可能性がある。

2011
95巻

弱視者の黄斑部厚は薄くなっているか

British Journal of Ophthalmology 95巻 (12号) 2011

Analysis of spectral-domain optical coherence tomography measurements in amblyopia: a pilot study.
Park KA et al(Korea)
Brit J Ophthalmol 95(12): 1700-6, 2011
・20名の片眼弱視の黄斑部の水平、垂直断をとり、網膜厚を測定した。
・中心窩、黄斑部内部(上下鼻耳側の490と500μmの平均値)、黄斑部外部(上下鼻耳側の1490と1500μmの平均値)を測定し、健眼の同部位と比較した。
・弱視眼では神経節細胞層+内網状層が、鼻耳側では黄斑部内外部とも、上下側では黄斑部外部で、有意に薄かった。
・網膜の他の層(神経線維層、内顆粒層、外網状層、外顆粒層)でも、いくつかの網膜部位で有意差があった。
・この仕事では、両眼の屈折度差が1.5D未満の症例を集めたためか、黄斑部厚には弱視眼と健眼とには有意差は見られなかった。

2011
95巻

OCT測定時の頭部傾斜に対する注意

British Journal of Ophthalmology 95巻 (11号) 2011

The effect of head tilt on the measurements of retinal nerve fibre layer and macular thickness by spectral-domain optical coherence tomography.
Hwang YH et al(Korea)
Brit J Ophthalmol 95(11): 1547-51, 2011
・30名の若い健常者の右眼で、OCTを用いてRNFLと黄斑厚を測定した。
・測定は頭をまっすぐにした時と、頭を右傾斜ならびに左に傾斜させて行った(測定時には視神経乳頭の回転は平均で8度から9度)。
・RNFLは上方50度、下方200度当たりが一番厚いが、頭傾斜によって測定値がずれるため、結果の評価に注意が必要である。

2011
95巻

細菌性眼内炎に対するステロイド硝子体内注入の効果

British Journal of Ophthalmology 95巻 (10号) 2011

Adjunctive use of intravitreal dexzmethasone in presumed bacterial endophthalmitis: a randomised trial.
Albrecht E et al(South Africa)
Brit J Ophthalmol 95(10): 1385-8, 2011
・細菌性眼内炎に対し、硝子体内dexamethason注射の追加治療が有効かどうかを検討した。
・対象は白内障術後眼内炎(32例)、瀘過泡関連眼内炎(13例)、その他の眼内炎(17例)で、硝子体内へceftazidime (2.225mg/0.1ml)、vancomycin (1mg/0.1ml)と、dexamethason (0.4mg/0.1ml:30例)あるいはプラセボー注射(32例)を行った。
・この注射は、必要があれば48時間後に再投与した。
・真菌などの非細菌性眼内炎が疑われた場合や、硝子体手術を行った場合は対象としていない。
・Snellen視力の改善はdexamethason群で2.79ライン、プラセボー群で1.8ラインであり、有意差はなかった。
・原因疾患群で分けた場合、白内障術後眼内炎では、dexamethason群は4.1ラインで、プラセボー群は2.7ラインより有意に良くなっており(p=0.33)、3ヶ月後の視力0.33以上の率はdexamethadon群が65%、プラセボー群が36%であった。
・Dexamethason投与による副作用もなかった事から、白内障術後眼内炎にはdexamathason硝子体内投与が安全で有効な方法と考えた。

2011
95巻

虹彩欠損に対する角膜入墨治療

British Journal of Ophthalmology 95巻 (10号) 2011

Keratopigmentation (corneal tattooing) for the management of visual disabilities of the eye related to iris defects.
Alio JL et al(Spain)
Brit J Ophthalmol 95(10): 1397-401, 2011
・虹彩欠損による重篤な視機能障害に対して角膜に小さな鉱物色素を注入し、その機能的、美容的な結果について検討した。
・Femtosecondレーザーや、角膜実質内や表面に色素注入のできる自動化された装置を用いた。
・11眼に行ったが、全例で有意に視機能が改善し、8例では自覚症状が消失した。
・外傷性無虹彩症の1例で3ヶ月後にもグレアがあったため再手術を行い、瞳孔径を4mmまで小さくした。
・使用した鉱物色素はSalvador Cordoba SL, Spainのものである。
・目標瞳孔径は他眼の薄明視の瞳孔径とした。
・放射線状に角膜厚の40-50%に切開を入れ、そこから層状にKTP corneal spiral dissector(Epsilon, USA)を用いて切開を入れ、27G針で色合わせをした色素を注入した。
・Femtosecondを用いた場合は、表面から250μmに層状切開を行った。
・自動極小穿孔装置を用いた場合は、表層から120μmまで穴をあけて色素を注入した。

2011
95巻

涙嚢・涙小管のUBM検査

British Journal of Ophthalmology 95巻 (10号) 2011

Anatomical utility of ultrasound biomicroscopy in the lacrimal drainage system.
Al-Faky YH(Saudi Arabia)
Brit J Ophthalmol 95(10): 1446-50, 2011
・UBMを用いて正常者や様々な疾患につき、涙液通水路(LDS)の検査を行った。
・水泳のゴーグルの前面を外して、UBM検査用の水溜とした。
・年齢14歳から54歳(31.2±14.1)の12名の正常者の両側のLDSを検査した所、涙嚢(RS)の長径は検査できる上限(15mm)より常に長く、幅は1.87-3.36mm(2.56±0.43)であり、水平断面積は5.74±2.61mm2であり、涙小管の直径は0.52-0.88mmであった。
・以下のLDS疾患:慢性涙嚢炎、涙嚢瘻、嚢胞、涙小管閉塞などでも検索した。

2011
95巻

初期糖尿病網膜症での網膜神経線維層厚の変化

British Journal of Ophthalmology 95巻 (9号) 2011

Early diabetic changes in the nerve fibre layer at the macula detected by spectral domain optical coherence tomography.
Park HYL et al(Korea)
Brit J Ophthalmol 95(9): 1223-8, 2011
・DM網膜症のない37名の糖尿病患者(NDR)、様々な重症度のDM網膜症を持つ89名の患者(DR)と40名の正常者において、Cirrus HD-OCTで視神経乳頭周囲のNFL厚みと同様の方法での黄斑部のNFL厚みを測定した。
・視神経乳頭周囲のNFL厚みは重症度に応じて薄くなっていた。
・平均NFL厚みは、正常者118.5±11.1:NDR 119.2±13.6:軽症NPDR 100.1±14.2:中等度NPDR 96.3±19.4:重症NPDR 92.1±13.0μm(ANOVA p=0.031)。
・黄斑部のNFL厚みも重症度に応じて薄くなっていたが、有意差のみられたのは、上方の黄斑部NFL厚みで、正常者49.9±8.4:NDR 39.1±8.2:軽症NPDR 38.2±7.7:中等度NPDR 37.7±8.2:重症NPDR 33.4±6.9μmであった(ANOVA p=0.032)。
・この黄斑部上方網膜のNFL厚みは、殊に正常者とNDRとの間の差が大きかった。
・このことから、視神経乳頭周囲のNFL厚みを測定する方法を黄斑部に応用し、黄斑部上方のNFL厚みを測定すれば、糖尿病者の最も早期の網膜症の変化をとらえる事に有効であろう。

2011
95巻

両眼の急性網膜壊死の4症例

British Journal of Ophthalmology 95巻 (9号) 2011

Four cases of bilateral acute retinal necrosis with a long interval after the initial onset.
Okunuki Y et al(東京医大)
Brit J Ophthalmol 95(9): 1251-4, 2011
・急性網膜壊死(ARN)は7割以上が片眼性であるが、最初の発症から3年以上の長期間を経てから他眼に急性網膜壊死(ARN)を発症した4例を報告した。
・4例の両眼間の発症期間は、12年3ヶ月、9年7ヶ月、8年7ヶ月、3年6ヶ月である。
・第4例目の患者では、3年6ヶ月後に後から発症した第2眼に17年6ヶ月後に炎症の再燃があった。
・この4例では両眼に同じウイルスが検出されている(varicella-zoster virusか、herpes simplex visus)。
・また最終視力は全例で後から発症した眼の方が良かった。
・初発眼:LS(-),LS(-),20cmHM,LS(+)、後発眼:18/20,20/20,20/20,12/20。

2011
95巻

白内障手術時のベガモックス点眼とガチフロ点眼との前房移行の差

British Journal of Ophthalmology 95巻 (9号) 2011

Aqueous humour penetration of moxifloxacin and gatifloxacin eye drops in different dosing regimens before phacoemulsification surgery.
Gungor SG et al(Turkey)
Brit J Ophthalmol 95(9): 1272-5, 2011
・0.5%ベガモックス点眼(B点)と0.3%ガチフロ点眼(G点)の眼内移行を調べた。
・いずれかの点眼薬を手術2日前から1日4回点眼し、各群を手術1時間前から30分おき2回点眼群(subgroup1)と10分おき4回点眼群(subgroup2)に分けた。
・手術開始時に0.1ml前房水採取して濃度測定を行った。
・subgroup1ではB点:0.72±0.40、G点:0.47±0.29μg/ml、subgroup2ではB点:1.95±1.05、G点:0.77±0.52μg/mlで、いずれの点眼でもsubgroup間では有意差があった(p=0.006 p=0.000)。
・またB点はG点よりも、いずれの群でも有意に前房内濃度が高かった(p=0.000 p=0.036)。

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