Use of the light-adjustable lens to correct astigmatism after cataract surgery.
Chayet A et al(CA USA)
Brit J Ophthalmol 94(6): 690-2, 2010
・Light-adjustable lens(LAL)は光感受性を持つ眼内レンズで術後、365nmのUV光を照射するデジタル光照射装置(DLD)を用いて屈折度が変えられるものである。
・LALは光感受性を持つシリコンmacromersをシリコン器質の中に均等に分散されたものである。
・DLDは必要な空間パターンで、365nm波長の光をミラー装置を使って照射できるものであり(Texas Instruments)、球面、円柱、高次収差を修正するprofile照射ができる。
・5名の患者で、術後2週間目で視力、残余屈折誤差を測定して照射した。
・得られた球面等価屈折度誤差(MRSE)は0.25D以内であった。
・球面度数変化は1.75D、乱視度数は1.0Dまで矯正できた。その後、9ヶ月経ても屈折度は安定していた。
Skin autofluorescence is elevated in neovascular age-related macular degeneration.
Mulder DJ et al(Netherlands)
Brit J Ophthalmol 94(5): 622-5, 2010
・皮膚の自発蛍光(AF:autofluorescence)は組織内のadvanced glycation endproducts(AGE)に対する非侵襲的なマーカーとなっている。
・皮膚のAFがAMD患者で増えているかどうかを検討。
・皮膚AFをDMや高血圧のない進行性AMD患者73例で評価し、年齢を適合させた31例の健康人と比較した。
・除外したのは腎疾患、最近の感染症、悪性疾患やSkin type VあるいはⅥである。
・皮膚AFは前腕で測定し、420-600nmでの測定強度を300-420nmでの測定をコントロールとして、平均強度の比として求めた。
・新生血管AMDでは皮膚AF値は2.57±0.68(x0.02)で、正常者は2.23±0.63で有意差があった(p=0.018)。
・ただ、このAMD患者群を血管リスクファクターあるいは心血管病のない群とある群に分けて検討すると、ない群では正常群と有意差がなくなっていた。
・また、皮膚のAFは、どの群でも年齢と相関していた。
・新生血管AMDで、皮膚のAFが上昇していたことは、AMDが増強した全身的なAGEの集積に伴って発生し、AMDの病態に何らかの役割を果たしていると考えられた
Characterisation of systemic and ocular drug level of triamcinolone acetonide following a single sub-Tenon injection.
Nan K et al(China)
Brit J Ophthalmol 94(5): 654-8, 2010
・Triamcinolone acetonide(TA)の1回のテノン嚢内注射後の眼内移行を検討。
・成人有色家兎21羽の右眼にTA 40mg/0.4mlをテノン嚢下注射し、3時間後、2,3,7,14,21,30日後に3羽づつ標本にし、房水、虹彩毛様体、硝子体、神経網膜、RPE/脈絡膜に分けて検討。
・全組織でTA濃度は指数関数的に減少していた。
・30日後のTA濃度はRPE/脈絡膜では892.14±558.11ng/gと最高で、神経網膜は117.65±116.40、硝子体は15.65±23.06、虹彩毛様体は3.76±1.79、房水は2.64±0.96であった。
・RPE/脈絡膜のクリアランスが一番遅く、房水より2.6倍遅く、半減期は10.4日であった。
・このことから、TAのテノン嚢内注射は最低30日は治療レベル以上にあることが分かった。
Simultaneous spectral domain OCT and fundus autofluorecence imaging of the macular and microperimetric correspondence after successful repair of rhegmatogenous retinal detachment.
Lai WW et al(Hong Kong)
Brit J Ophthalmol 94(3): 311-8, 2010
・裂孔原性網膜剥離治癒後黄斑部の構造変化をOCTと眼底自発蛍光(FAF)で調べ、微小視野との機能的な関連についても検討した。
・17名の黄斑未剥離者と20名の黄斑剥離者で検討した。
・外境界膜、IS/OSライン、あるいはVerhoeff膜が不連続であったものが16眼(43.2%)にみられ、このいずれかに1個以上の不連続があったものでは術後視力BCVAが不良であった(p<0.001)。
・また、異常なFAFがあった者も術後視力が不良であった(p<0.001)。
・しかしOCTでの変化部位とFAFでの変化部位との間には余り関連がなかった。
・微小視野障害の部位は、OCTあるいはFAF変化の部位と良く相関していた。
・FAFの変化はOCT変化に遅れて現れることが多いが、反対のこともある。
Changes in intraocular pressure and ocular pulse amplitude with accomodation.
Read SA et al(Australia)
Brit J Ophthalmol 94(3): 332-5, 2010
・Pascal Dynamic Contour Tonometerを用いて、若い(23±3歳)近視眼15例と正視眼17例で、眼圧IOPと眼圧振幅(OPA:収縮期-拡張期眼圧差)を測定した。
・最初に安静時に測定し、その後、約3Dの調節負荷を2分間行った後に測定した。
・調節により眼圧は近視眼でも正視眼でも有意に低下し(平均 -1.8±1.1mmHg p<0.0001)、OPAも有意に低下した(平均 -0.5±0.5 p<0.0001)。
・近視眼と正視眼との間には、baseline眼圧も眼圧変動値にも有意差がなかった。
・OPAのbaseline値は近視眼で 2.0±0.7mmHgであり、正視眼 3.2±1.3よりも有意に低く(p=0.004)、調節によるOPAの変化量は近視眼で有意に小さかった(-0.2±0.4:-0.7±0.5, p=0.01)。
・このことから、近視眼では調節による眼圧変動に何らかの変化があると考えられた。
A randomised trial of bevacizumab and reduced light dose photodynamic therapy in age-related macular degeneration: the VIA study.
Potter MJ et al (Canada)
Brit J Ophthalmol 94(2): 174-9, 2010
・AMDに対して、光量を落としたPDTをbevacizumab治療と組み合わせることによって、6ヶ月間に行われるbevacizumab治療の回数を減らすことができるかどうかについて検討した。
・36例の新生血管AMDを無作為に3群に振り分けた。
・G1:bevacizumab硝子体内注射+光量25J/cm2のPDT、G2:bevacizumab+光量12J/cm2のPDT、G3:bevacizumab+sham PDT。
・再治療の決定はOCT所見によって行い、6ヶ月目まで、1ヶ月おきに判定した。
・3か月目からはbevacizumab治療にに加えてPDT治療も同時に行った。
・6ヶ月間で必要となったbevacizumabの治療回数は、G1では2.8±1.9回(p=0.005)、G2では2.5±1.5回(p<0.001)、G3では5.1±1.6回であった。
・視力は全群で上昇していたが、群間差については検討していない
Efficacy and tolerability of bimotoprost versus travoprost in patients previously on latanoplrost: a 3-month, randomised, masked-evaluator, multicentre study.
Kammer JA et al(CA USA)
Brit J Ophthalmol 94(1): 74-9, 2010
・Latanoprost使用中の緑内障、高眼圧症患者でさらに眼圧を下げたいときに他のプロスタグランディン製剤に変更することの効果と安全性について検討。
・0.005%latanoprost単剤を、無作為に0.03%bimatoprost(n=131)、あるいは0.004%travoprost(n=135)例に無作為に変更し、1ヶ月目、3か月目の効果を検討。
・平均日内眼圧はtravoprostよりもbimatoprostで、1ヶ月目(p=0.009)、3か月目(p=0.024)で、有意に低かった。
・1,3ヵ月の両方で15%以上の眼圧下降が得られた率は、bimatoprostで22.0%、travoprostで12.1%であった(p=0.033)。
・3か月目で、bimatoprostは2.1mmHg(95%CI=0.9-1.8)(11.0%)、travoprostでは1.4mmHg (95%CI=0.9-1.8)(7.4%)で有意差あり(p=0.024)。
・3か月目で、bimatoprostの11.5%、travoprostの16.5%が1段階以上の結膜充血の増加があった(p=0.288)。
・結膜充血はbimatoprostの3.1%、travoprostの1.5%で副作用の報告があった(p=0.445)。
Using diurnal intraocular pressure fluctuation to assess the efficacy of fixed-combination latanoprost/timolol versus latanoprost or timolol monotherapy.
Varma R et al(CA USA)
Brit J Ophthalmol 94(1): 80-4, 2010
・1日1回のlatanoprost/timolol合剤、1日1回のlatanoprost単体、1日2回のtimololで、日内変動を得検査した。
・USAの38施設とドイツの37施設で並行して、double-maskで行った。
・2-4週の経過観察期間をおいて、studyに入った。
・無治療で眼圧30以上あるいは、治療中で25以上のものを対象とした。
・現行の治療を中止し、まず、0.5%timolol(1日2回)を2-4週間続け、その後、無作為に3群に分けた。
・a)午前中に合剤点眼、午後placebo(n=278)、b)午前latanoprost、午後placebo(ドイツ)、あるいは逆(USA)(n=287)、c)午前午後にtimolol(n=289)。
・2,13,26週目で、8:00,10:00,16:00に眼圧測定。朝の点眼は8:00眼圧測定後とした。
・26週目の日内変動は合剤では有意に減少(p=0.002)したが、latanoprost群、timolol群では有意差がなかった(p=0.601;p=0.097)。
・合剤では、26週目で眼圧変動値が開始前より48%減少(3.7±2.5→3.0±2.1mmHg)したが、latanoprost群では13%増加(3.5±2.6→3.7±3.1)、timolol群では48%増加(3.4±2.3→3.7±3.2)していた。
・合剤治療は眼圧下降の他に日内変動を減らす効果も期待できる
Two-year visual results for older Asian women treated with photodynamic therapy or bevacizumab for myopic choroidal neovascularization.
Ikuno Y et al(大阪大)
Brit J Ophthalmol 94(1): 140-6, 2010
・31眼の病的近視に由来した新生血管に対し、PDTとAvastin療法を行い、結果を比較した。
・新生血管の大きさGLDは1200-3000μmで、矯正視力は20/200-20/40。IVB群では、3ヶ月,12ヶ月ではBCVAは有意に改善したが(p<0.05)、18ヶ月、24ヶ月では有意差はなくなった。
・PDT群では1年以内では有意な改善はなく、18ヶ月、24ヶ月では有意に悪化した(p<0.01)。
・BCVAは6ヶ月目(p<0.05)、12ヶ月以降(p<0.01)でIVB群で有意に良かった。
Intraocular biopsy using special forceps: a new instrument and refined surgical technique.
Akgul H et al(Germany)
Brit J Ophthalmol 95(1): 79-82, 2011
・眼内腫瘍を生検するための 23G硝子体鑷子 Essen biopsy forcepsを開発し、20名に使用した。眼内腫瘍の厚みは平均3.48mm(1.1-9.8mm)で、全例で0.3-2.1mmの生検を行った。
Alzheimer’s disease and glaucoma: Is there a causal relationship?
Wostyn P et al(Belgium)
Brit J Ophthalmol 93(12): 1557 9, 2009
・Alzheimer病(AD)の人は有意に緑内障の有病率が高いという論文や、ADでは視神経の退化、網膜神経節細胞の損失があるとの論文が出てきている。
・ADの人では脳脊髄圧(CSFP)が低下して、緑内障を発症しやすいのではないかとの仮説をたてた。
・POAGでは平均CSFPが33%低下しており、篩板部の圧差が大きいことが視神経乳頭陥凹に関係しているとの論文がある。
・ADではCSFPが非常に低いという論文もあることから、ADでは緑内障を発症するリスクが大きい可能性がある
Glaucoma and Helicobacter pylori infection: correlations and controversies.
Izzotti A et al(Italy)
Brit J Ophthalmol 93(11): 1420 7, 2009
・Helicobacter pylori感染とシェーグレン症候群、眼瞼炎、中心性網脈絡膜症、ぶどう膜炎などの眼疾患との関連が言われている。
・Helicobacter pyloriは様々な炎症前物質や血管活性化因子などを放出することによって緑内障の病態生理に関与している可能性がある。
・H pylori酸化ストレスを来たし、線維柱帯や視神経乳頭に影響し、緑内障を発症する可能性もあり、緑内障患者のH pyloriの有病率を調べた論文もかなり発表されている
Macular thickness decreases with age in normal eyes: a study on the macular thickness map protocol in the Stratus OCT.
Eriksson U et al(Sweden)
Brit J Ophthalmol 93(11): 1448 52, 2009
・67名の健康人の両眼の黄斑厚をStratus OCTで3回測定し、9つのETDRS fieldに分けて検討した。
・RNFLは視神経乳頭に近い一つの部位でのみ測定した。
・全ETDRS領域で全黄斑容積やRNFL厚は年齢とともに低下していた。
・網膜厚は 0.26-0.46μm/y、黄斑容積は 0.01mm3/y、RNFL厚は 0.09μm/yづつ減少。
・網膜厚が薄くなる原因の20%はRNFLが薄くなっていることが要因である。
Accuracy and reproducibility of axial length measurement in eyes with silicone oil endotamponade.
Roessler GF et al(Germany)
Brit J Ophthalmol 93(11): 1492 4, 2009
・Zeiss IOLMasterで、通常のシリコンオイル眼(SO)15例、重シリコンオイル眼(HSO)11例で眼軸を測定した。
・測定日はSO抜去前日と、術後6週間以上後である。
・抜去前の平均眼軸長は 24.76±2.07(SO:24.63±2.12、HSO:24.93±2.10、他眼:24.95±2.61)、抜去後の平均は 24.75±1.96で個々人内での変動値は0.13±009(SO:0.13±0.12、HSO:0.13±0.09、他眼:0.02±0.01)であり、ほぼ同じであった
Posterior chamber volume does not change significantly during dilation.
Dorairaj S et al(NY USA)
Brit J Ophthalmol 93(11): 1514 7, 2009
・狭隅角眼13眼(年齢63±10.0歳、屈折度+1.1±1.9D)で、暗所と明所で超音波検査を行い、後房容積を測定した。
・瞳孔直径は明所2.3±0.6、暗所3.5±0.5mmで、後房容積は名所3.76±1.09、明所3.63±0.78mm3で有意差はなかった(p=0.22)。
・8眼では明所で容積が大きく、5眼では暗所で容積が大きかった。
Antiglaucoma medications during pregnancy and the risk of low birth weight: a population-based study.
Ho JD et al(Taiwan)
Brit J Ophthalmol 93(10): 1283 6, 2009
・妊娠中に緑内障点眼薬を使用していた244例について、低体重児出産との関連を検討した。
・対照は1952例の年齢、出産年、高血圧、妊娠性糖尿病をマッチさせた女性である。
・点眼薬は77.5%がベータブロッカーであった。
・乳児は在胎週数など、父や母は教育レベルなど、両親の年齢差や収入などをマッチさせている。
・ベータブロッカー点眼群はコントロール群に比較して、低体重児の出産率に有意差はなかった(n=189 OR=1.48 95%CI=0.86-2.56)が、ベータブロッカー以外の点眼使用群では有意に多かった(n=55 OR=2.15 95%CI=1.05-5.00)。
・ベータブロッカー以外の点眼薬は、交感神経刺激剤20例、炭酸脱水素酵素阻害剤7例、コリン作動性薬12例、プロスタグランディン薬16例である。
・妊娠中はベータブロッカーが安全である。
Evaluation of filtering bleb function by thermography.
Kawasaki S et al(愛媛大)
Brit J Ophthalmol 93(10): 1331 6, 2009
・33例39眼の線維柱帯切除術後の瀘過泡の表面温度を測定した。
・瀘過泡の温度低下量をTDBとして表した。
・TDB=(耳側あるいは鼻側の眼球結膜温度-瀘過泡の温度)、とした。
・眼圧コントロール良好群と不良群のTDBは 0.54±0.20と、0.21±0.18度で、有意差があった(p<0.0001)が、Indiana Bleb Appearance Grading Scaleで表現した細隙灯での瀘過泡の形状には有意差はなかったことから、瀘過泡表面温度測定は瀘過泡機能の評価に有用である。
Outdoor activity and myopia in Singapore teenage children. Dirani M et al(Singapore)
Brit J Ophthalmol 93(8): 997-1000, 2009
・10代の子供1249名について、戸外活動と近視進行について検討した。
・近視の診断は1%cyclopentolate点眼後のautorefでの球面等価度数が-0.5D以下とした。
・戸外活動時間は平均 3.24時間/日であり、この時間が長いほど、近視は少なかった(OD=0.09, 95%CI=0.84-0.96, p=0.004)。
・近視の子(868名):3.09±1.92、非近視の子(381名):2.74±1.61時間。戸外活動時間は、近視屈折度と有意に負の相関があり(回帰係数=0.17, CI=0.10-0.25, p<0.001)、 眼軸の短さと相関があった(回帰係数=-0.06, CI=-0.1~-0.03, p<0.001)。
・これらは年齢、性、両親の近視、両親の教育、知能指数などで補正後のものである
Value of internal limiting membrane peeling in surgery for idiopathic macular hole stage 2 and 3: a randomised clinical trial.
Christensen UC et al(Denmark)
Brit J Ophthalmol 93(8): 1005-15, 2009
・78眼のstage 2,3の発症後1年未満の黄斑円孔硝子体手術を、1)硝子体手術のみ群、2)ICG染色ILM剥離群、3)TB染色ILM剥離群に分けて、結果を検討した。
・初回閉鎖率はstage2では、ICG群100%、ILM非剥離群55%(p=0.014)、stage3では、ICG群91%、TB群89%、ILM非剥離群36%(p<0.001)で、有意にILM剥離群で良かったが、円孔閉鎖例では視力値に群間差はなかった
Optic disc morphology and NAION (Editorial) Chan論文
Jonas JB
Brit J Ophthalmol 93(6): 703-3, 2009
・Non-arteritic anterior ischaemic optic neuropathy(NAION)について、Hayrehらは cup/disc比が小さく、小乳頭の人に起こりやすいとした。
・Hayrehらは夜間の動脈の低血圧が視神経乳頭の僅かな循環の虚血をもたらすと考えている。
・C/D比が小さい小乳頭ではこの虚血が組織腫脹をもたらし側副毛細管の閉塞を来し、典型的には乳頭の上半分の楔状の動脈閉塞を来す。
・夜間低血圧との関連については、多くの患者が朝起きた時に視力低下に気付くことで説明される。
・側副毛細管閉塞に組織浮腫が関与していることについては、早期のNAIONに対し、全身的なステロイドが有効であることで説明される