Quantitative assessment of optic nerve head morphology and retinal nerve fibre layer in non-arteritic anterior ischaemic optic neuropathy with optical coherence tomography and confocal scanning laser opthalmoloscopy.
Chan CKM et al(Hong Kong)
Brit J Ophthalmol 93(6): 731-5, 2009
・6か月以上持続する典型的な片眼性NAION 22例の両眼と正常者52例52眼をハンフリー視野、視神経乳頭と網膜神経線維層厚み(RNFLT)を測定。
・NAION眼、NAION健眼、コントロール眼で、
・視神経乳頭面積はOCTでは1.849±0.344、1.809±0.285、1.964±0.386、HRTでは2.11±0.38、2.06±0.40、2.16±0.42mm2
・カップ面積はOCTでは 0.246±0.187、0.172±0.180、0.469±0.332、HRTでは0.28±0.34、0.25±0.18、0.48±0.32mm2であった。
・NAIONでは、両眼とも陥凹面積とcup-disc面積比(CDAR)は有意に小さかったが(p<0.01)、乳頭面積は有意差がなく(p>0.21)、もっと大きなサンプルで検討する必要がある
Subclinical keratoconus and inframmatory molecules from tears.
Lema I et al(Spain)
Brit J Ophthalmol 93(6): 820-4, 2009
・30例の片眼の円錐角膜(KC)の両眼の涙液を10μl採取し、前炎症サイトカイン、metalloproteinase 9(MMP-9)の量を測定し、20例のコントロールの片眼の値と比較した。
・Cytokines(interleukin-6(IL-6), tumour necrosis factor α(TNF-α), MMP-9をELISAで測定。
・KC眼は、KC他眼、コントロールと比較して、IL-6値は 5.5(4.9-6.9)、5.7(4.5-6.2:p=0.13)、2.2(1.0-4.1:p<0.0001)pg/mlで、KC眼は有意に高かった。
・TNF-α値は 5.4(4.1-6.8)、4.8(4.2-6.0:p=0.032)、1.8(1.5-2.3:p<0.0001)pg/mlで有意に高かった。
・MMP-9値は 59.4(50.6-66.1)、7.0(4.8-8.6:p<0.0001)、6.1(3.9-8.3)で、KC他眼とコントロール眼は同程度であった(p=0.203)。
・このことから、KCの病態は慢性炎症であろう
Colour versus grey-scale display of images on high-resolution spectral OCT.
Brar M et al(CA USA)
Brit J Ophthalmol 93(5): 597-602, 2009
・Spectral OCTの表示がColorがよいか、grey-scaleが良いかを検討した。
・黄斑変性症患者のOCT所見を2人のreviewerが独立に網膜構造と病態を4段階に分析した。
・統計的に grey-scale imageが網膜前膜(p<0.009)、視細胞層(p<0.001)、RPE層(p<0.009)の構造を colour scale imageよりも有意に観察できた。
・Colour imageでは、検査眼の16.17%で視細胞disruptionを誤判定していた。
・Colour imageは疑似カラーであるため、そのdramaticな色変化がOCT反射率の大きな変化であると誤解してしまうためである
Projection OCT fundus imaging for visualising outer retinal pathology in non-exudative age-related macular degeneration.
Gorczynska I et al(MA USA)
Brit J Ophthalmol 93(5): 603-9, 2009
・超高解像度(3.5μm)の3次OCT(3D-OCT)と、網膜外層付近を強調したProjection OCT fundus imageを非滲出性AMD患者で撮影した。
・投影OCT眼底像は3D-OCTデータから異なった深さの網膜層を選択的に集積して作られたものである。
・RPE層レベル、外顆粒層レベル、視細胞外節レベル、脈絡膜レベルで再構築している
Sustaine postoperative face-down positioning is unnecessary for successful macular hole surgery.
Mittra RA et al(IL USA)
Brit J Ophthalmol 93(5): 664-6, 2009
・ステージ3と4の黄斑円孔手術後に1日のみ術後うつ伏せをした症例を53例56眼集め、成功率を検討した。
・3施設で15ヶ月間で行ったSF6かC3F8ガスを用いた連続例である。
・79%がステージ3であった。
・7眼以外はILM剥離を行っている。
・術前のlog MAR平均視力は0.74(小数点0.18)で、平均5.2か月後の術後視力は0.41(小数点0.39)。
・初回手術での円孔閉鎖は52眼(93%)であり、術後のうつ伏せは1日でよいと思われる
Twenty-four-hour intraocular pressure control with the travoprost/timolol maleate fixed combination compared with travoprost when both are dosed in the evening in primary opne-angle glaucoma.
Konstas AGP et al(Greece)
Brit J Ophthalmol 93(4): 481-5, 2009
・POAGで、travoprost単体と、travoprost/timolol maleate fixed combination(TTFC)合剤を夕方1回点眼の効果を24時間眼圧で比較した。
・32眼で6週間のwash-out期間後に、TTFCか単剤を8週間、その後、切り替えて別剤を8週間使用(randomised)。
・wash-out最後と治療中に24時間眼圧を測定した。
・TTFCでは、travoprost単剤より、すべての時間で2.4mmHg以上眼圧が低かった(p<0.047)。
・24時間内の眼圧変動はTTFCで3.0mmHg、単剤で4.0mmHgで有意にTTFCで少なかった(p=0.001)。
Characteristics of severe intraocular inflammation following intravitreal injection of bevacizumab(Avastin).
Georgopoulos M et al(Austria)
Brit J Ophthalmol 93(4): 457-62, 2009
・1つの病院で2500回の bevacizumab(Avastin)注入に対し、8例の重篤な眼内炎が発症した。
・患者は注入後2日以内に無痛性の視力低下を来した。
・全例、前房炎症が強かったが、hypopyonはなかった。
・後眼部病変としては硝子体内細胞浸潤であった。
・眼内炎を疑い、3例は全身的な抗生剤投与を行い、5例はぶどう膜炎にみられる偽肉芽腫性硝子体浸潤で局所抗生剤投与を行ったが、全例、最終診断はぶどう膜炎であリ、全身的、局所的ステロイド治療が奏功した。
・回復はゆっくりであったが(4日から60日:平均30.5日)、永続的な障害はなかった。
Intravitreal bevacizumab to treat subfoveal choroidal neovascularisation in highly myopic eyes: 1-year outcome.
Ruiz-Moreno JM et al(Spain)
Brit J Ophthalmol 93(4): 448-51, 2009
・28例29眼の中心窩下と傍中心窩CNVのある高度近視眼に、1.25mg bevacizumabを月毎に3回硝子体内注入を行い、1年間経過観察した。
・16眼は初回治療、13眼は以前にPDT既往であった。
・年齢は50±15(29-82)歳
・logMAR BCVAは開始前:0.55±0.25(小数点視力0.28:0.1-0.63)、1年後:0.38±0.32(小数点視力0.42:0.06-1.0)
・全例で3ヶ月後にCNVからの漏出は減少。
・中心窩厚は282±68→224±46μ(1年後 p=0.008)。
・6眼は再注入が必要であった(4カ月後1眼、6ヶ月後4眼、12カ月後1眼)が、眼局所ならびに全身副作用はなかった。
Atrophy of the lateral geniculate nucleus in human glaucoma detected by magnetic resonance imaging.
Gupta N et al(Toronto Canada)
Brit J Ophthalmol 93(1): 56-60, 2009
・両眼の視野欠損を有する緑内障患者10名と年齢を合わせた正常者8名で、1.5-Tesla MRIを使用し、両側LGNのCoronal proton density MRI像を撮影。
・診断を隠して3名のneuroradiologistがLGNの高さを測定。
・緑内障でのLGNの高さを正常者と比較すると、右LGNは4.09±0.89:4.74±0.54mm (p>0.05)、左LGNは 3.98±0.57:4.83±0.95mm (P=0.033)、両側を加えたものは 8.07±1.06:9.56±0.86mm (p=0.005)であった
・LGNの萎縮は視覚システムの外傷あるいは進行した緑内障患者の指標になりうる
Combination of verteporfin photodynamic therapy and ranibuzumab: effects on retinal anatomy choroidal perfusion and visual function in the protect study.
Kiss CG et al(Austria)
Brit J Ophthalmol 92(12): 1620-7, 2008
・AMDによるoccult or predominantly classic 中心窩下CNVで、ranibizumab 0.5mg硝子体注射と同時に通常のPDT(600mW/cm2)を受け(必要であれば、3,6,9カ月後も)、その後、毎月、計3回のranibizumab硝子体注射を受けた11名の患者を対象とした。
・9カ月後、7例は3-24文字改善、1例は不変、3例は8-24文字悪化した。併用療法後1週間以内にCNVはFAで閉塞が確認された。
・Verteporfin/ranibizumab併用療法は有効であろう
Same-day administration of verteporfin and ranibizumab 0.5mg in patients with choroidal neovascularisation due to age-related macular degeneration.
Schmidt-Erfurth U et al(Switzerland)
Brit J Ophthalmol 92(12): 1628-35, 2008
・Predominantly classic(n=13), Occult(N-19)のAMDによるCNVに対し、PDTをおこない(必要であれば3,6,9カ月後も)、同時、1,2,3ヶ月後にRanibizumab 0.5mgの硝子体内注射を行った。
・同日のPDTとranibizumabの注射は安全で重篤な視力障害や眼内炎症を起こさず、3ヶ月後の治療も最小限で済み、有効である
A study comparing two protocols of treatment with intravitreal bevacizumab(Avastin) for neovascular age-related macular degeneration.
Arias L et al(Spain)
Brit J Ophthalmol 92(12): 1636-41, 2008
・AMDによるCNVに対するbevacizumabを使用した治療で、2種類の使用法の治療効果を比較した。
・治療1(LD群):bevacizumabを1カ月おきに3回硝子体内注射し、後は必要に応じて注射。
・治療2(PRN群):最初にbevacizumab注入後は必要な時だけ追加注射した。
・必要との判断は黄斑浮腫の持続、網膜下液の存在やPEDの存在である。
・それぞれ25例に行い6ヶ月後の経過を見た。
・視力改善はLD群では13.7文字、PRN群では4.6文字。
・15文字以上の改善は、LD群では36%、PRN群では12%。
・中心窩厚の減少はLD群では91.3μm、PRN群では48.2μm。LD法の方が良い結果が得られた
Efficacy of intravitreal injection of bevacizumab for severe retinopathy of prematurity: a pilot study.
Kusaka S et al(阪大)
Brit J Ophthalmol 92(11): 1450-5, 2008
・14例23眼の未熟児網膜症(stage3:3眼、4A:18眼、4B:2眼)で、進行リスクが高いと考えられた血管活動性のROP、あるいは、光凝固治療を行っても牽引性網膜剥離を発症してきたROPにBevacizumab 0.5mgを最初に注入(15眼)あるいは硝子体手術終了時に注入(8眼)した。
・最初に注入した群ではFAGで新生血管の活動性が14/15で減退した。
・3眼では牽引性網膜剥離が発生あるいは増加したが、他の合併症はなかった。
・硝子体手術は20眼で行われたが、18眼は1回の手術で復位し、2眼では複数回手術で復位した。
・Bevacizumab注入は新生血管を抑え、通常のレーザー光凝固治療に抵抗する重症ROPには有効であると考えた
The association between thyroid problems and glaucoma.
Cross JM et al(USA)
Brit J Ophthalmol 92(11): 1503-5, 2008
・2002の National Health Interview Surveyに参加した12,376名について検討。すべて自己申告
・緑内障の自己申告有病率は 4.6%、甲状腺疾患の自己申告有病率は 11.9%。
・緑内障有病率は、甲状腺疾患があるとした人の中では 6.5%で、ないとした人の中では 4.4%であった(p=0.0003)。
・年齢、性、人種、喫煙等で補正すると、緑内障者が甲状腺疾患を持っているORは1.53(95%CI=1.22-1.93)であった(p<0.001)。
Wearing swimming goggles can elevate intraocular pressure.
Morgan WH et al(Australia)
Brit J Ophthalmol 92(9): 1218-21, 2008
・13種類の水泳用ゴーグルの目の部分に穴をあけ、アプラネーションで眼圧が測定できるようにして、ゴーグル装着中の眼圧を測定した試験検証実験。
・ゴーグル装着前、2分後、20分後、脱着後に眼圧を測定した。
・ゴーグル装着により眼圧は 4.5±3.7mmHg上昇し(p<0.001)、装着中は眼圧上昇は持続した。
・顔面との接触面積が狭いほど眼圧上昇は大きかった(p=0.013)。
・最も眼圧上昇の大きかったゴーグルは、垂直幅23mm、水平幅44mm、顔面面積796mm2で、2分後 14.7±11.7、20分後 13.4±11.2であった
Increased incidence of sterile endophthalmitis following intravitreal preserved triamcinolone acetonide.
Jonisch J et al(NY USA)
Brit J Ophthalmol 92(8): 1051-4, 2008
・2005/1/1~2006/7/31でIVTAを554眼行い、11眼(1.9%)に眼内炎を発症した。
・全例で硝子体培養結果は細菌、真菌ともに陰性であった。
・2006/5/1~7/31では、IVTAを行った97眼中9眼(9.3%)で無菌性眼内炎を発症しており、有意に高率であった(p<0.0001)。
・発症したロット番号のバイアルで細菌endotoxinを調べたが、全てで陰性であった(<0.05EU/ml)。
・原因は不明であった
Retinal nerve fiber layer thickness measurements using optical coherence tomography in migraine patients.
Martinez A et al(Spain)
Brit J Ophthalmol 92(8): 1069-75, 2008
・OCTで測定した片頭痛患者のRNFL厚を年齢を一致させた正常者と比較した。
・前駆症あるものないものを含め、国際頭痛学会の基準での片頭痛者70例70眼(28.2±7.9, 18~49歳)と正常者53例53眼(28.0±8.1歳)で検査した。
・片頭痛群は頭痛スコア(MIDAS:34.3±15.2)、3ヶ月間の発作数(17.0±6.7, 6~28回)、頭痛歴(14.8±5.6, 5~30年)。
・片頭痛群の平均RNFL厚は正常範囲であったが、耳側のRNFL厚は有意に正常者よりも薄かった(62.2±10.8:70.8±12.4, p=0.0001)。
・片頭痛群内では、平均RNFL厚は頭痛スコア(r=-0.93 p<0.0001)、発作回数(r=-0.86 p<0.0001)と有意に相関があった。
・視神経乳頭面積やC/D比は正常者群と有意差はなく、臨床的にも緑内障者はいなかった。
・片頭痛時の血管収縮因子が球後の動脈を収縮させる可能性はある。
・視神経乳頭前部の血液補給が悪くなり、神経節細胞の死をもたらす可能性も否定できない
A comparison of measures of reading and intelliegnce as risk factors for the development of myopia in a UK cohort of children.
Williams C et al(UK)
Brit J Ophthalmol 92(8): 1117-21, 2008
・7~10歳でサイプレ使用しないautorefractionデータで、右眼の球面度数が -1.5D以下を近視群とした。
・近視発生の最大の予想値は、両親の近視(p=0.033)と民族(p=0.008)で補正した後でも、両親の観察で本を読みたがるかどうかであった(OR=4.05 95%CI=1.27-12.89 p=0.031)
落屑緑内障での眼圧コントロールは視神経所見を改善させるか
Reversal of optic disc cupping in glaucoma.
Harju M et al(Finland)
Brit J Ophthalmol 92(7): 901-5, 2008
・眼圧低下後の視神経乳頭陥凹の改善が緑内障進行に影響するかどうかを検討。
・対象は51例の落屑緑内層と5例の落屑症候群に伴った高眼圧症で、眼圧下降後6年間経過観察し(IOP=22±5→16±4mmHg)、24例で視野あるいは視神経乳頭(ONH)写真で緑内障の進行が認められた。
・ONHの形状はHRTで測定し、陥凹容積が5%以上減少した場合に陥凹改善と判定した。
・緑内障進行で陥凹改善と論理回帰したものは、陥凹改善(OR=0.226 95%CI=0.055-0.918 p=0.037)、IOP(OR=1.216 95%CI=1.000-1.479 p=0.050)、視野の平均欠損(OR=1.158 95%CI=1.034-1.296 p=0.011)。
・IOPの6年間の変化量は緑内障進行と回帰していなかった(p=0.56)。
・陥凹改善は緑内障進行を阻止する因子であった。
・ExGではPOAGよりも篩状板内の結合組織に弾性があるため、今回の対象はExGとした
Intra-arterial thrombolysis for central retinal artery occlusion: a systematic review.
Noble J et al(Canada)
Brit J Ophthalmol 92(5): 588-93, 2008
・CRAOに対する動脈内栓子溶解 intra-arterial thrombolysis(IAT)について、5症例以上の報告についてレビュー。
・この中で、発症後8.4±4時間以内に治療を開始した8論文158例について検討。
・93%で視力改善があり、13%は1.0以上、25%は0.5以上、41%は0.1以上に改善した。
・合併症は4.5%の症例で起こっていた。
・通常の治療(前房穿刺、ダイアモックス、アスピリン、マッサージ、酸素吸入)よりもIAT治療は視力予後で勝っていた。
・Nd:YAGレーザーでの栓子破壊も報告されているが良い結果が得られていない。
・最近、大腿動脈から眼動脈へのウロキナーゼあるいはtPAを使用したcatheter-assistedのIATが報告されてきており、視力予後の良い報告もでてきている
Optical coherence tomography predictive factors for maculr hole surgery outcome.
Muiz-Moreno JM et al(Spain)
Brit J Ophthalmol 92(5): 640-4, 2008
・MHI(Macular Hole Index)=円孔の高さ/円孔底の長さ
・DHI(Diameter Hole Index)=円孔の最小径/円孔底の長さ
・THI(Tractional Hole Index)=円孔の高さ/円孔の最小径、として定義
・3ヶ月後の術後最良視力は、円孔の最小径(ρ=-0.4 p<0.01)、円孔底の長さ(ρ=-0.38 p=0.01)、THI(ρ=0.30 p=0.04)、MHI(ρ=0.33 p=0.03)と相関がみられた。
・DHI(p=0.91)、円孔の高さ(p=0.60)は相関がなかった。
・円孔の最小径<311μm、あるいは、THI>1.41であれば、良好な術後視力が予想できる