Inhibition of experimental corneal neovascularisation by bevacizumab(Avastin).
Manzano RPA et al(AZ USA)
Brit J Ophthalmol 91(6): 804-7, 2007
・硝酸銀で16頭のラット角膜を化学焼灼して角膜新生血管を作成した。
・焼灼後、7日間、1日2回のbevacizumab 4mg/ml点眼を行った10眼と、生食2回点眼したコントロールの6眼を比較し、角膜上の何%の面積を新生血管が占めているかを写真判定した。
・Bevacizumab群では 38.2%±15.5%で、コントロール群は 63.5%±5.0%で有意差があった(p<0.02)
Risk of non-arteritic anterior ischaemic optic neuropathy (NAION) after cataract extraction in the fellow eye of patients with prior unilateral NAION.
Lam BL et al(FL USA)
Brit J Ophthalmol 91(5): 585-7, 2007
・1986-2001年のカルテを対象として、NAION発症日と白内障手術日を調査した。
・片眼のNAION発症前に他眼の白内障手術を受けていた場合は除外した。
・325例のNAIONの内、白内障手術を1986-2001の間に受けたのは17例で、その内、9例(53%)に術眼にNAION発症していた。発症時期は、術後6ヶ月以内に6眼が発症。
・手術を受けなかった308例の内、59例(19%)が他眼にNAIONを発症。
・NAIONの他眼の白内障手術は、その眼にNAIONを発症する頻度を3.6倍(95%CI=1.7-7.7 p=0.001)にする。
・白内障手術数時間以内に発症する、術後眼圧上昇が要因と考えられている即時型と、術後数時間から数日で発症する原因不明の遅延型がある
・遅延型の発症は2000例に1例の発症率であり、通常のNAIONの10万人に2.3-10.3人/年よりずっと高い。
Histological findings of a choroidal neovascular membrane removed at the time of macular translocation in a patient previously treated with intravitreal bevacizumab treatment(Avastin).
Gibran SK et al(UK)
Brit J Ophthalmol 91(5): 602-4, 2007
・Avastinを何回も注入した症例で黄斑移動術を行い、中心窩下脈絡膜新生血管膜CNVを除去した。
・アバスチン治療中に発生するRPE裂孔は、無血管網膜下組織の収縮によると思われた
Pretreatment of posterior subtenon injection of triamcinolone acetonide has beneficial effects for grid pattern photooagulation against diffuse diabetic macular oedema.
Shimura M et al(東北大)
Brit J Ophthalmol 91(4): 449-54, 2007
・瀰漫性糖尿病黄斑浮腫(DDME)に対するレーザーグリッド光凝固(G-PC)の前にトリアムシノロン(TA)のテノン嚢下注入が有効かどうかを検討した。
・DDMEの37例42眼に対し、21眼はG-PCの1週間前にTA注入を受け、21眼をコントロールとした。
・検討項目は視力(VA)、中心窩厚(FT)、ハンフリーの30-2でのMD、光凝固強度である。
・TA群ではFT,VAは上昇し、G-PC後も24週後までは良好であったが、非TA群ではG-PC後に一過性のFT,VA悪化を来たし、その後、徐々にFT,VAともに上昇した。
・24週後ではTA群ではコントロール群よりHPのMDは良好であり、G-PCに要したレーザーパワーは少なかった
Serious complications of local anesthesia for cataract surgery: a 1 year national survey in the (United Kingdom)
Eke T et al(UK)
Brit J Ophthalmol 91(4): 470-5, 2007
・白内障手術時の眼球周囲麻酔、球後麻酔、テノン嚢下麻酔、結膜下麻酔、点眼麻酔、前房内麻酔の施行頻度、合併症について2002-2003の13ヶ月間、全英で調査した。
・4.1%が全麻、92.1%が鎮静剤なしの局麻、3.9%が鎮静剤下の局麻。
・約375,000の局麻の内、30.6%眼球周囲、3.5%球後、42.6%テノン嚢下、1.7%結膜下、9.9%点眼、11.0%前房内麻酔。
・球後、球周囲麻酔は視力に影響する合併症が発生しやすいが、生命に影響する合併症はいずれの麻酔も同等であった。
・眼球穿孔は眼球周囲麻酔で22例、球後で4例あった
Accuracy of GDx VCC, HRT I, and clinical assessment of stereoscopic optic nerve head photographs for diagnosing glaucoma.
Reus NJ et al(Netherlands)
Brit J Ophthalmol 91(3): 313-8, 2007
・VCCを用いた GDx variable cornea compensation(VCC) scanning laser polarimetry (SLP)と、HRT I confocal scanning laser ophthalmoscopy(CSLO)の正確性、再現性を、立体視神経乳頭(ONH)写真と比較検討した。
・40眼の正常者、48眼の緑内障、6眼の高眼圧症で検討。
・SLP-VCCではnerve fiber indicator(NFI)を、CSLOではMoorfields regression analysis(MRA)とBathija linear discriminant function(LDF)を指標とした。
・写真判定は緑内障専門医、一般眼科医、眼科レジデント、オプトメトリスト各4名が行なった。
・診断率はSLP-VCC 93.2%、CSLO 86.4%、専門医 86.7%、一般眼科医 85.2%、オプトメトリスト 81.5%、レジデント 73.0%であった。
・画像診断は緑内障診断に有用である
Intravitreal bevacizumab (Avastin) as treatment for subfoveal choroidal neovascularisation secondary to phathological myopia.
Yamamoto I et al(MA USA)
Brit J Ophthalmol 91(2): 157-60, 2007
・9例11眼(内5眼は既PDT治療眼)の高度近視性黄斑部脈絡膜新生血管を対象
・治療前視力は6眼では 20/50-20/100、5眼は20/200以下。
・アバスチン(1.25mg/0.05ml)注入後、平均153日(35ー224)日での視力は7眼で20/20-20/40、1眼で20/50-20/100、3眼で20/200以下。
・1回注入が8眼、2回注入が3眼。
・視力改善は平均 3.5 line(-1から+8 line)で、11眼中8眼は最終視力は 20/50を獲得。
・中心窩網膜厚は340(253-664)から 234(142-308)μに改善:平均103μ(+4から-356)であり、注入による副作用はなかった
Intravitreal injection of bevacizumab for choroidal neovascularisation associated with pathological myopia.
Sakaguchi H et al(大阪大)
Brit J Ophthalmol 91(2): 161-5, 2007
・8例8眼の近視性脈絡膜新生血管に対し、1mgアバスチンを硝子体内注入し、最低3ヶ月間経過観察。
・平均最良視力は注入前0.26であったが、注入後0.51に上昇。6眼(75%)で2line以上の視力上昇、2眼(25%)で改善なし。
・蛍光眼底では7眼(87.5%)で漏出が減少。
・網膜中心窩厚は198.4±66.5μから、155.1±74.6μに有意に減少(p=0.027)した
Clinical evaluaton of cornea pseudoguttata.
Nakashima Y et al(筑波大)
Brit J Ophthalmol 91(1): 22-5, 2007
・3521名の連続患者のうち、40名44眼(1.1%)に見られた偽滴状角膜の報告。
・全例で前眼部眼異常がみられた。
・CL装用による角膜炎(16例)、EKC(8例)、角膜上皮欠損(6例)、SPK(4例)、角膜異物(3例)、原因不明の角膜炎(3例)、角膜潰瘍(2例)、ヘルペス性角膜炎(1例)、虹彩炎(1例)である。
・角膜の偽滴状角膜は角膜浸潤や炎症でよくみられる疾患であるが、原疾患の回復とともに自然治癒し、後遺症は残さない
Central corneal thickenss and correlation to optic disc size: a potential link for susceptibitity to glaucoma.
Pakravan M et al(USA)
Brit J Ophthalmol 91(1): 26-8, 2007
・POAG患者で、HRTで視神経乳頭の大きさを測定し、超音波パキメータでCCTを測定。
・眼手術を受けていた人は除外した。
・76%が白人、19%がAfrican-American、5%がその他である。
・CCTは視神経乳頭面積と逆比例していた(r=-0.284, p=0.0036, n=72)。
・乳頭面積は、Caucasianは 1.9±0.47(n=119)で、African American(2.4±0.54平方mm)より有意に乳頭面積は小さかった(p<0.001)。
・角膜が厚いと眼圧が過大評価されるが、乳頭は小さくて頑丈である。
・一方、角膜が薄いと眼圧が過小評価され、また大きく変形し易い視神経乳頭を持っている
Axial length and optic disk size in normal eyes.
Oliveira C et al(NY USA)
Brit J Ophthalmol 91(1): 37-9, 2007
・A-scanで眼軸測定し、HRTで視神経乳頭面積を281例で測定。
・乳頭面積は黒人(2.12±0.5)では白人(1.97±0.6)より有意に大きかった(p=0.02)。
・乳頭面積は眼軸長と有意に相関(r=0.13 p<0.036)。
Selective laser trabeculoplasty versus argon laser trabeculoplasty: results from a 1-year randomised clinical trial.
Damji KF et al(Canada)
Brit J Ophthalmol 90(12): 1490-4, 2006
・152名176眼のPOAGをSLT 89眼、ALT 87眼に振り分けて検討。
・線維柱帯を180度にわたりSLTかALTを行ない、12ヶ月経過観察した。
・12ヵ月後の平均眼圧下降はSLTは 5.86±6.15、ALTは 6.04±4.82で有意差はなかった。
・12ヶ月後の20%以上の眼圧下降が得られた率もSLTは59.7%、ALTは60.3%で有意差はなかった。
Is intravitreal bevacizumab (Avastin) safe?
Michels S(Austria)
Brit J Ophthalmol 90(11): 1333-4, 2006
・アバスチン(bevacizumab)のoff-labelの硝子体内使用は安全かどうかについての、インターネットを利用した調査報告
・The International intravitreal bevacizumab safety surveyである(Fung et al 当号: 1344-9)
・12カ国70施設からの5000以上の患者への7000回以上の注入結果
・アバスチンは本来は転移大腸癌に何ヶ月も2週間毎に 5mg/kg静注するものであり、1.9-4.4%に血栓症が発症するリスクがある。
・眼科利用は1-2.5mgの硝子体内注入を4週間毎に行なうもので、全身投与の150-400分の1の量である
・今のところは問題はなさそう
Choroidal blood flow in the foveal region in eyes with rhegmatogenous retinal detachment and scleral buckling procedures.
Sugawara R et al(旭川医大)
Brit J Ophthalmol 90(11): 1363-5, 2006
・黄斑部に剥離が及んでいない裂孔原性網膜剥離11眼に対し、輪状締結(#40)と強膜内陥(#276)を行なう前後の脈絡膜循環を Laser Doppler flowmetryで検討した。
・脈絡膜循環の測定結果は他眼との比較で検討した。
・手術前には、罹患眼の中心窩の脈絡膜循環は健眼と優位差はなかったが、術後、2週間から4週間の間は有意に低下し(p<0.05)、術後12週後に基準値に戻った
Relationship between macular hole size and the potential benefit of internal limiting membrane peeling.
Tadayoni R et al(France)
Brit J Ophthalmol 90(10): 1239-41, 2006
・黄斑円孔の大きさとILM剥離の利点について検討した。
・連続する84例の原発性黄斑円孔で最低3ヶ月間は経過観察のできたものについて検討した。
・黄斑前膜を除去し、17%C2F6ガスを注入,10日間のうつ伏せを行なった。
・84眼中36眼はILM剥離を行なった。
・術後の閉鎖率は、黄斑円孔の大きさが400μm以上のものでは、ILM剥離眼では21/21(100%)、非剥離眼では 22/30(73.3%)(p=0.015)。
・大きさが400μm未満のものでは、ILM剥離眼では15/15(100%)、非剥離眼でも18/18(100%)。
・黄斑円孔が大きいもの(400μm以上)では、ILM剥離を行なったほうがよい
Glaucoma progression is associated with decreased blood flow velocities in the short posterior ciliary artery.
Zeitz O et al(Germany)
Brit J Ophthalmol 90(10): 1245-8, 2006
・緑内障(眼圧21以上) 114名、正常者ボランティア 40名で、短後毛様動脈SPCA、網膜中心動脈CRA、眼動脈の peak-systolic velocity(PSV), end-diastolic velocity(EDV), resistivity indexをcolor Doppler imaging(CDI)で測定した。
・緑内障114名の内、295±18日の経過観察で進行性であった12名では、停止性の緑内障や正常者に比較して、SPCAの PSVとEDVに有意な低下(p<0.001とp<0.05)、CRAのPSVに有意な低下(P<0.05)があったが、眼動脈、眼圧、収縮期血圧には差は見られなかった。
・緑内障進行は視神経乳頭を還流する小さな球後動脈の血流速度の低下と関連している。
Seasonal variations of acute massive submacular haemorrhage associated with age-related macular degeneration.
Iguchi Y et al(名古屋大)
Brit J Ophthalmol 90(10): 1256-8, 2006
・59例60眼のAMDに伴った急性大量の黄斑下出血の季節変動について検討。
・冬に多く、夏に少なかった(p<0.01)。
・月毎の発生は気温と反比例していた(p<0.01)。
・大量出血の季節変動は、高血圧者では有意であった。
・このことから、出血のメカニズムは全身の収縮期血圧と強く関連していることが推測された
An outbreak of endophthalmitis after extracapsular cataract surgery probably caused by endotoxin contaminated distilled water used to dissolve acetylcholine.
Boks T et al(Netherland)
Brit J Ophthalmol 90(9): 1094-7, 2006
・Indonesiaで行なったECCE手術後に大量発生した術後眼内炎の報告。
・3週間で43例を行い、17眼に術後眼内炎を発症した。
・acetylcholine溶解にはオートクレブで滅菌し保存してあった蒸留水が使用されたが、この蒸留水から、高濃度のeodotoxinと少量の同定不能なpseudomonas属(緑膿菌の属)が検出された。
・この蒸留液を17例中16例で使用していた
Decreasing efficacy of repeated intravitrealtriamcinolone injections in diabetic macular oedema.
Chan CKM et al(香港)
Brit J Ophthalmol 90(9): 1137-41, 2006
・4mgの硝子体内注入を、最初の注入から少なくとも26週以降(32.5±3.5週目)に繰り返し行なった10例10眼のDM黄斑症症例について検討。
・注入前と注入後、2,4,9,17週の矯正視力BCVA、中心窩厚CFTを調査した。
・2度目の注入では、BCVAは全ての時点で有意に悪く(p<0.05)、最良のCFT、4週後のCFTでもそれぞれ p=0.034, p=0.011で、有意に悪かった。
・2回目の注入では初回注入時ほどの効果は期待できない
Vitamin A deficiency in patients with a remote history of intestinal surgery.
Chae T et al(TX USA)
Brit J Ophthalmol 90(8):955-6,2006
・夜盲を来たすVitamin A欠乏症は腸管吻合手術後の吸収不良によって、手術後、数年以内に発生することが報告されている。
・Vitamin A欠乏の眼症状が発症する18年以上前に腸管手術を受けた3例を報告した。
・理解不能な視覚障害の患者をみたとき、腸管の手術後何年も経っていても、Vitamin A欠乏症を考慮すべきである