Effect of manual eyelid manipulation on intraocular pressure measurement by rebound tonometry
Sung Uk Baek, Ahnul Ha, Young Kook Kim, Jin Wook Jeoung, Ki Ho Park(Korea)
Br J Ophthal 2018;102(11):1515-1519
【目的】ふたつの異なる眼圧計;リバウンドトノメーター(RT)およびゴールドマン眼圧計(GAT)での眼圧測定時瞼を手で開く行為(LM)の影響について調査
【対象と方法】
・POAG患者103名、3つの方法で眼圧測定;①LMしてRT、②LMせず(瞼を触らず)RT、③GATで測定(必要時は手で瞼を開ける)*順番はランダムに決定
・上-下眼瞼の瞼裂幅を計測
【結果】
・③群の平均眼圧(13.97mmHg)は、②群の眼圧(13.75mmHg)と有意差ないが、①群の平均眼圧(15.21mmHg)より有意に低値
・Bland-Altman plotでは、①群の眼圧は②③群のそれより高く評価(それぞれ1.5および1.2mmHg)
・高眼圧(>20mmHg)の例では、②群は③群より有意に低値(P<0.001)
・瞼裂幅が狭い(<7mm)34例では、①群は③群よりさらに眼圧が過大評価(P=0.014)
【結論】RTでは、瞼を手で開いて測定すると眼圧が有意に過大評価される。瞼裂幅が狭い症例ではさらに強調される。一方、瞼を触らずRTで測定した場合はGATと良好な相関を示した。(MK)
Inter-relationship between ocular perfusion pressure, blood pressure, intraocular pressure profiles and primary open-angle glaucoma: the Singapore Epidemiology of Eye Diseases study
Yih-Chung Tham, et al. (Singapore)
Br J Ophthalmol 102(10):1402–1406, 2018
シンガポールで行われたSingapore Epidemiology of Eye Diseases Studyの参加者で213例293眼を含む9877例、19587眼の血圧(BP)、眼圧(IOP)、眼還流圧(OPP)を調査
収縮期OPP(SOPP)<110mmHgの群では123-137mmHgの群と比べ1.85倍POAGがある可能性があった
収縮期BP(SBP)<124mmHgの群では138-153mmHgの群と比べ1.69倍であった。特にSBPがPOAGに及ぼす影響はIOPが21mmHg以上で3.9倍高かった。
Mean arterial pressure (MAP)=DBP+1/3(SBP,DBP)
Mean OPP (MOPP)=2/3(MAP)-IOP
Systolic OPP (SOPP)= SBP-IOP
Diastolic OPP (DOPP)=DBP-IOP
既報ではMOPPやDOPPがPOAGと関係しているとあるが、眼圧下降治療、眼圧でさらに調整すると、有意差はなくなった。
SBPの低下と高眼圧によるSOPPの低下がPOAGと関与している(MM)
Quarter-Descemet membrane endothelial keratoplasty (Quarter-DMEK) for Fuchs endothelial corneal dystrophy: 6 months clinical outcome
Vasiliki Zygoura, et al. (Netherlands)
Br J Ophthalmol 2018(10);102:1425-1430.
目的:FECDに対するQuarter-DMEKの最初の症例群を評価し、技術の実現可能性、臨床転帰および合併症を評価した。
対象と方法:FECDのためにQuarter-DMEKを受けた12人12眼(平均年齢67±8歳;範囲58-82歳)。偽水晶体眼9眼、有水晶体眼3眼。
Quarter-DMEKドナー組織は8人9眼、死亡から手術までの平均期間は15.2±2日(範囲13-18日)、平均保存期間は14.3±1.5日(範囲13-17日)、Quarter-DMEK移植片は直径11.5mmの1/4で推定面積は約34 mm 2。これは標準的な円形8.5 mm DMEK移植片の面積の約半分である。
術後2週間の抗菌点眼剤および術後4週間1日4回の0.1%デキサメタゾン点眼、その後1日4回の0.1%フルオロメトロン点眼に切り替え、術後9ヶ月までに1日1回にした。
結果:術後6ヶ月で、視力は全例20/40(0.5)以上に改善した。11眼(92%)は20/25(0.8)以上、6眼(50%)は20/20(1.0)以上に達した。
平均中心角膜内皮細胞密度(ECD)は術前 2855±161 cells/ mm2、術後1か月1255±514 cells/ mm2、3ヶ月で1058±455 cells/ mm2、6ヶ月で968±427 cells/ mm2と減少した。
平均中心角膜厚は、術前662±100 μm、術後1ヶ月 601±79 μm、3ヶ月 546±46 μm、6ヶ月 545±40 μmだった。
4眼(33%)で部分的な移植片剥離を示し、そして前房内空気再注入を受けた。眼圧上昇は3眼で認めた。
結論:Quarter-DMEKは、従来のDMEKと同様の手術結果を可能にする実行可能な手術である。術後1ヶ月以内のECDの比較的大きな低下は、より広範囲の内皮細胞遊走または測定誤差(移植片の端で)から生じた可能性がある。長期的な結果が従来のDMEKの結果と似ている場合、Quarter-DMEKは内皮移植片の有用性を4倍にする可能性がある。(CH)
Comparative analysis of the safety and efficacy of intracameral cefuroxime, moxifloxacin and vancomycin at the end of cataract surgery: a meta-analysis.
Bowen RC et al(WI USA)
Brit J Ophthalmol 102(9): 1268-1276, 2018
・白内障術終了時に前房内へcefuroxime(1~10mg/0.1ml), moxifloxacin(15~500μg/0.1ml), vancomycin(0.0375~1mg/0.1ml)を注入した効果をMeta-analysisで解析した。
・moxifloxacin(ベガモックス点眼:5mg/1ml)
・Databaseから4849報告を抽出し、その中から解析に耐えうる17報告90万眼を超えるデ-タを利用した。
・前房内注入により術後眼内炎のリスクはOR=0.20(95%CI=0.13-0.32 p<0.00001)と減少した。
・眼内炎の発症頻度はcefuroximeでは0.0332%、moxifloxacinでは0.0153%、vancomycinでは0.0106%であった。
・前房内注入に加えて抗生剤点眼薬を使用しても、その効果はなかった(p>0.3)。
・前房内注入の合併症はmoxifloxacinで最小であった。
・Cefuroximeでは濃度間違いによる合併症があり、vancomycinでは網膜毒性の合併症があった。(TY)
Topical ganciclovir treatment post-Descemet’s stripping automated endothelial keratoplasty for patients with bullous keratopathy induced by cytomegalovirus
Koji Kitazawa, et al. (京都府立医大)
Br J Ophthalmol 2018(9);102: 1293-1297.
目的:サイトメガロウイルス(CMV)角膜内皮炎患者に対する、再発防止および角膜内皮移植術(DSAEK)後の術後結果に対するガンシクロビル(GCV)点眼の有効性を調査する。
対象と方法:DSAEKを受けたCMV角膜内皮炎による内皮機能不全の6人6眼。1日4〜6回、0.5% GCV点眼を続けた。術前および術後の検査(DSAEK後のCMV角膜内皮炎の再発を含む)、視力、眼圧、移植片生存率および角膜内皮細胞密度(ECD)を調べた。
平均患者年齢は63.8歳(範囲:41〜82歳)であり、そして6人のうち5人(83.3%)が男性であった。
眼房水中のCMV-DNAの検出前に4眼はPosner-Schlossman症候群(PSS)と診断され、他の2眼は慢性前部ブドウ膜炎と診断されていた。
結果:DSAEK後にCMV内皮炎の再発はなかった。平均経過観察期間は40ヶ月(範囲、12〜60ヶ月)。
平均術前BCVAは1.52±0.68 logMAR(0.52〜2.40logMAR)であったが、術後1年までに0.15±0.16 logMAR(-0.08〜0.30 logMAR)まで有意に改善した(P <0.01)。
平均術前ドナーECDは2692±177細胞/ mm 2であり、平均術後ECDは6、12および36ヶ月で26%、33%および54%の損失が認められた。
全例IOPは術後によくコントロールされていた(10〜20 mm Hg)。
GCVの長期局所投与に関連した有害作用は観察されなかった。
結論:DSAEK後のCMVの再発を予防するためのGCV点眼の継続使用は、ECDの維持、IOP制御、および視力の維持をもたらす。(CH)
Effect of intravitreal triamcinolone acetonide injection at the end of vitrectomy for vitreous haemorrhage related to proliferative diabetic retinopathy
Yoshihiro Takamura, et al. (福井大学)
Br J Ophthalmol 2018(9):1351-1357.
目的:硝子体切除術(VIT)と組み合わせたトリアムシノロンアセトニド硝子体内注射(IVTA)は、増殖糖尿病網膜症(PDR)による硝子体出血(VH)患者の術後炎症を予防するかどうかを調べた。
対象と方法:PDRによるVHと診断された患者のVIT終了時に、IVTAを伴うIVTA + VIT群または伴わないVIT群に分けた。IVTA + VIT群では、手術終了時に30ゲージ針を通してTA 0.1 ml(4 mg)を硝子体腔に注射した。
術前および術後3日、1週間、1、3、6ヶ月目に前房フレア強度(AFI)、中心網膜厚(CRT)、最高矯正視力(BCVA)および眼圧(IOP)を測定し比較検討した。
結果:6か月以上経過観察できたのはVIT + IVTA群41眼、VIT群40眼。
前方フレア強度(AFI)は両群とも3日目に急激に増加し、その後徐々に減少した。 3日目(P = 0.033)、1週間(P = 0.019)および1ヶ月(P = 0.037)で、VIT群よりもIVTA + VIT群において有意に低かった。
BCVAは両群とも術後3日目以降に改善し、最終BCVAはVIT群とIVTA + VIT群でそれぞれ0.195±0.048logMARと0.251±0.059logMARであった。
レーザーショット数は、VIT群で術後1週間目のAFIと有意に相関していた(P = 0.024)。一方、IVTA + VIT群では相関は認められなかった。
術後3日目の平均CRT値はVIT群とVIT + IVTA群でそれぞれ328±19μmと330±14μm。両群ともCRTは徐々に減少し、ベースラインからの差は手術後6ヶ月目で有意になった。 3日目に>350μmと測定された黄斑浮腫患者の割合は、VIT群とVIT + IVTA群でそれぞれ42.5%(17/40)と43.9%(18/41)であった。これらの症例では、術後1ヵ月目のCRTはVIT群よりもIVTA + VIT群の方が有意に低かった(P = 0.041)。
観察期間を通して、群間でBCVAおよびIOPに有意差はなかった。
結論:IVTAと硝子体切除術の併用はCRTの減少に寄与する可能性があるが、その効果は手術後の初期段階では限られているようである。(CH)
Lid splinting eyelid retraction technique: a minimised sterile approach for intravitreal injections
Monique Munro, Geoff R Williams, Anna Ells, Michael Fielden, Amin Kherani, Patrick Mitchell, JessicaRuzicki, Feisal A Adatia (Canada)
British Journal of Ophthalmology 2018;102(8):1254-1258.
・点眼麻酔(0.5% alcaine)→ 5%ポピドンヨード点眼 → 2%リドカイン結膜下注射 → 2~5分待ってもう一度5%ポピドンヨード点眼 → 硝子体注射
・開瞼器使用せず、反対の手で瞼を押さえるのみ
・抗菌剤の点眼、マスク・ドレープ着用なし、清潔手袋は6名の術者のうち1名のみ使用
・2010-2015年、78,009眼(アバスチン22,207眼、ルセンティス55,802眼)中、12眼(0.015%)で眼内炎(MK)
Treatment of Advanced Glaucoma Study: a multicentre randomised controlled trial comparing primary medical treatment with primary trabeculectomy for people with newly diagnosed advanced glaucoma—study protocol
Anthony J King, et al. (UK)
Br J Ophthalmol 102(7):922–928, 2018
初診時にすでに進行期緑内障というのは失明の大きな要因である。
過去に行われた4つの大規模RCTを含むレビューでは初期治療として手術と点眼では、点眼の方で不成功が高い。RCTでは5年後の患者申告の結果では大きな差がないとされるが、これらには進行期緑内障が含まれていない。
UKの27病院で3年にわたり440例の初診時進行期緑内障患者をリクルートし、2年後の評価を行う。
First outcome: vision-related QOL(NEI-VFQ25)
Secondary outcomesとして、Clinical, economic, Patient-centeredの指標(table2)
患者のQOLをアウトカムにした大規模なRCTは初めてである。(MM)
Macular pigment is associated with glare-affected visual function and central visual field loss in glaucoma
We Fong Siah, et al.
Br J Ophthalmol 102(7):929–935, 2018
Macular Pigment and Glaucoma Trialから88例のOAGをリクルート。黄斑色素密度(MPOD)を中心0.25°,0.5°,1°の位置でheterochromatic flicker photometryにより測定
それぞれ、69例(78.4%)、81例(92%)、59例(67%)で測定可能であった
Mesopic contrast sensitivity with glare (mCSg), photostress recovery time (PRT),自己申告のグレアの症状との関連を調べ、黄斑部の障害についてはOCTでGCCをチェック、HFAは10-2を調べた。
0.25°,0.5°での低空間周波数のmCSgとMPODが相関
グレア症状を訴える患者はMPODが低い(Figure1)
FoveaのGCCが少ないものはMPODも少なく、mCSgは低下し、PRTの延長を認めた
中心10°の視野欠損の程度はすべての部位でのMPODと相関あり
MPODレベルの低下は、A)緑内障視野欠損の重症度、B) 低空間周波数でのCSの低下、C) 自己申告のグレアと相関していた(MM)
Comparison of anterior segment optical coherence tomography angiography systems for corneal vascularisation.
Ang M et al(Singapore)
Brit J Ophthalmol 102(7): 873-877, 2018
・AngioVue(split-spctrum amplitude decorrelation algorithm angiography system:SSADA、Optovue)
・Angioscan(SD OCT、RS3000、Nidek)の2台のOCT-Aで角膜の血管をen faceで撮影した。
・眼球表面疾患で角膜輪部から1mm以上角膜表層と深層に血管が発生した人を対象とした。
・AngioVueではlong corneal adaptor moduleを使用し、オ-トフォ-カス機能をOFFとし、レンズを角膜表面に非常に近づけ、フォ-カスをマニュアルで行った
・Angioscanでも同様の方法で行った
・両者の相関性は高かったが(r=0.721)、SSADAの方がSD OCTよりも平均血管濃度は高かった(20.3±4.9%:15.1±4.2% p<0.001) (TY)
An evaluation of intracameral mydriasis for routine cataract surgery
Christopher B Schulz, et al. (UK)
Br J Ophthalmal 2018(6);102:784-789.
目的:術中のMydrane(トロピカミド0.02%、フェニレフリン0.31%、リドカイン1%)の使用は、現在の散瞳方法を置き換えるための1つの可能性のある選択肢である。
(1)満足度、術前不安および術後視力(2)時間、コストおよび人員への影響(3)瞳孔の大きさ、機械的瞳孔拡張の必要性、術中虹彩緊張低下症候群(IFIS)の発生率および合併症について検討した。
対象と方法:今まで通りの術前散瞳薬点眼使用群(シクロペントレート1%およびフェニレフリン2.5%の各3回投与)(1群; n = 60)
Mydrane使用群(2群; n = 60)0.2mLのMydrane前房内に注入した。CCCを行う前に十分な瞳孔拡張する為に45-60秒を要した。
結果:術後VAは群間で同等であった(2群0.09±0.16対1群0.08±0.15、 p = 0.59)。
2群の瞳孔の大きさは、CCCの前は7.0±1.0mmで、皮質吸引後に6.5±0.29mmだった。α1ブロッカー使用者ではより小さかった(4.7±1.1mm、 p = 0.004)。2群と1群を比較すると、2群で術前待機時間は短く(2群87分、1群146分、p <0.0001)、満足度はより高かった。(2群76.0±11.2対1群66.3±8.6 、p <0.0001)。
1群では3.3%がIFLSを発症し、α1ブロッカー使用者では14.3%と上昇した。2群のIFISの率は6.7%(であり、α1ブロッカー使用者では37.5%に上昇した。
術前待機時間と満足度の間には弱い負の相関が認められた。
術前待機時間と術前不安との間には、さらに弱い負の相関が認められた。
この施設では費用効果がなかった。
結論:Mydraneは、白内障手術を受けているほとんどの患者において臨床的に有効であった。(CH)
Risk factors, demographics and clinical profile of Acanthamoeba keratitis in Melbourne: an 18-year retrospective study
Matthew Hao Lee, et al. (Australia)
BrJ Ophthalmol 2018(5);102:687-691.
目的:オーストラリア、メルボルンのRoyal Victorian Eye and Ear Hospital(RVEEH)で治療されたアカントアメーバ角膜炎(AK)患者の発生率、危険因子、臨床像および最終的な視力を評価する。
対象と方法:1998年1月から2016年5月にRVEEHで管理されたAKのすべての症例。
診断は角膜検体の染色、培養、CL保存液、バイオプシーなど。
結果:調査期間中にAKと診断されたのは34人36眼、平均年齢38.9歳(範囲:19-79歳)、男性と女性は同数だった。早期に診断されたのは26例(症状発生から診断まで30日未満)であり、後期診断されたのは10例(症状発生から診断まで30日以上) 。早期診断と後期診断の間の年齢、性別、左右およびCLの点で有意差はなかった
経過観察の平均時間は220.6日であった。
CL装用は31眼(86.1%)、その内、6眼(19.3%)の患者がCLしたまま水泳をし、7眼(22.6%))はCLを水道水ですすいだ事を認めた。また、消毒を怠る(22.6%、n = 7)、長期のCL使用(38.7%、n = 12)、長期のケース使用(16.1%、n = 5)など、CL使用法に問題があった。
患者の早期診断は角膜上皮下浸潤(p<0.05)を呈する傾向があり、後期診断の患者はブドウ膜炎の兆候、輪状浸潤、内皮プラークおよび角膜菲薄化だった(p<O.O5)。
VAが改善されたのは29眼(80.6%)であった。早期診断の患者のVA(logMAR 0.4、p = 0.01)と比較して後期診断の患者のVAは(logMAR 0.8)は悪かった。
最も一般的な治療は、プロパミジンとポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)(n = 14)、プロパミジンとクロルヘキシジン(n = 6)およびプロパミジンとPHMBとクロルヘキシジン(n = 4)の組み合わせであった。
その他、上記の薬剤と、ネオマイシン、オフロキサシンおよびボリコナゾールなどの他の抗菌剤との組み合わせであった。
外科的治療は7眼で行われた。全層角膜移植5眼、羊膜移植3眼、治療用CL1眼、角膜クロスリンキング1眼。
結論:AKは重度の角膜炎の稀な原因であり、CL使用と関連していた。より遅い診断を受けた患者は、症状と視力も悪く、治療期間も長くなった。より早期の診断および治療が必要であることを示す。
現在の治療は、併用療法は単独療法より効果的であると示唆するエビデンスはない。これを確立するために更なる研究が必要である(CH)
Evaluation of optical coherence tomography angiographic findings in Alzheimer’s type dementia.
Bulut M et al(Turkey)
Brit J Ophthalmol 102(2): 233-237, 2018
・26名のアルツハイマ-痴呆症(ATD)と年齢性を合致させた26名のCtrl群とでOCTA結果を検討した。
・OCTAは6x6mmを用い、測定は午前9時から11時の間に行った
・OCTAでの網膜血管濃度は全域でCtrl群よりも有意に低く(p<0.05)、中心窩無血管野(FAZ)は有意に大きくなっていた(p=0.001)。
・脈絡膜厚も有意に薄く(p<0.001)、網膜外層や脈絡膜の血流は低かったが有意差はなかった
・これらのことから、OCTAはATDの新しいbiomakerになりうるもので、進行度合いや治療効果の判定に役立つ可能性がある。(TY)
The existence of dead cells in donor corneal endothelium preserved with strage media.
Kitazawa K et al(京都府立医大)
Brit J Ophthalmol 101(12): 1725-1730, 2017
・SightLife Eye Bankから提供された28眼の角膜の内皮を染色検査した。
・角膜内皮の生存状態を調べるためにpropidium iodide、calcein-AM、Hoechst 33342、annexin V、anti-vimentin抗体、toluidine blueで染色した。
・角膜内皮細胞の平均死亡率は4.9%±3.3%(0.6%~10.5%)であった(TY)
Propionibacterium acnes as a possible pathogen of granuloma in patients with ocular sarcoidosis.
Goto H et al(東京医科歯科大)
Brit J Ophthalmol 101(11): 1510-1513, 2017
・サルコイドーシスぶどう膜炎で、硝子体手術で網膜前膜除去を行った10名10眼を対象とした。
・除去した膜をH&E染色と、P acnesに対するモノクロナール抗体であるPAB抗体を使った免疫化学染色を行った。
・4例の特発性黄斑前膜例と4例のサルコイドーシス以外のぶどう膜炎に伴った黄斑前膜症例をコントロールとした。
・サルコイドーシス症例の4/10例で肉芽があり、全てPAB陽性であった。
・肉芽のない1例でもPAB陽性であった。
・コントロール例ではPABが擬陽性のものが1例あっただけであった。
・このことからサルコイドーシスぶどう膜炎ではP acnesが病態に関与していると結論した(TY)
Aqueous cytokine and growth factor levels indicate response to ranibizumab for diabetic macular oedema
Shimura M,et al.(東京医科大学)
Br J Ophthslmol.2017 Nov;101(11):1518-1523.
・目的:糖尿病性黄斑浮腫(DME)に対するサイトカイン/ケモカインおよび成長因子の房水水準とラニビズマブ硝子体内注射(IVR)の治療反応の関係を調べる
・対象と方法:未治療のDMEを有する68眼、平均糖尿病期間は9.6 ± 2.9ヶ月、年齢は67.2 ± 5.5(57〜79歳)、HbA1c8.0%を超えない。
・中心窩網膜厚(CMT)が400μm以上、視力は0.3 logMARより悪かった。
・重度の増殖糖尿病網膜症または重度の白内障を有する眼は除外した。
・各患者は、CMTが300μm未満に低下するまで毎月IVR注射(0.5mg / 0.05mL)を受けた。
・最初のIVR注射の直前に得られた試料を用いて、サイトカイン/ケモカインおよび成長因子の前房内濃度を測定した。
・結果:24眼では単回投与で浮腫が300μm以下になり(反応良好群)、12眼では6回連続投与しても浮腫が消退しなかった(治療抵抗群)。
・反応良好群は治療抵抗群に比べ、治療前の前房水中のVEGF、placenta growth factor(PlGF)、soluble VEGF receptor-1(sVEGFR1)濃度だけでなく、monocyte chemoattractant protein-1(MCP-1)、intercellular adhesion molecule-1(ICAM-1)、interleukin 6(IL-6)、interferon-γ inducible protein-10(IP-10)濃度も有意に上昇していた。
・6か月の経過中、350μm以下に維持されるようにラニビズマブを投与すると、視力は平均0.14 logMAR(ETDRS 7文字換算)に改善し、平均投与回数は3.23回と少なくて済み、この治療法での短期有効性を示した。
・結論:VEGFR1関連および炎症関連の活動性の上昇とラニビズマブ治療感受性の相関が示唆された。(CH)
Retinal structure assessed by OCT as a biomarker of brain development in children born small for gestational age.
Pueyo V et al(Spain)
Brit J Ophthalmol 101(9): 1168-1173, 2017
・在胎週数に比較して小さく生まれた小児(SGA:small for gest. age, SFD:small for dates)25名と、在胎週数に対応した体重でうまれた小児(AGA)25名間で、網膜と脳の神経組織の差を10歳から11歳の年齢時に比較した。
・SGAでは在胎週数34.7±4.5週で1889±663g、AGAでは在胎週数36.2±4.3週で2910±968g。
・視機能は両者で差はなかったが、ganglion cell complexと内網状層(GCL-IPL)はSGAで有意に薄かった。
・全頭蓋内容積、脳や小脳内の灰白質、白質容積は生下時体重と相関していた(図1)(TY)
Characterisation of choroidal morphological and vascular features in diabetes and diabetic retinopathy.
Gupta P et al(Singapore)
Brit J Ophthalmol 101(8): 1038-1044, 2017
・Singapore Indian Eye Studyの462例のうち、273例(60.1±6.8歳)のDM(-)、100例(61.8±7.4歳)のDM(+)DR(-)、89例(62.4±6.0歳)のDR(+)について、EDI-OCTデータをカスタムプログラムに載せ、脈絡膜とその血管を描写した。
・非DM者に比して、DM者は有意に脈絡膜厚が薄く(-25.19μm p=0.001)、脈絡膜容積が小さく(-0.23mm3 p=0.003)、脈絡膜湾曲が多く(1.78 p<0.001)、脈絡膜血管面積が狭かった:中心窩で-0.024mm2 p=0.001、黄斑部で-0.095mm2 p<0.001。
・脈絡膜屈曲点は数学的に凸と凹が入れ替わる位置で判定。DM群の中では有網膜症者DRは有意に脈絡膜厚が厚く(25.91μm p=0.001)、脈絡膜容積が大きく(0.24mm3 p=0.009)、脈絡膜湾曲が少なかった
・DRになるとVEGFや他のサイトカインが増加するためだろうと考えられる。(TY)
Diagnostic ability of peripapillary vessel density measurements of optical coherence tomography angiography in primary open-angle and angle-closure glaucoma.
Rao HL et al(India)
Brit J Ophthalmol 101(8): 1066-1070, 2017
・33例48眼の健眼、39例63眼のPOAG、32例49眼のPACGで、OCTAでの周乳頭血管濃度測定とRNFL厚との比較を行った。
・データ解析は受信者動作特性:ROC曲線下の面積AUC(area under the curve)で表示した。
・AUCが1なら完全な分類、0.5ならランダムな分類と判定。
参照:http://qiita.com/kenmatsu4/items/550b38f4fa31e9af6f4f。
・OCTAでの殊に下耳側の周乳頭血管濃度はPOAGでもPACGでも診断価値があり、RNFL測定に匹敵した。(TY)
Effects of ocular and systemic factors on the progression of glaucomatous visual field damage in various sectors
Ryo Asaoka. et al (Japan, JAMDIG construction group)
Br J Ophthalmol 101(8):1071-1075, 2017
268名409眼の10回以上の信頼ある視野検査ができた症例を解析し、緑内障進行に関与する因子を調査
視野を上方・下方でそれぞれ<10°、10-20°、>20°のセクターに分けそれぞれの進行度と、年齢、ベースラインの平均TD、平均眼圧、IOPのSD、高血圧、偏頭痛、緑内障家族歴、喫煙について調査した
平均5.5年の観察期間、1眼あたり25.0回/Yの眼圧測定
平均TD進行度-0.21±0.45dB/y、観察期間中の平均IOP 13.3±1.9, SD 1.6±0.5であった
結果
年齢は相関(高齢ほど進行度が早い)があるが、中心視野とは相関が見られなかった
IOPのSDは上方20°と下方の視野で相関あり
喫煙は下方全ての視野で相関あり(MM)