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British Journal of Ophthalmology

2017
101巻

進行した緑内障患者のドライブシミュレーターの結果

British Journal of Ophthalmology 101巻 (7号) 2017

 The role of specific visual subfield in collisions with oncoming cars during simulated driving in patients with advanced glaucoma
Shiho Kunimatsu-Sanuki. et al (Tohoku, Japan)
Br J Ophthalmol 101(7):896-901, 2017
70歳以下の正常者43人と、95人の両眼とも-12dB以下の後期緑内障患者を、2つの衝突シナリオのドライブシミュレーターで調査 両群とも直近3カ月に運転をしている
DSを使用するまえに、年齢性別、運転週間と運転歴(免許習得からの期間、1週間の運転時間、直近5年間の交通事故歴)、現病歴、BCVA、IOP、スリット、隅角、眼底写真、HFA24-2を調査
それぞれ眼の視野検査から、感度の高い点を抽出したintegrated visual field(IVF)を作成し、0-12°と13-24°の二つの半視野に分け、中心部の視野をさらにセグメントに分けて評価した
DS:Honda Safety Naviシステムを使用 必要と感じた時に、ブレーキのみ使用する
結果
患者背景:緑内障群のほうが平均年齢と運転歴が長かった
少なくとも1回事故を起こしたのは緑内障群80%、正常群26%
事故群では非事故群より高齢で、より矯正視力が悪く、下方視野の感度が低かった
中心部視野ではVFEとVFFの感度が有意に低かったが、その他は有意差はなかった
結論:下方視野感度低下、年齢、矯正視力低下は前方を横切る形の車に衝突する危険性が高かった(MM)

2017
101巻

レーザー飛蚊症治療によって引き起こされた白内障

British Journal of Ophthalmology 101巻 (6号) 2017

Cataracts induced by neodymium-yttrium-aluminium-garnet laser lysis of vitreous floaters.
Koo EH, Haddock LJ, Bhardwaj N, Fortun JA.(US-FL)
Br J Ophthalmol. 2017 Jun; 101(6):709-711.
・YAGレーザーvitreolysis後に生じた白内障2例
・Case1【Fig1,2】63歳女性、YAGレーザーvitreolysis直後に視力低下、20/50、ダイヤモンド状のPSC、白内障・硝子体術者のもとPEA+IOL+PPV、後嚢の穴より硝子体脱出、3ピースアクリスIOLをsulcusに挿入しoptic capture
・Case2【Fig3,4】65歳男性、他院で二年前のYAGレーザーvitreolysis直後に視力低下、その後も進行。来院時視力20/70、後嚢に大きな穴とPSC、case1と同様に手術(MK)

2017
101巻

レーザー硝子体切除による白内障

British Journal of Ophthalmology 101巻 (6号) 2017

Cataracts induced by neodymium-yttrium-aluminium-garnet laser lysis of vitreous floaters
Ellen H K. et al (Bascom Palmer Eye Institute, FL, USA)
Br J Ophthalmol 101(6):709-711, 2017
YAGレーザーによる飛蚊症治療後に白内障を生じた2例を報告
Case1. 63歳の白人女性 1週間前にレーザーを受け、その後視力低下し受診
後嚢にダイヤモンド型の欠損 BCVA:20/50 白内障と硝子体手術を行い経過良好
Case2.65歳白人男性 2年前にレーザー治療 その後視力低下し受診
卵形の欠損 BCVA:20/70 手術後経過良好
どちらも硝子体混濁は残っていた
考察
後嚢が破損した経緯は不明
飛蚊症に対するYAGレーザー治療はFDAでも未認可でその成績に関する報告も0-100%までさまざま。唯一確立している飛蚊症治療はPPVのみ
最新の報告(Delaney et al)でも有効性は38%で a moderate improvementであった。
クリニカルトライアルや大規模の調査がされておらず、Safety reportがない。
Ellexのガイドラインでも白内障の発生は可能性ありとされているが、その発生率や具体例は示されていない
他の合併症としてはCowanらが難治緑内障の発生を報告
現時点では有水晶体眼へのレーザーは禁忌とすべきかもしれない。(MM)

2017
101巻

DMEKの前房タンポナーデに20%SF6ガスまたは100%空気を使用した術後1年の結果

British Journal of Ophthalmology 101巻 (6号) 2017

 One-year outcome after Descemet membrane endothelial keratoplasty (DMEK) comparing sulfur hexafluoride (SF6) 20% versus 100% air for anterior chamber tamponade
Friederike Schaub,et al. (Germany)
Br J Ophthalmol 2017(6);101 :902-908.
目的:DMEKの移植片接着のための前房タンポナーデに20%SF6ガスまたは100%空気を使用し、術後1年の視力、角膜内皮細胞密度、合併症などについて調査した。
対象と方法:DMEK 854眼、 20%SF6ガス 105眼、100%空気 749眼。
結果:
 術後1年        20%SF6               100%空気
視力        0.11 ± 0.10 logMAR        0.16 ± 0.15 logMAR
ECD           1734.05 ± 269.0 cells/mm2 1677.42 ± 414.14 cells/mm2
ECD損失率        35.8%                  38.1 %
CCT              573.56 ±59.27μm       557.79 ±52.68μm
再注入         25眼(23.8%)     404 眼(53.9%)
拒絶反応          1眼         2眼
再移植           3眼 (2.8%)       17眼 (2.3%)
再注入は20%SF6ガスで有意に低かった。(P<0.001)
結論:移植片剝離がDMEK後の最もよくある合併症である。
20%SF6ガスの眼内滞留はおよそ12日間に対し、100%空気がおよそ5日間なので、移植組織剝離がしばしば起こると考えられる。20%SF6ガスの前房タンポナーデは、術後1年以内のDMEK術後の臨床転帰に悪影響を与えないが、再注入は減ると思われる。(CH)

2017
101巻

LIは白内障を進行させるか

British Journal of Ophthalmology 101巻 (5号) 2017

 Is prophylactic laser peripheral iridotomy for primary angle closure suspects a risk factor for cataract progression? The Chennai Eye Disease Incidence Study.
Vijaya L, Asokan R, Panday M, George R.(India)
Br J Ophthalmol. 2017 May;101(5):665-670.
・Chennnai Glaucoma Study参加者でbaselineの6年後に再度評価できた4421名、LI施行歴と白内障の進行との関係を調査
・6年間でLens Classification System Ⅱで二段階以上増加、または白内障手術施行を白内障の進行と定義
・条件を満たした(baseline時に両眼ともphakia、白内障N2C2P2未満、PACとPE以外の緑内障なし)3205名、うちPACSに対するLI歴は190名
・白内障の進行率はLI施行群で有意に多かった(OR1.7、95%CI 1.3-2.4, P<0.001)
・多変量解析にて白内障の進行はBaseline時の年齢(P<0.001)、女性(P=0.01)、糖尿病(P<0.001)とLI施行歴(P<0.001)と有意に関連していた
・タイプ別では糖尿病および女性は核白内障および皮質白内障の有意なリスク因子、LIは皮質白内障のリスクのみ有意に関連していた(OR1.6、95%CI 1.1-2.3, P<0.001)
【結論】6年間の追跡調査で、PACSに対するLIは白内障の進行を有意に増加させた(MK)

2017
101巻

網膜静脈閉塞症に続発する黄斑浮腫の抗VEGF硝子体内注射治療成績に対する初期視力の影響

British Journal of Ophthalmology 101巻 (5号) 2017

 Impact of initial visual acuity on anti-VEGF treatment outcomes in patients with macular oedema secondary to retinal vein occlusions in routine clinical practice
Karen M Wai,et al,(OH, USA)
Br J Ophthalmol 2017(5);101 :574-579
目的:抗VEGF硝子体内注射で治療されているBRVOまたはCRVO患者のベースライン時視力が治療結果に影響するか調べた。
対象と方法:未治療のBRVOまたはCRVO 177眼、平均年齢67.9±13.4年。
患者はベースライン時の視力によって3グループに分け、網膜厚と視力の経過を検討した。グループ①20/40またはそれ以上、グループ②20/50 – 20/300、グループ③20/320またはそれ以下
結果:BRVOと診断された患者は84人84眼、平均年齢は67.9±13.4歳
ベースライン時の平均ETDRSスコアは58.2±17.9文字(Snellen  20/70)
平均CST(central subfield thickness)399.6±134.0μm。83%ベバシズマブ、17%ラニビズマブ。
ベースライン時VAが20/320またはそれより悪い患者は少なすぎたため(n = 4)除外した。
6カ月後平均10.5文字増加(p <0.001)、平均CST 72.48μmの減少を示した。(p <0.001)
12カ月後平均11.6文字増加(p <0.001)、平均CST 78.55μmの減少を示した。(p <0.001)
注射回数は6ヶ月間で平均3.6回、12ヶ月で5.7回だった。
6カ月後 グループ① 3.3文字増加、平均CST 28.54μm減少 グループ② 11.8文字増加、平均CST 102.87μm減少
12カ月後 グループ① 2.6文字増加、平均CST 48.94μm減少 グループ② 13.2文字増加、平均CST 98.20μm減少
グループ①では平均ETDRSスコア、CSTとも6、12ヶ月後でベースライン時と比較し有意な改善は認められなかったが、グループ②では有意に改善した。
CRVO / HRVOと診断された患者は93人93眼。平均年齢は69.9±12.3歳。
ベースライン時の平均ETDRSスコアは50.8±25.6文字(Snellen 20/96)
平均CSTは483.S±179.1μm。77%ベバシズマブ、18%ラニビズマブ、4%がアフリベルセプト。
6ヵ月後平均9.6文字増加(p <0.001)、平均CST 155.58μmの減少を示した。(p <0.001)
12ヵ月後平均9.1文字(p = 0.003)および平均CST 136.56μの減少を示した。(p <0.001)
注射回数は6ヶ月間で平均3.7回、12ヶ月で6.0回だった。
6カ月後 グループ① 6.7文字増加、平均CST 90.95μm減少 グループ② 10.1文字増加、平均CST 172.69μm減少、
          グループ③ 33.8文字増加、平均CST 192.67μm減少
12カ月後 グループ① 9.6文字減少、平均CST 47.92μm減少 グループ② 9.4文字増加、平均CST 160.87μm減少、
         グループ③ 42.2文字増加、平均CST 180.84μm減少
グループ①では平均ETDRSスコア、CSTとも6、12ヶ月後でベースライン時と比較し有意な改善は認められなかったが、グループ②③、特に③で最も改善した。
BRVOまたはCRVO / HRVOの患者では、より良好なベースライン時視力の患者は、12ヶ月にわたって視力、CSTに有意な変化はなかった。逆にベースライン時悪いVAの患者は、視力およびCSTにおいて劇的な改善を示した。
結論:網膜静脈閉塞に続発する黄斑浮腫では、抗VEGF治療は、より良好な初期VAの患者と比較して、初期VAが不十分な患者の平均視力およびCSTのより大きな改善をもたらす。(CH)

2017
101巻

偽落屑症候群の白内障術後の眼圧変化

British Journal of Ophthalmology 101巻 (3号) 2017

Predictors of intraocular pressure change after phacoemulsification in patients with pseudoexfoliation syndrome.
Moghimi S et al(CA USA)
Brit J Ophthalmol 101(3): 283-289, 2017
・非緑内障眼で偽落屑症候群PXS眼で、PEA後の眼圧下降と前房形態について検討した。
・前房深度ACD、前房面積ACA、虹彩厚、虹彩面積、虹彩曲率、水晶体膨隆度、隅角開放距離AOD500・AOD750、線維柱帯虹彩空間TISA500・TISA750を術前と術後3か月目に測定した。
・術中の超音波エネルギー総和CDE、吸引時間、潅流液量も記録した。
・眼圧は18.1±3.4から術後3か月で14.8±3.6に減少(p<0.001)。
・隅角係数ACD,ACAは術後有意に増加した(p<0.001)。
・多変量解析では、術前眼圧値(p=0.002)、使用潅流液量(p=0.04)が有意に眼圧低下と正に関連していた。
・過去の報告にもPXSでの超音波乳化吸引白内障術後の眼圧下降について、20%との報告、11%との報告、16%という報告などがあるが、非緑内障のPXSでは中等度の眼圧下降が得られることは間違いなさそうである。(TY)

2017
101巻

眼圧下降による篩板の移動

British Journal of Ophthalmology 101巻 (3号) 2017

Relationsip between corneal hysteresis and lamina cribrosa displacement after medical reduction of intraocular pressure.
Lanzagorta-Aresti A et al(Spain)
Brit J Ophthalmol 101(3): 290-294, 2017
・61例61眼の高眼圧症あるいは未治療のPOAGを対象にして、治療による眼圧下降と、篩板LCや篩板前組織の移動、Ocular Response Analyzerでの角膜硬性CHについて、治療前と治療後1週間で比較した検討した。
・眼圧値は1週間で25.67±12.56から18.91±6.73に減少。
・対象は眼圧が21mmHgを超えるOH、視野欠損のあるPOAGで、視力0.5以上、CCTが520-580μm、球面屈折度が-2.0D~+2.0Dで、年齢59.8±21.3歳。
・コントロール群は眼圧が21mmHg以下で年齢をマッチさせている。
・LC厚は132.66±37.40→160.09±41.13(p=0.000)、LC距離は258.53±145→239.86±135(p=0.016)と有意差があった(p=0.016)。
・篩板前組織は厚みも移動もなかった。
・LC移動と関連のあったものはCH(相関係数=0.48)と年齢(相関係数=0.42)であった。(TY)

2016
100巻

正常眼圧緑内障における頭蓋内圧と眼動脈血流

British Journal of Ophthalmology 100巻 (8号) 2016

Neuroretial rim area and ocular haemodynamic parameters in patients with normal-tension glaucoma with differing intracranial pressures.
Siaudvytyte L et al(IN USA)
Brit J Ophthalmol 100(8): 1134-1138, 2016
・正常眼圧緑内障40名(61.1±11.5才)で頭蓋内ドプラー法を用いた頭蓋内圧(ICP)測定、眼動脈のカラードプラー像から求めた球後血流(RBF)、laser scanning tomographyを用いた視神経乳頭のneuroretinal rim面積(NRA)などの視神経乳頭(OND)構造を測定した。
・篩板圧差TPDはIOP-ICPである。NTG全員の平均はICPは8.8±2.5mmHg、IOPは13.6±2.1mmHg、OND面積は2.3±0.6mm2、NRAは1.2±0.4mm2である。
・結果は、ICPが低いとNRAは小さかった(r=0.51 p=0.001)。
・ICPの範囲は4.7~14.1で、低ICP群20例(平均7.2)と高ICP群(平均10.9)に分けると、低ICP群のNRAは1.0±0.3、高ICP群は1.3±0.3と有意差があったが(p=0.002)、OND面積、IOPには有意差はなかった。
・また、低ICP群は有意に球後動脈血流が低かった(p<0.04 peak systolic volume、end-diastolic volume)(図)。(TY)

2016
100巻

全層角膜移植の移植片生着に対するドナー年齢と角膜内皮細胞密度の影響

British Journal of Ophthalmology 100巻 (7号) 2016

The impact of donor age and endothelial cell density on graft survival following penetrating keratoplasty
M J Wakefield et al. (UK)
Br J Ophthalmol 2016(7);100:986-989
目的:ドナー年齢と手術前の角膜内皮細胞密度(ECD)が全層角膜移植後の内皮機能不全に影響するかどうか検討した。
対象と方法:1999年4月から2012年3月までにPKを受けた9415人を対象とした。主な対象疾患はフックス角膜変性症、PBKなど。
ドナー年齢を3グループに分け(0〜60 歳、10〜75歳 、75歳以上)、ECDも3グループ(2400cells/mm2以下、 2401〜2600 cells/mm2未満、2600 cells/mm2以上)に分けて検討した。
結果:全体の5年生存率は89%だった。FED 95%  PBK 83%  その他 89%
それぞれのドナーECDグループ、ドナー年齢グループと対象疾患で有意差はなかった。
結論:PK5年後の角膜内皮細胞機能不全と、ドナー年齢(最高90歳)や術前ECD2200 cells/mm2以下との関連は見つけられなかった。これはドナー年齢の制限がないUKのアイバンクポリシーを支持する。
ドナーの年齢が高くても内皮が少なめでも角膜移植の移植片生着に影響しないと思われる。(CH)

2016
100巻

アーメドインプラント(AGV)後の角膜内皮細胞の変化と累積する角膜機能不全のリスク

British Journal of Ophthalmology 100巻 (7号) 2016

Changes in corneal endothelial cell density and the cumulative risk of corneal decompensation after Ahmed glaucoma valve implantation
Kyoung Nam Kim, et al. (Korea)
Br J Ophthalmol 2016(7);100:933-938
目的:アーメドインプラント(AGV)後の角膜内皮細胞の変化と角膜機能不全のリスクを検討した。
対象と方法:AGV後5年以上経過し4回以上スペキュラがとれた患者72眼、コントロール眼 31眼
術後、6ヶ月以上続く角膜浮腫を角膜機能不全と定義した。
コントロール眼は緑内障治療中の症例で点眼治療のみで手術既往無しの症例。
結果:平均経過観察期間43.1ヶ月。術後、チューブの角膜への接触はなかった。
AGV後5年で角膜機能不全になったのは3.3%だった。
コントロール眼と比較し、ECD損失率がとても高かった。(AGV -7.0±5.2%/ 年、コントロール眼 -0.1±2.4%/年 (p=0.001))
しかし、長い経過観察期間中に損失率は徐々に緩やかになった。ベースライン〜術後1年 -10.7%(p<0.001)、術後1年〜2年 -7.0%(p=0.037)、術後2〜3年後 -4.2%(p=0.230)、術後3年〜最終 -2.7%(p=0.111)
結論:今までの3つの報告で、緑内障インプラント手術後1年から2年の間は絶え間ないECDの減少を認めたと報告がある。この研究ではECD損失率はコントロール眼と比較し、AGV後は有意に高かったが、それは術後2年までであった。そして術後5年での角膜機能不全は3.3%だった。(CH)

2016
100巻

抗VEGF治療に対するouter retinal tubulationの変化

British Journal of Ophthalmology 100巻 (6号) 2016

Outer retinal tubulations response to anti-VEGF treatment.
Espina M et al(CA USA)
Brit J Ophthalmol 100(6): 819-823, 2016
・AMDにおけるouter retinal tubulation(ORT)の抗VEGF治療に対する反応をOCTで調べた。
・31眼51例の滲出性AMDの内、開始時にORTのあった眼は33眼であった。
・ORTを持つ眼はない眼よりも中心窩外境界膜の破壊によって視力は低い傾向にある。
・中間値11ヶ月の経過観察では23眼のORTは不変で10眼に変化が見られた。
・抗VEGFに反応して管腔が閉塞したものが5/10眼あったが、治療中止後12か月以内に全例再発した。
・2/10眼は抗VEGF治療中も拡大し、2/10眼は無治療で管腔が閉塞、1/10眼は無治療で10か月後に管腔が閉塞し、AMDが悪化しても再発してこなかった。(図)(TY)

2016
100巻

ぶどう膜炎による眼球勞に陥る前の低眼圧にHealaflowを使用

British Journal of Ophthalmology 100巻 (6号) 2016

A novel use of reticulated hyaluronic acid (Healaflow) for hypotony eyes in patients with uveitis
RE Stead et al (UK)
Br J Ophthalmol 100(6) :727-730, 2016
ぶどう膜炎により房水産生が減少し低眼圧になると眼球勞に陥っていくが、緑内障手術用空間保持補助剤であるHealaflow(網状のヒアルロン酸)を前房内注射することによって美容的にも自覚的不快感に対しても有効であった
HealonVでは数日しか持たなかったが、Healaflowは数か月維持できた
(HealonVでは46か月連続注射で維持できたという報告があるが、今回のスタディでは平均5.8か月ごとであった)(MM)

2016
100巻

偽水晶体眼の角膜浮腫に対するDSAEKの結果

British Journal of Ophthalmology 100巻 (6号) 2016

Outcomes of endothelial keratoplasty in pseudophakic corneal oedema: with or without Descemet’s membrane stripping
Ashik Mohamed, et al. (India)
Br J Ophthalmol 2016(6);100:754-756.
目的:偽水晶体眼の角膜浮腫に対するDSAEKの結果をストリッピング有無で比較検討した。
対象と方法:DSEK 13眼(男性6眼、女性7眼)、平均年齢61.5±7.0歳
           nDSEK 13眼(男性10眼、女性3眼)、平均年齢63.5±10.4歳
結果:ドナー角膜 DSEK 2885±71.4 cells/mm2、nDSEK 3148±293.3 cells/mm2
      術後損失率 DSEK 28.1±17.1%、nDSEK 23.6±8.3%
視力     術前 DSEK 1.70±0.66、nDSEK 1.87±0.57
    術後6ヶ月 DSEK 0.18、nDSEK 0.44 
合併症 それぞれ1例ずつ移植片接着不良で前房内空気再注入を行った。
nDSEK で拒絶反応1例。
結論:デスメ膜を剥がすと角膜実質後面の繊維に影響を与え、接着面を荒らし、全体的な視力の質を落とす可能性がある。偽水晶体眼の角膜浮腫のためのnDSEKではデスメ膜をはがさなくてもDSEKと類似の結果が得られることを示唆する。(CH)

2016
100巻

角膜新生血管のOCT angiography

British Journal of Ophthalmology 100巻 (5号) 2016

En face optical coherence tomography angiography for corneal neovascularisation.
Ang M et al(UK)
Brit J Ophthalmol 100(5): 616-621, 2016
・En face optical coherence tomography angiography(OCTA)で角膜新生血管を20例で描写した。
・使用したのは市販されているOptovueのOCTA装置に前眼部レンズアダプターを取り付けたものである。(TY)

2016
100巻

乳頭ピット黄斑症に対する光凝固の効果

British Journal of Ophthalmology 100巻 (4号) 2016

Pars plana vitrectomy with juxtapapillary laser photocoagulation versus vitrectomy without justapapillary laser photocoagulation for the treatment of optic disc pit maculopathy: the results of the KKESH International Collaborative Retina Study Group.
Abouammoh MA et al(MD USA)
Brit J Ophthalmol 100(4): 478-483, 2016
・乳頭ピット黄斑症に対しての硝子体手術時に乳頭縁に光凝固をした24例としなかった22例とで視力、OCTで、術後44か月(12-98ヶ月)経過を追った。
・光凝固群ではlogMAR=0.7(20/100)からlogMAR=0.5(20/60)、非凝固群ではlogMAR=0.7(20/100)からlogMAR=0.4(20/40)で有意差はなかった。
・中心黄斑厚は光凝固群では750から309μ、非凝固群では616から291とこちらも有意差はなかった。(TY)

2016
100巻

DSAEK後の視力とコントラスト感度

British Journal of Ophthalmology 100巻 (3号) 2016

Visual acuity and contrast sensitivity following Descemet stripping automated endothelial keratoplasty
Marcus Ang, et al. (Singapore)
Br J Ophthalmol 2016(3);100:307-311
目的:DSAEK後の視力とコントラスト感度の改善について検討した。
対象と方法:128人128眼(フックス角膜変性症61眼、と水疱性角膜症67眼)、平均年齢67歳、女性70眼、男性58眼。術後24ヶ月以上経過観察して視力とコントラスト感度を検討した。
結果:術前視力 FED  0.66±0.6 logMAR、BK  1.3±0.7 logMARと、BKの方が悪かった。
術後視力 術後6ヶ月の時点でBKの方が良い改善を示した(FED  0.4±0.7 logMAR、BK 1.0±0.7 logMAR)。術後12ヶ月ではFED  0.22±0.1 logMAR、BK 0.27±0.1 logMARでFEDの方が良かったが、術後24ヶ月には有意差はなくなった。
コントラスト感度はFEDでは術後6ヶ月でかなり改善した。その後は術後24ヶ月まで変化はなかった。BKでは術後1年かけてゆっくり改善した。その後、変化はなかった。
グラフト厚は平均156μmで、グラフトの厚さと視力、コントラスト感度に関連はなかった。
結論:DSAEK後、視力とコントラスト感度が改善しているが、BKの方がFEDより視力の回復に時間がかかった。角膜実質の改善に時間がかかるのかもしれない。(CH)

2016
100巻

再発性前部ぶどう膜炎に対する0.05%シクロスポリンA点眼

British Journal of Ophthalmology 100巻 (3号) 2016

Topical cyclosporine A 0.05% for recurrent anterior uveitis
Shreya S Prabhu et al, (Michigan, U.S.)
Br J Ophthalmol 2016 (3) ;100:345-347.
目的:再発する前部ぶどう膜炎の症例で、ステロイド点眼や内服といった従来の治療法と長期間の0.05%シクロスポリンA点眼での治療結果を比較した。
対象と方法:再発性の虹彩炎や慢性の虹彩炎と診断された患者8人(女性5人、男性3人)、平均年齢55.1±15.1歳、7人(88%)コーカサス、1人(12%)アフリカ系アメリカ人、従来の治療法で少なくとも3ヶ月以上、0.05%シクロスポリンA点眼1日2回で少なくとも3ヶ月以上治療できた症例。
シクロスポリンA点眼を使う前に平均3.6±2.0回再発していた。
結果:シクロスポリンA点眼で治療した12ヶ月間で前部ぶどう膜炎の発症が有意に減少した。発症の持続時間、炎症が起こっていた合計日数も減少した。
結論:うさぎを使った実験で、炎症を抑える為に十分なシクロスポリンAの濃度が結膜と角膜の中に吸収されることが証明されている。さらに吸収されたシクロスポリンAは長い半減期があり、1回投与後、角膜の中で最高96時間高濃度を維持していた。
そのため、角膜や毛様体は、前部ぶどう膜炎のフレアを防ぐためにシクロスポリンAを継続的に放出し、十分な濃度を維持する貯蔵庫の役割をしているかもしれない。
従来の治療と比較し、0.05%シクロスポリンA点眼治療は再発性前部ブドウ膜炎の改善を示した。(CH)

2016
98巻

Cypass Micro-StentのOCTイメージ

British Journal of Ophthalmology 98巻 (1号) 2016

Optical coherence tomography of the suprachoroid after CyPass Micro-Stent implantation for the treatment of open-angle glaucoma
II Ahmed et al (Canada, Tronto)
Br J Ophthalmol 98(1): 19-23, 2014
Cypass挿入後のSupraciliary space(SCS)をVisanteOCTを用いて撮影した
挿入部、チューブ周囲、チューブ後方に液体貯留のスペースが1年後でも認められたが、時間経過とともに小さくなっている(MM)

2015
99巻

円錐角膜と閉塞性睡眠時無呼吸症候群

British Journal of Ophthalmology 99巻 (12号) 2015

Association between the prevalence of obstructive sleep apnoea and the severity of keratoconus.
Naderan M et al(Iran)
Brit J Ophthalmol 99(12): 1675-1679, 2015
・年齢、性、BMIをマッチさせた円錐角膜の616例とCtrlの616例について閉塞性睡眠時無呼吸症候群OSAとの関連を検討した。
・円錐角膜群では76例(12.3%)、Ctrl群では40例(6.5%)がOSAと診断され、有意差があった(p<0.01)。
・円錐角膜群ではOSAの家族歴とBMIがOSAのリスクファクターであったが、Ctrl群では女性であることだけがリスクファクターであった。
・OSAの高riskのある円錐角膜患者は有意に平均K値(49.3:46.8D)、K1値(47.4:45.4D)、K2値(51.6:49.1D)が高く(p<0.05)、最も薄い部位の角膜厚が薄かったが(440:454μm p=0.007)、中心角膜厚には有意差はなかった(458:462 p=0.34)。
・円錐角膜の患者はOSAになるリスクが高く、OSAになるリスクを持った円錐角膜患者はより重症な円錐角膜になる可能性が高い。(TY)

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