Pars plana vitrectomy with juxtapapillary laser photocoagulation versus vitrectomy without justapapillary laser photocoagulation for the treatment of optic disc pit maculopathy: the results of the KKESH International Collaborative Retina Study Group.
Abouammoh MA et al(MD USA)
Brit J Ophthalmol 100(4): 478-483, 2016
・乳頭ピット黄斑症に対しての硝子体手術時に乳頭縁に光凝固をした24例としなかった22例とで視力、OCTで、術後44か月(12-98ヶ月)経過を追った。
・光凝固群ではlogMAR=0.7(20/100)からlogMAR=0.5(20/60)、非凝固群ではlogMAR=0.7(20/100)からlogMAR=0.4(20/40)で有意差はなかった。
・中心黄斑厚は光凝固群では750から309μ、非凝固群では616から291とこちらも有意差はなかった。(TY)
Visual acuity and contrast sensitivity following Descemet stripping automated endothelial keratoplasty
Marcus Ang, et al. (Singapore)
Br J Ophthalmol 2016(3);100:307-311
目的:DSAEK後の視力とコントラスト感度の改善について検討した。
対象と方法:128人128眼(フックス角膜変性症61眼、と水疱性角膜症67眼)、平均年齢67歳、女性70眼、男性58眼。術後24ヶ月以上経過観察して視力とコントラスト感度を検討した。
結果:術前視力 FED 0.66±0.6 logMAR、BK 1.3±0.7 logMARと、BKの方が悪かった。
術後視力 術後6ヶ月の時点でBKの方が良い改善を示した(FED 0.4±0.7 logMAR、BK 1.0±0.7 logMAR)。術後12ヶ月ではFED 0.22±0.1 logMAR、BK 0.27±0.1 logMARでFEDの方が良かったが、術後24ヶ月には有意差はなくなった。
コントラスト感度はFEDでは術後6ヶ月でかなり改善した。その後は術後24ヶ月まで変化はなかった。BKでは術後1年かけてゆっくり改善した。その後、変化はなかった。
グラフト厚は平均156μmで、グラフトの厚さと視力、コントラスト感度に関連はなかった。
結論:DSAEK後、視力とコントラスト感度が改善しているが、BKの方がFEDより視力の回復に時間がかかった。角膜実質の改善に時間がかかるのかもしれない。(CH)
Topical cyclosporine A 0.05% for recurrent anterior uveitis
Shreya S Prabhu et al, (Michigan, U.S.)
Br J Ophthalmol 2016 (3) ;100:345-347.
目的:再発する前部ぶどう膜炎の症例で、ステロイド点眼や内服といった従来の治療法と長期間の0.05%シクロスポリンA点眼での治療結果を比較した。
対象と方法:再発性の虹彩炎や慢性の虹彩炎と診断された患者8人(女性5人、男性3人)、平均年齢55.1±15.1歳、7人(88%)コーカサス、1人(12%)アフリカ系アメリカ人、従来の治療法で少なくとも3ヶ月以上、0.05%シクロスポリンA点眼1日2回で少なくとも3ヶ月以上治療できた症例。
シクロスポリンA点眼を使う前に平均3.6±2.0回再発していた。
結果:シクロスポリンA点眼で治療した12ヶ月間で前部ぶどう膜炎の発症が有意に減少した。発症の持続時間、炎症が起こっていた合計日数も減少した。
結論:うさぎを使った実験で、炎症を抑える為に十分なシクロスポリンAの濃度が結膜と角膜の中に吸収されることが証明されている。さらに吸収されたシクロスポリンAは長い半減期があり、1回投与後、角膜の中で最高96時間高濃度を維持していた。
そのため、角膜や毛様体は、前部ぶどう膜炎のフレアを防ぐためにシクロスポリンAを継続的に放出し、十分な濃度を維持する貯蔵庫の役割をしているかもしれない。
従来の治療と比較し、0.05%シクロスポリンA点眼治療は再発性前部ブドウ膜炎の改善を示した。(CH)
Optical coherence tomography of the suprachoroid after CyPass Micro-Stent implantation for the treatment of open-angle glaucoma
II Ahmed et al (Canada, Tronto)
Br J Ophthalmol 98(1): 19-23, 2014
Cypass挿入後のSupraciliary space(SCS)をVisanteOCTを用いて撮影した
挿入部、チューブ周囲、チューブ後方に液体貯留のスペースが1年後でも認められたが、時間経過とともに小さくなっている(MM)
Association between the prevalence of obstructive sleep apnoea and the severity of keratoconus.
Naderan M et al(Iran)
Brit J Ophthalmol 99(12): 1675-1679, 2015
・年齢、性、BMIをマッチさせた円錐角膜の616例とCtrlの616例について閉塞性睡眠時無呼吸症候群OSAとの関連を検討した。
・円錐角膜群では76例(12.3%)、Ctrl群では40例(6.5%)がOSAと診断され、有意差があった(p<0.01)。
・円錐角膜群ではOSAの家族歴とBMIがOSAのリスクファクターであったが、Ctrl群では女性であることだけがリスクファクターであった。
・OSAの高riskのある円錐角膜患者は有意に平均K値(49.3:46.8D)、K1値(47.4:45.4D)、K2値(51.6:49.1D)が高く(p<0.05)、最も薄い部位の角膜厚が薄かったが(440:454μm p=0.007)、中心角膜厚には有意差はなかった(458:462 p=0.34)。
・円錐角膜の患者はOSAになるリスクが高く、OSAになるリスクを持った円錐角膜患者はより重症な円錐角膜になる可能性が高い。(TY)
Prevalence of guttae in the graft following corneal transplantation
Yoav Nahum, et al. (Italy)
Br J ophthalmol 2015(12);99: 1660-1663.
目的:タイプの異なった角膜移植後の移植片での滴状角膜の有病率と、手術結果に影響があるか調べた。
対象と方法:角膜移植した1116眼(DSAEK、 DMEK、 PK 946眼、ALK 170眼)。
スペキュラマイクロスコープを使って角膜中央部の内皮細胞を調べた。
結果:45眼(4%)で滴状角膜を認めた。
散らばった滴状27眼、広範囲に認められる小さい物が滴状したもの9眼、大きな滴状9眼。
全例で角膜浮腫はなかった。
術後早くて7週後に認めた。(手術後1年以内12眼、2、3年後22眼、それ以降11眼)
EK後42眼、(DSAEK 25眼、DMEK 0眼PK 17眼)、ALK後3眼で滴状を認めた。
手術前のドナー角膜の内皮細胞数に関連はなかった。
EKの方がALKより有病率が高かったが、有意差はなかった。
EKで、フックスと非フックスでも差はなかった。
患者の年齢、ドナーの年齢と関連はなかった。
視力は術後最終受診時で、滴状あり 0.22±0.24 logMAR、滴状無し 0.29±0.45 logMARで有意差はなかった。
同様にECDも 滴状あり 1633±427 cells/mm2、滴状無し 1555±454 cells/mm2で有意差はなかった。
結論:角膜移植後、滴状角膜の有病率は4%だった。視力、角膜内皮細胞密度、移植片生存率に影響はなかった。滴状角膜の有病率は手術のタイプによって異なることがわかった。EK(4.4%)はALK(1.7%)に比べ、滴状角膜の有病率が高かった。(CH)
Steroid-induced glaucoma and childhood blindness
Gupta S, Gupta V, et al. (India)
Br J Ophthalmol 99(11):10 1454-1456, 2015
【目的】小児のステロイド緑内障(SIG)による視力障害の程度やリスク因子を検索
【対象と方法】筆者らが属する第三次医療機関の緑内障部門に訪れた小児緑内障の五年間の記録を解析。
【結果】1259例の小児緑内障患者のうち、59例(4.7%)がSIGの診断。そのうち51例(81%)は春季カタルでステロイドの点眼治療を受けていた。ステロイドの平均投与期間は18か月(1か月~8年)。82%もの小児は眼科医に治療されており、52%の例で点眼ステロイドを1年以上続けていた。
・WHOクライテリアに準じると、来院時には14例(23.7%)がロービジョン、16例(27%)が片眼失明、22例(37.3%)が両眼失明の状態であった。
【結論】SIGの1/3の症例が我々の三次機関に来院時すでに両眼失明していた。眼科医は春季カタルの治療にあたってはステロイドの離脱を考える必要がある。また点眼治療でも小児にステロイドを投与する際には注意深く観察する必要がある。(MK)
Comparison of primary graft survival following penetrating keratoplasty and Descemet’s stripping endothelial keratoplasty in eyes with prior trabeculectomy
Shawn M Iverson, et al. (Florida, U.S.)
Br J Ophthalmol 2015(11);99:1477-1482.
目的:線維柱帯切除後のDSEKとPKの移植片不全率を比較検討した。
対象と方法:少なくとも6ヶ月前からDSEKやPKを必要とする角膜疾患にかかっていて、角膜移植前に緑内障治療を受けていた50人50眼、平均年齢76.7±10歳。
DSEKはフックス角膜変性症、白内障手術後の水疱性角膜症に対して行った。実質の混濁、前房が浅いなど、DSEKが失敗しやすい症例にPKを行った。
DSEK 30眼 (レクトミー後 13眼、medical treatment 17眼)
PK 20眼 (レクトミー後 9眼、medical treatment 11眼)
4つのグループに分けて検討した(レクトミーDSEK、レクトミーPK、medical DSEK、medical PK)
結果:平均経過観察期間 DSEK 30眼 14.5±11.6ヶ月、 PK 20眼 19.7±15.8ヶ月
ベースライン時の特徴はグループ間で差はなかった。
術前眼圧はレクトミーDSEKではmedical DSEK、medical PK、レクトミーPKより低かった。
DSEKのうち5人は全く透明化しなかった。レクトミー3眼、medical 2眼
全てのグループで36ヶ月後のBCVAは改善した。
全てのグループでBCVA、眼圧で有意差はなかった。
移植片不全はDSEK 50%、PK 10%だった。特にレクトミーDSEK後の移植片不全は76.9%でレクトミーPK11.1%よりとても高かった(p=0.005)。
年齢が80.2歳以上だと不全率が高い(P=0.042)。その他、性別、民族、眼圧、高血圧、緑内障タイプなど差はなかった。
合併症は、一過性眼圧上昇 27眼で術後3ヶ月まで上昇した。その他、DSEKではグラフト解離 8眼。
拒絶反応 DSEK 6眼(その後2眼失明)、PK 0眼
結論:DSEKはPKより不全率高かった。DSEK前の緑内障手術は重要なリスク要因である。
大きな機能の良い濾過胞は、前房中の空気を維持しておく事を困難にするので、グラフト解離や移植片不全を増やすのかもしれない。(CH)
Recovery of photoreceptor inner and outer segment layer thickness after reattachment of rhegmatogenous retinal detachment.
Terauchi G et al(帝京大)
Brit J Ophthalmol 99(10): 1323-1327, 2015
・49例49眼(57.4±10.3歳)の黄斑部剥離のあった網膜剥離眼でPPV単独は32眼、PPV+輪状締結17眼の成功例で、術前、1,3,6,12か月後にOCT検査を行った。
・術後1か月でinner segment(IS)は20.4±5.0μ、outer segment(OS)は34.4±9.7μであり、他眼の28.9±2.9、55.4±5.2よりも有意に薄かった。
・厚みは徐々に増加し、1年後にはIS:28.4±4.4、OS:50.7±6.6で有意差はなくなった。
・術後1か月目のIS,OS厚は6か月目で視力1.0あった眼ではそれ以下の視力であった眼よりも有意に厚かった。
・IS厚(22.53±3.94:17.73±5.06)、OS厚(38.63±6.87:28.93±10.22)。IS,OS厚の増加は湯栗であるが、その解析は病態の回復経過の解析に有効である(TY)。
Aqueous penetration of orally and topically administered moxifloxacin.
Sharma T et al(India)
Brit J Ophthalmol 99(9): 1182-1185, 2015
・42例42眼の白内障手術予定者で、21眼には0.5%moxifloxacin点眼を手術75分前から15分間隔に4回点眼、21眼では400mg moxifloxacin錠を1錠、1時間前に内服。
・白内障手術時に前房内濃度を測定した。
・内服群では0.504±0.30μg/ml、点眼群では2.04±0.72μg/mlで有意差があった。
・殊に50歳以下では点眼による前房内濃度は高かった(図)。(TY)
Changes in choroidal thickness during pregnancy detected by enhanced depth imaging optical coherence tomography.
Dadaci Z et al(Turkey)
Brit J Ophthalmol 99(9): 1255-1259, 2015
・27例54眼の健康な妊婦、25例50眼の年齢マッチした健康女子で脈絡膜厚を測定した。
・妊娠最初の3週(6-8W)、最後の3週(32-37W)、健康女子では卵胞期で測定した。
・最初の3週目と最後の3週目では、右眼は349.22±82.11→333.56±76.61(p=0.014)、左眼は341.30±85.22→326.93±75.84(p=0.024)と有意に減少していた。
・正常者との間では有意差はなかったが妊婦よりは薄かった(p>0.05)(図)。(TY)
Glaucoma and allergies: ‘should I get rid of my cat?’ (Editrial)
Sng CCA, Barton K. (Singapore)
Br J Ophthalmol 99(8):10 1015, 2015
・上記論文に対する別の雑誌の論説
・TVや新聞で「why owning a cat could lead to blindness」「keep your dog, ged rid of your cat」などと大々的に流れたよう→患者が困って相談
・ネコアレルゲンやゴキブリアレルゲンが視神経に対する自己免疫疾患のトリガーとなる説はもっともらしい
過去にも緑内障性の視神経障害に対する免疫系の作用が神経保護・神経変性の両面で報告されている
上記論文の著者(Tsengら)はセンセーショナルに結果を伝えるマスメディアとは違い、この論文の制限と疑問点とを記載している
ロジスティック回帰分析で補正しているのは年齢・人種・そしてステロイド使用のみである
眼圧や家族歴などのリスクファクターを組み込むことができず、解析の交絡要因になりうると記載している
緑内障の診断は非ステレオ撮影の眼底写真とFDTのみ、緑内障のタイプもNHANESのデータからは得られず
ネコとイヌの)95%CIが広く(1.10-10.67および0.06-0.96)、精密性は低いと考えられる
仮にTsengらの論文の結果がまったく正当であったとしても、ネコアレルギー陽性とネコの飼い主であることとは一致しない。ネコアレルゲンはネコがいる家・いない家に関わらずいたるところに浮遊しているという報告もある。家の周りにネコがいないにも関わらず多くのひとがネコアレルゲンに感作されるという報告があり、ネコを飼っていなくても周囲には多くの人を感作させるだけのネコアレルゲンがあることを示す。さらに、ネコを捨ててもアレルギー症状はしばしば改善しないとの報告もある。さらにはネコの飼い主はネコアレルギー陽性の率が少ない、IgG4が関係した免疫寛容の状態になっているとの報告もある。ネコアレルゲンに感作されるのは幼少期に多く、緑内障患者が多いのは新たなアレルゲンに感作されにくい成人期である
【結論】我々はTsengらの好奇心を刺激する研究を推奨するが、ネコを飼っていても将来必ずしも緑内障にならないことをネコの愛好家たちは再度安心すべきである。その一方でゴキブリを根絶することに更なる調査が必要でないことは多くの人が同意するだろう。(MK)
The scotogenic contact lens: a novel device for treating binocular diplopia
Robert MP, et al. (UK)
Br J Ophthalmol 99(8):10 1022-1024, 2015
・両眼性複視:プリズム眼鏡が不可能な場合、アイパッチや不透明コンタクトレンズ(CL)での片眼遮蔽で対処
→これらの方法では周辺視野が狭くなることが欠点(他の論文では48-72%視野が狭くなると報告)。
・この問題を解決するために新しいCLを開発
・CLの中央が暗くなっており、片目だけ中心部分の視野だけを制限して、周辺の視野を制限しない状態になる。結果として、中心の部分で物が2つに見える影響を排除しながら、視野を狭める影響を抑える。
・このCLをプリズムを使って人工的に両眼複視にした健常人12名、実際に両眼複視の症状がある12名を対象として、アイパッチ法と比較。
・アイパッチと比べて、スコトジェニックCLは複視を解消させる効果は同等であり、受け入れやすさと周辺視野への影響は優れていた
・安価で低侵襲な方法であり新しい効果的なツールとなりうる(MK)
Retinal nerve fibre layer thickness measurements after successful retinal detachment repair with silicone oil endotamponade.
Geber MZ et al(PA USA)
Brit J Ophthalmol 99(6): 853-858, 2015
・網膜剥離硝子体手術時にシリコーンオイル(SO)注入を行った57例で、視神経乳頭周囲のRNFL厚を術後7、30、90、180日後にHD-OCTで測定した。
・他眼をコントロールとした。SO眼ではRNFL厚はCTRL眼より常に有意に厚かった。
・7,30,90,180日目のRNFL厚は98:88μm(p=0.001), 94:88(p=0.023), 95:88(p=0.013), 96:90(p=0.01)。
・最近の動物モデルの論文ではSOが術後1か月で網膜、視神経などに侵入することも分ってきたが、毒性については分かっていない。(TY)
A prospective pilot study of intravitreal aflibercept for the treatment of chronic central serous chorioretinopathy: the CONTAIN study
John D Pitcher Ⅲ et al (PA)
Br J Ophthalmol 99(6):848–852, 2015
・3か月以上続くCSC、FAでリーク有、IAで血管透過性の亢進や異常拡張、視力が20/25~20/320のあいだで、過去3か月以内に抗VEGF薬、PDTやレーザー治療を受けていないなどの除外基準を満たした12例(29-64歳の男性)を対象
・Group 1(n=6): アイリーア2mg/0.05mgを0,1,2,3,4,5M
Group 2(n=6): アイリーア2mg/0.05mgを0,1,2, 4 M
感染や30mmHgを超える眼圧上昇などの副作用があった場合は中止
・毎月の視力、OCT、6か月後のFA/IAを評価
・注射開始までのSRF持続期間 平均6か月(4-31M)
・結果: 視力 有意差なし CMT/脈絡膜厚(EDI)/SFFは有意に改善
6眼(50%)でSFFは消失 8眼(75%)でFAのリークが消失
グループ間での有意差はなし(MM)
Influence of graft size on graft survival following Descemet stripping automated endothelial keratoplasty
Vito Romano, et al. (U.K.)
Br J Ophthalmol 99(6):784-788,2015
目的:DSAEKのグラフトサイズの移植片生着に対する影響を調べた。
対象と方法:水疱性角膜症のためDSAEKを施行した症例131眼(フックス角膜内皮変性症84眼、偽水晶体水泡性角膜症(PBK)47眼)、少なくとも1年以上経過観察できた症例。
ドナー平均年齢69.4±11.6歳、平均角膜内皮細胞密度(ECD) 2775.6±196.4 cells/mm2
グラフトサイズにより3つのグループに分けた。9mm以下 28例、9mm 52例、9.5mm以上 51例
結果:全例術前平均視力1.01±0.76 logMAR → 12ヶ月後 0.2±0.2 logMAR
9mm以下術前視力0.89±0.38 logMAR → 12ヶ月後 0.28±0.38 logMAR
9mm術前視力0.88±0.60 logMAR → 12ヶ月後 0.27±0.27 logMAR
9.5mm以上術前視力1.1±0.92 logMAR → 12ヶ月後 0.25 ±0.23 logMAR
術後の視力はECDと関連があったが、ドナー年齢や術前視力とは関係なかった。
移植片生着不全は11例(9mm以下5例、9mm 4例、9.5mm以上 2例)。
グラフトサイズの大きさとECDは移植片生着不全の減少と関連していた。ドナー年齢、病気のタイプ、合併症とは関係なかった。
術後の中央ECDは測定していない。
結論: ECDは角膜全体均一ではなく、角膜周辺部の方がかなり多い傾向にある。アマンらは、ECDが中央から周辺にかけて増加し、特に9mmを超えると10%増加することを実証した。大きい移植片はより多数の内皮細胞を移植して、長期間移植片を生着させると思われた。(CH)
Efficacy and safety of pre-Descemet’s membrane sutures for the management of acute corneal hydrops in keratoconus
H Yahia Cherit, et al. (France)
Br J Ophthalmol 99(6):773-777,2015
目的:急性水腫に対するデスメ膜前の圧迫縫合の有効性と安全性を評価する。
対象と方法: 7人(男性4人、女性3人)、平均年齢29歳、全員平均6.3年間円錐角膜として治療を受けていた。
2人アトピー、1人ダウン症候群。急性水腫発症後、平均2.85日で圧迫縫合を受けた。
角膜上皮を剥離後、前房に空気を注入しデスメ膜破裂部位をわかりやすくし、tearのエッジにマーカーで印をつけ、その間を10−0ナイロンで3〜7糸縫合した。デスメ膜の上に針を通すが、前房を空気で満たしているので針を入れるときにデスメ膜にしわが寄るので比較的容易であった。前房3/4ほど空気にして終了。(1人はC3F8空気の混合)
予防のイリデクはしていない。
結果:全ての症例で術後1日目から浮腫が軽減した。
視力 術前 2.13 logMAR → 術後1ヶ月 1.65 logMAR →術後2ヶ月 0.84 logMAR
角膜厚 術前 1472μm → 術後1日目 909μm→ 術後15日目 716μm→ 術後1ヶ月 528μm
6眼は術後15日目で浮腫は消失した。1眼は1ヶ月後に消失した。(広範囲の破裂と浮腫あり)
平均4.1ヶ月で抜糸した。
前眼部OCTにより4人が術後1日目で破裂の消失が確認できた。
角膜内皮細胞密度は平均2329 cells/mm2
高眼圧、感染、新生血管のような合併症はなかった。
結論:円錐角膜の3%に急性水腫が発症すると言われ、2から6ヶ月で自然に治る。ガスや空気の前房内注入も浮腫軽減を早めるとも言われているが、この研究では縫合と空気注入で術後1日目から浮腫が引いた。
この早い回復はデスメ膜の柔軟性のためでもある。実際にデスメ膜が破裂する時、収縮したり丸まったりする。その結果、内皮が破裂の間隙に移動しなければならない。さらにそれらの細胞は新しいデスメ膜を作らなければならない。それは実質に水を通さないようにするためである。このプロセスが数週間から数ヶ月かかる。
ガスや空気を入れるとデスメ膜と実質は接着するが、破裂の間隙はそのままという事がわかった。
圧迫縫合は破裂の辺縁をつなぎ合わせ、数日のうちに浮腫も引くので内皮が移動する必要もない。
さらに、内皮細胞の損傷を最小限にする為、デスメ膜の前で縫合した。Rajaramanらが報告した全層縫合と同じぐらいの効果が得られた。
急性水腫に対する前房内に空気を入れたデスメ膜の前での圧迫縫合は安全で有効であり、角膜の浮腫の期間を短くできることを示唆する。(CH)
Outcomes of epiretinal membrane surgery in highly myopic eyes
Jean-Baptiste Conant, et al. (France)
Br J Ophthalmol 99 (6):859-863,2015
目的:高度近視眼での黄斑前膜に対する手術結果を近視のない眼と比較する。
対象と方法:高度近視眼グループ 57眼(平均年齢64.5 ± 10.4歳、平均眼軸長27.3±1.1mm)
コントロールグループ 57眼(平均年齢71.6 ±5.7歳、平均眼軸長23.1s±1.0mm)
硝子体手術を施行。60歳以上の患者には白内障施術も同時に行った。
結果:高度近視眼グループ 術前BCVA 0.62±0.23 logMAR → 手術1年後 0.27±0.2 1ogMAR
57眼中44眼が2 line以上視力改善した。
8眼に後部ぶどう腫があり、BCVA 0.29±0.16 logMARで他の高度近視眼やコントロールより低かった。
コントロールグループ 術前BCVA 0.61±0.22 logMAR→手術1年後 0.25±0.15 logMAR
57眼中47眼が2 line以上視力改善した。
両グループでCMT改善。BBG使用した症例と使用しなかった症例で差はなかった。
術中合併症は網膜裂孔で、高度近視眼グループ4眼、コントロールグループ3眼。術後合併症はなかった。
結論: 両グループで類似した機能的、解剖学的な結果を残した。より長い眼軸は視力の改善と合併症に影響しなかった。(CH)
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Compatibility of recombinant tissue plasminogen activator (rtPA) and aflibercept or ranibizumab coapplied for neovascular age-related macular degeneration with submacular haemorrhage.
Klettner A, Grotelüschen S, Treumer F, Roider J, Hillenkamp J. (Germany)
Br J Ophthalmol. 2015 ;99(6):864-9
【目的】
・AMDによる網膜下血腫の治療の際、tPAと抗VEGF剤とを同時投与する場合がある
・tPAおよびその産物であるプラスミンが抗VEGF剤を分解させないか、in vitroの環境で評価
【対象と方法】
①afliberceptおよびranibizumabをそれぞれtPAまたはプラスミンとともにインキュベートし電気泳動
②豚眼の網膜色素上皮細胞を用いたVEGF-ELISA法で抗VEGF活性を定量
【結果】
・ranibizumab:電気泳動ではtPA・プラスミンのどちらと同時投与した場合も新たなバンドがみられず、抗VEGF効果も変化なし
・aflibercept:tPAはafliberceptを分解しなかったが、プラスミンと同時投与すると電気泳動にて追加のバンドがみられた(=分解された)
・実臨床での濃度(800μg/mL)ではafliberceptの抗VEGF効果は減弱しなかったが、半分の濃度(400μg/mL)では抗VEGF効果が消失した
【結論】
・RanibizumabはtPAやプラスミンと混ぜても分解されず機能も低下しない
・Afliberceptはプラスミンと同時投与することで分解され機能が低下する
・臨床の場ではAMDによる網膜下血腫の治療の際にはtPAとranibizumabは同時投与可能である(MK)
Compatibility of recombinant tissue plasminogen activator (rtPA) and aflibercept or ranibizumab coapplied for neovascular age-related macular degeneration with submacular haemorrhage.
Klettner A, Grotelüschen S, Treumer F, Roider J, Hillenkamp J. (Germany)
Br J Ophthalmol. 2015 ;99(6):864-9
【目的】
・AMDによる網膜下血腫の治療の際、tPAと抗VEGF剤とを同時投与する場合がある
・tPAおよびその産物であるプラスミンが抗VEGF剤を分解させないか、in vitroの環境で評価
【対象と方法】
①afliberceptおよびranibizumabをそれぞれtPAまたはプラスミンとともにインキュベートし電気泳動
②豚眼の網膜色素上皮細胞を用いたVEGF-ELISA法で抗VEGF活性を定量
【結果】
・ranibizumab:電気泳動ではtPA・プラスミンのどちらと同時投与した場合も新たなバンドがみられず、抗VEGF効果も変化なし
・aflibercept:tPAはafliberceptを分解しなかったが、プラスミンと同時投与すると電気泳動にて追加のバンドがみられた(=分解された)
・実臨床での濃度(800μg/mL)ではafliberceptの抗VEGF効果は減弱しなかったが、半分の濃度(400μg/mL)では抗VEGF効果が消失した
【結論】
・RanibizumabはtPAやプラスミンと混ぜても分解されず機能も低下しない
・Afliberceptはプラスミンと同時投与することで分解され機能が低下する
・臨床の場ではAMDによる網膜下血腫の治療の際にはtPAとranibizumabは同時投与可能である(MK)