Longitudinal changes in anetrior chamber depth and axial length in Asian subjects after trabeculectomy surgery.
Husain R et al(Singapore)
Brit J Ophthalmol 97(7): 852-856, 2013
・122名の線維柱帯切除術後の前房深度(ACD)、眼軸長(AXL)の変化を5年間調査し、眼圧がACDやAXLに与える影響を検討した。
・全例、アジア人で、有水晶体眼である。ACDとAXLは術前に比して全例で短く、ACDは術前の2.73±0.52から術60ヶ月目で、0.11mm短縮(95%CI=0.07-0.15 p<0.01)していた。
・AXLは術前の23.38±1.45から平均0.16mm短縮(95%CI=0.11-0.20 p<0.01)していたが、36ヶ月目の眼圧の影響を調べると、眼圧が9.3±2.2の低眼圧群では0.13±0.35、眼圧18.7±1.8の高眼圧群では0.14±0.29と、両群間に有意差はなかった。
・AXLの短縮量は術4週目で0.13±0.36、術3ヶ月目で0.26±0.40mmであった。
・術36ヶ月目の眼圧の影響をみると、低眼圧群では0.15±0.32、高眼圧群では0.22±0.40と有意差はなかったが、最初の3ヶ月間をみると、0.04mm短縮/1ヶ月、0.01mm短縮/1mmHg眼圧低下(95%CI=0.00-0.02 p=0.024)であった。
・POAGで正視あるいは軽度近視に限定すると、眼圧の1mmHg下降毎に、ACDは0.02mm (p<0.01)、AXLは0.01mm(p=0.03)短縮していた。(TY)
Aqueous flare is increased in patients with clinically significant cystoid macular oedema after cataract surgery.
Ersoy L et al(Germany)
Brit J Ophthalmol 97(7): 862-865, 2013
・白内障術後に有意なCMEがあり、視力低下を来たした30例30眼について、CMEのない45例46眼の偽水晶体眼とKowa FM500 Laser Flare-Cell Meterを用いて比較検討した。
・CME患者では有意にフレア値(26.3±14.1pc/mc)が上昇しており(p<0.0001)、この値はBCVA(logMAR 0.5±0.3)と有意な相関があった(r=0.4 p=0.041)が、網膜厚(452.5±119.9μm)とは相関がなかった。
・前房水のフレア値は血液網膜柵の破綻の有益な指標になる。(TY)
Short-term outcome after intravitreal ranibizumab injections for the treatment of retinopathy of prematurity
Maria Ana Martinez Castellanos et al. (Mexico)
Br J Ophthalmol 97(7): 816-819, 2013
・ROPに対しranibizumab硝子体注射治療を行った3年間の短期成績を評価。
・症例は2008.3~10に登録された3例6眼
(平均在胎週数30±3.5週、平均出生体重1296.7±523.5グラム)
・NVの消失と再発の無い状態を治療の成功とした。
・合併症の有無、視力を検討した。
・全例1回の投与でNVが消失した。
全例で黄斑偏位、網膜皺襞、網膜剥離のような合併症を認めなかった。
全身に影響はなかった。
注射後数週間で、周辺網膜まで通常の血管成長を認めた。
視力は3歳の時点で平均logMar 0.17だった。
・これらの結果はbevacizumabの成績に相当する。
ROPに対するranibizumab硝子体内注射を行った眼球の成長と機能の発達を認めた。
大規模な研究が長期の安全と有効性に確認するために必要である。(CH)
Long-term outcomes of primary trabeculectomy in diabetic patients with primary open angle glaucoma.
Law SK et al(CA USA)
Brit J Ophthalmol 97(5): 561-566, 2013
・POAGに対する線維柱帯切除(MMC使用)の効果を網膜症のない糖尿病者29例41眼と、年齢、性、人種、術前眼圧、水晶体状態などをマッチさせた正常コントロール者64例81眼とで比較した。
・手術成功は緑内障点眼は問わず、眼圧が5を越え、15以下にコントロールされ、合併症や追加緑内障手術を必要としなかったものとした。
・60ヶ月目のKaplan-Meier生存率はDM群で57.8±9.3%、Ctrl群は68.6±5.3%であり、平均生存時間はDM群で63ヶ月(95%CI=50.3-75.7)、Ctrl群で74.6ヶ月(95%CI=67.1-82.1)であった(p=0.095)。
・平均術後眼圧(2,3,6,7年後)はCtrl群で有意に低かった(p<0.05)。
・術後合併症比率や追加緑内障手術の必要率は、両群間で有意差がなかった。
・DM患者での線維柱帯切除術の長期成績の悪い理由として、fibroblast活性が高く血管新生等によって仲介される複雑な結膜と上強膜間の創傷治癒過程によって、房水流量が減ると考えられている。
・糖尿病では血液房水柵の破綻により術後炎症が強くなることが考えられ、補助的な抗線維化物質の使用が薦められる。
・また、DM群ではCtrl群より術前点眼薬の種類が多く(3種以上の点眼を使用していたのはDM群85.4%:Ctrl群69.1%)と、有意差はなかったがDM群で多く、このような慢性的な緑内障点眼薬使用がリスクファクターになっている可能性もある。
・DMがある場合、MMC濃度を濃くしたり、作用時間を長くする方がいいかも知れない。
The effect of smoking on choroidal thickness measured by optical coherence tomography.
Sizmaz et al(Turkey)
Brit J Ophthalmol 97(5): 601-604, 2013
・17例の健康な喫煙者と17例の非喫煙者のCtrlで、ニコチン1.3mg、タール15mgのたばこ1本を喫煙する前と1,3時間後の脈絡膜厚を朝に測定した。
・中心窩の脈絡膜厚は喫煙前301.1±63.1μm→284.2±56.7(1h後)→270.8±80.0(3h後)で有意に減少していた(p=0.001)が、Ctrl群では変化はなかった。
Long-term outcomes of primary trabeculectomy in diabetic patients with primary open angle glaucoma: Law SL, et al.
Br J Ophthalmol 97(5): 561-566, 2013
対象:DM retinopathyのないPOAG患者29例41眼
コントロール:年齢、性別、人種、術前IOP、眼圧下降薬数、Lens statusをマッチさせた63例81眼 (対象1例とコントロール2例をマッチ)
DMのコントロール状況は良好、網膜症なし、術前血糖値126.5±27.5以外は患者背景に有意差なし
二人の術者でMMC 0.2-0.4mg/cc、1-2minでTrabeculectomy(濃度、時間は術者の判断)
DM群でMMC濃度がわずかに低い。(0.29±0.20 vs 0.30±0.01)
平均観察期間(M): DM 57.8±34.6 vs control 77.7±23.1
結果:術後6カ月以降 眼圧、生存曲線でDM群の方が不良であった
生存率:5Y: 57.8±9.3 vs 68.6±5.3%
最終診察時の成功率は有意差なし
1例1眼で再評価:MMC濃度は有意差なし
術後眼圧はコントロール群の方が低い 6年と7年で有意差
点眼数:コントロール群の方が少ない傾向 4年と8年で有意差
網膜症のないDMであっても、手術成功率に悪影響を与える可能性がある。(MM)
The effect of smoking on Choroidal thickness measured by optical coherence tomography
Sizmaz S, et al.
Br J Ophthalmolo 97(5): 601-604, 2013
喫煙者 17名34眼 非喫煙者 17名34眼 視力は裸眼で1.0 性別、年齢に有意差なし
喫煙群:一日平均13.4±10.4(3-45)本、平均喫煙期間15.4±8.8(3-30)年
検査8時間前から、投薬、喫煙、コーヒーなどカフェインを含む飲み物の摂取制限
RTVue (Optovue) V.3.5
中心窩、鼻側500,1000μm、耳側500,1000,1500μm の6点測定
午前中測定し、その1,3時間後に再測定
喫煙群はbaseline測定直後に標準的なたばこ(ニコチン1.3mg、タール15mg)1本喫煙。その後は喫煙不可
結果:baselineは有意差なし
1時間後,3時間後に喫煙群で脈絡膜厚が測定6点すべてで有意に減少
(301.1±63.1→ 284.18±56.7, 270.8±80.0μm:fovea)
非喫煙群は変化なし (270.6±57.9→ 272.5±52.4, 273.8±57.4μm:fovea)
タバコによる脈絡膜血流量の減少を脈絡膜厚の減少としてとらえた(MM)
Is sunlight exposure a risk factor for age-related macular degeneration? A systematic review and meta-analysis.
Sui GY et al(China)
Brit J Ophthalmol 97(4): 389-394, 2013
・太陽-日光照射がAMDのリスクファクターになるかどうかを文献的に検討した。
・PubMed、Web of Science and CNKIを使用し、14の論文を選出した。
・そのうち、12論文では日光照射が多いほどAMD発症リスクが増えると述べており、6論文では有意差がでていた。
・OR=1.379 (95%CI=1.091-1.745)であったが、住民調査ではないものだけを取り出すと、OR=2.018 95%CI=1.248-3.265 p=0.004であった。
Plasma levels of vascular endothelial growth factor before and after intravitreal injection of bevacizumab, ranibizumab and pegaptanib in patients with age-related macular degeneration, and in patients with diabetic macular oedema.
Zehetner C et al(Austria)
Brit J Ophthalmol 97(4): 454-459, 2013
・30例のDME、30例の滲出性ARMD患者でbevacizumab(1.25mg), ranibizumab(0.5mg)あるいはpegaptanib(0.3mg)硝子体内注射前後(7日目、1ヶ月目)の血中VEGFレベルを各群とも10例ずつに分けて調査した。
・Bebacizumab群での血中濃度はARMDでは89.7pg/ml→25.1(p=0.01)→22.8(p=0.008)に減少、DMEでは72.2→13.7(p=0.008)→17.1(p=0.012)であったが、ranibizumab群、pegaptanibu群では変化はなかった。
・心血管障害の発生リスクの高い糖尿病患者では、bebacizumab注射は避けた方がいいだろう
High-resolution imaging of autofluorescent particles within drusen using structured illumination microscopy.
Rossberger S et al(Germany)
Brit J Ophthalmol 97(4): 518-523, 2013
・ドルーゼン内の自発蛍光物質AFについて、従来の蛍光顕微鏡よりも解像度が2倍良いstructured illumination microscopy(SIM)を使用して、8例8眼の剖検眼(76±4歳)について検討した。
・波長は488nm、568nmを使用。441個のドルーゼンがみつかり、その中にAFがみられたのは101個(22.9%)であり、硬性軟性を問わず、大きさは35.65±2.38μmであり、63μmより小さいものが90.1%を占めていた。
・AF物質(n=190)はRPE内のリポフスチン顆粒と同じ波長特性を示しており、1個のドルーゼン内のAF物質の数は最高で11個であった。
・AF物質の85.94%はドルーゼンの外層2/3に存在しており、RPE細胞由来と考えられた
Obstructive sleep apnoea prevalence in non-arteritic anterior ischaemic optic neuropathy.
Arda H et al(Turkey)
Brit J Ophthalmol 97(2): 206-209, 2013
・非動脈炎性虚血性視神経症(NAION)における閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の頻度を調査した。
・OSAは睡眠中に酸素飽和度が低下するもので上気道が完全に(apnoea)あるいは部分的に(hypopnoea)閉塞されるもので、30歳から60歳の女性で2%、男性で4%にみられるものである。
・NAIONは50歳以上の10万人に2.3-10.2人に発生するもので、いくつかのリスクファクターが報告されている。
・それは、高齢、高血圧HT、糖尿病DM、動脈硬化、高コレステロール血漿、夜間低血圧、小乳頭C/D比等である。
・今回、20名のNAIONと、DMやHTなどのNAIONのリスクファクターを持った年齢、性、BMI、喫煙、アルコール摂取や全身疾患などをマッチさせた20名で検討した。
・両群間で唯一差のあったのは首周り(NAION群:コントロール群は37.95±4.94:33.85±2.92 p=0.003)だけであった。
・NAION群ではOSAは85%にみられたが、コントロール群ではOSA65%であり、両者間に有意差はなく(p=0.144)、NAION群でもコントロール群でもOSAは高い有病率であった。
・このことから、OSAはそれ自体ではNAIONのリスクファクターになるものではなく、DM、HTや動脈硬化など血管内皮に影響を及ぼす同じ因子を持っていることによるのであろう。(TY)
Subconjunctival bevacizumab induces regression of corneal neovascularisation: a pilot rendomised placebo-controlled bouble-masked trial.
Petsoglou C et al(UK)
Brit J Ophthalmol 97(1): 28-32, 2013
・30例の様々な原因による角膜新生血管例に、2.5mg/0.1ml bevacizumabか、0.9%/0.1ml生食を1ヶ月間隔で3回結膜下注射した。
・0.1%Dexamethasone点眼を最初の1ヶ月間、基本的には1日4回使用した。
・3ヶ月後の角膜新生血管面積で判定した。
・デジタルカメラで撮影した画像を形態計測による解析で処理した。
・角膜新生血管面積はbevacizumab群の15眼で平均-36%減少(-92%~+40%)したが、生食群では平均90%増加(-58%~+1394%)した(p=0.007)。
・生食群には移植の拒否反応で+1394%増加した1例を除くと、平均-3%減少(-58%~+40%)であるが、これでも有意差があった(p=0.016)。
・ただし、視力、角膜厚、眼圧、内皮細胞数は両群間に有意差はなかった。(TY)
Position of the central retinal vessel trunk and pattern of remaining visual field in advanced glaucoma.
Huang H et al(China)
Brit J Ophthalmol 97(1): 96-100, 2013
・進行した緑内障患者で、視神経乳頭部の中心網膜血管幹(CRVT)の位置と残存視野形状、RNFLの厚みとの関連を検討した。
・視野形状は中心視野の島が残ったCI群21例と、耳側視野が残ったTI群22例に分け、CRVTが篩状板から出てくる位置は写真で判定した。
・両群間には年齢、性、中心角膜厚、屈折度、眼軸長、平均RNFL厚には有意差がなかった。
・ただ、耳側のRNFL厚はCI群ではTI群より有意に厚く(48.1±5.5:37.2±7.9 p<0.001)、鼻側では有意に薄かった(41.6±8.3:48.0±7.8 p=0.01)。
・CRVTの位置はCI群ではTI群より有意に耳側乳頭側に寄っていた(6/21:0/22 p=0.009)。
・CRVTから乳頭耳側縁までの距離/乳頭径の値はCI群ではTI群より有意に小さかった(0.55±0.07:0.79±0.08 p<0.001)。
・視野欠損のパターンはCRVTの位置と関連しており、中心視野残存眼ではCRVTが耳側視神経乳頭側にある傾向があった。(TY)
Central serous chorioretinopathy and risk of ischaemic stroke: a population-based cohort study.
Tsai DC et al(Taiwan)
Brit J Ophthalmol 96(12): 1484-1488, 2012
・中心性網脈絡膜症CSCRと将来の虚血性心疾患との関連を、Taiwan National Health Insurance Research Databaseの2000-2007年の新規にCSCRと診断された1814例について検討した。
・コントロールとして、年齢、性、収入、地域、時期をマッチさせた9648名を選出して、Kaplan-Meier生命表で比較した。
・3.9±2.2年の経過観察中にCSCRの45例(2.5%)と、コントロールの157例(1.6%)に虚血性心疾患が発生し、CSCRでは発生率が有意に高く(p=0.003)、発生率は1.56倍(95%CI=1.11-2.18 p=0.010)であった。
・高血圧では1.87倍(1.28-2.72)、加齢/年では1.08倍(1.07-1.10)であった。
Decreased retinal sensitivity after internal limiting membrane peeling for macular hole surgery.
Tadayoni R et al(France)
Brit J Ophthalmol 96(12): 1513-1516, 2012
・SD-OCTとSLO microperimetryを組合わせた装置(OPKO/OTI)などを用いて、ILM剥離を行った8眼と行わなかった8眼とで、黄斑円孔閉鎖後の網膜感度、暗点の検出頻度などを比較した。
・Microperimetryは中心9度以内で、14/16例では、中心部の21点とその周囲の8点、合計29点測定した。
・刺激光は2秒に1回、持続時間は200msecで、サイズはゴールドマン視野計のsize Ⅱとした。
・ILM剥離眼と非剥離眼のBCVA logMARは、剥離眼では0.97(小数点視力0.11)±0.56→0.57(0.27)±0.28、非剥離眼では0.54(0.29)±0.20→0.26(0.55)±0.16であった。
・ILM剥離眼では非剥離眼よりも平均網膜感度dBは低かった(9.80±2.35:13.19±2.92dB p=0.0209)。10dBの光に対する比較暗点の検出では、ILM剥離眼ではより頻度が高かった(11.3±6.6:2.9±4.6点 p=0.0093)。
・このことから、ILM剥離は網膜感度を下げ、微小暗点の発生頻度が高くなることが分かった。
・ILM剥離は、それによる利点が勝ると考えられる時に限定し、もし行うとしても最小限の面積にすべきであろう。
Non-aspiration technique to induce posterior vitreous detachment in minimum incision vitrectomy system.
Takeuchi M et al(防衛医大)
Brit J Ophthalmol 96(11): 1378-1379, 2012
・通常、PVD作成には硝子体ゲルを能動的に吸引することによって行われるが、この方法はMIVSでは難しいので、Diamond dusted membrane scraper(スクレーパ)を使用する方法を紹介する。
・黄斑部のposterior precortical vitreous pocket(PPVP)の部位ではその後壁は薄い硝子体皮質の膜だけであるので、その耳側でTriamcinoloneで後部硝子体を可視化し、スクレーパで硝子体皮質に穴を開け、やや広げたのち、その穴に向って灌流液を吹き込み、後部硝子体と網膜を分離させる方法である。
・ただ、黄斑部を障害する可能性が多少あるので、最初はやはりシリコンチップ針やカッターで吸引する方法を勧める。
・これで駄目な時に、スクレーパを使用する方法を用いるのが良い
Myopic shift of foldable acrylic intraocular lenses after sulcus fixation.
Lee KM et al(Korea)
Brit J Ophthalmol 96(10): 1316-1319, 2012
・アクリルIOLを毛様溝固定した場合の近視偏位について連続する91例91眼で検討した。
・使用したIOLはAcrySof MA60BM, Sensar AR40e multi-piece IOL, AcrySof SA60AT, BioVue single-piece IOLの4種類である。
・SRK/T式からの近視偏位度は-1.04±0.85Dであり、IOLの形態は影響していなかったが(p=0.10)、眼軸長が長くなる程、近視偏位度は少なくなっていた(r=0.223 p=0.033)。
・AL<22:-1.96±0.91、22≦AL<24.5:-1.11±0.83、24.5≦AL<26:-0.46±0.48、26≦AL:-0.56±0.65(p=0.001)。
Three-drug intra-arterial chemotherapy using simultaneous carboplatin, topotecan and melphalan for intraocular retinoblastoma: preliminary results
Brian P Marr et al (N.Y. USA)
Br J Ophthalmol 2012; 96: 1300-1303
・25名26眼の進行した眼内網膜芽細胞腫の患者に3剤同時動脈内化学療法(SIAC)を施行し、平均14か月の経過観察後全員生存、転移無し。26眼中の23眼(88%)は眼球を温存でき、3眼は眼球摘出。薬剤はそれぞれ生食に溶解して10mlとし、連続して10分以上かけて合計30分の動脈注射とした。効果はERGで定期的3~4週毎に30Hzフリッカーに対する反応を記録した。
・SIACは進行した眼内病変に対して眼球を保存し、化学療法による全身合併症を軽減する有効な方法である。メルファラン単剤でも有効だが、効果の無い症例もあるうえ、全身的には白血球減少という副作用ゆえ用量が制限される。ゆえにトポテカンとカルボプラチンも併用し、これによりメルファランの使用量を0.4mg/kg以下におさえることができた。3剤SIACは静注化学療法や2剤SIACで無効な患者に効果があるとわかった。今回大多数がERGの機能を維持できて、88%は眼球を摘出せずに済んだ。(YM)
Surgical intervention in childhood intermittent exotropia: current practice and clinical outcomes from an observational cohort study
Deborah Buck et al (Newcastle, UK)
Br J Ophthalmol 2012; 96: 1291-1295
・11才以下87名に英国の18施設で間歇性外斜視の手術を施行。72名に術後平均21ヶ月で他覚検査と満足度を測定した。
・眼位では36%大変良好(遠見で0~8▵X(T)と、安定した近見立体視)
28%良好(遠見で9~15▵X(T)、又は4▵以下のETと安定した近見立体視)
36%不良(遠見で15▵以上のX(T)、又は4▵以上のET,近見立体視の悪化か消失)
11名に術後過矯正(ET)がみられ、追加手術(2名)、ボツリヌス注射(1名)、眼鏡による矯正(1名)、そのまま放置(7名)
65%が結果に満足だが、不満足の35%のうち20%はX(T)が残る事又は再発、15%は過矯正(ET)
・間歇性外斜視は19才以下で10万人中約30人だが、11才以下では1%の頻度である。これは遠見時の一時的な外斜視で、疲労時や注視しない時に起こり、近見で更に目立ち、固定した外斜視に発展しうる。X(T)に対して何が最も良いかは一致していない。手術が最も良いと言われる理由は、外見上の改善、固定した外斜視への進行の予防、遠見での立体視の改善。しかし過矯正(あえて内斜視とする)が、術後再び外斜視に戻る傾向があることから、最も良いと考えられてもいる。今回の調査ではあえて内斜視にする必要は無いと思われた。手術の適応、量、過矯正の管理を厳密に取り決めたいが、患者の満足度と手術の成功は比例せず、容易では無いと思われた。(YM)
A randomised, double-masked comparison study of diquafosol versus sodium hyaluronate ophthalmic solutions in dry eye patients
Takamura E et al(東京女子医大)
Br J Ophthalmol 96:1310-1315,2012
・ドライアイ患者に対する3%ジクアホソル点眼と0.1%ヒアルロン酸ナトリウム点眼の有効性と安全性を比較検討した。
・20歳以上、シルマーテスト<5mm/5minフルオレセインとローズベンガル染色スコア3以上のドライアイ患者286人をジクアホソル点眼対ヒアルロン酸ナトリウム点眼の無作為化二重盲検比較を行った。
・フルオレセイン染色スコア:ジクアホソル点眼 -2.12±0.14
ナトリウムヒアルロン酸点眼 -2.08±0.13
・ローズベンガル染色スコア:ジクアホソル点眼 -3.06±0.19
ナトリウムヒアルロン酸点眼 -2.38±0.18
フルオレセイン染色スコアではと同等の改善が認められ、ローズベンガル染色スコアではジクアホソル点眼グループ統計学的に有意な改善を示した。(p=0.010)
BUT、自覚症状も同等に改善していた。
・薬物有害反応発生率はジクアホソル点眼グループで15.3%、アルロン酸ナトリウム点眼グループで4.9%と重要な相違が認められた。(p =0.005)。しかし、重篤な症状はなかった。
・ドライアイ患者の治療で、ナトリウムヒアルロン酸ナトリウム点眼と比較されるとき、ジクアホソル点眼がフルオレセイン着色スコアの同等の改善とローズベンガル着色スコアの良好な改善を示した。
・ジクアホソル点眼は高い臨床的有効性と安全性を持っている。(CH)