Long-term outcomes of primary trabeculectomy in diabetic patients with primary open angle glaucoma: Law SL, et al.
Br J Ophthalmol 97(5): 561-566, 2013
対象:DM retinopathyのないPOAG患者29例41眼
コントロール:年齢、性別、人種、術前IOP、眼圧下降薬数、Lens statusをマッチさせた63例81眼 (対象1例とコントロール2例をマッチ)
DMのコントロール状況は良好、網膜症なし、術前血糖値126.5±27.5以外は患者背景に有意差なし
二人の術者でMMC 0.2-0.4mg/cc、1-2minでTrabeculectomy(濃度、時間は術者の判断)
DM群でMMC濃度がわずかに低い。(0.29±0.20 vs 0.30±0.01)
平均観察期間(M): DM 57.8±34.6 vs control 77.7±23.1
結果:術後6カ月以降 眼圧、生存曲線でDM群の方が不良であった
生存率:5Y: 57.8±9.3 vs 68.6±5.3%
最終診察時の成功率は有意差なし
1例1眼で再評価:MMC濃度は有意差なし
術後眼圧はコントロール群の方が低い 6年と7年で有意差
点眼数:コントロール群の方が少ない傾向 4年と8年で有意差
網膜症のないDMであっても、手術成功率に悪影響を与える可能性がある。(MM)
The effect of smoking on Choroidal thickness measured by optical coherence tomography
Sizmaz S, et al.
Br J Ophthalmolo 97(5): 601-604, 2013
喫煙者 17名34眼 非喫煙者 17名34眼 視力は裸眼で1.0 性別、年齢に有意差なし
喫煙群:一日平均13.4±10.4(3-45)本、平均喫煙期間15.4±8.8(3-30)年
検査8時間前から、投薬、喫煙、コーヒーなどカフェインを含む飲み物の摂取制限
RTVue (Optovue) V.3.5
中心窩、鼻側500,1000μm、耳側500,1000,1500μm の6点測定
午前中測定し、その1,3時間後に再測定
喫煙群はbaseline測定直後に標準的なたばこ(ニコチン1.3mg、タール15mg)1本喫煙。その後は喫煙不可
結果:baselineは有意差なし
1時間後,3時間後に喫煙群で脈絡膜厚が測定6点すべてで有意に減少
(301.1±63.1→ 284.18±56.7, 270.8±80.0μm:fovea)
非喫煙群は変化なし (270.6±57.9→ 272.5±52.4, 273.8±57.4μm:fovea)
タバコによる脈絡膜血流量の減少を脈絡膜厚の減少としてとらえた(MM)
Is sunlight exposure a risk factor for age-related macular degeneration? A systematic review and meta-analysis.
Sui GY et al(China)
Brit J Ophthalmol 97(4): 389-394, 2013
・太陽-日光照射がAMDのリスクファクターになるかどうかを文献的に検討した。
・PubMed、Web of Science and CNKIを使用し、14の論文を選出した。
・そのうち、12論文では日光照射が多いほどAMD発症リスクが増えると述べており、6論文では有意差がでていた。
・OR=1.379 (95%CI=1.091-1.745)であったが、住民調査ではないものだけを取り出すと、OR=2.018 95%CI=1.248-3.265 p=0.004であった。
Plasma levels of vascular endothelial growth factor before and after intravitreal injection of bevacizumab, ranibizumab and pegaptanib in patients with age-related macular degeneration, and in patients with diabetic macular oedema.
Zehetner C et al(Austria)
Brit J Ophthalmol 97(4): 454-459, 2013
・30例のDME、30例の滲出性ARMD患者でbevacizumab(1.25mg), ranibizumab(0.5mg)あるいはpegaptanib(0.3mg)硝子体内注射前後(7日目、1ヶ月目)の血中VEGFレベルを各群とも10例ずつに分けて調査した。
・Bebacizumab群での血中濃度はARMDでは89.7pg/ml→25.1(p=0.01)→22.8(p=0.008)に減少、DMEでは72.2→13.7(p=0.008)→17.1(p=0.012)であったが、ranibizumab群、pegaptanibu群では変化はなかった。
・心血管障害の発生リスクの高い糖尿病患者では、bebacizumab注射は避けた方がいいだろう
High-resolution imaging of autofluorescent particles within drusen using structured illumination microscopy.
Rossberger S et al(Germany)
Brit J Ophthalmol 97(4): 518-523, 2013
・ドルーゼン内の自発蛍光物質AFについて、従来の蛍光顕微鏡よりも解像度が2倍良いstructured illumination microscopy(SIM)を使用して、8例8眼の剖検眼(76±4歳)について検討した。
・波長は488nm、568nmを使用。441個のドルーゼンがみつかり、その中にAFがみられたのは101個(22.9%)であり、硬性軟性を問わず、大きさは35.65±2.38μmであり、63μmより小さいものが90.1%を占めていた。
・AF物質(n=190)はRPE内のリポフスチン顆粒と同じ波長特性を示しており、1個のドルーゼン内のAF物質の数は最高で11個であった。
・AF物質の85.94%はドルーゼンの外層2/3に存在しており、RPE細胞由来と考えられた
Obstructive sleep apnoea prevalence in non-arteritic anterior ischaemic optic neuropathy.
Arda H et al(Turkey)
Brit J Ophthalmol 97(2): 206-209, 2013
・非動脈炎性虚血性視神経症(NAION)における閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の頻度を調査した。
・OSAは睡眠中に酸素飽和度が低下するもので上気道が完全に(apnoea)あるいは部分的に(hypopnoea)閉塞されるもので、30歳から60歳の女性で2%、男性で4%にみられるものである。
・NAIONは50歳以上の10万人に2.3-10.2人に発生するもので、いくつかのリスクファクターが報告されている。
・それは、高齢、高血圧HT、糖尿病DM、動脈硬化、高コレステロール血漿、夜間低血圧、小乳頭C/D比等である。
・今回、20名のNAIONと、DMやHTなどのNAIONのリスクファクターを持った年齢、性、BMI、喫煙、アルコール摂取や全身疾患などをマッチさせた20名で検討した。
・両群間で唯一差のあったのは首周り(NAION群:コントロール群は37.95±4.94:33.85±2.92 p=0.003)だけであった。
・NAION群ではOSAは85%にみられたが、コントロール群ではOSA65%であり、両者間に有意差はなく(p=0.144)、NAION群でもコントロール群でもOSAは高い有病率であった。
・このことから、OSAはそれ自体ではNAIONのリスクファクターになるものではなく、DM、HTや動脈硬化など血管内皮に影響を及ぼす同じ因子を持っていることによるのであろう。(TY)
Subconjunctival bevacizumab induces regression of corneal neovascularisation: a pilot rendomised placebo-controlled bouble-masked trial.
Petsoglou C et al(UK)
Brit J Ophthalmol 97(1): 28-32, 2013
・30例の様々な原因による角膜新生血管例に、2.5mg/0.1ml bevacizumabか、0.9%/0.1ml生食を1ヶ月間隔で3回結膜下注射した。
・0.1%Dexamethasone点眼を最初の1ヶ月間、基本的には1日4回使用した。
・3ヶ月後の角膜新生血管面積で判定した。
・デジタルカメラで撮影した画像を形態計測による解析で処理した。
・角膜新生血管面積はbevacizumab群の15眼で平均-36%減少(-92%~+40%)したが、生食群では平均90%増加(-58%~+1394%)した(p=0.007)。
・生食群には移植の拒否反応で+1394%増加した1例を除くと、平均-3%減少(-58%~+40%)であるが、これでも有意差があった(p=0.016)。
・ただし、視力、角膜厚、眼圧、内皮細胞数は両群間に有意差はなかった。(TY)
Position of the central retinal vessel trunk and pattern of remaining visual field in advanced glaucoma.
Huang H et al(China)
Brit J Ophthalmol 97(1): 96-100, 2013
・進行した緑内障患者で、視神経乳頭部の中心網膜血管幹(CRVT)の位置と残存視野形状、RNFLの厚みとの関連を検討した。
・視野形状は中心視野の島が残ったCI群21例と、耳側視野が残ったTI群22例に分け、CRVTが篩状板から出てくる位置は写真で判定した。
・両群間には年齢、性、中心角膜厚、屈折度、眼軸長、平均RNFL厚には有意差がなかった。
・ただ、耳側のRNFL厚はCI群ではTI群より有意に厚く(48.1±5.5:37.2±7.9 p<0.001)、鼻側では有意に薄かった(41.6±8.3:48.0±7.8 p=0.01)。
・CRVTの位置はCI群ではTI群より有意に耳側乳頭側に寄っていた(6/21:0/22 p=0.009)。
・CRVTから乳頭耳側縁までの距離/乳頭径の値はCI群ではTI群より有意に小さかった(0.55±0.07:0.79±0.08 p<0.001)。
・視野欠損のパターンはCRVTの位置と関連しており、中心視野残存眼ではCRVTが耳側視神経乳頭側にある傾向があった。(TY)
Central serous chorioretinopathy and risk of ischaemic stroke: a population-based cohort study.
Tsai DC et al(Taiwan)
Brit J Ophthalmol 96(12): 1484-1488, 2012
・中心性網脈絡膜症CSCRと将来の虚血性心疾患との関連を、Taiwan National Health Insurance Research Databaseの2000-2007年の新規にCSCRと診断された1814例について検討した。
・コントロールとして、年齢、性、収入、地域、時期をマッチさせた9648名を選出して、Kaplan-Meier生命表で比較した。
・3.9±2.2年の経過観察中にCSCRの45例(2.5%)と、コントロールの157例(1.6%)に虚血性心疾患が発生し、CSCRでは発生率が有意に高く(p=0.003)、発生率は1.56倍(95%CI=1.11-2.18 p=0.010)であった。
・高血圧では1.87倍(1.28-2.72)、加齢/年では1.08倍(1.07-1.10)であった。
Decreased retinal sensitivity after internal limiting membrane peeling for macular hole surgery.
Tadayoni R et al(France)
Brit J Ophthalmol 96(12): 1513-1516, 2012
・SD-OCTとSLO microperimetryを組合わせた装置(OPKO/OTI)などを用いて、ILM剥離を行った8眼と行わなかった8眼とで、黄斑円孔閉鎖後の網膜感度、暗点の検出頻度などを比較した。
・Microperimetryは中心9度以内で、14/16例では、中心部の21点とその周囲の8点、合計29点測定した。
・刺激光は2秒に1回、持続時間は200msecで、サイズはゴールドマン視野計のsize Ⅱとした。
・ILM剥離眼と非剥離眼のBCVA logMARは、剥離眼では0.97(小数点視力0.11)±0.56→0.57(0.27)±0.28、非剥離眼では0.54(0.29)±0.20→0.26(0.55)±0.16であった。
・ILM剥離眼では非剥離眼よりも平均網膜感度dBは低かった(9.80±2.35:13.19±2.92dB p=0.0209)。10dBの光に対する比較暗点の検出では、ILM剥離眼ではより頻度が高かった(11.3±6.6:2.9±4.6点 p=0.0093)。
・このことから、ILM剥離は網膜感度を下げ、微小暗点の発生頻度が高くなることが分かった。
・ILM剥離は、それによる利点が勝ると考えられる時に限定し、もし行うとしても最小限の面積にすべきであろう。
Non-aspiration technique to induce posterior vitreous detachment in minimum incision vitrectomy system.
Takeuchi M et al(防衛医大)
Brit J Ophthalmol 96(11): 1378-1379, 2012
・通常、PVD作成には硝子体ゲルを能動的に吸引することによって行われるが、この方法はMIVSでは難しいので、Diamond dusted membrane scraper(スクレーパ)を使用する方法を紹介する。
・黄斑部のposterior precortical vitreous pocket(PPVP)の部位ではその後壁は薄い硝子体皮質の膜だけであるので、その耳側でTriamcinoloneで後部硝子体を可視化し、スクレーパで硝子体皮質に穴を開け、やや広げたのち、その穴に向って灌流液を吹き込み、後部硝子体と網膜を分離させる方法である。
・ただ、黄斑部を障害する可能性が多少あるので、最初はやはりシリコンチップ針やカッターで吸引する方法を勧める。
・これで駄目な時に、スクレーパを使用する方法を用いるのが良い
Myopic shift of foldable acrylic intraocular lenses after sulcus fixation.
Lee KM et al(Korea)
Brit J Ophthalmol 96(10): 1316-1319, 2012
・アクリルIOLを毛様溝固定した場合の近視偏位について連続する91例91眼で検討した。
・使用したIOLはAcrySof MA60BM, Sensar AR40e multi-piece IOL, AcrySof SA60AT, BioVue single-piece IOLの4種類である。
・SRK/T式からの近視偏位度は-1.04±0.85Dであり、IOLの形態は影響していなかったが(p=0.10)、眼軸長が長くなる程、近視偏位度は少なくなっていた(r=0.223 p=0.033)。
・AL<22:-1.96±0.91、22≦AL<24.5:-1.11±0.83、24.5≦AL<26:-0.46±0.48、26≦AL:-0.56±0.65(p=0.001)。
Three-drug intra-arterial chemotherapy using simultaneous carboplatin, topotecan and melphalan for intraocular retinoblastoma: preliminary results
Brian P Marr et al (N.Y. USA)
Br J Ophthalmol 2012; 96: 1300-1303
・25名26眼の進行した眼内網膜芽細胞腫の患者に3剤同時動脈内化学療法(SIAC)を施行し、平均14か月の経過観察後全員生存、転移無し。26眼中の23眼(88%)は眼球を温存でき、3眼は眼球摘出。薬剤はそれぞれ生食に溶解して10mlとし、連続して10分以上かけて合計30分の動脈注射とした。効果はERGで定期的3~4週毎に30Hzフリッカーに対する反応を記録した。
・SIACは進行した眼内病変に対して眼球を保存し、化学療法による全身合併症を軽減する有効な方法である。メルファラン単剤でも有効だが、効果の無い症例もあるうえ、全身的には白血球減少という副作用ゆえ用量が制限される。ゆえにトポテカンとカルボプラチンも併用し、これによりメルファランの使用量を0.4mg/kg以下におさえることができた。3剤SIACは静注化学療法や2剤SIACで無効な患者に効果があるとわかった。今回大多数がERGの機能を維持できて、88%は眼球を摘出せずに済んだ。(YM)
Surgical intervention in childhood intermittent exotropia: current practice and clinical outcomes from an observational cohort study
Deborah Buck et al (Newcastle, UK)
Br J Ophthalmol 2012; 96: 1291-1295
・11才以下87名に英国の18施設で間歇性外斜視の手術を施行。72名に術後平均21ヶ月で他覚検査と満足度を測定した。
・眼位では36%大変良好(遠見で0~8▵X(T)と、安定した近見立体視)
28%良好(遠見で9~15▵X(T)、又は4▵以下のETと安定した近見立体視)
36%不良(遠見で15▵以上のX(T)、又は4▵以上のET,近見立体視の悪化か消失)
11名に術後過矯正(ET)がみられ、追加手術(2名)、ボツリヌス注射(1名)、眼鏡による矯正(1名)、そのまま放置(7名)
65%が結果に満足だが、不満足の35%のうち20%はX(T)が残る事又は再発、15%は過矯正(ET)
・間歇性外斜視は19才以下で10万人中約30人だが、11才以下では1%の頻度である。これは遠見時の一時的な外斜視で、疲労時や注視しない時に起こり、近見で更に目立ち、固定した外斜視に発展しうる。X(T)に対して何が最も良いかは一致していない。手術が最も良いと言われる理由は、外見上の改善、固定した外斜視への進行の予防、遠見での立体視の改善。しかし過矯正(あえて内斜視とする)が、術後再び外斜視に戻る傾向があることから、最も良いと考えられてもいる。今回の調査ではあえて内斜視にする必要は無いと思われた。手術の適応、量、過矯正の管理を厳密に取り決めたいが、患者の満足度と手術の成功は比例せず、容易では無いと思われた。(YM)
A randomised, double-masked comparison study of diquafosol versus sodium hyaluronate ophthalmic solutions in dry eye patients
Takamura E et al(東京女子医大)
Br J Ophthalmol 96:1310-1315,2012
・ドライアイ患者に対する3%ジクアホソル点眼と0.1%ヒアルロン酸ナトリウム点眼の有効性と安全性を比較検討した。
・20歳以上、シルマーテスト<5mm/5minフルオレセインとローズベンガル染色スコア3以上のドライアイ患者286人をジクアホソル点眼対ヒアルロン酸ナトリウム点眼の無作為化二重盲検比較を行った。
・フルオレセイン染色スコア:ジクアホソル点眼 -2.12±0.14
ナトリウムヒアルロン酸点眼 -2.08±0.13
・ローズベンガル染色スコア:ジクアホソル点眼 -3.06±0.19
ナトリウムヒアルロン酸点眼 -2.38±0.18
フルオレセイン染色スコアではと同等の改善が認められ、ローズベンガル染色スコアではジクアホソル点眼グループ統計学的に有意な改善を示した。(p=0.010)
BUT、自覚症状も同等に改善していた。
・薬物有害反応発生率はジクアホソル点眼グループで15.3%、アルロン酸ナトリウム点眼グループで4.9%と重要な相違が認められた。(p =0.005)。しかし、重篤な症状はなかった。
・ドライアイ患者の治療で、ナトリウムヒアルロン酸ナトリウム点眼と比較されるとき、ジクアホソル点眼がフルオレセイン着色スコアの同等の改善とローズベンガル着色スコアの良好な改善を示した。
・ジクアホソル点眼は高い臨床的有効性と安全性を持っている。(CH)
Early signs of longitudinal progressive cone photoreceptor degeneration in achromatopsia.
Thomas MG et al(UK)
Brit J Ophthalmol 96(9): 1232-1236, 2012
・高解像度OCT(縦方向3μm)を使用して全色盲の中心窩の画像を5名の小児と3名の成人で平均16ヶ月(10-25ヶ月)の間隔をおいて2回測定し、IS/OS接合部、中心窩厚、外顆粒層厚を解析した。
・経過を見ると、10歳未満の小児(症例1-5)ではIS/OS面に進行性の形態変化があったが、40歳以上の患者(症例6-8)では変化はみられなかった。
・症例1,2では、中心窩のIS/OSの断絶が高反射帯に進展しており、症例3では初回にみられた高反射帯がIS/OS断裂となり、小さな低反射帯が発生していた。
・症例4,5では初回にみられた低反射帯が増加しており、全例で中心窩厚と外顆粒層厚が薄くなっていた。
・初期の変化は些細なIS/OSの反射の変化であり、中心窩の独特な低反射帯に進展するが、若年者にみられるこのような進行性の網膜の変化は、全色盲が進行性の疾患であり、初期に遺伝子治療を導入すれば予後が良くなる可能性のあることを示唆している。
・全色盲の中心窩の低反射帯は錐体がアポトーシスを起こした後の空胞あるいは変性産物である可能性がある。
・Adaptive Optic像では中心窩は正常者よりも暗く、密度が低くなっており、視細胞モザイクが崩壊していることが分かってきた。
・症例の選択には、Blue Cone Monochromacyを除外診断し、ERGではphotopic反応がなく、正常なscotopic反応を呈する典型的なパターン、パネルD15では症例1が2個のエラー、症例2がエラーなしであったのを除き、全例、全色盲のパターンであった。
・全例、CNGB3,CNGA3,GNAT2の対立遺伝子変異を確認した。
・経過観察中に全例、視力変化はみられなかった。
The validity of routine brain MRI in detecting post-laminar optic nerve involvement in retinoblastoma
Byung Joo Lee et al (Seoul, Korea)
Br J Ophthalmol 2012; 96: 1237-1241
・41人41眼、眼球摘出時平均年齢23.1か月。摘出前に5㎜スライスの脳MRIを行ない、個別に2名の放射線科医が読影し、病理組織学的診断と比較した。
・41眼中14眼は組織病理学的に篩状板後方での視神経への浸潤が確認されたが、14眼中6眼は、2名の放射線科医で共に診断されなかった。MRIの正確さ、感度、特殊性は1人の放射線科医では73.2%、35.7%、92.6%、もう1人は78.0%、42.9%、96.3%で、ほぼ同等(P<0.01)。
・3㎜以下スライスの眼窩部MRIを用いた以前の調査と比較して、5㎜スライスの一般的なMRIは網膜芽細胞腫の視神経の浸潤の発見において同等の特殊性を示したが、感度では劣っていた。
・MRIの条件としては磁場の強さ、脂肪抑制の技術、見える範囲、スライス幅などがあるが、網膜芽細胞腫の視神経への浸潤の発見には、見える範囲とスライス幅が影響する。眼窩部MRIは今回の脳全体のMRIよりも部位の狭さから、より有効となる。脳全体のMRIはまた、磁場の同時性を減少させるため十分な脂肪抑制を必要とする点でも不利となる。また、狭い部位の検査にはより薄いスライスが有利である。これらの理由により、感度の低下をきたしたと推測する。(YM)
Development of polypoidal choroidal vasculopathy in unaffected fellow eyes
Yun Taek Kim et al (Seoul, Korea)
Br J Ophthalmol 2012; 96: 1217-1221
・片眼のみにPCVを有する患者の他眼の長期変化と血管造影上の危険因子を決定する。
・47人の患者を少なくとも12か月以上経過観察した。47眼の他眼のうち、24眼(51.1%)に脈絡膜血管拡張、27眼(57.4%)に脈絡膜血管透過性亢進、6眼(12.8%)に枝分かれした血管網(BVN)、23眼(48.9%)にICGA上、後期地図状過螢光(LGH)がみられた。活動性のPCVが認められたのは9眼(19.1%)で、そのすべてに最初からLGHがみられた。しかしながら当初LGHの特徴がみられなかった眼にはPCVは発達しなかった(P<0.001)。 PCVが発達したのは当初BVNが見られた3眼であった。しかし、明らかなBVNが無かった6眼にも進行した(P=0.08)。
・他眼にICGA上LGHが存在することは活動性PCVの発達の明らかな危険因子になると思われ、前臨床又は切迫PCVとの診断に等しいかもしれない。LGHのある眼は、活動性のポリープが無くてもPCVに進行の可能性があるとして経過観察が必要である。(YM)
Long-term results of intravitreal bevacizumab for choroidal neovascularisation in pathological myopia
Magda Gharbiya et al (Rome ,Italy)
Br J Ophthalmol 2012 ;96 :1068-1072
・近視眼の新生血管(mCNV)へのIVBの長期結果と予後に影響する因子を検討する。
・mCNV30名の32眼に3ヶ月毎に1.25mg/0.05mlIVB術前後で最良矯正視力(BCVA)とCNVの範囲を比較。年令、眼軸、BCVA、CNVの範囲、場所、PPAの範囲により予後の因子となりうるものを検討した。
・患者は病的近視(-6.0D以上又は眼軸26.5㎜以上)中心窩下又は傍中心窩CNV(傍中心窩CNVは中心窩無血管域にはかからないか、200㎛以内)。FAでCNVの漏出あり。
・継続する又は再発したFAの漏出、OCT上網膜内又は網膜下に継続する又は再発する浮腫、mCNVからの新しい網膜下出血のある場合は、同量のIVBを追加した。CNVよりのFAの漏出か、OCT上液体の貯留が無くなるまで毎月追加とした。
・術前視力30.1文字(ETDRS letters)が2年で46.6、3年で45.4。中でも特に最初の3ヶ月での改善が大きかった(P<0.0001)。 FA上漏出の継続は1年(21.9%)、2年(6.3%)、3年(0%)。中心窩下CNVよりも傍中心窩CNVの方が明らかに改善した。
・IVB療法は、3年まではmCNVの視力を改善させると証明された。IVB後はCNVが明らかに縮小したが、PDT後はむしろ拡大した報告もある。再治療を決める要因として大切なのはPPAの範囲である。脈絡膜の虚血は、VEGFを増加させる。これはCNVの活動を増加させる。ゆえにCNVのIVB治療に対する反応を減弱させる。(YM)
Retinal nerve fibre layer thickness in school-aged prematurely-born children compared to children born at term
Akerblom H et al.(Sweden)
Br J Ophthalmology 96:956-960,2012
・早産の子供たちのRNFLの厚さをOCT測って、そして満期の子供たちとの比較をすること。ROP、神経欠損あるいは早産自体が早期グループのRNFLの厚さに影響を与えたかどうか決定すること。
・早産グループ:在胎期間32週以下の子供62人(研究時の平均年齢8.6歳)
コントロールグループ:満期で標準体重の子供54人(研究時の平均年齢10.1歳)
RNFL平均の厚さと、上部、鼻側、下部、耳側のRNFLが測定された。
・RNFL平均の厚さと上部と鼻側のRNFLの厚さで、早産グループで有意に薄かった。
・満期で生まれた子供たちと比較すると、RNFLは重症ROPのある早産子供たちで減った。
・早期グループの中で、平均RNFL厚さはより重い出生体重で増加した。しかし在胎週数とは相互関係はなかった。(CH)