The rising tide of rhegmatogenous retinal detachment in Germany: a nationwide analysis of the incidence, from 2005 to 2021.
Alfaar AS et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 262(8): 2431-2438, 2024
・2005年から2021年までの17年間のドイツでの裂孔原性網膜剥離(rRD)の頻度を調査した。
・調査したのは、毎年約1900万件の入院データである。
・網膜剥離データは再手術例を除外して比率を求めた。
・この17年間に332,650件のrRDが報告されており、2005年の比率は10万人あたり15.6人であったが、2021年には24.8人に増加していた。
・平均して、男性が4.0%、女性が2.6%、年齢は平均して60.2歳から62歳で、平均入院期間は6日から3.3日に減っていた。(TY)
Biomechanical properties measured with dynamic Scheimpflug analyzer in central serous chorioretinopathy.
Aoki S et al(東大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 262(6): 1795-1803, 2024
・中心性網脈絡膜症CSCRの発症原因として、最近は、脈絡膜渦静脈の鬱血が要因と考えられており、強膜が患眼で厚いことがわかってきた。
・今回、CSCR眼では角膜が硬いかどうかをCorvis STで測定し、強膜の硬さを推定してみた。
・CSCR患者33例52眼と、Ctrlの32例52眼で比較した。
・年齢、性、眼軸長、眼圧、中心角膜厚などには差がないことを確認した。
・Corvisでは、CSCR眼ではCtrl眼に比較して変形しにくかった。
・CSCR眼では、耳側と鼻側での前部強膜厚はCtrl眼より厚かったが、角膜の変形しにくさとは有意差がなかった。
・CSCR眼では、強膜の厚さと無関係に角膜が硬かった。(TY)
The effect of uneventful cataract surgery on Schlemm’s canal and the trabecular meshwork in cases with pseudoexfoliation.
Alpogan O et al(Turkey)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 262(4): 1271-1279, 2024
・落屑症候群PXの症例37眼で、合併症のない白内障手術がシュレム氏管SCと線維柱帯TMに与える影響を検討した。
・Ctrlは37眼で、37眼のPX症例は単なるPXS眼とPX緑内障PXGの2群に分けて検討した。
・Scheimpflugカメラを用いた前眼部撮影、前眼部OCTを用いてSCの長さと面積、TMの厚みと長さを術前と術後1か月、3か月で測定した。
・術前には眼圧、ASパラメータ、SCとTM値には有意差はみられなかった。
・術後ではASパラメータの有意な増加、眼圧の有意な低下がPX群、Ctrl群の両者でみられた(p<0.05)。
・術後、PX群では鼻側と耳側のSC面積が有意に増加していた(p=0.007,p=0.003)。
・PX群内での解析では、PXS群で鼻側と耳側のSC面積の変化だけが有意に増加していた(p=0.006, p=0.003)。(TY)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 262(2):469-476, 2024
Matoba R et al(岡山大)
Evaluation of epiretinal membrane formation after scleral buckling for treating rhegmatogenous retinal detachment: En face optical coherence tomography image-based study.
・強膜内陥術後のERM形成について61例66眼(31.0±14.0歳)で検討した。
・PVDはB-scan OCT画像で判定し(24眼36.4%に存在)、ERMと網膜数壁はen face OCT画像で判定した。
・18.3±12.6か月の経過観察で、ERM形成は15眼(22.7%)で検出され、傍中心窩の数壁は5眼(7.6%)で検出された。
・ERM形成例と非形成例との間に視力の有意差はみられなかった(p=0.593)。
・高齢であること(OR=1.07 95%CI=1.01-1.14 p=0.032)とPVDの存在(OR=5.26 95%CI=1.06-26.10 p=0.042)がERM形成のリスクファクターであった。
・PVD発症者では網膜裂孔からのPRE細胞が硝子体下腔に達し、ERMを形成するが、PVD非発症者ではRPE細胞が硝子体に阻まれ黄斑部に到達しないためと考えられる(TY)
Wan X, Wu Y, Zhai Z, et al. Factors affecting long-term changes of meibomian gland in MGD patients. Graefe’s Arch Clin Exp Ophthalmol 2024; 262: 527-535.
・MGDの治療で、マイボーム腺の脱落から回復あるいは悪化をきたした要因を検討するため、上海の復旦大学で1年以上経過を観察しえた患者について検討した。
・MGDの診断は症状と眼瞼縁の所見から行った。この診断基準はわが国(日眼会誌2023年127巻2号掲載のガイドライン)と共通している。
・除外基準として何らかの眼科手術後、他の眼表面疾患を有する場合、外傷の既往、眼炎症、酒さ、アトピー性皮膚炎など。原則右のみの上眼瞼のマイボーム腺所見を評価。右が除外基準に該当する場合は左の所見を検討。
・主な検討項目としては、corneal fluorescein staining (CFS), tear meniscus height (TMH), noninvasive breakup time (NIBUT)と、非接触型のマイボグラフィー(Keratograph 5M; Oculus, Wetzlar, Germany)で観察されたマイボーム腺の形状である。
・マイボグラフィーの解析にはMG自動解析装置(DMK, Guangzhou, China)を用いた。
・対象は79症例79眼。マイボーム腺として認識された領域の面積をROI (region of interest:関心領域・・画像用語のようです)で割って算出した腺の領域(AR: gland area ratio)において、初回の検査時(baseline)と最終の検査時(last visit)の比較でARが5%以上増加したものを「改善」、5%以上減少したものを「悪化」として各パラメーターとの関連を検討した。
・79例中男性が50人(63.3%)、女性29人(37.7%)、平均年齢36.03±15.78歳(6-73歳)、ARの「改善」が34.2%(27/79)、「不変」35.4%(28/79)、「悪化」30.4%(24/79)。
・改善、不変、悪化の各平均年齢は27.56±13.83歳、40.07±15.82歳、40.96±4.31歳。男性の比率は81.5%(22/27)、64.3%(18/28)、41.7%(10/24)。
・若い男性で治療による回復の可能性が高い。性差についての考察はないが、MG stem cellの増殖能が加齢とともに低下してくるため、若い人ならマイボーム腺再生の見込みはあるが、年齢とともにマイボーム腺の改善が得られなくなっていると考えられる。
・初回の検査時(baseline)と最終の検査時(last visit)の比較でマイボーム腺機能のパラメーターの中で有意な変化のあったものは、ARの他、corneal fluorescein staining (CFS)、gland signal index(SI)であった。このSIとは、マイボーム腺管内の分泌物(meibum)の光学濃度を測定したものでマイボーム腺機能の指標である。
・治療としては、IPL(intense pulsed light)が有効であり、改善例、不変例、悪化例でIPLが施されていたのはそれぞれ77.8%(21/28)、53.6%(15/28)、37.5%(9/24)だった。
・【結論】MGDの患者を1年以上経過観察すると、1/3の患者で改善が得られているが、若い患者ほどマイボーム腺の回復が期待できるため、早期にMGDを見つける必要がある。(KH)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 262(1):103-111, 2024
Paschon K et al(Austria)
Prospective analysis of anatomic features predisposing patients to intraoperative floppy iris syndrome.
・IFISの術前の解剖学的な特徴を検討した。
・α1遮断剤服用者55例と非服用者55例で検討した。
・のうち、IFISは45例で発症し、瞳孔径がIFIS例では有意に小さかった。
・AS-OCTでは、3.29±0.85:3.63±0.68mm p=0.03。瞳孔計では3.56±0.87:3.95±0.67mm p=0.02)。
・前房深度が有意に浅かった(3.12±0.40:3.32±0.42 p=0.02)。
・α1遮断剤服用者55例中女性が14例(25.5%)、α1遮断剤種類は7種類で、タムスロシンが27例(49%)。(TY)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 262(1):19-32, 2024
Bulloch G et al(Australia)
Ocular manifestations of obstructive sleep apnea: a systematic review and meta-analysis.
・閉塞性睡眠時時無呼吸(OSA)が眼疾患を発症するかどうかはまだ不明瞭である。
・文献的に評価するメタ解析を行い、関連を検討した。
・使用したデータベースは、PubMed、EMBASE、Google Scholar、Web Of Science、Scopus databaseで、1901年から2022年7月までの49研究を検索し、OSAと関連した疾患をodds比(95%CI)で検討した。
・非動脈炎性前部虚血性視神経症NAIONが 3.98(2.38-6.66)、フロッピー眼瞼症が3.68(2.18-6.20)、網膜静脈閉塞が2.71(1.83-4.00)、中心性網脈絡膜症が2.28(0.65-7.97)、円錐角膜が1.87(1.16-2.99)、緑内障が1.49(1.16-1.91)であり、有意差があった(p<0.001)。
・特発性頭蓋内圧亢進が1.29(0.33-5.01)、AMDが0.92(0.24-3.58)であった。(TY)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 261(12):3503-3510, 2023
Safir M et al(Israel)
Iris color as a predictive factor for intraoperative floppy iris syndrome.
・白内障手術中に発生するIFISの予測因子として虹彩の色が影響するかについて、2019/7から2020/2に2か所の医療機関で検討した。
・虹彩の色は電話で本人に問い合わせた。
・術前にα遮断剤の過去と現在の服用について調査した。
・1,587眼の手術の内、74眼のIFIS発症者と、ランダムに選んだ81眼の非発症者を選択して調査した。
・α1遮断剤服用者は、IFIS発症者の62.2%、非発症者の54.3%を占めていた。
・平均年齢は74.03±7.09歳で35.5%が女性であった。
・虹彩色は茶が110/155(71.0%)、青が25/155(16.1%)、緑が20/155(12.9%)、灰色が0/155(0%)であった。
・茶色虹彩に比較して、青色虹彩は4.5倍IFISの危険性が高く(OR=4.50 95%CI=1.73-11.70 p=0.002)、緑虹彩は7.0倍(95%CI=2.19-22.39 p=0.001)であった。
・明るい虹彩は茶色虹彩に比較して、より重篤なIFISを発症しやすく、両眼性に発症するIFISも、緑虹彩群では茶色虹彩群い比較して10.4倍(OR=10.43 95%CI=3.35-32.54 p<0.001)発症しやすかった。
・女性のIFIS者でα遮断剤の服用歴のない人では、虹彩が明るい人が5/15(33.4%)を占めていた。(TY)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 261(12):3541-3547, 2023
Lotfy NM et al(Egypt):Clinical outcomes of vacuum-dehydrated amniotic membrane (Omnigen) mounted on contact lens (Omnilenz) in eyes with acute chemical eye injuries.
・Omnigenは真空乾燥された羊膜で、特殊な治療用CL(Omnilenz)に組みこまれているものであり、今回、2021/7~2022/11の間に、このOmnilenz-Omnigenを急性化学外傷(CEI)に使用した結果を報告する。
・化学外傷後2日以内に使用開始し、1か月以上経過をみた21例23眼である。
・アルコール外傷が8眼、アルカリ外傷が7例、酸外傷が4例、不明が4例であった。
・輪部血管の回復は56.5%で得られた。
・Omnilenzの複数回使用は5眼(21.7%)で必要であったが、全例で1か月後には完全な上皮の治癒が得られた。
・軽度の臨部虚血は3眼(13%)でみられたが、重篤な副作用が残った症例はなかった。(TY)
Graefes Arch Clin Exp Opthalmol 261(11):3083-3095, 2023
Zhang G et al(China)
The evolution of mechanism of accommodation and a novel hypothesis.
・調節のメカニズムは近視や老視の治療に強く影響しているが、そのメカニズムはまだ十分に解明されていない。
・Helmholtzは調節時にはチン氏帯は緩んでいるとの古典的な説を出しているが、最近、Schacharは調節時にはチン小帯は緊張しているとの説を出している。
・安静時には毛様筋は弛緩し、静脈血は渦静脈に戻り、毛様突起は柔らかである。
・チン氏帯の張筋は弛緩し、矢状方向の主チン小帯は緊張し、水晶体を薄くしている。
・環状方向のチン小帯はやや弛緩するが、valley zonulesの緊張は変わらず水晶体位置は安定している。
・調節時には毛様筋が緊張し、静脈還流が阻害され、毛様体突起は固くなり前内方に移動し、張筋の緊張は高まるために主チン小帯の矢状方向の張力がそがれ、水晶体の形状がより本来の形に近づくために中央部がやや突出して屈折力が増す。(TY)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 261(11):3231-3239, 2023
Aakisaka et al(宮崎)
Changes in the preoperative ocular surface flora with an increase in patient age: A surveillance analysis of bacterial diversity and resistance to fluoroquinolone.
・眼手術前の結膜嚢培養で検出された菌について、患者年齢、フルオロキノロン耐性を検討した。
・2018/8から2020/12までに手術をおこなった5490例8923眼について検討した。
・全部で9,894菌が検出され、表皮ブ菌 31.0%、黄色ブ菌6.1%、その他ブ菌3.9%、腸球菌5.8%、コリネ菌31.7%、アクネ菌7.5%などであった。
・検出された菌は年齢が増すにつれて多くなっていたx1.018/10歳(p<0.0001)。
・レボフロキサシン耐性の表皮ブとコリネ菌の比率は年齢が増すにつれて増えていた x1.204とx1.087/10歳(p<0.0001)。(TY)
Graef Arch Clin Exp Ophthalmol 261(10):2953-1959, 2023
Battagliola ET et al(Italy)
Topical antibiotic prophylaxis before intravitreal injections: a pilot study.
・硝子体内注射を予定している人に対する予防的な抗菌点眼薬投与とポビドンヨードだけの投与とで、眼表面の無菌状態を調査した。
・対象をクロラムフェニコール群(Ch群)、ネチルマイシン群(Ne群)、市販のオゾン消毒薬(Oz群)、無点眼群(Ctl群)に分けて検討した。
・硝子体注射直前の5%ポビドンヨード液(PI)点眼前後の結膜嚢培養の陰性率を調べた。
・PI点眼前の陰性率は、Ch群(61.1%)とNe群(31.3%)では、Oz群(83.3%)やCtl群(86.5%)に比較して有意に高かったが(p<0.04)、この差はPI液点眼後3分後にはなくなっていた。
・PI点眼後はCh群(11.1%)、NE群(12.5%)、Ctl群(15.4%)、Oz群(25.0%)となっており、有意差もなくなった(p>0.05)。
・このことから、PI点眼だけで十分で、抗菌剤の前投与は不要であると考えた。(TY)
Influence of body positons adopted for resistance training on intraocular pressure: a comparison between the supine and seated positions.
Lara PM et al(Spain)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 261(7): 1971-1978, 2023
・筋トレ時の眼圧にはいろいろなファクターが関与しているが、体位の影響については知られていない。
・今回、ベンチプレス時の眼圧変動について座位と仰臥位で検討した。
・対象は男性10名、女性10名で、10回6セットを3種の強度(高負荷、中負荷、負荷無し)と仰臥位と座位でIcare IC200で右眼で測定した。
・座位では仰臥位よりも眼圧上昇が有意に少なく、負荷が大きいほど眼圧が高かった。(TY)
Real-time corneal thickness changes during phacoemulsification cataract surgery.
Hu J et al(China)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 261(6): 1609-1618, 2023
・102眼の超音波白内障術中の角膜厚を、術中OCTを用いて測定した。
・術前の角膜厚は511.79±31.46μmで、超音波開始時は512.71±31.51で、0.91±1.48(0.2%)増加した。
・超音波終了時は521.58±32.75で、8.87±8.71(1.7%)増加した。
・I/A終了時には528.09±33.87と更に6.52±6.38に1.3%増加。
・手術終了時には539.19±33.88と更に11.09±10.92増加し、術前より27.37±13.64と5.3%増加していた(全てp<0.001)。
・この増加は水晶体核の硬さ、角膜内皮細胞密度、超音波エネルギー、超音波時間に関連していた。(TY)
Cataract surgery and IOP: a systematic review of randomaised controlled trials.
Brizido M et al(Portugal)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 261(5): 1257-1266, 2023
・白内障手術は緑内障患者の眼圧に影響しているが、その効果の度合いは、特に開放隅角緑内障OAGについては議論のあるところである。
・今回、OAGにおけるその影響を6文献から検討した。
・白内障手術後の眼圧低下は4.1~8.5mmHg低下させ、緑内障点眼薬も0.2~1.0減らしていたことは注目すべきである。(TY)
Changes in foveal photoreceptor integrity after idiopathic epiretinal membrane surgery and its relationship with visual outcomes.
Yang X et al(China)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 261(4): 925-933, 2023
・特発性黄斑前膜における網膜外境界膜(ELM)、Ellipsoid zone(EZ)、Interdigitation zone(IZ)の完全さと、特発性黄斑前膜剥離後の視力予後について144例150眼について検討した。
・SD-OCTで、術前、術後1,4,10,24か月後について調査した。
・61眼(40.7%)では、視細胞層が破壊され、IZの分断があった。
・術前の症状が長かった眼、BCVAが良かった眼、より早期の眼、CFTがより薄い眼、白内障同時手術眼では、術後に視細胞層の破壊が進行していた傾向があった(p<0.05)。
・術後、62眼では分断が悪化していた。
・術後1ヶ月ではEZ+IZ分断が最も多かった(51.0%)。
・視細胞層破壊群では術前も最終経過観察後も矯正最良視力BCVAは有意に低かった。
・そのなかでもELM+EZ+IZ分断群では最悪のBCVAであった(p=0.001)。
・障害の進行した眼としなかった眼との間にはBCVAには有意差はなかった。
・最終的に28.1%で視細胞の連続性が改善しており、中心窩の視細胞の連続性が回復した眼はよりよいBCVAが得られた。
・ELMによる視細胞の破壊は主にIZの分断として現れてBCVAに悪影響がある。
・黄斑前膜手術は主にEZとIZの破壊を来すが、最終BCVAには有意な影響を与えていなかった。(TY)
Visualization of retinal breaks on ultra-widefield fundus imaging using a digital green filter.
Moon JY et al(MA USA)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 261(4): 935-940, 2023
・広角眼底カメラ(Optos P200DTx)で網膜裂孔の見つけやすさを通常の画像と緑フィルターでの画像とで比較した。
・緑フィルターはOptosAdvance softwareで、緑フィルターを55~60%にセットして観察した。
・19名の眼科レジデントが網膜裂孔を判定したところ、有意に緑フィルターでの方が正答が多く(p<0.001)、より速やかに発見することができた(p<0.001)。(TY)
The effect of sodium hyaluronate on tear film stability in patients with dry eye syndrome after cataract surgery.
Chen N et al(China)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 261(4): 1011-1017, 2023
・超音波白内障手術後のドライアイの患者で、0.3%と0.1%のヒアルロン酸点眼薬(SH)1日4回の効果を術後3か月迄調査した。
・73例91眼のドライアイ患者を3群に分けた。
・A群30眼:0.3%SH点眼、B群31眼:0.1%SH点眼、C群30眼:SH点眼無し。
・シルマー1検査(SIt)、初回涙液BUT(NIBUTf)、平均涙液BUT(NIBUTav)、涙液メニスカス高(TMH)、表面の不整を調査した。
・超音波手術後早期では涙液フィルムの安定性は低下しており、SH点眼液は角膜表面の規則性を改善し、0.1%よりも0.3%の方が有効である。(TY)
Secular trends in prevalence, incidence, and progression of diabetic retinopathy: the Hisayama Study.
Hashimoto S et al(九大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 261(3): 241-249, 2023
・糖尿病網膜症DRの有病率や進行率の日本での長期動向について、九州の久山町での40歳以上の住民を対象として調査結果から検討した。
・1998年は1775名(42.3%)/4197名の全住民、2007年は3119名(72.6%)、2012年は2874名(63.8%)、2017年は2938名(65.7%)である。
・糖尿病を持つ住民については、1998(n=220)、2007(n=511)、2012(n=515)、2017(n=560)に網膜症などの調査を行った。
・糖尿病者の中で、年齢補正したDRの有病率は1998年から2017の間で有意に低下していた。
・27.4%(1998)→22.8%(2007)→12.8%(2012)→6.4%(2017)。
・ただし、収縮期血圧の高い群でDRの有病率が高い点は変わらなかった。
・また、DRの新規発症率は2010年代は2000年代より有意に低かった(p<0.001)。(TY)
Low-intensity red-light therapy in slowing myopic progression and the rebound effect after its cessation in Chinese children: a randomized controlled trial.
Chen H et al(China)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 261(2): 575-584, 2023
・低出力の赤色光(LRL)治療とその治療中止が近視進行に及ぼす影響について、6歳から13歳の近視の小児102名をLRL群51名、単焦点眼鏡(SFS)群51名に分けて調査した。
・LRL群では波長635nmで0.35±0.02mWの赤色光レーザーを発射するSFSを1年間着用し、その後3か月間中止した。
・12か月後にLRL群の46名とSFS群の40名を比較すると、眼軸長進展は0.01mm (95%CI=-0.05~0.07):0.39mm(95%CI=0.33~0.45)、近視進行は0.05D (95%CI=-0.08~0.19):-0.64D(95%CI=-0.78~-0.51)、傍中心窩脈絡膜厚SFCTの変化は21.57μm(95%CI=12.00~31.13):-11.30μm(95%CI=-17.37~-5.23)であり、有意差があった(p<0.05)。
・治療終了3か月後にはLRL群では、眼軸長は0.16mm(95%CI=0.11~0.22)延び、屈折度はー0.20D (95%CI=-0.26~-0.14)近視化し、増加していた傍中心窩脈絡膜厚SFCTも薄くなり、SFS群とほぼ同じに戻った。
・赤色光照射終了によって、近視化へのreboundがあった。今後の追加調査が必要である。
・近視進行予防効果の作用機序として、photo-bio-modulation:PBM作用が推察されている。
・赤~近赤外光の持つ細胞増殖や成長促進作用が有効に働いているのではないか。
・あたらしい眼科 40(2):179-182、2023参照(TY)