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Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology

2013
251巻

甲状腺眼症による眼瞼後退に対する結膜下ケナコルト注射

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 251巻(1号)2013

Treatment of upper eyelid retraction related to thyroid-associated ophthalmopathy usin subconjunctival triamcinolone injections.
Lee SJ et al(Korea)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 251(1): 261-270, 2013
・甲状腺眼症による眼瞼後退に対する結膜下triamcinolone注射の効果を調べた。
・対象は眼瞼後退and/or眼瞼浮腫が発症後、6ヶ月以内とした。
・いずれも、程度は0-3で判定した。
・注射をした55例75眼(G1)と、経過観察だけの40例59眼(G2)で比較した。
・G1では、20mgケナコルトを結膜とミュラー筋との間に3週間の間隔で、1-3回注射した。
・1回か2回目の注射後に眼瞼後退と浮腫が完全に寛解するか、スコアが0/1か1/0になった場合には追加注射はしなかった。
・効果は9週目、24週目に判定した。
・浮腫と眼瞼後退はG2よりもG1で有意に軽快していた。
・開始時には重篤な眼瞼浮腫はG1で67%、G2で34%と有意にG1で多かったが(p<0.01)、この差は9週目、24週目にはなくなっていた。
・眼瞼後退は、9,24週目のいずれにおいても、G1ではG2よりも重篤な例が少なかった。
・9,24週目の改善例はG1では59%,75%であったが、G2では39%,57%であり、いずれも有意にG1で多かった(p=0.03,p=0.04)。
・眼瞼後退が強いものでは(程度2,3)、弱いもの(程度0,1)に比較してG1でも、G2でも不変例が多かった。
・G1では9,24週後のORは45.4(95%CI=5.9-351.1 p<0.01)、11.6(2.3-58.5 p<0.01)。G2では9,24週後のORは10.3(1.8-59.6 p<0.01)、5.9(1.3-25.9 p<0.05)であった。
・最初から重篤な眼瞼後退のあるものは治療に反応しないと考えられた。(TY)

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