眼科JOURNALトップ > Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology > 重症筋無力症患者の複視に対する治療

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology

2013
251巻

重症筋無力症患者の複視に対する治療

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 251巻(3号)2013

Treatment for diplopia in patients with myasthenia gravis
Kyung-Ah Park et al (Sungkyunkwan University School of Medicine, Seoul Republic of Korea)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 251(3): 895-901, 2013
・MGはアセチルコリン受容体に対する抗体が産生される自己免疫疾患で、この抗体が神経筋接合部のアセチルコリン受容体を攻撃し、結果として疲労性の筋の脆弱につながる。眼症状は75%に合併。眼瞼下垂が最も特徴だが、90%近くに外眼筋の脆弱をみる。これらは投薬か胸腺摘出の全身治療で常に改善するわけではない。
・神経内科にてピリドスチグミンを投与し、改善無ければブレドニゾロン、アザチオプリンも追加投与。
・今回は28名のMG患者(エドロホニウムテスト陽性2/2名、ネゴスチグミンテスト陽性3/4名、連続神経刺激テスト陽性14/26名、抗アセチルコリンレセプター抗体上昇13/28名、テスト陰性の患者7名は臨床症状と薬への反応から診断)に、全身治療後6名(21.4%)は反応良好、複視消退。4名(14.3%)は斜視減少、複視改善。18名(64.3%)は反応不良又は無し。このうち10名(35.7%)には15プリズム以上の斜視を認め、6名に斜視手術を施行した。結果4名は症状無し。1名はわずかな間歇性外斜視。1名は10年後に外斜視再発。
・全身治療に反応の低い大きい斜視角のMG患者には、症状が安定した後の斜視手術が1つの治療法となる。(YM)

過去のアーカイブ