Long-term intraocular pressure changes after vitrectomy for epiretinal membrane and macular hole
Masato Fujikawa, et al. (滋賀医科大学)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 252(3); 389-393, 2014
・硝子体手術の中でもERMに対する手術は臨床的に最も侵襲が少ないと思われるので、ERMとMH治療の為の硝子体手術後の長期眼圧経過を調査した。
2005.5月〜2009.11月 ERM 57眼 MH 61眼
・ERMグループ(平均経過観察期間 29.3±15.7カ月)
術眼 術前 12.9±2.5mmHg → 最終受診時 13.2±2.9mmHg
他眼 術前 13.1±2.5mmHg → 最終受診時 13.0±2.5mmHg
有意差なし
MHグループ(平均経過観察期間 25.6±14.1カ月)
術眼 術前 13.3±2.4mmHg → 最終受診時 14.2±3.2mmHg
他眼 術前 13.3±2.5mmHg → 最終受診時 12.9±3.2mmHg
ベースライン時は有意差なかったが、最終受診時では術眼の方が際立って高かった。
・最終受診時、ベースライン時より4mmHgまたはそれ以上眼圧が上昇したのは、
ERMグループ 術眼 4眼、他眼 4眼
MHグループ 術眼 10眼、他眼 7眼
TA使用の有無では統計学的に有意差はなかった
・ERMグループの術眼では平均0.3mmHg上昇、MHグループの術眼では平均0.7mmHg上昇した。
この相違はMH術後の眼圧上昇の危険性と遅発型OAGになる危険性を示唆する。
ERMとMHの手後炎症のストレス、あるいは身体的な影響が炎症のサイトカインの濃度を増やしたか、あるいは液体-ガス置換の後に沈殿物で線維柱帯を詰まらせたと仮定した。
腹臥位も同じく潜在的な原因であるはず。
医師は硝子体切除術の眼圧上昇の潜在的な危険に気付いていて、そして、不可逆的な視力・視野障害が起きる前に治療を始めるべきである。(CH)