Three-year corneal graft survival rate in high-risk cases treated with subconjunctival and topical bevacizumab
Iva Dekaris, et al. (Croatia)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 253(2): 287-294, 2015
目的:危険性の高い眼での角膜移植片生着率に対するベバシズマブ結膜下注射と点眼の効果を評価する。
対象と方法:2009年4月〜2012年4月、全層角膜移植(PK)を予定した50人50眼(男性26眼、女性24眼)
新生血管が少なくとも1象限以上ある症例(Stevens Johnson症候群(SJS) 2眼、化学熱傷 5眼、外傷後の血管豊富な角膜白斑 7眼、感染後の血管豊富な角膜白斑 11眼、拒絶反応を起こした角膜移植組織 19眼、角膜潰瘍 6眼)
平均年齢 51.5±18.8歳
全例に全層角膜移植を行い、10例では輪部移植も行った。
全例で、新生血管のある象限毎に0.5ml (25m/ml) ベバシズマブと0.5ml (4m/ml) デキサメタゾン結膜下注射をした。50眼中6眼が1象限の新生血管(外傷後の血管豊富な角膜白斑 3眼、感染後の血管豊富な角膜白斑 3眼)
さらに2象限以上新生血管がある症例では手術後12週間以内で、新生血管が退縮するまでベバシズマブ点眼(25m/ml)1日4回行った。
平均経過観察期間 36.5ヶ月
結果:PK後3年でBCVA改善したのは82%(41眼)だった。(図1)
改善しなかった9眼はSJS 2眼、拒絶6眼、角膜潰瘍1眼
3年間の生存率は、SJS 0眼、化学熱傷 3眼、外傷後の血管豊富な角膜白斑 5眼、感染後の血管豊富な角膜白斑 11眼、拒絶反応を起こした角膜移植組織 13眼、角膜潰瘍 4眼
術後拒絶反応を起こしたのは17眼(34%)、その内15眼(30%)が最終的に不全となった。
3年間の間、70%が移植片の透明性を保っていた。(図2)
内皮細胞数は、術前平均2864個/mm2、術後1ヶ月平均2237個/mm2、術後1年平均2034個/mm2、3年後平均1905個/mm2となった。
結膜下注射の追加は11眼(22%)、全例4回以内。
副作用はSJSの1例で、12週後に角膜上皮欠損を認めた。
結論:炎症あるいは血管豊富なベッドで行われる角膜移植は危険性が高く、成功率は20〜40%と低率であると報告がある。術後6ヶ月で新生血管の発達が早いと言われているが、ベバシズマブ結膜下注射と点眼でその成長を抑制する事が出来る。内皮細胞に影響はなかった。
危険性の高い症例での角膜移植片生着率を改善するかもしれない(CH)