眼科JOURNALトップ > Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology > 硝子体注射後の予防的な抗生剤投与が、眼内炎の起因菌の薬剤耐性にどのような影響を及ぼすか

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology

2016
254巻

硝子体注射後の予防的な抗生剤投与が、眼内炎の起因菌の薬剤耐性にどのような影響を及ぼすか

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 254巻(2号)2016

The effect of prophylactic topical antibiotics on bacterial resistance patterns in endophthalmitis following intravitreal injection
Storey P, Garg S, et al. (US-PA)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 254(2):10 235-242, 2016
【目的】抗VEGF剤の硝子体注射の後に予防的な抗生剤投与を行うことが、眼内炎発症例における薬剤耐性パターンに影響するかを調査
【対象と方法】単一施設(Willis Eye Hospital)で2009-2013において発症した、抗VEGF剤(ranivizumab, bevacizumab, aflibercept)硝子体注射後の眼内炎をretrospectiveに調査。前半の28か月は注射後4日間抗菌薬の予防点眼を4回/日で施行、残る21か月は注射後の点眼なし。(2011.5月~12月の約8か月間は術者ごとに方針が異なる移行期間のために除外。)*両期間ともに注射前の予防的抗菌薬の投与はなし。
【結果】調査期間内に172,096回の硝子体注射を施行。前半の抗生剤(+)期間では、57,654回の注射のうち28例で眼内炎疑い、うち10例で培養陽性。後半の抗生剤(-)期間では、89,825回の注射のうち24例で眼内炎疑い、うち6例が培養陽性。前半では培養陽性の10例のうち4例が予防的に投与した薬剤に耐性を示し(他に2例で投与歴のない薬剤に対し耐性)、後半の症例では培養陽性の6例のうち1例で投与歴のない薬剤に対して耐性を示し、残る5例では薬剤耐性がみられなかった。【Tab.1】【Tab.2】
*薬剤耐性群・耐性なし群ともに視力予後は不良であり有意差みられず【Tab.2】【Tab.4】
【結論】硝子体注射の後に行う予防的な抗生剤投与は、培養陽性の眼内炎の例において、薬剤耐性菌の頻度を上昇させるかもしれない。(MK)

過去のアーカイブ