Outcome of Descemet stripping automated endothelial keratoplasty in eyes with an Ahmed glaucoma valve
Patrick J Chiam et al. (England)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol (2017)(5)255:987-993
目的:AGVを受けている眼に対するDSAEKの移植片生存率を調査し、さらに移植片生着に影響を与えている潜在的なリスク要因を決定する。
対象と方法:13人14眼(平均年齢58±17歳、男性4眼、女性10眼、平均経過観察期間30.2 ± 11.8ヶ月)、
AGV1個 8眼、2個5眼、3個1眼。
AGVの前に機能していないtrabeculectomy 8眼、deep sclerectomy 3眼。
角膜内皮とチューブの接触はなかった。
DSAEK前の平均眼圧16mmHg(緑内障点眼1剤4眼、2剤1眼、3剤以上4眼)。
DSAEKは直径9mmのグラフトを使用した。グラフトECD 平均2828 ± 2511個/mm2。
結果:移植片生存率 術後6カ月85%、 12カ月71% 、18カ月50%、 24カ月36% 、30カ月30% だった。
平均生存期間12.9 ± 6.2ヶ月。
移植片不全になった7眼のうち5眼で再移植を行った。
2回目のDSAEKの生存率は術後6ヶ月100%(5/5)、12ヶ月100%(5/5)、18ヶ月75%(3/4)、24カ月67%(2/3)だった。
DSAEK後、3眼で緑内障点眼の追加が必要になった。
1眼はDSAEK後2ヶ月で眼圧が32mmHgとなったのでAGVを追加した。
術後1年以内の平均眼圧は、移植片不全になった症例(平均眼圧19.4mmHg)より1年および1.5年間機能している移植片(平均眼圧16.9mmHg)で有意に低かった。(P=0.009)
結論:DSAEKは、AGV眼で視覚機能を回復させるためのPKに代わる術式である。
術後眼圧が高い事は移植片不全の重要な危険因子だった。
再DSAEKは、機能不全になった初回よりも悪くないように見え、これは再PKの生存期間短縮傾向と対照的である。
6、虹彩損傷は房水中のサイトカイン濃度上昇と関連する
Iris Damage Is Associated With Elevated Cytokine Levels in Aqueous Humor.
Aketa N et al. (東京歯科大)
Invest Ophthalmol Vis Sci. 2017 May 1;58(6):BIO42-BIO51
目的:虹彩損傷と房水中のサイトカインレベルの関連を調べる。また、虹彩損傷を起こしやすくする臨床要因を評価し、房水中のサイトカインレベルとの相関を評価した。
対象と方法:角膜移植または白内障手術を受ける前の連続した201眼(平均年齢73.7 ± 10.6歳)を3つのグループに分けて検討した。
虹彩損傷無し 126眼、中等度の虹彩損傷 51眼、重度の虹彩損傷 24眼 (Figure 1)
虹彩損害の原因はLI、角膜移植術の既往、複雑な白内障手術、複雑な硝子体手術、緑内障手術、外傷など。
手術前に27G針を使って前房水を採取した。
結果:虹彩損傷無しに比べ、中等度と重度の虹彩損傷の房水中でIL-1α, IL-1β, IL-4, IL-6, IL-8, IL-10, IL-17A, MCP-1, TNF-α, E-selectin, P-selectin, sICAM-1のレベルが高かった。(P < 0.033)
多変量解析で治療に抵抗する緑内障と複数回の内眼手術の既往が虹彩損傷と有意に関連していた。(P < 0.005)
IL-6、IL-8、IL-13、MIP-1α、TNF-αとsICAM -1は中等度と重度の虹彩損傷のある有水晶体眼で有意に高かった。
IL-8とsICAM -1は重度の虹彩損傷のある偽水晶体眼で有意に高かった。
結論:虹彩損傷眼の前房水中に、炎症抑制性サイトカインを含む多数のサイトカインの有意な上昇を認めた。
以前の研究で炎症性サイトカインが角膜内皮細胞でアポトーシスを誘発することを示している。また、角膜内皮細胞減少眼で房水中サイトカイン濃度上昇を認める事が報告されている。虹彩損傷が前房内の慢性炎症を起こし、内皮細胞喪失を誘発または角膜移植後の移植片生着に悪影響を及ぼすかもしれない。(CH)