Detailed analysis of retinal morphology in patients with diabetic macular edema (DME) randomized to ranibizumab or triamcinolone treatment
Sonja G. Karst, et al. (Austria)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol (2018)(1) 256:49-58
・目的:糖尿病黄斑浮腫のSD-OCT画像、カラー眼底写真における網膜形態の変化に対する2種類の硝子体内薬剤(ラニビズマブ0.5mg対トリアムシノロン8mg)の影響を調べた。
・対象と方法:25人25眼(ラニビズマブ: 10眼;トリアムシノロン: 15眼)
・1型糖尿病または2型糖尿病の18歳以上の患者、視力20/25〜20/200、SD-OCTで黄斑浮腫を伴う中心網膜厚300μm以上の症例。
・患者を無作為に2群に分けてラニビズマブ0.5mgを1ヶ月毎3回、またはトリアムシノロンアセトニド8mg 1回(患者のマスキングを維持するために1ヶ月目および2ヶ月目に2回の偽注射を行った)硝子体内注射を行った。
・3ヵ月目から、すべての患者を、マスクされた医師によって毎月再評価し、再治療基準(BCVA> 5文字の減少、CRT 100μm以上増加した時に注射を追加)に基づいて、割り当てられた治験薬のPRN治療が必要であるかどうかを確認した。
・ラニビズマブ注射は毎月施用することができ、トリアムシノロンは3ヶ月ごとに注射することができた。(1、2ヶ月目は偽注射)1年間経過観察した。
・結果:ラニビズマブを投与した患者は、トリアムシノロンを投与した患者よりも12ヶ月後に優れた視力の結果を示した(p = 0.015)
・base line視力 ラニビズマブ群 logMAR 0.34±0.25、トリアムシノロン群logMAR 0.34±0.19
・3ヶ月後 視力 ラニビズマブ群 logMAR 0.18±0.25、トリアムシノロン群logMAR 0.21±0.25
・両群ともに浮腫の減少は類似していた(p = 0.426)。ラニビズマブを1回注射した後の黄斑浮腫の初期効果は、2回目以降の注射で効果を増幅することができた。トリアムシノロンの注射後の黄斑浮腫に対する有益な初期効果は3ヶ月以内に薄れていった。
・CRT base line ラニビズマブ群 516±141μm、トリアムシノロン群482±102μm
3ヶ月後 ラニビズマブ群 324±58μm、トリアムシノロン群431±103μm
・網膜下液および内顆粒層のcystoid spacesは初期に減少した一方、外顆粒層のcystoid spacesは両方の処置群においても持続しているようであった。 FAでは、両群で漏出面積が有意に減少した。
・カラー眼底写真では両群とも硬性白斑は減少した。軟性白斑はラニビズマブでは消失し、トリアムシノロンでは残存していた。
・注射平均回数 ラニビズマブ群5.9±2.5回、トリアムシノロン群3.2±1.4回
・眼圧上昇 > 25 mmHg ラニビズマブ群1眼、トリアムシノロン群7眼
・眼内炎、網膜剥離の症例はなかった。
・結論:トリアルシノロンの投与量が多かったにもかかわらず、両方の治療法は糖尿病黄斑浮腫の治療に安全かつ有効であった。内顆粒層および網膜下腔におけるcystoid spacesは、外顆粒層よりも治療に反応した。
・将来、詳細な網膜画像解析が個別化された治療戦略に追加される可能性がある(CH)